不労所得作りとしての「駐車場経営」は、どうなのか-駐車場経営のメリット&デメリットから検証

「駐車場経営で不労所得作り」のメリット&デメリット

駐車場経営で不労所得作りに取り組む利点

アパート経営と比較し、初期投資額が少額で済む

駐車場経営によって、不労所得づくりに取り組む場合、アパート経営等のケースと違って、土地の上に、建物(上物)を建設する必要が、基本的にありません。

コインパーキングの手法をとるのであれば、更地にアスファルトの舗装を施し、車止めや、ゲート、料金精算機などといった設備を設置すれば、ひと通りの体裁が整います。

さらに、月極駐車場の場合、利用者がお互いの駐車区画を識別できるように、簡単にロープ等を用いて区分けをすれば、それで事足りてしまいます。

多段式駐車場や、自走式駐車場など、いわゆる立体型の駐車場の場合は、当然、別段とはなりますが、それでも、居住用のアパートを建築したり、マンション・オフィスビル等を建設したりする場合と比較すれば、初期投資額は、はるかに低額となります。

また、初期投資額が小さい分、その初期投資の回収にかける年数も短く、収益化までがスピーディーである、と言う点も、駐車場経営によって不労所得づくりに取り組む場合のメリットといえます。


参考:
不労所得作りとしての「アパート経営」は、ありなのか-アパート経営のメリット&デメリットから徹底検証

悪立地や狭い土地、変形地でも、駐車場ならば活用できる

悪立地や狭い土地、変形地でも、駐車場ならば、不労所得作りに活用できる
アパートやオフィスビルなどの建設には適さないような立地でも、駐車場への利活用ならば、特性が見込めるケースがあります。
※画像はイメージです。

アパート経営やマンション投資、オフィスビル建築等を行う場合、
駅からの距離や、周辺の利便性への配慮が欠かせません。

その点、駐車場経営の場合、少なくとも居住用物件やオフィスビル等と比較すれば、立地が限定されない、という特徴があります。

また、10部屋程度のアパートを建設しようとすれば、駐車場・駐輪場の用地も含めれば、かなりの土地面積が必要となりますが、
その点、駐車場経営ならば、数台分の駐車スペースがあれば、不労所得作りをスタートすることができます。

アパート建設などが難しい旗竿地や、三角形などの変形地の場合でも、駐車場経営ならば、特段問題ありません。

また、駐車場作りの場合、都市計画法による用途制限を受けにくく、

  • よほど大規模な駐車場や、
  • 多段式・自走式、といった、立体駐車場でない限り、

住宅地の中でも運営が出来るケースがある、と言うのもまた、駐車場経営の利点の1つです。

専門の駐車場経営会社に「土地を貸すだけ」の運用も出来る

コインパーキングによる駐車場経営の場合であれば、

  • 車止めや、料金機の設置はもとより、
  • 清掃巡回・掃除や修理対応なども、ワンストップで一任できるような、

専門の管理会社が、国内で多数、事業を展開しています。

料金機からの集金も委託できるため、投資家本人が行う作業の大半を、外注により省力化することが可能です。

中には、専門の運営会社との間で賃貸借契約を締結し、投資家としては、単に土地を貸し出すだけで済むケースもあり、駐車場経営が、手間いらずな不労所得作りの方法として、人気を博している理由の1つとなっています。

駐車場経営ならば、災害によるダメージが最小限に抑えられる

アパート経営等の不動産投資の場合、地震や火事などの、大規模な災害に対して、弱いと言う特質があります。

この点、駐車場経営の場合、土地の上に設置してある設備は、(アパート経営やマンション投資などと比較すれば)微々たるものですし、その補修も、さほどの費用がかかるものではありません。

何らかの災害が発生してしまった時も、その後の設備復旧費用があまり高額とならない、と言う点は、駐車場経営の、優れた特質の1つといえます。

設備の老朽化への対応や、修繕対応も容易

駐車場経営の場合、敷地の上に設置されている料金機や車止めなどといった設備は、耐用年数も一定程度あり、かつ、そもそも設置すべき設備の種類や量が限られることから、そのメンテナンスは、さほど手間暇のかかるものではありません。

仮に設備が故障してしまった場合でも、一部の設備を交換すれば済み、アパートやマンションのような、大規模な修繕が必要となる事は稀です。

このように、運営開始後のメンテナンス作業が、簡易的なもので済み、楽である、と言う点は、不労所得作りのために駐車場経営に取り組む場合の、利点の1つといえます。

また、ソフト面でも、入居者同士のトラブルへの対応が不要である、など、いくつかのメリットがあります。


参考:
不労所得の種類とは|タイプ別不労所得のメリット&デメリットも徹底比較

転用も容易なので、「とりあえず駐車場」という運用が可能

駐車場経営の場合、そもそも、設置する設備が限られることから、何か新しい用途に土地を利用したい、と決断した場合においても、その転用が容易です。

駐車場経営によって、ある程度資金を貯めてから、それを自己資金にして資金融資を受けて、アパート経営などに転用する、と言うことも、もちろん可能です。

また、駐車場の場合、借地借家法の適用から除外される関係上、月極駐車場の場合でも、1ヵ月前程度に利用者に対して一方的に通知することによって、既存の駐車場利用者を、すぐに立ち退かせることが出来る(※)、と言う身軽さもあります。


(※)ただし、立体駐車場の場合、建築物と見做され、借地借家法の適用を受けることとなるケースもあるため、注意が必要です。
また、土地について、駐車場運営会社との間で賃貸借契約を締結している場合も、そう簡単には解除できないケースがあるため、事前に、賃貸借契約の内容確認が必要です。

不労所得作りを目的に駐車場経営に乗り出すリスク・デメリット

平置き駐車場の場合、土地の利用効率が悪い

不労所得作りを目的に駐車場経営に乗り出すリスク・デメリット
アパートと違い、「上空空間」の活用が出来ない駐車場経営は、土地の利用効率の観点において、課題があります。
※画像はイメージです。

アパート経営の場合、2階、3階、といった具合に、上空空間が活用できるため、限られた土地面積で、収益力を最大化することができます。

その点、特に平置き駐車場の場合、上方の空間がうまく活用できません。

その分、収益力が弱く、あまり売り上げが立たない(儲かりにくい)と言う弱点があります。
例えば月極駐車場の場合、月額利用料が5,000円だとして、20台駐車できたとすると、満車でも、売上高は、月額10万円です。
同じ面積で、3階建てのアパートを建築すれば、居室15部屋程度、1部屋あたりの賃料が5万円だとすれば、満室稼動できた場合、月々の売り上げは、75万円にのぼります。

※ただし昨今では、東証一部上場の株式会社フィル・カンパニーのように、これまで有効活用されていなかった、平置き駐車場の上空空間の活用を、専門に手掛ける企業も出てきており、業容の改善が期待されています。

駐車場経営の場合、節税メリットが薄い

例えば、不労所得作りを目的として、アパート経営に取り組む場合、

  • 定期的に、賃料収入という不労所得(インカム・ゲイン)を受け取ることができるのに加えて、
  • アパートの建物部分の減価償却により、給与所得等の課税所得を圧縮し、確定申告を通じて、所得税や住民税の節税を図ることが可能であるほか、
  • 更地の上に賃貸物件を建設すれば、住宅用地の特例が認められ、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3にまで軽減されるうえ、
  • 相続財産評価においても、「貸家付宅地」として評価されることにより、相続税の節税を見込むことができる、

といったように、複数の税務上のメリットが存在します。

これに対して、駐車場経営の場合、そもそも建物が構築されない(立体駐車場を除く)ことが前提とされています。
コインパーキングとする場合に、車止めや料金機を費用負担して設置すれば、減価償却費用を計上することも可能ですが、金額は限定的です。
このため、アパート経営の場合等と単純比較すると、所得税や住民税の節税効果は薄い、というのが実情です。

また、月極駐車場の場合、アスファルト舗装などもしなければ、土地はあくまでも「更地」として評価されるため、固定資産税や都市計画税の割引もありません。

同じように、相続財産評価も、「自用地評価」となり、更地と同じ評価となってしまうため、相続税の節税を期待する事はできません。

このように、アパート経営等の不労所得作りの手法と比較すると、全般的に、節税メリットが希薄である、と言う点は、駐車場経営のデメリットの1つと言われています。


参考:
不労所得作りは、なぜ「危険」と言われるのか|危険性ばかりとは限らない、不労所得作りの意外なメリットとは

月極駐車場とするのか、コインパーキングとするのか、の判断が難しい

月極駐車場の場合、初期投資がとにかく安く、極論、区分けのためのロープを設置すれば、それだけ運用できる、と言う手軽さがメリットとなります。
ただし、不正駐車への対処などが必要となるほか、利用者と、都度、駐車場の継続利用に関する契約を締結する手間暇がかかる、というデメリットがあります。

コインパーキングの場合、うまく機械化すれば契約手続きなどは省略できるほか、不正駐車も生じづらい、と言う利点がありますが、その一方で、車両が匿名の利用者によって長期間放置される、などといったトラブルも考えられます。
また、月極駐車場と比較すると、車止めや料金精算機の設置など、一定の設備投資費用も必要となります。

駐車場の種類によっては、望む場所に建設ができないことも

平置き型の駐車場の場合、基本的には、都市計画法の用途地域の制限を受けづらい、と言う利点があります。
ただし、多段式駐車場や、自走式駐車場等の大型建設物の場合、都市計画法の制限を受けるケースがあり、特に住宅地においては、用途地域制限の関係で、建築が認められないこともある、と言う点に、注意が必要です。

立体駐車場は、作るのも、壊すのも、コストがかかる

初期投資があまりかからず、かつ、転用してしまうことも容易であることが、駐車場経営のメリットのひとつ、とされています。

しかし、多段式駐車場や自走式駐車場等の立体駐車場の場合、当然、その限りではありません。
立体駐車場の建設には、それ相応のコストがかかりますし、基本的には鉄筋・鉄骨にて建物部分を構築していくこととなりますので、解体費用も高額に上ることが一般的です。
「駐車場経営=安い」との思い込みは危険ですから、注意が必要です。

利用者集めに失敗すると、不労所得が生じない

例えば月極駐車場の場合、

  • 2台目・3台目の駐車場需要のある住宅街や、
  • 駅から近く、通勤に使いやすい、等の、

地理的なメリットがあれば良いのですが、そうでない場合、集客に苦労する場合があります。

コインパーキングの場合も、繁華街からの距離などによっては、なかなか需要が出ないことも想定されます。

そもそも、駐車場経営において、人気のエリアは既に激戦区となっており、レッド・オーシャン状態である、との指摘もあります。
さらに、昨今の若者の車離れも、需要減退の引き金となり、業界にとっては不安材料とされています。

当然のことながら、駐車場経営において、うまく利用客を集客できなければ、駐車場の利用料金が収入として生じる事はなく、結果的に、不労所得を得る事は難しくなります。


参考:
「初心者でも簡単に不労所得」は大嘘?不労所得に纏わる様々な嘘を大検証

不労所得目的での駐車場経営が向いている人・向いていない人

駐車場経営による不労所得作りがおすすめできる人

相続等で更地や空き家を保有しており、当座の運用方法を模索している人

駐車場経営の場合、アパート経営や、コインランドリー投資等と比較すると、初期投資が少なく、その後の転用も容易である、と言うメリットがあります。

月極駐車場の場合、利用者との契約解除も一方的通知で事足りますし、アパートの賃貸借契約のように、各入居者に対して、立ち退き料を支払うような必要もありません。

このため、すでに相続などによって土地を保有している資産家の場合、「とりあえず駐車場」と言う、ごく気軽な運用が可能です。

一定期間、駐車場経営を行うことによって、次の投資のための資金を蓄積したり、
この間、何か良い投資手法について研究が進んだら、

駐車場系以外の手法に用途を切り替える、と言う考え方も、可能です。

空き家を相続した場合も、立地によっては、建物を解体したうえで、駐車場経営に土地を利用することが可能ですが、その場合、駐車場の敷設費用に加えて、既存の建物の解体費用が別途生じる点には、注意が必要です。

「手間いらず」な不労所得作りをしたい資産家

駐車場経営の場合、専門の管理業者に、清掃や、集金等といった、駐車場の管理・運営業務を、丸投げすることが可能です。

極論すれば、投資家は土地を保有しているだけで、後は、専門の駐車場経営会社に対して、土地を貸すだけ、と言う運用もできます。

投資家が、自分自身で駐車場を運営する場合も、メンテナンス等の手間暇は限られますので、

  • 既に何らかの土地を所有しており、
  • その土地を活かしつつも、
  • 出来るだけ手間暇をかけずに運用し、不労所得を得たい、

と考えている投資家にとっては、駐車場経営は、うってつけといえます。

不労所得作りを目的とした駐車場経営が向いていない人

不労所得作りと節税の両立を狙っている人

駐車場経営は、土地の上に敷設する設備等が限られるため、減価償却メリットもさほどなく、固定資産税や都市計画税、相続税の節税効果も限定的であるため、アパート経営等を通して不労所得づくりに取り組む場合と比較して、税務上のメリットが希薄です。

不労所得作りと合わせて、本業の課税所得を圧縮したり、相続にまつわる相続税を節税したい、と考えている投資家・資産家にとっては、駐車場経営は、いささか物足りない、と感じるかもしれません。

目下、土地や空き家を所有していない人

目下、土地や空き地を保有していない人が、不労所得作りのために駐車場経営に取り組む場合、新たに土地を取得するところから始める必要があります。

しかし、駐車場経営の場合、基本的には収益力が弱く、
アパート経営等と違って、「アパートローン」のような特化型の融資商品も提供されていない、言うのが実情です。

この場合、銀行とプロパー融資を前提に協議することとなるため、
余程、何かの事情で廉価に土地を取得できる、などといった条件がない限り、銀行が駐車場経営向けの土地取得に融資をしてくれるかどうかは、未知数です。

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不労所得検証チーム
fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や、不動産クラウドファンディング、ロボアドバイザー、インデックス投資業界等の最新情報を提供する、投資・金融情報総合メディア。その他、昨今、主に若年投資家の間で大きな関心を集めつつあるFIRE(Financial Independence, Retire Early)に関する最新情報を専門的に扱う、FIRE(早期リタイア)専門の検証チーム等があります。

不労所得検証チームでは、様々なアルタナティブ投資も含めて、不労所得獲得のために用いられる投資関連スキーム全体について、掘り下げた検証を行います。

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