「高配当株投資でFIRE」は可能なのか|夢の配当金生活を目指すメリット&デメリットを徹底検証

高配当株投資がFIREに向いている理由

高配当株からの配当は、一種の不労所得となり、FIRE後の生活のキャッシュフローを支えてくれる

高配当株からの配当は、一種の不労所得となり、FIRE後の生活のキャッシュフローを支えてくれる
FIREによる早期退職後は、給与所得に代わる、「投資からのキャッシュフロー」で、生活に必要な支出を賄うこととなります。その点、「配当金」というキャッシュに期待できる高配当株投資は、投資家にとって、大きなメリットがある、と言えます。
※画像はイメージです。

高配当株に投資する場合、その投資の主な目的は、保有する株式銘柄から定期的に送金されてくる、「配当金」となります。

各上場企業は、当該年度において、どの程度の配当を行うことができそうか、決算発表等のタイミングにおいて、投資家向けに予測値を公表しており、こうしたデータに基づけば、投資家自身が受け取ることとなる配当金についても、ある程度事前に、予測・シミュレーションすることが可能です。

FIREを目指すにあたっては、特に、会社からの早期退職を果たした後の生活において、どの程度の支出が必要となるのか、を事前に計算しますが、高配当株投資に取り組む場合、

  • どのような企業に投資し、
  • どの程度の配当金を、定期的に受け取れば、

その配当金収入(キャッシュ・フロー)で、生活支出をカバーすることができるのか、に関しても、ある程度、事前に正確なシミュレーションを行うことが容易である、という、大きなメリットがあります。

なお、日本の株式市場に上場している企業の場合、配当は、原則として、1年の間に1度、ないしは2度、行われます。
また、米国株の場合は、1年の間に4回、配当金の支払いが行われます。
複数の高配当株式に対して、資産を適切に分散投資すれば、配当金の受け取りペースも調整することができ、1ヵ月当たりの受け取り配当金額に関しても、投資家自身で、ある程度主体的にコントロールしていくことが可能となります。

また、利益の創出、そして、実際の配当と言う作業そのものは、

  • 投資家が行うのではなく、
  • あくまでも、株式の発行体である「企業」が行いますので、

少なくとも、同じ株式に対して投資をしている限りにおいては、ベテラン投資家であっても、高配当株投資の初心者であっても、受け取ることとなる配当金(リターン)は変わらない、という特質も、高配当株投資ならでは、と言えます。
「配当金の受け取り」という、いわば「リターンの再現性」が、ある程度高い、という点もまた、FIREを目指して高配当株投資に取り組む場合の、利点の1つといえます。


参考:
FIREを目指すポートフォリオ運用とは|米国株、債券、現金等、FIRE後のおすすめポートフォリオについても検証

高配当株の株価が一時的に下落したとしても、「買い足しのチャンス」と考えることが出来る(ただし、FIREによる早期退職前に限る)

FIRE達成を目的に、高配当株式銘柄(=配当性向の高い銘柄)を中心に取得を進めたとしても、相場の下落時等においては、取得してきた株式の、株価下落も、十分に考えられます。

株価の下落は、株式投資にチャレンジしている投資家全般にとって、決して好ましいことではありませんが、少なくとも、

  • FIREに伴う早期退職「前」で、
  • 「給与所得」と言う、定期的な収入がある時期であれば、

株価の一時的なな下落は、「割安で、必要な株式を取得するための、チャンス」と割り切ることができます。

また、投資家が希望するのであれば、高配当株式から受け取った配当金を、そのまま、再投資(株式の追加買い付け)の原資に充てることも可能です。
※ただし、その場合、課税後の配当金を再投資することとなるため、(無分配型の投資信託利用等と直接比較すると、)複利効果が薄い、という点に、注意が必要です。

高配当株は、基本的に、売られにくい

高配当株の場合は、不況期においても、キャピタル・ゲインを重視した無配当株と比較して、

  • 直近に予定されている配当や、
  • 今後の増配に対する期待から、

「株式が売られにくい」とする考え方もあります。

当然、株式が売られなければ、需給のバランスによって、株価が下落してしまうリスクも低くなりますので、FIREを目指す投資家の資産形成においては、この点は、高配当株投資のプラス材料のひとつ、と見ることもできます。

手間暇がかからず、本業や、FIRE後のセカンドライフの邪魔になりにくい

FIREのために高配当株投資に取り組む場合、実際に必要な作業は、

  • 株式銘柄の選択と、
  • 実際の株式の買い付け

だけです。

一旦、目当ての株式銘柄を取得してしまえば、その後は、株式の保有を続け、配当金を受け取るだけで済みますから、投資家においては、(その他、FIREを目指す投資家に人気の高い、不動産投資等と比較し、)ある程度「手間いらず」な投資手法のひとつといえます。

FIREによる早期退職前の、会社員としての生活時代や、FIRE後のセカンドライフにおいて、「投資」という作業が、本業や、その人の生活を圧迫することがない、というのは、高配当株投資と言う、ある程度省力(≒手抜き)の効く投資スタイルの、ひとつのメリットといえます。

FIRE前後のリスク許容度の変化に応じて、保有株式のリバランスが行いやすい

株式投資等に取り組む場合、投資家は、自分自身の「リスク許容度」を、できるだけ客観的、かつ正確に把握することが必要です。
そして、FIREのために早期退職を行う「前」と、実際に早期退職を済ませた「後」では、その投資家のリスク許容度は、大きく異なります。

  • 基本的に、FIRE達成前で、会社からの定期的な給与収入がある間は、その投資家のリスク許容度は、ある程度高いものとみなすことができる一方で、
  • FIREに伴う早期退職で、会社からの収入を失った後の時期に関しては、その投資家のリスク許容度は、大きく減退することとなります。

そして、高配当株投資に取り組む場合、投資家は、自身のポートフォリオにおける、高配当株の占める割合を任意で調整することで、投資家自身のリスク許容度の変化にも、柔軟に対応できる、という利点があります。

具体的には、

  • リスク許容度の高いうちは、無配当の高成長株式を中心に、
  • そして、リスク許容度が低下したら、高配当の低成長株式を中心に

据えたポートフォリオ運用することによって、キャピタル・ゲインを主目的に置いた資産運用から、インカム・ゲイン作りを主目的に据えたポートフォリオえと、シフトしていくことが可能であるため、です。


参考:
FIREによるアーリーリタイアは、本当におすすめなのか|FIREをおすすめする人、おすすめしない人

高配当株の場合、いわゆる「出口戦略」について思案を巡らす必要が無い

高配当株の場合、いわゆる「出口戦略」について思案を巡らす必要が無い
FIREを目指す投資家にとって、投資としての「出口」は、頭を悩ませるポイントです。その点、高配当株投資の場合は、(その他のインデックス投資と比較し、)出口戦略についてシンプルに考えることが出来ます。
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例えば、投資家が、FIREを目的に、インデックス投資などに取り組む場合、

  • いつ頃、
  • どの程度の価格で、

保有しているリスク資産を売却(現金化)するのか、という、いわゆる「出口戦略」について、深く思い悩むこととなります。

また、それまではインデックス・ファンドに投資していた資金を、エグジット後は、どのような資産(例:現預金なのか、不動産なのか、債券なのか、等)として保有し続けるのが良いのか、という点もまた、FIRE達成者の「出口戦略」の、重要なポイントとなります。

この点、高配当株投資の場合は、そもそも、保有しているリスク資産の値上がり(キャピタル・ゲイン)に対して期待している投資手法ではありませんから、前述のインデックス投資などの場合と比較すると、投資の”出口”に関して、悩む必要が大きくありません。

「高配当株式」という資産クラス自体が、(「債券」等と並んで、)それまでキャピタル・ゲインを蓄積してきた投資家にとり、ひとつの出口である、と考えることができますので、投資家としては、

  • 特に必要のない限りは、資産の現金化(=高配当株の売却)などは行わず、
  • 淡々と、配当性向の強い株式の保有を続け、
  • FIRE後の生活資金とするために、配当金の受け取りを続ければ良いだけ、

と割り切ることが出来ます。

株式の特質として、リスク資産としての流動性が高い

高配当株式投資の場合、保有している株式銘柄は、市場の立ち会い時間中であれば、原則としていつでも、他の投資家とのあいだで、売買を行うことが可能です。

仮に、FIREを目指して高配当株投資に取り組んでいる投資家において、何か急な、かつ、大きな資金ニーズが生じた場合は、手持ちの株式を売却し、即座に現金化することができる、という、いわば「流動性上のメリット」があります。

一方で、FIREを目指す投資家に人気の高い、不動産投資等の実物資産投資の場合、保有している資産(不動産等)を現金化したい場合は、

  • 新たな買い手探しや
  • 現れた買い手候補との間での、値段の交渉
  • 売買取引の手続きや、最終的な登記の手続き

などなど、様々なプロセスを踏む必要があり、現金化までに時間がかかる、というデメリットがあります。

”株式”と言う金融資産ならではの流動性の高さは、高配当株投資を用いてFIREに必要な資産づくりに取り組む投資家にとって、ひとつの大きなメリットといえます。

高配当株投資でFIREを目指す場合の注意点

高配当株は、キャピタル・ゲインを獲得しづらい

配当性向の強い、いわゆる高配当株は、

  • 「成長産業」と言うよりは、
  • 高成長が望みづらい、「成熟産業」に属していることが、

一般的です。

このため、配当収入と言う、一種のインカム・ゲイン(不労所得、とも換言できます)目的の投資には適していますが、キャピタル・ゲイン、すなわち、(資産の)「値上がり益」の獲得は、難しい、と言う難点があります。

FIRE後の生活に必要な、キャッシュ・フローを補充したい、目的には適しているのですが、FIRE達成前で、「お金にも働いてもらう」という観点から、資産をリスク市場に置いている期間中は、高配当株は、適切な投資先とは言いづらい、という点に、十分な注意が必要です。
※仮に、投資家が、資産形成過程にあり、キャピタル・ゲインの最大化を目指しているのであれば、高配当株ではなく、無配当の高成長株式を中心に、ポートフォリオを組むことが妥当とされています。

また、高配当株からの配当金収入を、そのまま、新たな株式の買い付け資金に充てる、いわゆる”再投資”を検討する投資家も多くいますが、そもそも、配当金には課税(所得税、及び住民税)がされてしまうので、課税分だけ、複利効果も低減する、という点に、留意を要します。


参考:
FIREムーブメントへと寄せられている批判を分析|批判に負けず、より良いFIREを果たすためのコツは

高配当株取得のために、株式の買い付け手数料がかかる

高配当株は、基本的に、(「投資信託」を購入する、インデックス投資等とは異なり、)個別の「株式銘柄」を取得します。
そして、投資家においては、新たな株式の買い付けのたびに、証券会社に対して、買い付け手数料の負担が生じることとなります。

この点、無分配型の投資信託を利用して、キャピタル・ゲインの獲得を目指す場合、ノーロード型の投資信託を利用でき、この買い付け手数料コスト等の削減を図ることが可能です。

FIREを目指す投資家の間で人気の高い、インデックス投資等と違って、高配当株を中心に据えた個別株式銘柄投資の場合は、この、「株式の買い付け手数料」というコストが、都度生じてしまう、と言う点に、注意が必要です。

株価が大幅に下落すれば、元本割れのリスクがある

配当金収入を得ることを目的に、株式を取得した場合、

  • その後、コンスタントに、目論見通りの配当金を得ることができたとしても、
  • 株式の保有期間中に、取得した株式銘柄の株価が、大幅に下落してしまえば、

トータルでの損益が、マイナスとなる恐れ(=元本割れとなるリスク)があります。

前述した通り、配当性向の強い、高配当株投資の場合は、不況時においても、その他の株式と比較すれば、(配当の権利確定日の関係等もあり)売られにくい、という特質があると言われていますが、昨今のリーマンショックや、コロナショックのような、大規模な経済変動が生じてしまった場合は、どれだけ配当性向の強い株式であろうとも、株価の急落を免れる事は、難しいのが実情です。

また、こうした相場の急落時に、狼狽売りしてしまえば、損失が確定し、FIREに向けた資産作りの過程において、大きなダメージを受けることともなりかねません。

高配当株の銘柄選びが難しい

高配当株投資の場合、インデックス投資などと違い、投資対象とする個別の株式銘柄を、投資家自身で選択する必要があります。

  • しっかりと配当を出し、
  • かつ、株価が大幅に下落しない銘柄を

選びぬいていくため、各企業の決算内容や業績見込み、といったファンダメンタルズについても、吟味が必要となり、こうした「銘柄選び」の作業は、特に初心者投資家にとっては、至極困難なものとなります。

高配当株銘柄選びにおいては、各銘柄の「配当利回り」を見るのが有効、とも言われていますが、配当利回りは、1株当たりの年間配当金額を、株価で除したものに過ぎず、単に株価が安ければ、見かけ上の配当利回りは高くなります。
「配当利回りが高くて、素晴らしい高配当株だ」と思って取得しても、実は、単に株価が下落している株式に過ぎない、ということも、往々にして起こりえます。

冒頭に述べた通り、一旦、株式の取得さえ済ませてしまえば、後は、一種の不労所得のようにして、配当金を積み上げていくことができる、というメリットのある、高配当株投資ではありますが、実際の株式銘柄選びという、投資スタートの時点の作業に関しては、それなりの手間暇がかかる、という点について、留意が必要です。

高配当株投資だけでは、インフレに弱い

高配当株式投資の場合、都度現金で、各企業から、配当金というキャッシュを受け取ることとなります。
このため、物価に対して連動傾向のある資産(不動産や、物価連動債等)に対して、資金を積極的に再投資していかないと、インフレに対して耐性の低いポートフォリオになってしまう、という留意点があります。

特に、FIREに伴う早期退職を済ませた投資家の場合、給与所得と言う、物価に連動しやすい所得が途絶えてしまうこととなりますので、そもそも、インフレに対する耐性が、著しく低下しています。

FIRE達成後のポートフォリオにおいて、高配当株式の占める割合があまりにも高すぎると、その後の物価変動についていけず、相対的な購買力が低減してしまう恐れがあるため、注意が必要です。

高配当株投資は、基本的に税コストが高い

企業は、会計上、法人税や消費税を支払った後の、いわゆる「税引き後の利益」からでないと、配当金が出すことが出来ません。
また、各企業から配当金を受け取る個人投資家は、受取配当金に対して、所得税等を課せられることとなります。
この点において、配当所得については、一種の「二重課税」を免れない、というデメリットがあります。

また、高配当株投資においては、

  • 配当金に対する課税と、
  • 値上がり益に対する課税、の、

双方に対する配慮が必要となる、という難点もあります。

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