FIREムーブメントへと寄せられている批判を分析|批判に負けず、より良いFIREを果たすためのコツは
FIRE(経済的自立&アーリーリタイア)達成済の個人投資家Y.K氏。
2018年初旬から、分配金収入の獲得を目的に、ソーシャルレンディング投資への取り組みを開始。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性・首都圏在住。
愛用中のソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディング事業者は下記。
- COZUCHI(旧:WARASHIBE)(公式)
※当サイト経由で投資家登録完了(ただし、先着1,000名限定)で、Amazonギフト券2,000円分プレゼント
東京都内・首都圏の不動産に対して、1口最低1万円から分散投資可能。運営会社による共同・劣後出資により、投資家の優先出資元本を保護する「優先劣後スキーム」採用済。 - クラウドバンク(公式)
累計応募総額は、1,623億円強(2021年12月時点)。融資元本回収率100パーセント(=貸し倒れなし)。実績平均利回り6.80パーセント。 - バンカーズ(公式)
※2022年1月末まで、投資家登録&メルマガ登録で、楽天ポイント1,000ポイント、もしくはAmazonギフト券1,000円分プレゼントキャンペーン開催中
2020年12月に初号ファンドを公開。経営陣には、三菱UFJ銀行(現)の代表取締役専務を務めた長田氏や、元・楽天インベストメント株式会社代表取締役の澁谷氏など、金融・投資業界大手のトップマネジメント経験者が並ぶ。 - クラウドクレジット(公式)
ヨーロッパ諸国やアメリカなど、様々な国外向け案件(ファンド)へと投資できる。伊藤忠商事や第一生命などが出資。 - Funds(ファンズ)(公式)
日本国内の上場企業へと融資するファンドに、最低1円から投資可。これまでの融資先には、メルカリ(東証マザーズ)やアイフル(東証一部)、タカラレーベン(東証一部)など、有名・有力企業が多数。 - CRE Funding(公式)
マスターリース稼働率98.6パーセント、物流施設・商業施設管理面積約470万平方メートルの実績を有するCREグループ(東証一部上場)の物流施設ファンドへと、1口1万円から投資可。 - FUNDINNO(ファンディーノ)(公式)
日本初の株式投資型クラウドファンディング。未上場ベンチャー企業に対し小口オンライン投資が出来る。 - SAMURAI(公式)
証券会社が直接運営。国内保証事業大手「株式会社日本保証」の連帯保証付きファンドなど提供。 - OwnersBook(公式)
東証マザーズ上場企業(監査法人は、国内4大監査法人のひとつ、トーマツ)の100パーセント子会社が運営。全てのソーシャルレンディング案件が、国内不動産担保付き。
FIREムーブメントへと寄せられている批判とは
【FIRE批判1】拠り所とされているインデックス投資は「必ず儲かる」わけではない
一般的なサラリーマン投資家がFIREを目指していく場合、お金を稼ぎ、そして貯めるだけでは、FIRE達成に必要な資金元本を蓄積する事は容易ではありません。
また、FIRE達成後の収入としては、資産運用によって生み出される分配金や、配当金といった資金が、どうしても必要となります。
すなわち、FIREに取り組み、達成するためには、何らかの投資に、同時に取り組んでいく必要があります。
そして、昨今書店等で出回っているFIRE本の多くが、安定的に運用益を期待できる合理的な投資手法として、インデックス投資を推奨しています。
確かに、インデックス投資は、個別の株式投資と比べれば、分散投資によって、各個別銘柄の非システマティック・リスクが排除されている他、数本のインデックス・ファンドを利用したり、バランス型ファンドを利用すれば、複数の資産クラスにまたがったポートフォリオを構築し、ボラティリティ(リスク)をある程度コントロールできる、という利点があります。
しかしながら、多くの投資家から人気を集めている、そんなインデックス投資と言えども、必ず儲かるわけではありません。
短期的には暴落の恐れもあるし、不況が長期化すれば、十年以上もの歳月に渡って、資産評価額が累計出資元本を割り込む、いわゆる「元本割れ」が継続する恐れもあります。
本格的な人口減少社会の到来前に、インデックス指数が暴落すれば、その後、従前通りに回復するかどうかも、分かりません。
特に、FIREに伴う早期退職後に、暴落が発生すると、投資家としては、安値で多量の投資信託を手放さくてはならなくなる、デメリットがあります。
こうしたリスクについて、FIRE本などでは、あまり触れられていることが少ない、と言うのも、FIREが批判を浴びることの多い要因の1つとされています。
参考:
FIREのリスクとは|早期退職がもたらす思わぬリスクを徹底検証
【FIRE批判2】年間生活費25倍貯蓄も、税引き後4パーセント運用も、絵に描いた餅
同じく、FIRE関連の書籍で取り上げられていることが多いのが、
- 年間の生活費の25倍程度に相当する資金を蓄積して、
- その資金を、年率4パーセント(ただし、税引き後)の利回りで運用していけば、
資産を減らすことなく、セカンドライフを満喫できる、と言う考え方です。
まず、実際問題として、年間生活費の25倍にも相当する資金を、一般的なサラリーマンが、生活費を別途拠出しながら貯める事は、原理的に不可能に近い、との批判が根強くあります。
また、「税引き後で、年率4パーセント程度の利回りをコンスタントにあげて行けば良い」との主張に関しても、
- 税引き「後」で4パーセントという事は、税引き前では、6パーセントから7パーセント程度の利回りを上げる必要があり、現実的に不可能である(※実際の税率は、申告分離課税が利用できるのか、どうか、等によって変化します)
- そもそも、税引き後年率4パーセントの運用で、生活費全般が賄える、という考え方においては、インフレーションが考慮されていない懸念もある
等といった批判がなされています。
高い利回りを必要とする投資家(FIRE希望者)に対して、FX投資や仮想通貨投資など、決して再現性の高くない投資手法が推奨されているケースもあるほか、投資家が更に高い利回りを求めれば、投資詐欺などの被害に遭う可能性も出てくる、として、懸念が表されているのも実情です。
参考:
FIRE(早期退職)実現のためには、結局、いくら必要なのか|毎月の貯金額も検討
【FIRE批判3】日本企業の風習や、社会保障制度・退職金制度とマッチしていない
そもそも、FIREに伴う早期退職自体、日本企業の慣習や、日本独自の社会保障制度等とミスマッチしている、との批判も、多く寄せられています。
日本の年金制度は、
- 国民年金と、
- 会社員が加入する厚生年金の、
「2階建て」で構成されており、このうち、厚生年金の受取金額を決定するのは、厚生年金に加入し続けた期間の長さと、その期間中に支払ってきた保険料の大小です。
厚生年金に関しては、企業が半額を負担してくれるわけですから、一般論として、厚生年金の加入期間が短くなるのは、その人にとっては、デメリットでしかありません。
加入期間が短くなる分、将来の受取年金が小さくなるのは明らかだからです。
将来的に、年金の受給開始時期(年齢)が更に引き上げられれば、FIREのための必要資金は、更に膨らむこととなります。
また、日本企業の場合、退職金に関しても、自己都合退職の場合は原則として満額支給が為される、退職金が減額される、というデメリットがあります。
余程の大手企業でない限り、割増退職金が伴う雇用調整が行われることも無いため、アメリカのように、
「早期に退職したとしても、場合によっては早期退職に応じて、退職金が通常よりも多くもらえる」
などというケースは、日本ではあまり想定しづらいのが実際です。
また、日本企業の場合、基本的に年功序列意識が強く、年齢が高まるほど、給与も高まりやすい(=加齢に伴い、役職手当等も追加される)傾向があります。
反面、そもそも転職を繰り返すことが前提とされている米国企業の場合は、必ずしもそうではありません(転職によって給与水準が下がることも往々にしてありますので、受け取り給与は、必ずしも年齢と正比例しません)。
このように、日米の間の様々なギャップを無視して、「一律、早期退職を推奨する」というFIREムーブメントのあり方そのものについて、思慮が浅いのではないか、という批判が寄せられることが多々あります。
参考:
日本のFIREの問題点|日本版FIREが「無理」「無謀」と言われる理由とは
【FIRE批判4】早期退職をしても、その後、やることがない、という日本人が大半
日本人は、よくも悪くも、奉公体質である、と言われることがままあります。
若くして会社員生活からリタイヤしてしまうと、結局その後、やりたいことも、やるべきことも見つけられず、悶々としたまま、つまらないセカンドライフを過ごしてしまう、というリスクは、決して他人事ではありません。
そもそも、日本の場合、幼少期の学校教育時代から、
- 毎朝、概ね、皆と同じ時間に起きて、
- 数十人のクラスメイトと、同じ時間に、同じ学科を勉強して、
- その後、同じ時間に下校する、
というライフスタイルが、染み込まされています。
FIREという、極めて独自性が高く、「自己責任」と言う言葉が強く強調されるライフスタイルは、そもそも日本人に向いていないのではないか、との批判も、よく寄せられるところです。
批判を糧に、より良いFIREを目指すための方策
FIREには複数の種類をあることを知る
日本ではあまり知られていませんが、実際には、FIREには、以下、4種類があると言われています。
- ファットFIRE:
潤沢な資金を背景に、FIRE達成後も生活水準を落とすことなく、自由気ままに、悠々自適なセカンドライフを楽しもう、と言うFIREスタイル。
実際にファットFIREを実現できるのは、一握りの資産家に限られますが、なぜか、日本人がFIREを語るときには、このファットFIREが前提とされることが多く、「そんなの無理だ」「無謀だ」などといった批判が寄せられる要因ともなっています。 - リーンFIRE:
「リーン」(Lean)と言うのは、引き締まった、無駄のない、ということを意味する英語です。
先程のファットFIREとは異なり、FIRE達成後の生活は、いわゆるミニマリストのように、極めて質素なものとなります。
毎月の支出を出来るだけ切り詰めることによって、FIRE達成後の生活費を抑え、その分、できるだけ早くFIREを達成して、働く必要のないセカンドライフに踏みだそう、と言うライフスタイルを指します。
日本ではあまりイメージが湧きづらいですが、FIRE発祥地の地と言われるアメリカでは、山奥にロッジを立てて住み込み、隠遁生活を送っているような人や、キャンピングカーに家族で暮らし、住居費などを一切かからない日々を満喫しているFIRE達成者など、様々なライフスタイルで、リーンFIREが楽しまれていることがわかります。 - バリスタFIRE:
FIRE達成後も、就労を完全に否定するのではなく、簡単なパートタイムジョブや、副業、これまで培ってきたスキルやノウハウを生かした個人事業などに継続的に取り組み、FIRE達成後の生活費の一部を補填していこう、と言う考え方です。
これまでに述べたファットFIREやリーンFIREと異なり、FIRE達成後も一定の収入を期待することができますので、それほど大きな資金を蓄積することなく、一般的なサラリーマン家庭でも、しっかりとシミュレーションさえすれば、現実的に取り組んでいきやすいFIREであると言われています。 - コーストFIRE:
無理のない資産運用を継続していけば、フルリタイアに必要な資金を、十分に資産運用で確保していくことができる、というだけの投資「元本」を、まずは貯蓄できた状態のことを、「コーストFIRE」と表現します。
例えば、フルリタイアのために1億円が必要だ、という人が、フルリタイアを希望する年齢の15年ほど前までに、その半額程度(5,000万円)を貯めることができれば、年率5パーセントで複利運用すれば、資金は十分に、(15年後までには)フルリタイアに必要な資金額に達することとなります。
日本でFIREはとかく批判を受けやすいのは、その具体的な手順や考え方があまり明らかにされておらず、
「会社を辞めて、(ただし、贅沢や止めずに)悠々自適なセカンドライフを楽しむ」
という、いわゆるファットFIREタイプの理想像ばかりが喧伝されてしまっている点に、大きな要因があります。
しかし、FIREムーブメント発祥の地であるアメリカでは、上記のように、様々なFIREスタイルの中から、人それぞれの経済的な環境や、家族構成等を踏まえて、最も合理的、かつ現実的なFIREスタイルを選ぶところから、FIREのステップは始まっていきます。
日本においてFIREを目指す場合も、この点に限っては、事情は全く同じです。
非現実的な、夢のようなセカンドライフだけを想い描くのではなく、実際に実現可能なFIREスタイルを、家族でしっかりと話し合い、着実な取り組みを進めていくことこそが肝心です。
参考:
FIREは、実は全部で4種類?|ファットFIRE、リーンFIRE、バリスタFIRE、コーストFIRE|それぞれの特色・注意点を徹底解説
FIREに取り組む前のシミュレーションに時間をかける
FIREの達成を優先しすぎると、様々な弊害が出ます。
まずは家族でもしっかり話し合い、ファイナンシャル・プランナーなどの「お金のプロ」の助言も、適宜活用していくべきでしょう。
また、その際には、専門家の手も借りつつ、「日本版」FIREの道をしっかり模索する、という考え方が必要です。
書店に並んでいる書籍の大半は、アメリカ人著者による書籍を直訳したものであり、日本の税制や社会保障制度などを十分に反映していない、という問題があるためです。
また、諸々の施策を検討する中で、「(最終的には)結局は、退職しない」という選択肢も、決して批判されるべきものではなく、立派な人生の選択肢であることを、あらかじめ意識しておく必要があります。
いつでも早期退職出来るだけの条件を整えたうえで、後は、実際に退職に踏み切るかどうかは、その人次第なのです。
実際問題として、そこまでの経済的な独立を確保すると、会社に対する考え方も変わってくるでしょう。
また、一朝一夕ではいかないFIREに取り組む過程で、いろいろと勉強し、会社の福利厚生の有難さや、「会社員であること」のメリットにも気づけるはずです。
年齢を重ねる中で、部下なども増えれば、やりがいも増しているだろうと想定されます。
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