不労所得なんか「やめとけ」は本当か-やめとけと言われても尚、不労所得作りに取り組んでおくべき理由とは

本記事のまとめ

「不労所得作りはやめとけ」という注意喚起には、いくつかの理由がある
  • 「不労所得作り」の手法の大半は投資であり、不労所得作りへの取り組みを通して、結果的に、投資した元本を失ってしまうリスクがある。
  • 投資手法によっては、初期投資した元本を上回る損失を被るリスクもある。
  • ブログやSNS等で喧伝されている「不労所得の作り方」の中には、必ずしも再現性が高くないものもある。
一方で、「どれほど”やめとけ”と言われようとも、若いうちから少しずつでも、不労所得作りに取り組んでおくべき」とする意見もある
  • 多少なりとも不労所得を得られるようになれば、会社への経済的な(ひいては、精神的な)依存度を下げることが出来る。
  • 不労所得作りへの取り組みが、却って、思わぬ節税効果を生むこともある。
  • 老後の「私的年金」として、不労所得を利活用できるケースもある。
初心者が、ひとまず手軽に不労所得作りを始めるにあたっては、クラウドファンディング投資がおすすめされることが多い
  • 現物不動産投資(アパート経営や、マンション投資等)と違い、1万円程度の少額からスタートできるので、万が一の失敗時も、損失を小規模にとどめることが出来る。
  • 実際の投資業務は、クラウドファンディング事業者側が行うため、投資家自身の手間暇をかける必要が無い(本業の忙しいサ会社員や主夫・主婦の場合でも、不労所得化しやすい)。
  • 預金や国債、社債投資などと比較すると利回りが高く、分配金をキャッシュ・フロー(不労所得)として収受しやすい。
不労所得作りを狙う投資家から特に人気の高いクラウドファンディング事業者は下記
  • COZUCHI(公式サイト)
    東京都内・首都圏の不動産に対して、1口最低1万円から、ネットで気軽に分散投資をすることが出来る。運営会社による共同出資で、投資家の出資元本を保護する「優先劣後スキーム」が採用されている。
  • クラウドバンク(公式サイト)
    累計応募総額は、1,648億円強(2022年1月時点)。実績平均利回り6.80パーセント。国内の投資型クラウドファンディング業界では最大手クラス。タレントのトリンドル玲奈さんを起用したテレビCMも。
  • Funds(ファンズ)(公式サイト)
    日本国内の上場企業へと融資するファンドに、最低1円から投資可。これまでの融資先には、メルカリ(東証マザーズ)やアイフル(東証一部)、タカラレーベン(東証一部)など、有名・有力企業が多数。

※クラウドファンディングを利用した不労所得作りについてより詳しくは、下記記事を参照下さい。

ソーシャルレンディングおすすめ9社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】

不労所得作りは「やめとけ」と言われる5つの理由とは

「不労所得作り」の大半は投資であり、元本を失うリスクがあるから、やめとけ

自分で働くことなく(=不労)、何らかの所得を得たい、と考える場合、「自分以外の何か」に、代わりに働いて(=社会に対して、バリューをもたらして)もらう必要があります。
すなわち、「(自分の代わりに)お金・資産に働いてもらう」という考え方が不可欠となり、結果的に、世間で取り沙汰されている「不労所得の作り方」の大半は、結局のところ、何かしらの「投資」です。

「不労所得作りの方法」として紹介されることの多い投資手法には、主に、下記のような物があります。

  • アパート投資(アパート経営):
    銀行等からアパート・ローンを借り入れて、土地を取得し、その上にアパートを建築。
    アパートの入居者からの賃料収入を、不労所得として収受していく、というモデルです。
  • 区分マンション投資:
    アパート(一棟)ではなく、分譲型の区分所有マンションの1居室を取得。
    アパート経営よりも初期投資額が小さく済む反面、賃料(期待できる不労所得)が「オール・オア・ナッシング」(=入居者が付かなければ、賃料収入が一切入らない)である、等と言った難点もあります。
  • 高配当株投資:
    配当性向の強い、いわゆる「高配当株」を中心にポートフォリオを組み、保有銘柄からの配当金を、不労所得として積み上げていくスタイル。
    基本的に個別株式投資となるため、株価そのもの値下がりリスクに対して留意が必要ですが、一方で、「高配当株の場合、権利確定日待ちや、増配期待などから、無配当のグロース株と比較して売られにく」等とする言説もあります。
  • ソーシャルレンディング投資:
    貸金業の登録と、金融商品取引業者(主に第二種)の登録を併せ持つ、ソーシャルレンディング事業者の募集ファンドに対し、匿名組合出資。
    その後、ソーシャルレンディング事業者からの分配金を、不労所得として収受するスタイルです。
  • 不動産クラウドファンディング投資:
    不動産特定共同事業法に基づく許可を取得した、不動産事業者(不動産特定共同事業者)の募集ファンドに対して出資。
    投資対象不動産から生じるインカム・ゲインやキャピタル・ゲインを元手にした分配金を受け取る投資手法です。
    東証一部上場企業も、複数、同業界に参入しています。
  • 債券投資:
    国や企業が発行体となる「債券」を取得し、発行体から支払われる金利部分を、不労所得として受け取るスタイル。
    発行体の信用リスクと、債券の利回りが、基本的には比例しやすい(発行体の信用リスクが大きければ、利回りが高い。一方で、発行体の信用リスクが小さいと、利回りも低い)、という特質があります。
  • インデックス投資:
    市場のインデックス(指数)に連動した投資成果の獲得を目指す、パッシブ・ファンド(投資信託)を買い付けることで、多数銘柄へと分散投資を行い、インデックスの値上がり・値下がりに連動したキャピタル・ゲインを得ることを目指す投資スタイル。
    ネット証券を利用すれば、数百円程度からスタートできる、という利点がある一方で、インカム・ゲイン(不労所得)狙いの投資とは今一つ相性が良くない、という難しさもあります。

どのような投資スタイルを利用するにせよ、「投資」である以上、一定の初期投資が必要となります。
そして、仮に、投資開始後の運用が不調となれば、投資した初期投資額の一部、ないしは、その全部を失う恐れがあります。

投資手法別に、元本割れリスクが生じるパターンを列記すると、下記のようになります。

投資手法 元本割れが生じるパターン
居住用不動産投資 入居者が想定通りに集まらず、賃料収入が得られなかった場合や、想定以上に修繕コストなどが嵩んでしまった場合等に、元本割れが生じ得る。
また、物件の最終的な売却価額が、取得価額を大幅に下回った場合にも、同様のリスクがある。
株式投資 取得した株式銘柄の株価が急落し、その後、株価が回復する前に売却してしまうと、損失が確定する。
高配当株投資の場合でも、(保有期間中、コンスタントに配当金を受け取っていたとしても)同じパターンで、元本割れが生じる恐れがある。
ソーシャルレンディング・不動産クラウドファンディング等 事業者によるファンド運営が失敗(ソーシャルレンディングの場合は、融資事業の失敗。不動産クラウドファンディングの場合は、不動産事業の失敗)に終わると、投資家の出資した資金が、元本割れする可能性がある。
また、匿名組合型の場合、ファンドの組成企業が経営破綻すると、投資家の出資した資金等も、事業者の破産財団へと組み入れられてしまうケースがある。

参考:
「毎月5万円」から始める、不労所得作りの実践術とは|月5万円を生む株・投資信託ポートフォリオについても徹底解説

不労所得を夢見て、結局元本以上の損失を被って終わる可能性があるから、やめとけ

不労所得作りを目的に、投資を試み、その結果として、初期投資額の一部、ないしは全部を失うリスクがある点は、上記した通りです。
しかしながら、取り組む投資の内容によっては、(仮に、投資が失敗に終わった場合、)初期投資額を上回る損失を被ってしまう危険も、無視できません。

不労所得作りを目的に投資に取り組み、結果として、元本を上回る損失を被る可能性があるスキームとしては、下記のような物があります。

アパート経営に取り組んだが、失敗、アパート・ローンを返済できない、というパターン

賃料収入という不労所得を目的に、アパート経営に取り組む場合、土地・建物の取得費用として、アパート・ローンを組むことが一般的です。
そして、仮に、アパート経営が失敗し、取得した土地・建物を売却することで、アパート・ローンを繰上返済しようとしても、

  • 物件売却時の、アパートの土地・建物の売却価額が、
  • アパート・ローンの残債額に満たなければ、

その差額部分は、投資家自身が用立てて、返済する必要があります。

なお、アパートローンの借り入れ可能金額は、下記の通り、金融機関によって様々ですが、特に多額の借り入れを行う場合、事前に入念な検討が必要です。

金融機関 アパートローンの借入金額 借入期間
三井住友信託銀行 3億円以内(100万円以上、10万円単位) 35年以内(1年以上、1カ月単位)
みずほ銀行 50万円以上5億円以内(1万円単位) 1年以上35年以内(1年単位)。ただし、建物の耐用年数内
千葉銀行 1億円以内(10万円単位) 1年以上 35年以内(1年単位、分割貸出期間・元金据置期間を含む)
りそな銀行 100万円以上3億円以内(1万円単位) 1年以上30年以内(1年単位)
名古屋銀行 300万円以上~1億円以内(10万円単位) 5年以上~35年以内(据置期間最長1年を含む)
仙台銀行 原則として3億円以内(10万円単位) 原則として最長30年以内かつ構造別法定耐用年数以内(新築の場合)

FXでレバレッジをきかせた証拠金取引にチャレンジし、失敗した結果、追証を求められた

日本国内のFX会社を通じて、FXの証拠金取引に取り組む場合、最大で元本の25倍まで、レバレッジを効かせたトレードを行うことが出来ます。
この場合、為替の急激な値動きによって、預け入れた証拠金を上回る損失が生じてしまう等した場合、FX会社から、追証(追加証拠金・追加保証金)の入金を求められることがあります。

個人名義で不労所得作りに取り組んだ結果、無限責任を負うことに

例えば、個人名義でアパート経営に取り組み、その後、アパートの構造に瑕疵があり、入居者に怪我などが生じてしまった、と仮定します。
この場合、怪我の原因が、物件オーナーの過失にある、と断定された場合、物件オーナーとして、入居者に対し、賠償金などを支払わなければならなくなるケースがあります。

有限責任が原則とされる、法人格とは異なり、個人格の場合、あくまでも無限責任が原則となるため、場合によっては、多額の賠償支払い義務を負うこととなるリスクがあります。

ネットやSNSで話題の「不労所得の作り方」の大半は、再現性が高くないから、やめとけ

昨今、インターネット・ブログや、Twitter(ツイッター)などのSNS、動画投稿サイト「Youtube」等では、数多くの「不労所得の作り方」関連情報がやり取りされています。
しかしながら、そうして公開されている投資手法の中には、あくまでも「タイミングが良かっただけ」の結果論であり、必ずしも、将来的な再現性が高くないものも、一定程度、含まれます。

例えば、最近、

  • 米国ナスダック市場の、「ナスダック100指数」に対して、
  • 2倍レバレッジで運用される、

「レバナス」と呼ばれる投資信託(及び、その投資信託を利用した投資手法)が、「最速で資産を形成する方法」等として喧伝されているケースが多く見受けられます。

確かに、当該ファンドの場合、直近10年間程度の成長度合いを見る限りにおいては、インデックス投資家の間で知名度・人気の高い、S&P500指数や、ダウ工業平均、等と言った指数に連動する投資信託と比較し、基準価額が大幅に値上がりしており、切り取る期間によっては、「初期投資をして、ほったらかしにしておくだけで、資産評価額が数十倍に成長」等というバックテスト結果も、実際に公開されています。

しかしながら、今後も同様の手法で多額のキャピタル・ゲインを得るためには、実質的な元指数にあたるナスダック100指数が、今後も、直近十数年間程度と同じように成長を続けてくれる必要があり、実際問題として、そのような成長継続が果たされるか、どうか、に関しては(当然のことながら)未知数です。

ネットやSNSで話題の「不労所得の作り方」の大半は、再現性が高くないから、やめとけ
上昇時、及び下落時の、レバレッジなしファンド、及び、2倍レバレッジファンドの値動きの比較

上のグラフは、元指数が連続的に上昇(毎日プラス2パーセント)した場合、及び、逆に連続的に下落(毎日マイナス2パーセント)した場合の、

  • レバレッジなしの投資信託と、
  • 元指数に対して2倍レバレッジで運用される投資信託の、

基準価額の値動き(ともに、スタートは2万円)を簡易的に表現したものです。

相場の上昇時には、レバレッジ無しの投資信託の基準価額が3万2千円強まで値上がりしている間に、レバレッジ倍ファンドの基準価額は、計算上、5万円を超えます。
しかしながら、逆に、元指数の下落局面においては、レバレッジのかかっていない投資信託の基準価額が、2万円から1万2千円程度まで値下がりしている間に、2倍レバレッジ・ファンドの基準価額は、元値の半値以下にあたる、7,500円前後まで下落しています。

このように、レバレッジのかかっている投資信託は、(元指数上昇時の値上がり幅も大きいが、)相場下落時に、基準価額が大きく減衰するリスクがあります。

仮に、「直近十数年間は、圧倒的な成長度合いを見せてきた」投資手法であったとして、それが今後とも再現されるか、どうか、については、何の保証もない、というケースも散見されますので、注意が必要です。


参考:
レバナス関連記事一覧

不労所得に執着するあまり、周りからの「信用」「信頼」を失う人もいるから、やめとけ

不労所得作りで失い得るのは、経済的な資産のみ、とは限りません。

例えば、元手を必要としない不労所得作りの手法として人気の高い「ポイ活」の場合、無料の案件に限定して取り組みを続けている限り、経済的な(=資金的な)損失を被る恐れが大きくありませんが、一方で、下記のようなリスクを指摘する声もあります。

「友達紹介プログラム」への熱中で、友人からの信頼を失うリスク

「モッピー」や「ハピタス」等と言ったポイ活サイトの大半が、「友達紹介プログラム」と呼ばれるサービスを提供しています。

  1. 自分の友人・知人に対して、ポイ活サイトのことを紹介し、
  2. その友人が、特定の紹介URL等を通じてポイ活サイトにユーザー登録をしたり、
  3. その後、友人が、実際に何らかの広告案件に取り組み、ポイント付与を受ける等すると、
  4. その人をポイ活サイトに紹介した本人もまた、何らかのポイント付与を受けることが出来る、というもので、

不労所得作りに取り組む専業主婦などの間でも、人気のプログラムとなっています。

しかしながら、自身の友人・知人に対して、あまりにも執拗に、ポイ活への取り組みを勧誘すれば、次第に、周囲の人間からの信頼を失ってしまうリスクがあります。

クレジットカード作成案件で、自身の信用能力を毀損してしまうリスク

ポイ活サイトに掲載されている案件の中には、無料で取り組むことのできる「クレジットカードの新規作成」案件があります。
こうした案件の多くは、一度で数千ポイント~数万ポイント分の不労所得が獲得できる、いわゆる「高額案件」として人気なのですが、あまりにも熱心に(不労所得作りのみを目的として)本来は必要が無いクレジットカードの新規作成を続けてしまうと、結果的に、その人自身の対外的な(金融面での)信用能力を、毀損してしまうような結果ともなりかねません。

不労所得に執着するあまり、周りからの「信用」「信頼」を失う人もいるから、やめとけ
大手ポイ活サイト「モッピー」にて掲載されているクレジットカード作成案件の例。付与されたポイントは、原則として1ポイント=1円にて、Amazonギフト券等へと交換することが出来ます。
※モッピー掲載情報をもとに当サイトにて作成


参考:
不労所得の種類とは|タイプ別不労所得のメリット&デメリットも徹底比較

不労所得という「キャッシュ・フロー」に固執すると、より大きな「キャピタル・ゲイン」を放棄することに繋がるから、やめとけ

投資の種類には、

  • インカム・ゲイン、すなわち、キャッシュ・フローを目的としたものと、
  • キャピタル・ゲインを目的としたものの、

2種類があります。

不労所得作りを目的に投資に取り組む場合、当然のことながら、前者(キャッシュ・フロー=所得)の投資手法がメインとなってくるのですが、一般論でいえば、「インカム・ゲイン目当ての投資は、キャピタル・ゲイン目的の投資と比較し、実質的な利幅が小さい」とされています。

例えば、不労所得作りの手法のひとつとして一定の人気のある、高配当株投資の場合、配当性向の強い株式を中心にポートフォリオを構築していくのですが、その際に主軸となる高配当銘柄は、

  • 基本的には(成長産業、というよりは)成熟産業に属しており、
  • 今後の高成長は、あまり期待できず、
  • 極論すれば、「キャピタル・ゲインを株主に提供できない分、インカム・ゲインによって投資家を繋ぎ止めようとしている」銘柄である、とも、換言出来なくもありません。

現に、成長志向の強い、いわゆる「グロース株」の場合、(事業が成功すれば)多額のキャピタル・ゲインを投資家に対してもたらし得ますが、企業内で生じた利益は(※そもそも、利益の生じない、赤字企業も多いのですが)、株主に対して配当するのではなく、自社内で、技術開発などの成長投資へと振り分けられることが一般的です。

「やめとけ」と言われても関係ない?不労所得作りに取り組むべき3つの理由

「給料以外」の収入源を持つことで、いつで会社をやめられる自由を手に出来る

一般的な会社員の場合、収入の大半を占めるのは、会社からの給与所得でしょう。

  • 「定期・定額」の支給が原則とされており、
  • かつ、労働法によって一定程度まで保護される傾向の強く、
  • 「給与所得控除」によって、税制面での手当までされている、

会社員としての給与所得は、その人の対外的な信用力(例えば、住宅ローン審査等)を図る際にも、重要視される指標のひとつです。

しかしながら、収入の源を、会社からの給与所得のみに頼り切っていると、時に、下記のような弊害が生じます。

会社をやめたくなっても、やめられない

会社での人間関係に悩みを抱えたり、会社での仕事内容にやりがいを感じられなくなったとしても、「これ」といった不労所得もなく、会社に経済的に依存していれば、「会社をやめたい」と考えたとしても、そう簡単には離職出来ません。

結果的に、自分自身に無理を強いて、会社での勤務を継続してしまう、という人が、世の会社員の大半を占めています。

中年期にリストラなどにあえば、その後の経済的な安定感が著しく失われる

仮に、勤務先の会社が経営不振に陥り、人員整理を始めた場合、会社から受け取っている給与額の多い、いわゆる「中堅層」の社員は、リストラの対象となりやすくなる傾向があります。

一定の年代に達して以降に、リストラの憂き目にあってしまえば、(会社は、一定の再就職支援などは行ってくれるでしょうが、)これまでと同条件で雇用してくれる再就職先を見つけることは難しく、失業手当給付期間が終わってしまえば、即座に「無収入」となってしまうリスクがあります。

その点、もしも、会社からの給与収入「以外」に、何らかの不労所得を確保できていれば、早期退職はむしろチャンス(早期退職に伴い、割増退職金が支払われるケースも少なくありません)と捉えられるかもしれませんし、何より、自分自身に無理強いしてまで、経済的な理由をもとに、会社にしがみつく必要が無くなります。

「やめたいと思えば、すぐに会社をやめられる」
そんな自由を手にするためにも、出来るだけ若いうちから、何らかの不労所得作りに取り組んでおくことが重要である、とする言説もあります。


参考:
不労所得の作り方には、何がある?タイプ別のおすすめの「不労所得の作り方」とは

不労所得作りへの取り組みの結果、無駄な税金支払いをやめられるようになることも

前述の通り、不労所得作りの目的は、インカム・ゲインを得て、日常生活におけるキャッシュ・フローにプラスの影響をもたらすことですが、取り組みの具体的な内容によっては、

  • 「不労所得」というキャッシュ・フローを得られるのみならず、
  • 副産物としての節税効果により、「税金コスト」という出費を減らせる、という、

ダブルの効果を得られるケースもあります。

例えば、不労所得作りの手法として以前からの人気の高い、アパート経営やマンション投資等の、「居住用不動産投資」の場合、実際の投資対象不動産の状況・種別等によっては、下記のような節税メリットを享受出来る場合があります。

  • 所得税・住民税の節税:
    「アパート」や「マンション」といった、建物部分の減価償却費を「経費」として活用することで、不動産事業を(会計上)赤字にし、その赤字で、給与所得等を圧縮することで、確定申告を通じ、勤務先が源泉徴収した所得税の還付を受けたり、翌年会社が特別徴収する住民税額を軽減したり、といった効果が期待できます。
  • 固定資産税・都市計画税の節税:
    土地を更地で保有している場合と比較し、その土地の上に、居住用の建物を建築すれば、固定資産税、並びに、都市計画税の支払額を軽減する効果が期待できます。
  • 相続税の節税:
    資産を(現預金等の)金融債権として相続するより、不動産として相続したほうが、相続財産評価を下げることが出来ます。また、単なる更地として相続するのと比較し、上に収益用不動産を建設して相続すると、相続税を更に軽減することが出来ます。

また、金融系の資産投資に、iDeCo(個人型確定拠出年金制度)口座を活用することが出来れば、毎月の拠出金が全額所得控除されるため、所得税・住民税の軽減が期待できるほか、実際の受け取り時においても、公的年金等控除、もしくは、退職所得控除を利用することが出来、税制面で有利となります。

会社員生活をやめた後の、老後の私的年金代わりに出来ることも

金融審議会のワーキンググループが公表した資料をきっかけに、マスコミ・世論を大きく賑わわせることとなった、「老後2千万円問題」。
ごく一般的な老夫婦(夫は厚生年金。妻は国民年金。受け取り年金の月額は、夫婦合わせて20万円程度)が老後生活を送る場合、毎月5万円程度の赤字が生じ、昨今の長寿化を考えると、老後の不足額(公的年金だけでは賄えない不足額)は、総額で2,000万円程度に及ぶ、との試算結果に、世間は強く驚きました。

もしも、若い年代のうちから、コツコツと、不労所得作りに取り組んでおくことが出来れば、会社員生活をやめて、老後の年金生活に入った際においても、月々の生活費における赤字を、蓄えた不労所得で補っていくことが出来、より豊かな老後生活を送れることが期待できます。

【手法別】こんな不労所得作りは「絶対にやめとけ」

不労所得作りのための不動産投資は「やめとけ」

不労所得作りのための不動産投資は「やめとけ」
入居者からの家賃を不労所得として収受できる「不動産投資」は、かねてより人気の高い投資スタイルのひとつ。しかしながら、様々なデメリットを勘案し、「やめとけ」とする声も少なくありません。

不労所得作りに関心を持つ投資家の間で、かねてより人気の高い、不動産投資。
しかしながら、下記のようなデメリットを根拠に、「不労所得目当ての不動産投資は、危ないから、やめとけ」とする声もあります。

不動産投資は「空室リスク」が大き過ぎるから、やめとけ

不動産投資を利用して不労所得の蓄積を試みる場合、目下、最大のリスク要素は「空室リスク」であると言えます。
特に、1つの居室に対して集中的に投資する「マンション投資」の場合、複数の居室を一括で取得できる「アパート投資」と比較して、賃料が「オール・オア・ナッシング」となってしまうリスクがあります。

昨今、特に地方の賃貸物件においては、空室率が上昇しつつあり、人口の一極集中なども加味すれば、特に地方都市において不動産投資を検討する場合は、十分な留意が必要です。

また、仮に空室が生じ、単月・単年での不動産投資事業が赤字であったとしても、その間、固定資産税は継続的に発生しますし、投資用不動産を取得する際に用いたローンの返済も、待ってはくれません。

不動産投資では悪質な入居者への対応が大変で、とても「不労」所得とは言えないから、やめとけ

空室リスクについては、重大なダウンサイド・リスクではありますが、一方で、適切なマーケティングやリーシングによって、ある程度は、リスクを軽減できる、との指摘もあります。
極論すれば、「空室が生じても、埋めればよい」という、ポジティブな考え方も可能です。

一方で、

  • 家賃の支払いを遅延させたり、
  • 周辺の住民とトラブルを起こしたり、
  • ゴミ出しルールを守らない、等いった行為を働く、

いわゆる「悪質な入居者」への対処は、より心身ともに疲弊を強いられるものです。

仮に、質の悪い入居者を退去させることが出来たとしても、延滞分の賃料は支払ってもらえないことありますし、物件に悪い評判が立ってしまえば、その後の入居者集めにも苦労する恐れがあります。

不動産の修繕コストが、蓄積された不労所得を上回るリスクがあるから、やめとけ

不動産投資を開始してから暫く年数が経過すると、経年に応じ、少しずつ、物件は老朽化していきます。
そして、老朽化の程度に応じて、都度、物件オーナー側で費用を負担し、修繕を実施する必要があります。
簡単な居室の内装替え程度であれば、数万円~程度のコストで収まることもありますが、

  • コンクリート壁の内側の給排水設備の取替を伴う工事や、
  • 屋根上の改修工事(雨漏りを防ぐための屋根材の張替え作業等)の場合は、

工事費用が多額に上る可能性があり、修繕工事の内容によっては、それまで少しずつ蓄積してきた不労所得が、一挙に吹き飛んでしまうような事態も考えられます。

物件の価格変動が激しいと、せっかくの不労所得が水の泡となる恐れがあるから、やめとけ

不動産投資によって不労所得を得ている途中で、何らかの事情によって多額の資金ニーズが生じ、保有している不動産の売却を行う(もしくは、強いられる)ことが、ままあります。
その場合、

  • 物件を初期に取得した際の価額(=取得価額)と、
  • 物件の売却時の価額(=売却価額)との間の、

大小関係、及び差分の大きさによっては、不動産投資事業全体でのトータル損益がマイナスとなり、賃料収入をベースに不労所得を得るどころか、
「却って、不動産投資をすることで、損をしてしまった」
等という事態にもなりかねません。

特に、地方物件に関しては、人口減少・過疎化などに伴い、地価や、居住用不動産の相場価格が下落傾向にある地域もありますので、留意が必要です。

現物不動産は金融資産と比較して流動性が著しく劣るから、やめとけ

手持ちの現物不動産を売却して現金化する場合、

  • 買い手となってくれる候補者探しや、
  • 買い手との間での価格交渉、
  • 売買契約書の締結や、
  • 代金の決済、
  • さらには、所有権の移転登記に至るまで、

様々な手間暇がかかります。

どれだけ短くとも、売却・現金化の完了までには、数ヶ月~半年程度の期間を要することから、現物不動産は、数ある投資用資産の中でも、「流動性の低いアセット(資産)」として認識されています。

※なお、不動産投資の中でも、「現物」不動産に対して投資するのではなく、「証券化された」不動産、すなわち、REITに対して投資するスキームについては、流動性上の懸念は(少なくとも、上場しているREITに限って言えば)軽減されています。

投資用ローンの借り入れを行う場合、金利変動リスクが怖いから、やめとけ

不労所得を目当てに不動産投資を行う場合、多くの投資家が、レバレッジ効果を効かせることを目的に、銀行等金融機関が提供している、アパート・ローンなどの投資用ローンを活用します。

この際、目先の低金利に惹かれて、変動金利型のローン商品を利用すると、その後、金利が上昇局面に転じた場合、総返済額が大きく膨らんでしまうリスクがあります。

一方で、長期の固定金利型商品を利用する場合、物件の中途売却に伴い、繰り上げ返済を行うとすると、債権者にあたる金融機関に対し、違約金を支払う義務が生じるケースもあります。

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不労所得検証チーム
fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や、不動産クラウドファンディング、ロボアドバイザー、インデックス投資業界等の最新情報を提供する、投資・金融情報総合メディア。その他、昨今、主に若年投資家の間で大きな関心を集めつつあるFIRE(Financial Independence, Retire Early)に関する最新情報を専門的に扱う、FIRE(早期リタイア)専門の検証チーム等があります。

不労所得検証チームでは、様々なアルタナティブ投資も含めて、不労所得獲得のために用いられる投資関連スキーム全体について、掘り下げた検証を行います。

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