FIRE達成までの「最短ルート」の作り方|最短でFIREを目指す人特有の注意点も検証

FIRE達成の「最短ルート」とは

4種類のFIREの中から、自分が最短で達成できそうなFIREを選ぶ

最短でFIREを達成するにあたっては、まずは、全部で4種類あると言われるFIREの中から、自分自身が最もスピーディーに達成できそうなFIREスタイルを見極め、選択する必要があります。

ファットFIRE ファット(Fat)は、文字通り、太った、裕福な、と言う意味。
FIRE達成後も生活水準を落とすことなく、潤沢な資金をもとに、悠々自適のセカンドライフを楽しもう、と言うFIREスタイルになります。
一見、実現のハードルは高いのですが、目下、オーナー社長として事業を営んでいる人であれば、事業売却によって一気に達成できる可能性もあります。
リーンFIRE リーン(Lean)は、引き締まった、無駄のない、と言う意味。
FIRE達成後の生活に必要な資質を、極限にまで切り詰めることによって、ファットFIREのように潤沢な資金を用意できない人でも、最短でFIREに踏み切って行こう、と言うライフスタイルを指します。
バリスタFIRE FIRE達成後も、パートタイムジョブや副業、自分の特技を生かした個人事業などには、引き続き従事して、月額にして数万円程度の収入を得ながら、資産運用からの収益だけでは賄い切れない毎月の支出をカバーしていこう、と言うFIREスタイルです(※)。
コーストFIRE 無理のない資産運用を継続していけば、フルリタイアに必要な資金を確保できる、という、投資の「元本部分」の蓄積を完了した状態を指します。


(※)欧米では、「パートタイム・ジョブでありながら、社会保障を付与してもらえる勤め先」として、スターバックスが有名だったことから、「バリスタFIRE」という言葉が生まれたと言われています。

最短でのFIRE達成を目指すにあたっては、上記した4つはFIREスタイルの中から、自分が1番早く達成できそうなのはどのスタイルなのかを選び、その後、戦略を具体的に練っていく、と言うプロセスが必要です。

日ごろからミニマリストとして生活している人であれば、ファットFIREではなく、リーンFIREを目指した方が最短ルートと言えるでしょうし、FIRE達成後も何らかの仕事を通して社会とは関わり続けたい、と考えている人は、ファットFIREやリーンFIREといった、いわゆる「フルFIRE」を目指すより、バリスタFIREのような「サイドFIRE」とも呼ばれる手法を検討した方が、理にかなっているといえます。


参考:
FIREは、実は全部で4種類?|ファットFIRE、リーンFIRE、バリスタFIRE、コーストFIRE|それぞれの特色・注意点を徹底解説

ファイナンシャルプランナーの力も借りて、最短でシミュレーションを実施する

ファイナンシャルプランナーの力も借りて、最短でFIREに向けたシミュレーションを実施する
FIREへの最短ルートを確立するには、ファイナンシャルプランナーや会計士など、お金の専門家からの助言を仰ぐことも有効です。
※画像はイメージです。

FIREの達成に向けては、主に下記のような事項に関するシミュレーションが欠かせません。

  • FIRE達成後の生活には、毎月いくら程度の資金が必要となるのか。
  • 自分は、何歳ごろから、いくら程度の年金を受け取ることができるのか。
  • 年金だけを収入源とした場合、毎月の収支は赤字となるのか。赤字となる場合、赤字額はどの程度か。
  • 毎月の生活費の収支に生じる赤字を補っていくためには、どの程度の投資収益が必要なのか。
  • 上記の投資収益を無理のない利回りで確保していくためには、どの程度の投資元本が必要なのか。
  • 上記の資金元本を蓄積するためには、毎月いくら程度の貯金をして、どの程度の年月が必要なのか。

上記のような事項を、金銭に関する素人がいつまでも、「ああでもない、こうでもない」と考えていても、時間がかかるばかりです。

多少のコンサルティング・フィーが必要だとしても、ファイナンシャル・プランナーや税理士、公認会計士など、いわゆる”お金のプロ”に相談して、最短で、かつ、出来るだけ精度の高いシミュレーションを行うことが望まれましょう。


参考:
FIRE(早期退職)実現のためには、結局、いくら必要なのか|毎月の貯金額も検討

FIRE必要額に最短で達するべく、転職も躊躇せずに行う

早期のFIRE達成に向けては、まずは自分の現在の勤務先で、最大限の給与所得を得ることが大前提となります。
ただし、会社の規模などによって、十分な給与所得を得ることが難しいと判断したら、転職についても躊躇なく検討・実行していく必要があります。

最短ルートでのFIRE達成を目的とした転職活動においては、「やりがい」等、ソフト面はさておいて、経済的なメリット・デメリットを最優先に判断すべきです。
やりがいに基づいて仕事に取り組むのは、FIRE達成後の楽しみにとっておき、まずは「ライフワーク」(Life Work)ではなく、FIREを最短で達成するための「ライスワーク」(Rice Work。経済的な理由のために取り組むための仕事の総称)に集中する、というスタンスが重要となります。

副業に取り組む場合は、最短の労働時間で最大のリターンを得られるように

FIRE達成を最短で引き寄せるためには、本業だけでなく、スキマ時間を活用した副業への取り組みも重要となります。

なお、副業を選ぶ際は、必要な時間コストに対して、経済的なリターンが最も大きい物を選ぶことが必要です(ここでも、「やりがい」等のソフトな側面は、敢えて一旦は度外視すべきでしょう)。
昨今では、クラウドワークスランサーズなどといったクラウドソーシング・サービスを活用して、本業で培ったスキル・ノウハウを生かして副業に取り組む人も数多くいます。

※ただし、副業への取り組みにあたっては、本業での勤務先の副業規定等に違反してしまうようなことがないよう、十分な注意を払う必要があります。

移住などドラスティックな手法も含めて、最短でFIRE目標額に到達するための節約生活を徹底する

移住などドラスティックな手法も含めて、最短でFIRE目標額に到達するための節約生活を徹底する
最短距離でのFIRE実現のためには、住宅コストを下がることも重要なポイント。家族での移住なども、検討に上がってくるかも知れません。
※画像はイメージです。

最短でFIREを実現するためには、本業での昇給や転職、更には副業への取り組み等によって「収入」を最大化するのみならず、「支出」についても、できるだけ早期に、極限まで切り詰めていく必要があります。
実際問題として、一般的な「楽しみながらの節約」程度では、「痛みを伴いつつも支出を最大限切り詰める」等という芸当は、なかなか難しい、というのが実情です、

FIREを最短期間で手繰り寄せるには、いささかドラスティックと言われるような節約、倹約手法についても、積極的に取り入れていく必要がありましょう。

ことに、住居費(居住費)に関しては、支出のうち、大きな割合を占めることが多く、ここをうまく節約することができれば、FIRE達成までの期間を、大幅に短縮することができます。
住宅コストの安い地方への移住や、実家への仮住まい(うまくいけば、住居コストをゼロにすること可能です)、場合によっては、節税メリットも含めて、日本よりも物価の低廉な国への海外移住も、積極的に検討すべきでしょう。


参考:
FIREのための海外移住は「あり」なのか|海外移住のメリット&デメリットから検証

投資においては、コア・サテライト運用を意識

最短でのFIRE達成を目指す以上、稼ぎ、そして貯めた資金を、積極的に投資運用に回していくプロセスは、決定的に重要となります。

無論、投資の利回りは重要な要素となりますが、資金の大半は、リスクを考慮して、インデックス投資等、ある程度ボラティリティをコントロール出来る(※)運用手法に配分する、というのが一般的です。

ただしそれだけではリターンが限定的なものとなりますので、上記のようなインデックス投資を「コア」として、その周辺に、「サテライト」(=衛星)のようにして、ハイリスク・ハイリターンな投資案件を少額ずつ配置していく、という、いわゆる「コア・サテライト運用」を実施している投資家も多くいます。

サテライト部分の資産運用においては、ソーシャルレンディング不動産クラウドファンディングを活用したり、FX投資や仮想通貨投資など、レバレッジを効かせることが出来る投資にもチャレンジを検討する投資家が多いようです。


(※)インデックス投資においてボラティリティ(リスク)を調整するためには、互いの相関係数が出来るだけ小さい、複数の資産クラスを、ポートフォリオの中に混在させる、という手法が取られます。
ただし、昨今、経済のグローバル化等に伴い、資産クラス間の相関関係が強まりつつあり、従来通りの分散投資を行ったとしても、かつてのようには、リスク低減効果を得づらくなってきている、との指摘もあります。

最短ルートでFIREを目指す場合のリスク・注意点

あまりにも早期退職すると、年金減額・退職金減額等のデメリットが大きい

最短でFIREを達成する場合、人によっては、40歳代前後でFIREを達成してしまおうとする人も多くいるでしょう。
しかしその場合、会社の厚生年金への加入期間が短くなりすぎ、結果として、老後に受け取ることとなる年金額も、一般的な年金額と比較すると、大幅に減額されてしまう可能性があります。

早期退職をすると、その後、年金の受け取りが開始するまでの空白期間も長くなることが一般的であり、その間は、「年金の受け取り開始まで、頑張ろう、我慢しよう」というスタンスをとることが多くあります。
そういた人々にとって、いざ、年金を受け取り始める段になってからの、年金の受取額の減少は、大きなデメリットとなりえます。

また、早期退職に伴う、退職金の減額に関しても、注意が必要です。
日本の企業の退職金制度の大半は、新卒から入社し、その後定年まで目一杯勤め上げた人に対して、その労に報いるために、最大限の退職金を支給するように制度設計されています。
このため、FIREに伴って早期退職をすると、就労期間の長短に応じて、退職金が減額されてしまうこととなります。


参考:
FIREのリスクとは|早期退職がもたらす思わぬリスクを徹底検証

過度の節約生活は、家族間の不和を誘発しやすい

FIRE達成が早ければ早いほど、その後のFIRE生活(=節約生活)も長くなります。

FIRE達成前の節約生活に関しては、最短でのFIRE達成と言う、家族ぐるみでの大きな目標があればこそ、家族一丸となって乗り越えることもできましょう。
しかしながら、FIRE達成を果たした「後」も、その後の余生数十年間にもわたって、極度の節約生活が続く、となると、家族の間での不和が生じやすくなる、というリスクがあります。

特に、前述の4つのFIREスタイルのうち、「リーンFIRE」は、その節約ぶりの激しさから、家族間での事前の同意形成が、極めて重要なプロセスとなります。

投資において利回りを優先し過ぎると、リスクが高くなりすぎる危険性がある

最短でのFIREを目指すにあたって、最も危惧されるのが、このリスクです。

投資の世界において、基本的に、リスクとリターンは比例する、と言われています。
ハイリスク・ローリターンな投資商品が存在しない代わりに、ローリスク・ハイリターンの投資商品などと言う甘い話も、実在はしない、ということです。

仮に、一時的にはローリスク・ハイリターンの投資商品が出現したとしても、そのような優れた投資商品には、投資家の買い注文が殺到し、すぐに現在価格が高騰。値上がりの想定幅も小さくなるため、結局は、ローリスク・ローリターンな投資商品へと収れんしていく、という仕組みです。

最短でのFIRE達成を優先するあまり、ハイリスク・ハイリターンの投資商品に対して手を出してしまえば、少なくとも一時的には、
相場の急落などによって、投資資産の評価額が、累計投資元本を大幅に下回ってしまうようなリスクも想定されます。
またその後、市場が回復してくれれば良いですが、市況の回復まで時間がかかった場合は、元本割れの状態が、場合によっては数年以上もの長期にわたって、継続してしまう可能性もあります。

また、投資に対して高すぎる利回りを求めると、リスクに関する説明も不十分な、一種の投資詐欺のようなものに引っかかってしまう危険性も、いや増してくることとなります。

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FIRE(早期リタイア)検証チーム
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