「不労所得でセミリタイア」は可能なのか|不労所得蓄積でセミリタイアを目指す場合の注意点も
不労所得によってセミリタイアを達成するメリット
セミリタイアにより、様々な面での「自由」を手にすることが出来る
会社に経済的に従属している限り、セミリタイアを果たすことは難しいのが実情です。
しかし、30代などの早期から、不労所得作りに取り組み、若い年代のうちに、会社からのセミリタイアを達成することが出来れば、その後、「会社」という制約から解放され、様々な面での自由を満喫することができる、というメリットがあります。
セミリタイアにより「住む場所」に関する自由が手に入る
フルタイムで会社に勤務している以上、生活の中心は「会社」。
どこに住むか、という、極めてプライベートな問題に関しても、「会社への通勤に便利な場所」を前提に考えてしまっている人が大半でしょう。
勤務先が都内である場合、わざわざ生活コストの高い都心に、暮らさざるを得ないこともあり得ます。
この点、不労所得の確保によってセミリタイアを果たせば、その後、毎日の通勤に対する配慮は、実質、不要となります。
どこでも、自分や家族が好きな場所に暮らすことができるようになるので、
- 生活コストを引き下げることで、セミリタイア後の生活収支を安定させたいなら、都会よりも生活コストの安い、地方へと移住しても良いですし、
- はたまた、かねてから憧れていた、海外移住にチャレンジしてみても良いでしょう。
こうした「場所」に関する自由を手に出来る、という点は、若いうち(理想としては、30代や、40代など)から、会社からのセミリタイアを果たす、最大のメリットの一つと言われています。
セミリタイア後の生活では、1日の時間は、全て「自分のもの」として楽しめる
フルタイムの会社員として勤務している限り、少なくとも月曜日から金曜日の平日に関しては、「会社」が中心の生活となります。
- 毎朝、遅刻せずに会社に出勤するために早起きし、
- 日中は、家族と離れ、会社で過ごし、
- 帰宅時間も、会社での仕事の進捗状況によっては、遅くなることもしばしば。
- 家族との時間も十分に確保できぬままに、明日の早起きに向けて、少しでも早く寝なければ…
という毎日が、ルーティーンとなっている人も、少なくないでしょう。
その点、もしも、不労所得をストック化し、セミリタイアを実現することが出来れば、その後、「1日」という時間は、まるごと、自分の好きなように活用できるようになります。
家族生活に重きを置きたい人であれば、家族と過ごす時間を一番大切にすることもできますし、自分の趣味に時間を割きたい人は、趣味に没頭する時間も作れるようになるでしょう。
限りある、人生の残り時間を、自分の望むように活用できるようになることは、会社からのセミリタイア実現の、大きなメリットのひとつです。
会社からのセミリタイアにより、「人間関係に関する自由」も手に出来る
仮に、会社での人間関係に悩むようなことがあっても、フルタイムの会社員として、会社に経済的に隷属している状況では、
「人間関係が合わないため、退職します」
とは、なかなか言い出せないのが実情です。
無理をして勤務を継続し、却って心身ともに疲弊してしまうようなケースも、少なくありません。
もしも、30代程度のごく若い段階から、不労所得作りに積極的に取り組み、会社からの給与「以外」の収入源をしっかりと確保しておくことが出来れば、仮に、勤務先での人間関係に悩むようなことがあれば、自分自身がストレスを抱えてしまう前に、セミリタイアに踏み切ることが出来るようになります。
「苦手な人とは会わない・距離を置く」という、人間関係に関する自由を手に出来る、という点も、不労所得作りの結果としてのセミリタイアの、大きなメリットのひとつです。
会社からのセミリタイアを目指す過程で、様々な知識やノウハウ、スキルを習得することが出来る
普通の会社員として、会社から指示された通りの研修を受け、それで満足しているようでは、早期のセミリタイアを実現することは困難です。
不労所得等によって経済的な安定を確保しつつ、会社からの早期のセミリタイアを実現するためには、様々な知識を仕入れ、自分から主体的に勉強に取り組む必要があります。
しかし、そうした勉強を重ねていくことで、同期入社した同僚たちとは比較にならないほど、幅広く、そして深い知識・ノウハウを、着実に身に付けていくことが出来る、という点もまた、セミリタイアに取り組むメリットの一部です。
セミリタイア後の生活を支えるため、節約のノウハウ
フルタイムでの会社勤務をやめて、セミリタイアをすると、基本的に、収入量は下がることとなります。
すなわち、セミリタイア後の生活をつつがなく送るためには、節約に関するノウハウの習得が必要となることが普通です。
そして、節約を目的に、改めて、家計を見直してみると、その無駄の多さに驚く人も多いでしょう。
- 登録した当初は熱心に利用していたが、今では全く利用していないサブスクリプション・サービス
- 数年以上前に契約し、これだけ格安な料金プランが乱立している中にも関わらず、依然として高い料金を支払い続けてきた携帯電話
- 「子供の学校の連絡網のために…」と、なんとなく加入したが、目下、全く通話していない、固定電話の料金など
いざ、「節約しよう」と向き合っても見ると、その余地は大きなものがあります。
そして、そうして身に着けた節約のノウハウは、仮に(その後の紆余曲折の結果、)セミリタイアを「しない」という決断をしたとしても、その後の生活に、十分に生かしていくことが出来ます。
支出を切り詰めても、生活における充足感そのものは維持することが出来れば、それは、セミリタイアを目指して節約に取り組んだ「ご褒美」と言えるでしょう。
年金・健康保険等の、社会保障制度に関しても、詳しくなれる
セミリタイアによって、現在の勤務先から早期退職する場合、会社員として当たり前のように享受してきた、厚生年金や、健康保険、といった、いわゆる社会保障制度に関しては、その後、仕様が激変することとなります。
会社の社会保険から脱退することとなるため、
- 厚生年金の加入は出来ず、改めて、国民年金保険料を納付するようになりますし、
- 健康保険に関しても、国民健康保険制度の被保険者となることになります。
会社からのセミリタイアを実行するにあたっては、当然のことながら、こうした社会保障制度に関しても、しっかりと勉強を行ったうえで、自分や家族の老後生活や、医療が必要となったときに、支障の出ないような態勢作りが必要となります。
セミリタイアについて真剣に検討していけばいくほど、会社の福利厚生の有難さについて、再認識することもあるでしょう。
セミリタイア希望者におすすめの不労所得の作り方3選
不動産投資で不労所得を作り、セミリタイアを実現
アパート経営や、マンション投資などといった、いわゆる現物不動産投資は、不労所得作りの王道と言われてきた投資手法であり、セミリタイアを目指す投資家からも、常に大きな注目を集めています。
中には、20代・30代、といった若年期から、コツコツと資金を貯め、レバレッジを効かせながら、不動産投資に取り組んでいる投資家も存在します。
不動産投資による不労所得でセミリタイアを目指すメリット
- 「家賃収入」という定期的な副収入を、不労所得として収受できる。
- 建物の減価償却費を利用して、不動産所得を(会計上)赤字にし、その赤字を利用して、給与所得等を圧縮。その後、確定申告を行うことで、勤務先が源泉徴収済の所得税の還付を受けたり、翌年会社が特別徴収する住民税を軽減する、といった節税効果が期待できる。
- 団体信用生命保険(通称:団信)を利用すれば、不動産オーナーに万が一のことがあったときに、残債務の支払いが免除され、家族に不動産を残すことが出来、一種の生命保険として活用することが出来る。
- 子供などに対して資産を相続する際にも、現預金として相続するより、居住用の賃貸物件(収益用物件)として相続したほうが、相続財産として評価額を下げる効果が期待できる。
- 物件の賃料や、不動産の売却価格は、物価と連動しやすい傾向がある。このため、不動産投資は、「インフレに強い」と換言することが出来る。
- まとまった投資用資金を用意することが難しい投資家の場合でも、銀行提供のアパートローン等を活用し「レバレッジ」を効かせた投資を行うことが出来る。
不動産投資からの不労所得でセミリタイアする際の注意点
- 空室リスクの存在に留意を要する。
- 賃料支払いや、入居者同士のトラブルなど、悪質な入居者への対処が必要となるケースがある。
- 建物の経年劣化・老朽化に伴い、修繕コスト等が生じることが多い。
- 最終的な物件売却価額が、物件の取得価額を大幅に下回ると、不動産投資のトータルでの収支が、赤字となってしまう恐れがある。
- 基本的に、流動性が低い(すぐに売却・現金化しようとしても、奏功しないケースが多い)。
参考:
不労所得の種類とは|タイプ別不労所得のメリット&デメリットも徹底比較
高配当株投資からの不労所得で、早期セミリタイアを目指す
投資家に対する配当性向の強い、いわゆる高配当株を中心に株式投資ポートフォリオを組んで、保有している株式からの配当金を、不労所得として収受、その不労所得をもとに、セミリタイアを果たす、という考え方も、特に株式投資に対して一定の知見を持っている投資家の間では、人気のセミリタイア・モデルといえます。
高配当株投資からの不労所得でセミリタイアを目指す利点
- 株式からの配当金を、そのまま不労所得として生活に利用することなく、株式に再投資することもできる。また、株価が下落している時期においては、割安に株式を追加取得するチャンスと考えることが出来る。
- 基本的に、高配当株は、配当性向の低い株式と比較し、不況期においても、配当継続・増配等への期待から「売られづらい」とされている。
- 前述の不動産投資(の賃料収入)と同様、給与所得等とは別の収入源(労働を伴わない、不労所得)をストックすることで、経済的な、及び、精神的な安定を得ることが出来る。
- 一旦株式を取得しておけば、あとは配当を待つだけ、なので、投資家においては手間暇がかからない。
- 急な資金ニーズが生じた際は、株式を市場で売却することで、(現物不動産投資と比較して)簡単に現金化することが出来る。
不労所得獲得手段としての高配当株投資のデメリット
- 配当性向の強い、いわゆる高配当株は、成長余地の乏しい、成熟産業に属しているケースが多い。このため、新興市場の若い会社のように、多額のキャピタル・ゲイン(株式の売却益・値上がり益)を狙うことが難しい。
- 個別の株式銘柄取得のたびに、証券会社等に対して、買い付け手数料を支払う必要が生じる。高配当株特化型の投資信託も存在するが、それらを利用する場合、投資信託の運用会社に対して、信託報酬の支払いが必要となる。
- 配当金に対しては、企業から支払われるたびに、源泉所得税等が徴収される。その後、配当金を再投資したとしても、あくまでも、「課税後」の配当金を再投資することとなるため、複利効果が最大化しづらい。
- 配当利回りは、配当金額を1株あたりの購入額で除して求められる。このため、「配当金が高いから」というよりは、単に業績悪化により「株価が下がっている」銘柄が、購入検討対象となってしまうケースがある。
- 配当金は、都度、現金として受け取ることとなるため、再投資先を慎重に検討しない限り、基本的には、インフレーションに対する耐性が弱い。
- 順調に配当が為されたとしても、株価そのものが大きく下落してしまえば、株式投資全体での、トータルでの投資損益は、マイナスとなってしまうケースがある。
参考:
「初心者でも簡単に不労所得」は大嘘?不労所得に纏わる様々な嘘を大検証
債券投資で得られる不労所得も、セミリタイアを近づける手法
国債や、社債等といった、いわゆる債権に対して投資をし、その利息を、不労所得として蓄積していくスタイルも、比較的安全性の高いセミリタイア手法として、投資家の間で注目を集めています。
債券投資によってセミリタイアを目指すメリット
- 格付けの高い債券銘柄の場合、予定通りに利払い・償還が為される可能性が(基本的には)高い。このため、数ある不労所得獲得手法のうち、債券投資(高格付け銘柄を対象とするもの)については、比較的安全性の高い投資手法としての評価を受けている。
- 新発債(新規に発行される債券)の利回りが下がれば、保有している既発債の価格が向上することが期待できる。
- 資金ニーズが生じた場合、債券市場で手持ちの債券を売却することにより、資産を現金化できる(ただし、新発債の利回りが上昇している場合、既発債の価格が下がる傾向がある)。
- 定期的に利息を受け取ることに拠り、ある程度再現性の高い不労所得として、ストックしていくことが出来る。
債券投資で不労所得獲得を狙う際の注意点
- 償還日前に売却する場合、市中金利の状況によっては、手持ちの債券の価格が、元本割れしているケースがある。
- 発行体の信用リスク(利払いや元本償還が、予定通りに実施されないリスク)についても、常に留意が必要となる。
- 発行体の信用リスクが小さい債券は、応じて、利回りが低い。逆に、提示されている利回りの高い債券は、発行体の信用リスクが大きい。
- 発行体が国外(海外政府や、海外企業)にある場合、債券投資の収支は、為替変動の影響を受けることとなる。また、カントリーリスクに対しても配慮が必要となる。
参考:
専業主婦でもできる、不労所得の作り方とは|専業主婦が不労所得作りに取り組む場合の注意点も
不労所得でセミリタイアを目指す場合の注意点
不労所得作りは投資であり、元本割れのリスクがある
不労所得によって、セミリタイアを目指す上で、最大の注意点の1つは、
- 不労所得づくりとは、すなわち、何らかの投資であり、
- そして、投資である以上、そこには、損失、すなわち元本割れのリスクが、常につきまとう、
ということです。
例えば、不動産投資においても、予定通りの賃料収入を得ることができなかった場合や、不動産の売却価格が、不動産の取得価格を大きく下回ってしまった場合などにおいては、トータルの損益が、赤字となるリスクがあります。
ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングなどといった、昨今流行している不労所得作りにおいても、出資したファンドの運営がうまくいかなかった場合などにおいては、投資家の出資した元本が、元本割れとなってしまうケースが多々ありえます。
仮に、こうした損失(元本割れ)に直面することとなれば、セミリタイア後の生活を支える不労所得を得ることができないばかりか、早期退職に向けて蓄積してきた資金を失うような事態にも直結しますので、十分な注意が必要となります。
参考:
サラリーマンにおすすめの不労所得の作り方とは|サラリーマンの不労所得作りにおけるリスクも検証
不労所得作りにおいて、「手間暇」や「安全性」、「収益性」、といった要素は、いずれも、トレードオフの関係にある
投資の世界においては、「リスクとリターンは、常に比例する」という原則があります。
- ハイリスクであると同時に、ローリターンである、などという投資商品が、長く存続し得ないのと同じように、
- ローリスクであるにもかかわらず、ハイリターンを提供するような投資商品も、同じく、永続はできない、
という原則です。
仮に、一時的に、ローリスク・ハイリターンな投資商品が存在したとしても、そこには、情報を聞きつけた投資家からの買い注文が殺到し、現在価格が高騰、瞬く間に、ローリスク・ローリターンな投資商品へと収斂していく、と言う仕組みです。
そして、不労所得づくりの手法においても、この原則は、そのまま当てはまります。
不労所得づくりにかける手間暇や、安全性、そして投資手法としての収益性に関しては、常にお互いにトレードオフの関係にあります。
手間暇が全くかからないにもかかわらず、極めて安全で、収益性が高い投資商品、などと言うものは、存在しません。
そのような投資商品が一時的には生じたとしても、圧倒的な物量・時間コストを投入することによって、収益を最大化しようと試みるユーザが殺到し、多量の手間暇をかけない限りは、収益が上がりづらい投資商品(すなわち、レッド・オーシャン)へと収斂していきます。
また、安全性が極めて高いにもかかわらず、収益も十二分に高い、などという投資分野も、前述したのと同じ仕組みで、長くは存在し得ません。
インターネットサイトやブログ、SNSなどで、不労所得やセミリタイアに関する情報を収集していると、この原則を無視して、
「初心者でも簡単に、セミリタイヤに向けた不労所得の蓄積ができる」
「手間暇をかけることなく、ほったらかしで、早期退職のために十分な資金が蓄積できる」
などと喧伝する投資手法が数多く散見されますが、そうした謳い文句に対しては、警戒感を持って接することが必要です。
参考:
不労所得は「怪しい」のだろうか|”不労所得”という言葉が世間から怪しまれる理由を徹底検証
セミリタイア後のインフレ対策が必要
一般的に、会社員が会社から受け取る給料は、物価と比較的連動しやすい所得である、と言われています(=物価が上がれば、基本的に給料が上がっていく)。
セミリタイアによって、現在の勤務先から早期退職する場合、その後は基本的に、物価と連動した「給料」という所得を受け取ることができなくなるため、インフレーション(物価高騰)に対する耐性が、一定程度弱まることとなります。
このため、不労所得を獲得してセミリタイヤをする場合も、退職後の長い人生生活において、インフレーションが進行した場合、それにどのように対応していくのか、という点に対して、事前の計画・シミュレーションが必要です。
例えば、債券投資は、不労所得の作り方の一種として、セミリタイアを希望する投資家から根強い人気を集めていますが、一部の物価連動債権を除き、基本的には、インフレに対して弱い、と言う弱点を持っています。
これに対して、不動産投資などの不労所得の作り方の場合、物件からの賃料収入や売却価格が、物価と連動しやすい分、インフレに対して、ある程度の耐性を保つことができる、と言う利点もあります。
不労所得の蓄積によってセミリタイアを果たす場合、現在の物価水準のみに基づいて、セミリタイア後の生活を設計するのではなく、一定程度のインフレーションが発生した場合でも、相対的な購買力を維持できるポートフォリオの構築を心がける必要があります。
早期退職による不利益の数々に注意が必要
昨今、ライフスタイルの多様化が進んだといえども、日本ではまだ、
- 新卒で会社(できれば、上場企業などの大企業)に入社し、
- その後、定年退職まで、同じ会社に勤めあげる、という人生こそが、
マジョリティー(=多数派)であり、一般論です。
こうした中で、不労所得の蓄積によってセミリタイアを果たす場合、一般的なマジョリティーの生き方から外れる分、制度上、様々な不利益や、デメリットを受忍する必要が生じます。
セミリタイアにより、厚生年金の加入期間が短縮される
日本の年金制度は、「国民年金」と、会社員が加入する「厚生年金」との、2階建てで構成されています。
老後の年金は、一種の不労所得とみなすことができ、引退後の生活を支えて行く、大切な原資の1つですが、そのうち、厚生年金の受給額は、
- 会社における、厚生年金の加入期間の長短と、
- 厚生年金加入期間中の支払い保険料の大小によって、
変化してくることとなります。
不労所得の作成・蓄積に成功し、会社からのセミリタイアを果たす場合、当然のことながら、厚生年金の加入期間が、一般の人々と比較すると短くなる分、いざ、年金の受け取り開始時期になっても、厚生年金部分の実際の受取額が(定年退職まで勤めあげた人たちと比較して)、低くなってしまう可能性があります。
早期退職に伴い、退職金が減額される
日本の退職金制度は、新卒から入社し、その後、定年退職まで、同じ会社に勤めあげた人物に対して、満額の退職金を支給するように、設計されています。
そもそも、「退職金」という仕組みそのものが、社員の自己都合による早期退職を防ぐことを目的として作られている、との言説もあるほどです。
このため、不労所得を作ることによって、現在の勤務先からのセミリタイアを果たす場合、その会社への勤続年数の長短によって、実際の受け取り退職金が、大きく減額されてしまう場合があります。
早期退職により、会社員としての「本当の」稼ぎ時を逸失する
近年、成果至上主義が標榜されつつありますが、多くの日本企業では、依然として、年功序列の給与体系が採用されています。
全く同じ量の仕事をこなしたとしても、入社から間もない若い社員より、入社から数十年が経過したベテラン社員の方が、役職手当などもあり、高額な給料を受け取っていることが一般的です。
会社員としての最大の稼ぎ時は、定年退職を目前に控えた、50代後半から60歳前後と言われており、不労所得の蓄積によって、会社からの早期退職を果たす場合、会社員生活における最大の稼ぎ時と言われる時期を、みすみす逸失しまうこととなる、という不利益は、あらかじめ、十分な留意を要するものです。
定職を失うことによる、社会的信用の喪失
最近では、FIREや、「セミリタイヤ」「早期退職」などといった生き方も、インターネットサイトなどを中心に、広く知られるようになりましたが、実際にそのようなライフスタイルを実践している人は、まだまだ少数派である、というのが実情です。
こうした日本社会において、不労所得の蓄積によってセミリタイアを果たした人に対する、外部からの風当たりは、決して、柔らかなものではありません。
特に、その人の対外的な信用能力に対する影響としては、セミリタイアは、ネガティブな影響を及ぼすことが一般的です。
どれだけ不労所得があろうとも、会社員という後ろ盾がない以上、セミリタイア後に、住宅ローン審査や、クレジットカードの作成審査を通過させようとしても、その審査は、かなり手厳しいものとなることが一般的です。
セミリタイア後の再就職、は難しい
複数の投資の実践によって、不労所得づくりに成功し、勤務先からのセミリタイアを果たしたとしても、その後、様々な経済変動や、社会情勢の変化に応じて、セミリタイア当時においては十分と思われた不労所得が、老後の生活を支えきるには不十分となるケースが、多々あります。
この場合、多くの人は、不労所得のみで老後生活を支えることを諦め、何らかの再就職を行うことを検討することとなりますが、実際問題として、セミリタイア後に一定の年数が経過してから、再就職を試みたとしても、その実現は、なかなか厳しい、と言うのが実情です。
多くの人は、セミリタイアを果たす前と同程度の年収で、何らかの再就職を目指すこととなりますが、そのような再就職を果たすことができる人は、大勢の希望者のうち、ほんの一握りである、という現状には、あらかじめ、よく留意しておく必要があります。
参考:
不労所得作りにおすすめの投資方法とは|「不労所得=投資」の理由も考察
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fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や、不動産クラウドファンディング、ロボアドバイザー、インデックス投資業界等の最新情報を提供する、投資・金融情報総合メディア。その他、昨今、主に若年投資家の間で大きな関心を集めつつあるFIRE(Financial Independence, Retire Early)に関する最新情報を専門的に扱う、FIRE(早期リタイア)専門の検証チーム等があります。
不労所得検証チームでは、様々なアルタナティブ投資も含めて、不労所得獲得のために用いられる投資関連スキーム全体について、掘り下げた検証を行います。
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