低所得の人がFIREを目指すメリットとは|独自の注意点、及び具体的なFIRE方法も

低所得の人がFIREを目指すメリット

FIREは、必ずしも、「高所得者=達成しやすい」「低所得者=達成しにくい」とは言えない

高所得者の場合、そもそも生活水準が高く、月々の生活コストが大きいことが一般的。
自分で気づかぬ間に、燃費の悪い生活設計に慣れてしまっていることも多く、「年収1,000万円以上を稼いでいるのに、貯金はゼロ」という人も、少なくありません。

その点、低所得での生活にある程度慣れている人の場合、貯金を行うことの大切さや、生活水準を無理にあげないことの重要さを理解している人が多いのも事実です。

こうした特質は、FIREを目指す過程、そして実際のFIRE後の生活において、非常に大切となるポイントですから、FIRE達成に向けては、むしろ、高所得の生活に慣れてしまっている人よりも、低所得の生活をこなしていく術を心得ている人の方が、有利となるようなシチュエーションも少なくありません。


参考:
FIREによるアーリーリタイアは、本当におすすめなのか|FIREをおすすめする人、おすすめしない人

節約ノウハウに長けている場合もある

FIREを目指す生活、そしてFIRE達成後のセカンドライフにおいては、「節約」が大きなテーマとなります。
これは、FIRE達成前の生活が高所得であった人でも、逆に低所得な状況であった人でも、変わりません。

FIREを目指す過程、及びFIRE後の生活では、ミニマリスト的な生活が要求されることが多いため、高所得をバックにした、裕福な生活に慣れ切った人には、対応が難しいこともままあります。
現在低所得の人の中には、節約ノウハウもそもそも一定程度身に付けている人が多く、この点においては、むしろ、高所得で、燃費の悪い生活水準に慣れてしまった人よりも、低所得の人の方が、有利とすら言えます。

所得税率などが低く、補助金制度なども受給しやすく、退職直後年の住民税も安い

低所得の人の場合、所得税率などが低く、補助金制度なども受給しやすく、退職直後年の住民税も安いため、FIREに取り組みやすい
昨今、高所得者向けには逆風も強く、行政の管理する生活支援金等も、所得制限の対象となるケースがあります。この点、目下低所得である、という人の場合、特段の問題なく、諸々の生活支援金を満額受給しやすい、という利点もあります。
※画像はイメージです。

低所得の人の場合、高所得の人と比較すると、所得税率等のコストが安く、例えば昨今のコロナ禍における生活支援施策においても、支給される補助金の多くを、問題なく支給できるケースが多い、という特徴があります。

昨今、高所得者向けの子供手当て支給廃止など、所得の大きい人に対しては、主に所得税法などを中心に、厳しい逆風が吹いています。

こうした中、低所得の人に対しては、そのような規制はあまり見受けられず、補助金受け取りの可否等の判断においては、基本的に、低所得の人の方が、高所得者よりも、有利に判断されることが多いのが実情です。

また、FIREによる早期退職を達成した人が悩むケースが多いのが、早期退職を果たした翌年における、住民税の高さです。

住民税は、基本的に、年間の所得に応じて、翌年の住民税が計算される仕組みとなっていますので、早期退職によって高所得を失うと、その翌年の住民税は、前年の後所得に応じて計算されるため、一気にキャッシュフローが厳しくなると言うリスクがあります。

この点、低所得の人の場合は、そもそも住民税が低額であるか、場合によっては住民税自体が免除となっているケースもありますので、大きな心配は要らないと言う利点があります。


参考:
子育てとFIREの関係|子持ち家族の子供連れFIREのメリット&デメリットとは

低所得の状態でFIREを試みる場合の注意点

所得のうち、貯蓄に回せる資金量が少ない

低所得の人の場合、そもそもの所得があまり多くないので、受け取っている所得のうち、貯蓄に回せる資金の絶対量が少ない、と言うデメリットがあります。

FIREを達成するにあたっては、できるだけ支出を切り詰めるとともに、収入を最大化し、FIRE達成後のセカンドライフを支えていくための貯蓄元本を、しっかりと作り上げていく必要があります。

低所得の人がFIREを目指す場合は、副業への取り組みなどを通じて、できるだけ所得を底上げして、年間の貯蓄量を可能な限り最大化していく必要があります。

投資に回すことの出来る資金量も少なく、投資におけるリスク許容度が低い

FIREを目指していく場合、その過程において、どうしても、投資の話題に触れないわけにはいきません。

月々の収入を増やして、節約・倹約に励んで貯蓄を行うだけでは、なかなか、FIRE達成に必要な資金元本は貯まらないため、「お金にも働いてもらう」と言う発想で、資金の一部を資産運用に回していくことが不可欠になります。

また、FIRE達成後の生活において、主な収入源となるのは、投資ポートフォリオからの配当金や分配金などといった、いわゆる不労所得です。

こうした不労所得を確保・蓄積していくためにも、どうしても、資産運用のプロセスが、FIREに不可欠のものとなります。

しかしながら、目下低所得の人の場合、そもそも資産運用に回せる資金量が少ないため、あまり多くのリスクをとっていくことができづらい、と言う難点があります。

投資においてリスクをあまり背負えない以上、リターンを期待した積極的なポートフォリオ運用することは困難であり、FIRE達成後のセカンドライフにおいて、月々の生活費の一部を、資産運用からの配当金等によって賄っていくこともまた、難しくなります。

また、目下低所得であると言う人が、無理に高い期待利回りをポートフォリオに追求してしまうと、思わぬハイリスク・ハイリターンの投資商品にも手を出してしまうこととなり、相場の急落などによって、少なくとも一時的には、大幅な資産減を経験するようなトラブルにも、見舞われやすくなります。

低所得の人の場合、一時的な相場下落が資産全体に及ぶ影響が、高所得者と比較すると相対的に大きい、という点にも、十分な注意が必要です。


参考:
FIRE達成までの「最短ルート」の作り方|最短でFIREを目指す人特有の注意点も検証

FIREに関するシミュレーション等に、外部専門家の力を借りることが難しい

低所得の場合、FIREに関するシミュレーション等に、外部専門家の力を借りることが難しい
FIRE達成に向けては、ファイナンシャルプランナー等のコンサルティングを受けることも有効です。しかしながら、コンサルタントによっては、やや高額のフィーが生じるケースもあるため、現在低所得である人の場合、その報酬料の支払いが難儀となる恐れもあります。
※画像はイメージです。

FIREに取り組むにあたっては、下記するような様々なポイントに関して、事前に、かなり綿密なシミュレーションを行うことが必要となります。

  • 自分は何歳ごろから、いくら程度の年金を受け取る予定なのか
  • 月々の生活費は、受給する年金額を考えた際、毎月どの程度の赤字となりそうなのか
  • その赤字をカバーするためには、毎月、どの程度の投資収益を得る必要があるのか。投資収益の期待利回りを、無理のない範囲にとどめる場合、必要な投資元本はいくらか
  • 必要な投資元本を蓄積するためには、毎月いくら程度の資金を貯蓄に回し、どの程度の年月をかける必要があるのか

上記のような点を綿密にシミュレーションするためには、どうしても、ファイナンシャルプランナーや税理士、公認会計士等といった、いわゆる「お金のプロ」の力を借りる必要があります。

しかしながら、こうしたお金のプロフェッショナルの場合、その助力を得るためには、どうしても、それなりのフィー(報酬料)を支払う必要があります。

目下低所得の人の場合、こうしたプロフェッショナルに対する報酬料を支払うことが困難であるケースも多いため、行政の支援を活用するなどして、代替策を検討する必要があります。


参考:
盛り上がるFIREムーブメントの裏に隠された「嘘」とは

低所得の人がFIREを目指す具体的な方法

所得状況に見合った、FIREの「種類」をよく意識する

現在低所得である人が、FIREを目指していく場合、まずは、FIREは必ずしも1種類ではなく、特にFIREムーブメントの発祥の地であるアメリカでは、いくつもの種類のFIREが提唱されていると言う事実を、あらかじめ、よく把握したうえで、自身の所得状況に適した、現実的なFIREスタイルを見極めておく必要があります。

ファットFIRE

FIRE達成後も生活水準を落とさずに、潤沢な資金を背景に、自由気ままに、悠々自適のセカンドライフを楽しもう、というFIREファイアスタイル。
達成するためには、当然、多額の資金が必要となるため、実際にこのFIREを達成できるのは、一部の富裕層に限定される、と言われています。

リーンFIRE

「リーン」と言うのは、引き締まった、無駄のない、と言う意味の英語です。
FIRE達成後の生活費を極限にまで切り詰めることによって、さほどの資産家でなくとも、最低限の資産の蓄積をもってして、FIREに踏み切ろうと言うライフスタイルを指します。
FIRE達成前の節約・倹約はもちろんのこと、FIRE達成後のセカンドライフによっても、かなりの倹約生活を強いられることとはなりますが、もともとミニマリスト的な生活を好むような人にとっては、さほど苦にならない、と言うこともあり得ます。

バリスタFIRE

FIRE達成後も、パートタイムジョブなどに就いて、月々の生活費を補填していこう、と言うFIREスタイルを指します。
FIRE達成後も、投資収益だけで生活を賄う必要はなく、毎月数万円程度といえども、定期収入を期待することができますので、さほどの資金元本を蓄積することなく、FIREに踏み切りやすい、と言うメリットがあります。

コーストFIRE

無理のない期待利回りで資産運用を継続していけば、フルリタイアに必要な資金量が順調に形成されていくであろうと言う、いわゆる投資「元本」部分の貯蓄が終わった段階の人のことを示すFIREスタイルです。
仮に、予定通りに資産運用が順調に推移しなかった場合、フルリタイアに必要な資金量の確保が難しくなる恐れがある、と言うリスクがあります。

目下低所得だという人が、FIREを目指す場合は、上記したような4種類のFIREの中から、自分の現在の所得状況等によって、適切な、そして現実的なFIREスタイルを選択していく必要があります。

そもそも節約生活が好きで、倹約生活もあまり苦にはならない、と言う人の場合は、リーンFIREを目指していくのも良いでしょう。
また、FIRE達成後も、社会とはむしろ積極的に関わっていきたい、と考えている人は、バリスタFIREのような手法を検討するのも良いでしょう。

FIREに向けて、無理な背伸びはしないように

低所得の状況にある人がをFIREを目指す場合、無理な背伸びは禁物です。

書店等に並んでいるFIRE本などを見ると、上記した4つのFIREのうち、ファットFIREのような、いわゆる悠々自適のセカンドライフを強調するような記述もよく見受けられますが、あくまでも理想は理想、現実は現実として割り切って、堅実なFIREスタイルを目指していく必要があります。

FIREスタイルの選択において無理な背伸びをして、結果的に無理な高利回りを謳う投資商品への手を出し、FIRE達成のために地道に貯めてきた貯金元本を失うようなことがあっては、本末転倒となりますので、注意が必要です。

ポイ活などの「コツコツ系」も忘れずに

低所得の人がFIRE目指していく場合、地道な、こつこつとした努力こそが、欠かせません。
現在は、クラウドワークスやランサーズなどといったクラウドソーシングを活用して、本業が終わった後に気軽に取り組むことのできる副業も増えていますし、モッピーやハピタスなどといったポイントサイトを利用したポイ活も、簡単にスタートできるお小遣い稼ぎとして人気です。
まずはこうした簡単なところから取り組み始めることも、FIREを目指す第一歩としては有効です。

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FIRE(早期リタイア)検証チーム
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