「老後に不足するという2000万円を、ソーシャルレンディングで貯めたい」

頂戴したご質問

「零細企業のオーナー社長です。
社長とは名ばかりで、会社はともかくとして、個人的には、貯金はあまりありません。
そんな中、老後資金として、年金だけでは2000万円の不足が生じるとの政府試算を見聞きし、慌てています。
投資の才覚はあまり無いため、たとえ毎年の利回りは低くとも、ちょっとずつ金利で資産が膨らんでいくような投資商品はないか、探している中で、今般、ソーシャルレンディングに行き当たりました。
運用上の注意点等について教えて頂けると助かります。」
(40代・男性・ソーシャルレンディング投資歴:なし)

「老後に2000万円が不足」は本当か

「老後に2000万円が不足」は本当か

※写真はイメージです

まず第一に、「(年金だけでは)老後に2000万円が不足する」という政府試算自体、今般、その内容の正当性について、様々な見解が寄せられ、議論は紛糾しています。


参考:
老後「2000万円不足」問題、平均値が独り歩き |日本経済新聞


メディアでも大きく取り上げられた関係で、ご自身の預貯金状況等に応じ、突如として、大きな不安に駆られた、という方も、少なくないようですが、そもそも、老後の生活に、どの程度の費用が必要なのか、という点は、

  • 各個人の生活スタイルや、
  • 家族構成、
  • 現在の有形・無形資産の状況(例:持ち家にお住まいか、賃貸住宅にお住まいか、等)

等の諸要因によって、千差万別です。

”平均”によって算出された数値の情報に惑わされることなく、質問者様が実際に事業から引退した後の生活に、月次・年次において、どの程度の費用を要するのか、といった点から、まずはしっかりと、精査・吟味を為さることが、肝要です。

「ソーシャルレンディングで老後資金」はリスク大

「そもそも論」が続いてしまい、恐縮ではございますが、仮に、老後に2000万円の資金不足が生じるとして、それを「投資」という手法に依拠して確保しよう、というのは、発想として、いささか、短絡的であり、危険でもあります。
投資である以上、元本毀損リスクが必ず具備されるから、というのが、その理由です。

今般、個人投資家を中心に、高い関心を集めている、ソーシャルレンディングではありますが、実際に投資を行うに際しては、下記のようなリスクに、厳重な留意を要します。

  1. 元本割れ(元本毀損)のリスク:
    ソーシャルレンディング事業者と、投資家とが、締結する、匿名組合契約において、ソーシャルレンディング事業者は、投資家の投資する元本について、これの保証を行いません。
    このため、投資家としては、ソーシャルレンディングに資金を投じるにあたって、必ず、元本割れのリスクを許容する必要があります。

    ※時折、ソーシャルレンディング事業者各社のファンドの中に、「保証付き」という案件を見かけることがありますが、これは、「借り手企業の債務について、第三者が連帯保証をする」ことを示しているに過ぎず、「投資元本が保証される」というわけでは、決して、ありません。
    また、連帯保証が付与されるとしても、連帯保証人に支払い能力が無ければ、結局、債権回収は不調に終わる可能性があります。
    くれぐれも、ご注意ください。

  2. 延滞発生リスク:
    ソーシャルレンディング事業者から投資家に対して為される分配・償還の原資は、借り手企業がソーシャルレンディング事業者に対して返済した、元利金です。
    すなわち、借り手企業からソーシャルレンディング事業者への元利金返済に、遅延が生じれば、当然、ソーシャルレンディング事業者から投資家に対する分配・償還にも、延滞が生じることとなります。

    なお、ソーシャルレンディングのデメリットのひとつとして、「ファンドの途中解約が出来ない」という点が挙げられます。
    一旦、ソーシャルレンディング・ファンドへと投資を行うと、その後、ファンドが最終的な償還・分配を行うまで、投資元本全額が手元に戻ってくることはありません。
    こうした前提条件下において、借り手企業がソーシャルレンディング事業者への元利金返済に遅延を生じさせた場合、ファンドがいつまでたっても運用終了とならず、ひいては、ファンドへと投資した資金が、待てど暮らせど、戻ってこない、という状況が発生するリスクがあります。

    実際に、国内ソーシャルレンディング業界大手「マネオ(maneo)」においては、本日現在、多数のファンドが、「延滞中」という状況にあることが知られています。

    参考:
    延滞債権/デフォルト債権一覧|マネオ(maneo)

  3. ソーシャルレンディング事業者の破綻リスク:
    匿名組合契約というスキームの性質上、投資家が出資した資金は、ソーシャルレンディング事業者の財産として取り扱われることとなります。
    このため、万が一、ソーシャルレンディング事業者が経営破綻し、破産手続きへと移行した場合、投資家が出資している資金についても、大きなリスクにさらされる事となります。

こうしたリスクを踏まえれば、「老後資金の全額を、ソーシャルレンディング投資によって、賄おう」という試みが、いかに高い危険性を内包するものか、お分かりいただけるものと存じます。

ソーシャルレンディングに限らず、「投資」というものは、みな一様に、純然たる余剰資金を原資に、少しずつ行うことが、前提となるものです。
これに対し、老後資金は、老いれば誰にとっても、(※その多寡については、ケースバイケースと言えども)必要となることが明白な資金です。
この2つを混合してしまうようなことが、決して、無いよう、くれぐれも、ご注意ください。

「小規模企業オーナー」という立場を活かした節税・貯金を

ご質問者様におかれましては、法人のオーナー社長でいらっしゃるとのこと。
業績等によって、ご状況は流動的かとは存じますが、「オーナー社長」である場合、その立場を活かした、様々な節税・貯蓄手法があることが知られています。
下記に、その一例を挙げます。

  • 小規模企業共済:
    中小企業基盤整備機構が運営している制度です。
    比較的規模の小さい法人の社長などが、自身の退職金を積み立てるために活用することが可能です。
    掛金の全額を、確定申告時に、所得控除することが出来るため、特に給与額の大きい経営者にとっては、大きな節税メリットがあります。

    参考:
    小規模企業共済|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

  • 中小企業倒産防止共済:
    「経営セーフティ共済」とも呼ばれています。
    個人名義で加入し、掛け金を支払う、小規模企業共済とは異なり、中小企業倒産防止共済は、「事業者名義(例:法人名義)」にて加入するものとなります。
    毎月の月額は、少ない場合で5千円から、多い場合で月20万円まで、と、幅広い数値幅から設定することが出来、支払った掛金の全額を、各期の決算において、損金算入することが可能です。
    掛金の前納制度も提供されているため、適法な節税策のひとつとして、柔軟に活用することが可能です。
    前掲の小規模企業共済と同じく、中小企業基盤整備機構が運営しています。

    参考:
    中小企業倒産防止共済|中小企業基盤整備機構

その他、自社株の100パーセントを所有為さっておられる場合、法人の純資産についても、質問者様の資産の一部、と見なすこともまた、可能でしょう。
すると、法人向けの実効税率と、ご自身の個人的な所得税率等とを比較し、税率の低い方で、利益・資金の蓄積を進める等、柔軟性に富んだ取り組みもまた、検討出来ることとなるはずです。

是非、お使いの税理士・会計士等と協議のうえ、質問者様に最適な資産形成法を見出して頂きますよう、祈念致しております。

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高い盛り上がりを見せる、ソーシャルレンディング業界ではありますが、透明性の確保等、改善を要する点も、少なくありません。
また、複数の「危険なソーシャルレンディング事業者」の存在にも、留意を要します。
実際のソーシャルレンディング投資検討にあたっては、是非あらかじめ、こちらのコンテンツもご参照下さい。

ソーシャルレンディング【危険会社&おすすめ会社】最新版

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