不労所得は「怪しい」のだろうか|”不労所得”という言葉が世間から怪しまれる理由を徹底検証

不労所得作りが「怪しい」と言われる理由

不労所得が怪しい理由①「投資」との結びつきが多い

世間で知られている、不労所得の作り方の大半は、実質的には、何らかの「投資」であることが一般的です。
「不労所得」という以上、自分自身はできるだけ働かずに(=不労)、しかしながら、何らかの利益(所得)を得たい、と考えているわけですから、(自分が働かない以上は、少なくとも、)お金に働いてもらう、という発想が必要となります。
この、「お金に働いてもらう」という行為は、すなわち、何らかの投資商品に対する「投資」を行うことへと直結します。

そして、「資本を投下する」行為、すなわち投資を行う以上、何らかの額の「元本」を、初期に投資する必要があります。
また、元本の投資を行う以上、投資がうまくいかなければ、その元本の一部、ないしは全部を失う恐れ、すなわち、「元本割れ」のリスクを、投資家として、許容していく必要があります。

世間でよく知られた不労所得の作り方のそれぞれに関して、元本割れが生じるシチュエーションとしては、主に、下記のようなケースが想定されます。

不動産投資での元本割れ

アパート経営やマンション投資などといった、いわゆる現物不動産投資の場合、

  • 物件を取得し(既存物件の買取り、ないしは、物件の新築)、
  • その後、物件に入居してくれた入居者からの賃料によって、
  • 初期投資額を回収して行くこととなります。

仮に、予定通りに入居者を確保することができなかった場合や、想定通りの賃料収入を得ることができなかった場合、投資元本を開始することができず、結果的に、元本割れが生じるケースがあります。
また、不動産市況の悪化等により、取得価額よりも廉価に物件を手放さなくてはならなくなった場合も、売却損の発生により、元本割れが生じるケースがあります。

ソーシャルレンディング投資での元本割れ

ソーシャルレンディングの場合、ソーシャルレンディング事業者は、投資家から集めた資金を、外部の資金需要者に対して融資し、その後、借り手企業から、利息、および元金の回収を行います。
そして、ソーシャルレンディング事業者は、借り手から回収した利息、および元金を元手に、投資家に対する利益分配や元本償還を行うため、

  • 仮に、ソーシャルレンディング事業者の保有する貸付債権が、貸倒(デフォルト)となった場合、
  • ソーシャルレンディング事業者としては、投資家に対する元本償還の原資を、十分に確保することができません。

この場合、投資家の出資元本については、大幅な元本割れを避けることができません。

高配当株投資における元本割れ

高配当株投資の場合、投資家は、取得した株式からの配当金を、不労所得として収受することを期待しています。
しかしながら、取得した株式の株価そのものが下落してしまえば、どれだけ配当金を得ようとも、トータルでの投資損益は、マイナス、すなわち、元本割れとなってしまうケースがあります。

基本的に、配当性向の強い企業(株式)は、値上がり益が生じづらい、いわゆる「成熟産業」に属しているケースが多いため、株価の上昇余地よりも下落余地のほうが大きく、結果として、元本割れとなってしまうリスクも、決して小さくはありません。

このように、不労所得の場合、

  • 最終的には、何らかの投資の話を結びつくことが多く、
  • かつ、投資が失敗した場合には、(不労所得を得るどころか、)元本割れに伴う損失を免れない、というリスクがあるため、

「不労所得作り=なんだか怪しい、危ない」という印象が付きまとうこととなります。


参考:
不労所得の種類とは|タイプ別不労所得のメリット&デメリットも徹底比較

不労所得が怪しい理由②「再現性」の低い手法も多く見受けられる

不労所得が怪しい理由②「再現性」の低い手法も多く見受けられる
成功者の実例通りにやっているのに、なぜか全くうまくいかない-そんな「再現性の低い」手法が多く取り沙汰されているのも、不労所得が「怪しい」と言われてしまう理由のひとつです。
※画像はイメージです。

世間で、「不労所得の作り方」として喧伝されている手法は、数多く存在します。
しかしながら、それぞれの手法に関して、冷静に吟味してみると、投資の「再現性」(=新たな投資家が、成功した既存投資家と全く同じようにトレードをしたとして、同じ利益を得ることができる可能性・確率)が、さほど高くない手法も少なくないのが実情です。

FX投資や仮想通貨投資

基本的には、過去~直近のチャートを見ながら投資を行う、「テクニカル投資」が主流だが、将来の値動きが、過去の値動きと同様となる保証はどこにもなく、過去の成功者と同じようなトレードを行ったとしても、同様の投資収益を得られる保証はありません。

YouTubeでの動画配信など

過去、YouTubeに対して動画を投稿するユーザーが少なかった頃は、一般の投稿者でも、ある程度のチャンネル登録者数、並びに視聴回数を稼ぐことができましたが、目下、

  • プロのスポーツ選手や、
  • 世界的に知名度の高いアーティストなどが

直接、YouTubeチャンネルを開設している現状においては、特段の著名人とは言えない一般投稿者が、チャンネル開設者として成功できる可能性は、決して高くないと言われています。

このように、実際に取り組んだとしても、先行者と同様の不労所得を得られる確率が高くない、すなわち、再現性の低い手法が、あたかも現実的な不労所得獲得手法であるかのようにして、ブログやSNSを通じて喧伝されていることが多い、というのも、不労所得が怪しいと目されてしまう理由のひとつである、とされています。


参考:
「初心者でも簡単に不労所得」は大嘘?不労所得に纏わる様々な嘘を大検証

不労所得が怪しい理由③「不正業者」が跋扈している業界・領域も

「不労所得を得ることが出来る」というと、それらしく聞こえますが、要は「我々の言う通りに投資をすれば、楽に稼ぐことが出来ますよ」と勧誘しているのと、ほぼ同義です。
そして、そのような勧誘の仕方をする業界の信頼性は、さほど高くないのが実情です。

実際、不動産投資業界やソーシャルレンディング業界では、事業者の不正行為によって、仲介業者などが行政処分を受けるケースも多発しています。
過去に行政処分を受けてきたような、悪質な事業者の詐欺的な行為に遭ってしまえば、

  • 目論見通りに不労所得を得るどころか、
  • 拠出した資金全額、ないしは、それすら上回るような被害を被るリスクも、

決して小さくありません。

参考までに、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)業界では、直近数年の間だけで、下記のような事業者が、行政処分を受けています。

事業者名 処分の時期 処分の内容
SBIソーシャルレンディング 令和3年6月 業務停止命令、業務改善命令
ラッキーバンク 平成31年3月 登録取消し、業務改善命令
エーアイトラスト 平成31年3月 登録取消し、業務改善命令
日本クラウド証券 平成29年6月 業務改善命令
みんなのクレジット 平成29年3月 業務停止命令、業務改善命令

不労所得が怪しい理由④不労所得作りに夢中になり、「信用・信頼」を失ってきた人も多い

不労所得を得るという目的に夢中になるあまり、周りの知人・友人を巻き込み、結果として、自分自身の信用を失ってしまう人も、決して少なくありません。

ポイ活の「友達紹介プログラム」

紹介した知人が得たポイントの一部が、紹介者にも還元される仕組み。
ポイントサイトに対して紹介した人数が多くなればなるほど、紹介者に対するポイント付与率も高くなるケースが多いため、紹介ポイントを稼ぐために、家族や友人を巻き込んでしまう人が少なくない。

マルチ商法・ねずみ講

自分自身の家族や友人を、自分の傘下に連ねるようにして紹介すれば、その人数等に応じて、胴元からの報酬を、不労所得として得ることができるシステム。
詐欺的なサービス内容を提供・展開しているケースも少なくなく、仮に、マルチ商法に家族や友人を巻き込んでしまえば、それまでに培ってきた大切な信頼関係を、大きく毀損してしまうリスクがある。

また、上記以外にも、ポイ活サイトなどで頻繁に広告展開されている、クレジットカードの新規作成案件についても、注意が必要と言われています。
一般的に、クレジットカードの新規作成案件は、ユーザーに多量のポイントが付与されやすい、いわゆる「高額案件」として人気ですが、本来必要のないクレジットカードまで(ポイント報酬に釣られるようにして)作成してしまえば、自分自身の与信に対して悪影響を与え、結果的に、自身の金融面での信用能力を落とすことに繋がりかねません。

このように、不労所得作りに必死になるあまり、周りの知人・友人から信用や、自分自身がこれまで対外的に培ってきた、いわゆる経済的な「信用能力」すら、犠牲にしてしまうケースも少なくない、という事情も、不労所得作りが「怪しい」と目されることが少なくない理由のひとつとされています。


参考:
専業主婦でもできる、不労所得の作り方とは|専業主婦が不労所得作りに取り組む場合の注意点も

「不労所得=怪しい」とは限らない

上記したように、不労所得、及び、その一般的な作り方・手法には、様々な要因・見地から、「怪しい」という見方も少なくないのが実情です。
しかし、きちんと長期的な展望を持ち、計画的に取り組めば、不労所得作りは、必ずしも、怪しいだけのものではありません。
実際に、不労所得作りへの取り組みには、下記のように、数々の立証されたメリットも存在します。

給与所得以外の収入を得ることで、精神的に安定出来る

「不労所得=怪しい」とは限らない
会社からの給与所得とは別の、第二・第三の収入の柱を確保することで、精神的な落ち着きを得ることができる-そんな効能もまた、不労所得作りのメリットのひとつです。
※画像はイメージです。

  • 不動産投資からの賃料収入にせよ、
  • 高配当株投資からの配当金収入にせよ、
  • ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングからの分配金にせよ、

会社からの給料とは別の収入源(不労所得)を得ることで、「精神的に安定感を得ること出来る」と感じる人は少なくありません。

仮に、勤務先の会社で、人間関係に悩むようなことがあったり、仕事に対してやりがいを感じられないような事態があったとしても、もしも、給与所得以外の不労所得が一切なければ、会社から退職してしまえば、全ての収入が途絶えてしまうこととなります。
このため、不労所得の無い人の場合、自分自身では、何ら、やりがいを感じられなくても、ただただ、経済的な理由のためだけに会社に勤務しつづける、いわゆる「社畜状態」を継続しなければならない、というのが、一般的です。

一方で、様々な不労所得の作り方を学び、毎月一定額の不労所得をコンスタントに得る仕組みさえ作り上げることができれば、会社に対する経済的な隷属程度は薄れ、「退職しようと思えば、いつでも早期退職出来る」という、経済的な態勢を整えることが可能となります。

昨今、若い会社員の間で注目されているFIRE(Financial Independence, Retire Early)の実現のためにも、就労を伴わない不労所得の作成は、重要な課題とされています。


参考:
サラリーマンにおすすめの不労所得の作り方とは|サラリーマンの不労所得作りにおけるリスクも検証

不労所得作りへの取り組みによって、節税メリットを得ることが出来るケースもある

アパート経営やマンション投資などといった、固定資産(建物部分)取得を伴う投資の場合、

  • 建物部分の減価償却により、キャッシュ・アウトを伴わない、会計上の「赤字」を作り、
  • その赤字で、給与所得等と損益通算することにより、

所得税や住民税に関して、節税効果を期待することが可能とされています。

また、現物不動産投資や、任意組合型の不動産クラウドファンディング投資等の場合、投資している資産は、相続財産評価において、(金銭債権ではなく)不動産として評価されるため、評価減により、相続税の圧縮効果も期待できる、とされています。

こうした節税の仕組みをうまく活用していけば、

  • 不労所得と言う、第二の収入の流れを作れるだけでなく、
  • 節税によって、税金というコスト(支出)を減らしていくという、

二重のメリットを得ることができる場合もあります。

政府の投資支援制度の後押しを得ながら取り組める、不労所得作りもある

目下、日本政府は、「つみたてNISA」を含む、いわゆる「NISA制度」(少額投資非課税制度)や、iDeCo (個人型確定拠出年金制度)など、複数の投資支援制度を提供しており、それぞれの活用メリットは、決して小さくありません。

例えば、つみたてNISAの場合、最長で20年間もの長期にわたって、つみたてNISA口座内で保有している投資信託の値上がり益等に関して、非課税で運用することができます。

また、iDeCoの場合、毎月の拠出金の全額が所得控除となることで、所得税や住民税といった税金を節約する効果も期待されているほか、最終的な資金の受け取り時においても、退職金等控除や、公的年金等控除といった仕組みを利用することが可能とされています。

不労所得の作り方として人気の高い、インデックス投資や、高配当株投資の場合、これらのNISA口座や、iDeCo口座を利用することも可能とされているため、投資家においては、極めて有利な投資支援制度が整備されているといえます。

ゼロ、ないしは、極めて小さな元本からスタートできる不労所得作りの方法も

元本の投資が必要であり、かつ、その元本を失うリスクが一定程度存在することが、不労所得作りが「怪しい」と言われてしまう理由の1つである事は、前述した通りです。
しかしながら、昨今人気を呼んでいる不労所得の作り方の中には、極めて小さな投資元本から不労所得作りをスタートできるものや、そもそもの投資元本が一切必要ない、という、実質ノーリスクの不労所得の作り方もあります。

少額から不労所得作りをスタートできる、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディング

専門業者の組成・募集するファンドに対して、匿名組合出資を行うことが一般的(※ただし、不動産クラウドファンディングについては、一部、任意組合型のケースもあります)。
匿名組合出資そのものは、1万円~10万円程度の少額から行うことができるため、まとまった投資資金元本がなくとも、不労所得づくりの第一歩を踏み出すことができる、というメリットがあります。

100円程度から不労所得作りにチャレンジできる、インデックス投資

数百から数千もの銘柄に対して資金を分散投資する「投資信託」を買い付けることによって、インデックス指数(市場の平均値)に連動した投資成果の獲得を目指すことができるのが、インデックス投資の魅力。
楽天証券やSBI証券、マネックス証券等といったネット系の証券会社を利用すれば、各投資信託に関して、100円から数百円程度の少額から、買い付けや、自動積み立て投資の設定を行うことが可能です。

初期投資ゼロから不労所得作りを始められる、ポイ活

日頃、現金で行っていた買い物を、ポイント還元率の高いクレジットカードに切り替えるだけで、「ポイント付与」の形で、実質的な割引を受けることができるのが、ポイ活の大きなメリットです。

また、「モッピー」や「ハピタス」等、大手のショッピングサイトと提携しているポイントサイトを利用すれば、

  • ポイントサイトからのポイントと、
  • ショッピングサイトからのポイント、
  • そして、クレジットカード会社から付与されるポイントなど、

ポイントの二重取りや三重取りも、容易に行うことができます。

貯めたポイントは、Amazonギフト券などに簡単に交換できるため、一種の不労所得として利用することができるほか、そもそものポイントサイト利用にあたっては、基本的に、初期投資額等は必要ない、という利点もあります。

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不労所得検証チーム
fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や、不動産クラウドファンディング、ロボアドバイザー、インデックス投資業界等の最新情報を提供する、投資・金融情報総合メディア。その他、昨今、主に若年投資家の間で大きな関心を集めつつあるFIRE(Financial Independence, Retire Early)に関する最新情報を専門的に扱う、FIRE(早期リタイア)専門の検証チーム等があります。

不労所得検証チームでは、様々なアルタナティブ投資も含めて、不労所得獲得のために用いられる投資関連スキーム全体について、掘り下げた検証を行います。

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