インデックス投資の利回りは|資産クラスごとに利回りが異なる仕組み、平均利回りの計算方法まで解説

「市場平均」と同じ利回りを目指す、インデックス投資とは

個別の株式銘柄・債券銘柄等に対して集中的に投資するのではなく、各市場のインデックス(指数)に連動した投資成果の獲得を目指す投資信託(非上場投資信託、ないしは、ETF)への投資を通して、幅広く「市場全体」へと投資し、いわゆる「平均的」とされる利回りの確保狙う、という投資スタイルを、「インデックス投資」と言います。

  • 個別の銘柄選びの手間暇から解放されたい
  • トレード用のパソコンのモニターと日夜睨めっこをするような、デイトレード・スイングトレードには、時間的・体力的な余裕を割くことが出来ない

等と考える、いわゆる兼業投資家・個人投資家を中心に、人気が広がっており、「会社給与以外の経済的に基盤を確立し、アーリーリタイアを達成する」というライフスタイルを示す「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)の達成者からも、活用推奨の声が多く寄せられるなど、目下、多くの世代から、高い関心・注目を集めている投資スタイルと言えます。

インデックス投資で「及第点」の利回りを得るメリット

インデックス投資で「及第点」の利回りを得るメリット
インデックス・ファンドを活用すれば、数百円程度の少額から、幅広く、世界各国の様々な市場に上場している株式等に対し、分散投資を行うことが出来ます。
※画像はイメージです。

個人投資家がインデックス投資に取り組むメリットとしては、主に下記のような点が挙げられます。

インデックス・ファンドはコストが安く、実質利回りを高めやすい

インデックス投資に活用される、パッシブ型の投資信託の場合、ファンドマネージャーの手腕に依存する「アクティブ投資信託」と比較し、信託報酬コスト等が安い、という特性があります。

インデックス投資に限らず、投資の最終的な利回り(実質利回り)は、手数料等のコストを控除したあとの、ネット利回りで求める必要があります。
その点、投資信託の運用会社に支払う手数料率の低い、インデックス・ファンドは、投資の最終的な実質利回りを高めやすい、という利点があります。

買い付け手数料や、信託財産留保額も安く、利回りへの悪影響が少ない

投資信託の運用会社間、及び、販売会社間の競争激化に伴い、昨今、インデックス・ファンドを中心に、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額ゼロパーセント、など、投資家にとって有利な条件を提示する投資信託が増えてきています。

仮に、投資信託買い付け時の手数料や、最終的な投資信託解約時のコストが割高となってしまうと、それだけで、資産運用のトータルでの利回りを押し下げる、ネガティブ要因となり得ますので、そうした手数料・コストが割安、ないしは実質的にゼロである、という点は、インデックス投資のメリットです。

政府の投資支援制度を活かし、税金コストを下げることで、実質利回りをさらに向上させることが出来る

インデックス投資の場合、つみたてNISAiDeCo口座など、政府の投資・資産形成優遇策を、フル活用することで、投資に纏わる税金コストを引き下げ、最終的な税引き後の利回りを、さらに改善できる、という利点があります。
現に、金融庁が指定する、つみたてNISAの対象銘柄の多くは、指数連動型のインデックス・ファンドが占めています。

「市場全体」へと投資することで、リスクを低く保つことが出来る(=ただし、同時に、利回りもある程度犠牲になる)

インデックス投資の場合、

  • 個別の株式銘柄選びに四苦八苦する必要が無く「市場全体」「世界全体」へと幅広く、かつ簡単に投資を行うことが出来る。
  • 多数の銘柄へと、投資信託を活用し容易に分散投資を行うことにより、各銘柄の非システマティック・リスクについては、十分に排除することが出来る(ただし、市場リスク=システマティック・リスク自体は、完全には排除できない)。
  • 互いに相関関係の小さい資産クラスへと資産を分散投資することにより、ポートフォリオ全体のリスク(ボラティリティ)を低位に保つ効果が期待できる。

といった利点もあります。

しかしながら、多数銘柄・複数資産クラスへの分散投資は、ダウンサイド・リスクを軽減するだけではなく、同時に、アップサイド・リスク、すなわち、利回りが上揺れする機会についても、実質的にこれを放棄することともなりますので、留意が必要です。

複利効果により、実質利回りを更に向上出来る(及び、少額投資も可)

高配当株投資など、投資家に対して、定期的に配当が為される投資モデルの場合、配当金に対する課税によって、(仮に、配当金の全額を再投資したとしても)複利効果が低減してしまう、というデメリットがあります。
この点、無分配型のインデックス・ファンドをうまく活用することが出来れば、ポートフォリオに含まれる株式からの配当金が、分配に回されることなく、そのまま投資信託の内部で再投資される関係で、配当金に対する課税を避けることが出来、結果的に、複利効果が最大化され、最終的な投資家の利回りが向上しやすい、という利点があります。

また、楽天証券やSBI証券、マネックス証券など、いわゆる「ネット系」の証券会社をうまく活用すれば、100円程度の少額から、自動積立投資を設定することができる、という点もまた、インデックス投資のメリットの一つとされています。


参考:
インデックス投資のメリット・デメリットとは|分散投資によるリスク低減、信託報酬の安い投資信託の活用メリット等を検証

意外と利回りは低い?インデックス投資のデメリット

個人投資家を中心に大きな人気を集めるインデックス投資ではありますが、万全な物では決して無く、下記するような、様々なデメリット・リスクに関して、十分な留意が必要です。

  • 株価などの暴落が生じると、少なくとも短期的には、資産の評価額が、累計投資元本額を大きく割り込むこと(=元本割れすること)が起こりえる。また、市況の低迷は、長ければ10年間もの歳月に及ぶこともある。
  • 投資家が自分で個別の株式銘柄を取得・保有する場合と違い、投資信託を保有する場合、保有している期間中ずっと、投資信託の運用会社に対し、信託報酬を支払い続ける必要がある。なお、この信託報酬は、仮に、投資信託の運用成績がマイナスの場合でも、継続的に生じることとなる。
  • 定期的に分配を行う投資信託の場合、分配金が課税されてしまうことにより、再投資の効率が低下することとなる。結果的に、複利効果を最大限享受することが難しくなる。
  • 個別の株式銘柄への投資と違い、投資家が直接株主優待を受け取ることが出来ない(=株主優待を目的に投資をする場合、投資信託の利用は適切ではない)。
  • 投資信託の場合、ファンドが個別の株式銘柄を取得・売却する時の手数料や、監査費用・決算費用等についても、実質的に、投資家が間接負担している。
  • インデックス(指数)を上回る利回りを期待することは、決して、出来ない(あくまでも、市場平均と同じ利回りの確保を狙うのみ)。
  • 米国株式を中心とするインデックスは、確かに、ここ数十年、高い利回りを達成してきたが、その利回りが、今後も継続的に確保されるか、どうかは、未知数である。

参考:
インデックス投資は本当に「おすすめ」なのか|おすすめしない理由も徹底検証

インデックス投資の平均利回りは、結局どのくらい?

インデックス投資をスタートするにあたり、実際に、インデックス投資を通じて、どのくらいの利回りを平均的に期待できるのか、は、当然、極めて重要なポイントとなります。

インデックス投資の利回りは、事前に決まっていない

インデックス投資の利回りは、事前に決まっていない
不動産投資やソーシャルレンディング投資等と異なり、インデックス投資の具体的な利回りは、事前に計算・提示されることは有りません。あるのはあくまでも「過去」の実績数値だけです。
※画像はイメージです。

まず、最初にはっきりと認識しておく必要があるのが、インデックス投資の利回りは、事前には全く決まっていない、という点です。
インデックス投資を始めるにあたり、個人投資家が把握できる情報は、

  • この資産クラスは、これまでに、年率換算で〇パーセント程度の利回りを計上してきた
  • この指数(インデックス)は、直近〇年間では、〇パーセントの利回りを得た
  • あるインデックスに追随する投資成果獲得を目指す、〇〇という投資信託は、昨年、〇パーセントの利回りを計上した

等といった、「過去」に関する情報ばかりです。
将来・未来に関して、「〇パーセント程度の利回りを目指す」等といった情報は、どのインデックス・ファンドも、掲載していません。
どの程度の利回りを得られるのかは、各インデックス・ファンドの運用会社も、販売会社も、全く知らない、というのが実情です。

これは、「インデックス投資」という投資モデルが、

  • 不動産投資や、
  • ソーシャルレンディング投資、
  • 不動産クラウドファンディング投資などとは、

決定的に異なる、大きなポイントと言えます。

たとえば不動産投資の場合、投資家は、実際に不動産を購入する前に、「物件から想定される年間賃料は〇〇万円程度。対して、物件の取得には、〇億円程度が必要となる。すなわち、期待できる表面利回りは、〇パーセント程度である」等といった具合に、事前に、ある程度の利回りを計算することが出来ます。

また、同じく個人投資家に人気の高い、ソーシャルレンディング不動産クラウドファンディング、といった投資モデルの場合、そもそも、各ファンドが、投資家に向けに、案件ごとの期待利回り(年率換算。税引き前であることが一般的)を提示しています。
このため、不動産投資の場合と同様、ある程度、利回りを事前に計算・確認したうえで、投資の是非を判断することが出来ます。

これに対して、インデックス投資の場合は、

  • いつ頃までに
  • 何パーセント程度の利回りを得ることが出来そうか、という、

「未来」に関する目論見は、誰も提示していません。
理由はただ一つ。
「誰にも、各インデックスの将来的な利回りは、分からない」からです。

インデックス投資の期待利回りは、投資対象とする資産クラスごとに異なる

「インデックス投資」というと、米国株や日本株、新興国株など、いわゆる「株式系」のインデックス(指数)に投資するイメージが強いですが、実際は、株式系以外にも、

  • 債券系(先進国債券や、新興国債券)や、
  • 不動産関係(主にREITインデックスが対象となります)、
  • コモディティ関係(金など)等々、

様々な資産クラスに応じたインデックスが存在し、追随する投資信託さえ確保できれば、投資対象とすることが出来ます。

そして、各インデックス(指数)の期待利回りは、当然、それぞれの指数が属している資産クラスの影響を強く受けることとなります。
基本的に、株式系の資産クラスのほうが、債券系の資産クラスよりも、期待利回りは高く推定されています。

モーニングスター社のデータによれば、各資産クラス別の、各年ごとの利回りとしては、下記の通りです。

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
先進国株式 8.7% 22.9% -7.8% 29.2% 16.6%
国内株式 -1.9% 19.7% -17.8% 15.2% 4.8%
新興国株式 8.3% 32.5% -15.8% 15.2% 15.9%
ハイイールド債 17.1% 7.5% -2.1% 14.3% 7.1%
新興国債券 2.9% 3.1% -8.9% 8.5% 1.6%


情報引用日:2021年10月23日

同じ資産クラスでも、具体的な指数(インデックス)によって、利回りは異なる

同じ資産クラスでも、具体的な指数(インデックス)によって、利回りは異なる
例えば「国内株式」という資産クラスの中にも、日経平均やトピックスなど、様々なインデックスが存在します。そして、各インデックスごとに、利回りは異なります。
※画像はイメージです。

全く同じ資産クラスに属しているインデックス(指数)でも、そのインデックスが組み入れている、具体的な株式銘柄によって、各インデックスごとの最終的な利回りは、当然、異なることとなります。

例えば、

  • 日経平均
  • TOPIX
  • JPX日経400
  • 日経JQ平均

上記4つのインデックスは、いずれも、「日本(国内)株式」という資産クラスに属するインデックスと言えますが、それぞれの期間別利回りは、下記のように、(かなり高い相関関係にはありますが)異なります。

1年間 3年間 5年間
日経平均 22.71% 8.40% 10.88%
TOPIX 23.61% 5.70% 7.96%
JPX日経400 23.83% 6.30% 8.09%
日経JQ平均 10.61% 2.07% 9.19%


情報引用日:2021年10月23日

こうした相違が生じるのは、それぞれのインデックスが組み入れ対象としている銘柄、及び、各銘柄ごとの「組み入れ比率」が異なるためです。

同様の理由で、同じ「米国株式」という資産クラスに属する、

  • S&P500
  • NASDAQ
  • NYダウ

等といったインデックス(指数)は、それぞれ異なる利回りを示しています。

なお、各投資家においては、基本的に、「インデックス投資」を標榜する以上は、出来るだけ多くの銘柄へと、資産を分散投資している投資信託を選ぶことが大前提となります。
組み入れる銘柄数が少なくなればなるほど、それは、ファンドマネージャーが恣意的に組み入れ銘柄を選ぶ、アクティブファンドと性質が似通ってくることと同義であり、結果的に、「市場平均通り」の利回りを得ることが難しくなり、「一人負け」するリスクが出てくることとなります。

全く同じインデックスを追随対象としていても、投資信託ごとに最終的な利回りは異なる

同じインデックス(指数)を追随対象としている複数の投資信託同士の間で、最終的な利回りがわずかに相違することも、往々にしてあります。

  • たわらノーロード日経225
  • MAXIS 日経225上場投信
  • iシェアーズ・コア 日経225ETF
  • iFree日経225インデックス
  • ニッセイ 日経平均インデックスファンド

上記5ファンドは、いずれも、日経平均を追随対象とする投資信託ですが、その利回りは、下記のように、極めてわずかながら、相違しています。

6ヶ月 1年 3年
たわらノーロード日経225 1.64% 28.77% 8.73%
MAXIS 日経225上場投信 1.67% 28.85% 8.74%
iシェアーズ・コア 日経225ETF 1.70% 28.93% 8.80%
iFree日経225インデックス 1.64% 28.93% 8.86%
ニッセイ 日経平均インデックスファンド 1.65% 28.85% 8.80%


情報引用元:2021年10月23日

各運用会社の運用方針によって、実際のインデックス(市場平均)との間で、多少のトラッキングエラーが生じることもありますし、運用会社によって、信託報酬の料率などが異なる点にも、留意が必要です。
特に、信託報酬等の手数料に関しては、10年、20年、という長期投資を考えると、「塵も積もれば…」で、手数料控除後の利回りに、大きな差を生む要因となる事もあります。

当然のことながら、同じインデックスに連動する投資信託を選ぶ以上、

  • トラッキングエラーが少なく、
  • かつ、信託報酬料率が低い投資信託を選ぶ

ことが、大前提となります。

インデックス投資にあたっては、期待利回りだけでなく、リスク(標準偏差)にも注意を要する

インデックス投資に取り組む場合、活用する投資信託の期待利回りだけではなく、投資対象とする資産クラス、及びインデックスごとの「リスク」(標準偏差)に対しても、十分に注意を払う必要があります。
基本的に、期待利回りが大きい資産クラスほど、リスク(標準偏差)も大きくなります。

例えば、期待利回りが年率換算5パーセント、標準偏差が15パーセント、という、株式系のインデックス・ファンドがあった、とします。
この場合、当該インデックス・ファンドの年次の利回りは、

  • 約68パーセント程度の確率で、マイナス10パーセント~プラス20パーセントの間(=1標準偏差)に収まり、
  • 約95パーセント程度の確率で、マイナス25パーセント~プラス35パーセントの間(=2標準偏差)に収まる、

と推計することが出来ます。

ただし、こうした標準偏差に基づくリスク推計は、あくまでも、過去の実績値に基づいた予測値に過ぎず、かつ、リーマン・ショックのような大規模な経済変動が生じた際には、2標準偏差をも超過する、大幅な下落を記録したこともある、という点に、十分な留意が必要です。

アセット・アロケーションによって、インデックス投資の利回りはどう変わる?

インデックス投資では、

  • 外国株式
  • 国内株式
  • 外国債券
  • 国内債券

など、様々な資産クラス(アセット・クラス)を組み合わせてポートフォリオを構築し、想定利回りを出来るだけ高く維持しつつも、リスク(ボラティリティ)を下げる工夫を取り入れることが一般的です。

どれだけ表面的な想定利回りが高くても、ボラティリティが大きいと、結局、自分が資金を使いたいとき(=インデックス投資で運用してきた資産を、実際に活用するとき)に、自分のポートフォリオが、どの程度の資産評価額となっているか、が、全く予想が出来ない、という難点があります。

このため、投資家の多くは、ある程度期待利回りを犠牲にしながらも、ポートフォリオに、米国株式等以外の資産クラスを組み入れ、ボラティリティの標準化に努めています。

現に、日本の公的年金資金の運用を一手に担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、前述した4資産(外国株・国内株・外国債券・国内債券)に、資産を均等に(多少の乖離は認めつつも、25パーセントずつ)投資する、という戦略を採用しています。

ここからは、実際に複数のアセット・アロケーションを用いつつ、資産クラスごとの割合の変更によって、ポートフォリオの利回りはどのように変化していくのか、を、シミュレーション・ツールを用いて、簡易的に計算してみることにしましょう。

なお、シミュレーションには、「ファンドの海」のアセット・アロケーション分析を利用し、毎月の積立投資額は5万円、積立投資年数は30年と仮定します(30年間の総投資額は、1,800万円となります)。
なお、資産クラスごとの期待利回りやリスク(標準偏差)、及び資産クラス同士の間の相関係数については、「ファンドの海」のデフォルト設定のまま、とします。

「外国株式オンリー」の積極型ポートフォリオの期待利回りは

  • ポートフォリオの半分を先進国株式、
  • もう半分を新興国株式に振り分け、
  • 日本株式や債券(日本債券、及び先進国債券)は一切保有しない、という、

「外国株式オンリー」のポートフォリオとする場合、ポートフォリオの期待利回りは7.13パーセント(年率)とシミュレーションされました。

J-REITの平均利回り(約3パーセント強程度)の倍程度、という、極めて高い期待利回りですが、その分、リスク(ボラティリティ)も、年率22.41パーセントとかなり高め。
期待利回りの複利を単純計算すれば、5989.2万円となりますが、実際にその金額以上の運用結果となる確率は、33.7%に過ぎません。
50パーセントの確率で、1,800万円の投資元本は、4197.1万円以上となる可能性がありますが、一方で、元本割れする確率も、15.8%存在します。

「新興国株+先進国株+日本株」の株式特化型ポートフォリオの利回りは

上記のアセット・アロケーションを少し変更し、「日本株式33パーセント、先進国株式33パーセント、新興国株式34パーセント(※債券系の資産クラスは、引き続きゼロ)」のポートフォリオとする場合、シミュレーション結果は、

  • 期待利回り:6.38パーセント
  • リスク:20.02パーセント

となります。
ポートフォリオをやや多様化(外国株式だけでなく、日本株式もポートフォリオに組み入れた)した結果、期待利回りは下がりましたが(※国内株式は、外国株式と比較し、基本的に期待利回りが低いため)、その分、ボラティリティもやや抑えられた計算結果となっています。

もっとも、「新興国株・先進国株・日本株」の3資産は、同じ株式系の資産クラスであるため、互いの相関係数がやや大きく、ポートフォリオにもたらす分散投資効果(≒リスク低減効果)は限定的である、と言えます。

ポートフォリオに「債券」を組み入れると、利回りはどう変化するか

ここまでのシミュレーションでは、ポートフォリオに組み入れる資産クラスは「株式系」のみとされており、債券系の資産クラスは、アセット・アロケーションから除外してきました。
この方針を変更し、

  • 日本債券
  • 日本株式
  • 先進国債券
  • 先進国株式
  • 新興国株式

の5資産全てに、資金を20パーセントずつ均等に振り分けるポートフォリオとする場合、インデックス投資の期待利回りは、年率4.71パーセントまで下降しますが、同時に、リスク(ボラティリティ)についても、年率12.56パーセントまで低減します。
最初に試算した、「外国株式オンリー」のポートフォリオでは、15.8%であった、元本割れの確率も、6.8%まで低下しています。

こうしてみると、アセット・アロケーションを多様化し、特に債券系の資産クラスをポートフォリオに組み入れると、

  • 期待利回りは一定程度下落してしまうが、
  • その下落程度よりもより有意に、ポートフォリオのリスク(ボラティリティ)、及び、運用結果が元本割れとなる確率が低減する、

という効果が見て取れます。

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インデックス投資検証チーム
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