「独身のうちに投資を始めておきたいと思っています。ソーシャルレンディングについて概要を教えて下さい」

頂戴したご質問

「ソーシャルレンディングに興味があります。
それなりにリスクのある投資だと聞いていますので、”始めるなら、独身の今のうち”と考えています。
ソーシャルレンディングの概要について教えて下さい。」
(20代・男性・ソーシャルレンディング投資歴:なし)

ソーシャルレンディング投資について

貸金事業者の募集するファンドに対して出資し、その後の融資プロジェクトからの分配金収入に期待する投資プロセスを「ソーシャルレンディング投資」と言います。

ソーシャルレンディング投資の仕組み

投資家がソーシャルレンディングに投資する場合、基本的には、下記のような流れを辿ることとなります。

  1. 投資家登録を募集しているソーシャルレンディング事業者の中から、好きな事業者を選び、投資家登録(投資用口座の開設)を行う。
  2. ソーシャルレンディング事業者の指定するデポジット口座(預託金口座)に対して、ファンド出資のための資金を入金する。
  3. ソーシャルレンディング事業者の募集中ファンドの中から、好きなファンドを選び、出資申込を行う。
  4. 出資が成立した場合、投資家とソーシャルレンディング事業者との間で、匿名組合契約が締結される。この際、投資家は「匿名組合員」となり、ソーシャルレンディング事業者は「(組合の)営業者」となる。
  5. ソーシャルレンディング事業者は、投資家から集めた資金を、外部の資金需要者に対して融資する。
  6. 融資を受けた借り手企業は、ソーシャルレンディング事業者に対して、利息、並びに、元金の返済を行う。
  7. 借り手企業から返済を受けたソーシャルレンディング事業者は、その利息を原資に、投資家に対する利益分配を行う。また、元金部分の返済を受けた場合、それを原資に、投資家への元本償還を行う。

投資家にとり、ソーシャルレンディングのメリット&デメリットとは

投資家の目線から見ると、ソーシャルレンディングには、主に下記のようなメリット、並びに、デメリットがあります。

ソーシャルレンディングのメリット

  • 提示されている、税引き前の期待利回りが、年率換算3パーセント~10パーセント前後と、極めて高い。
  • ロボアドバイザー投資等と違って、いつ頃までに、どの程度のリターンを得ることが出来るか、が、事前に明示されている。
  • 貸金業実務は、いずれも、ソーシャルレンディング事業者側が行うため、投資家においては「ほったらかし投資」が出来、不労所得獲得の一助となる。
  • 上場企業に対して融資するファンドや、貸付にあたり、借り手企業の保有する不動産に担保権を設定するファンドもある。
  • 発展途上国で活動するマイクロファイナンス機関に対して融資するファンドなど、社会的インパクトを重視した案件・プロジェクトも募集されている。

ソーシャルレンディングのデメリット

  • 融資先企業の属性が良くないケースがある(=銀行等の一般的金融機関からは融資を受けられない企業が、ソーシャルレンディング事業者から資金融資を受ける、というパターンが多い)。
  • 確定申告不要の「特定口座」の利用が出来ない。
  • 投資対象が「貸付債権」に限定されているほか、1つのファンドは、原則として1社~2社の貸付先へと融資するため、ETF(上場投資信託)等を用いたインデックス投資と比較すると、分散投資の効果が得にくい。
  • 分配金が雑所得に該当し総合課税の対象となる。申告分離課税制度は利用できないほか、(他の所得分野との)損益通算や、(相殺しきれなかった損失の)繰越控除、といった制度も、活用を認められていない。また、idecoのように、掛金(投資資金)が所得控除・税額控除となることもないし、少額投資非課税制度(NISA)の利用も出来ない。
  • 出資の中途解約が、原則として出来ない。また、出資持分を取引する市場が存在しないため、持分の現金化が難しい。
  • 借り手企業がソーシャルレンディング事業者への元利金返済を遅延させた場合、ソーシャルレンディング事業者から投資家への分配・償還にも、遅延が生じることとなる。
  • 不動産クラウドファンディングでは一般的な、(運営会社の劣後出資によって、投資家の優先出資元本を保護する、)優先劣後スキームが採用されていない。
  • ソーシャルレンディング事業者が、融資先から、一部の債権しか回収できなかった場合(=その余の債権が、貸し倒れとなった場合)、投資家の出資元本についても、毀損してしまう(=元本割れが生じる)こととなる。

参考:
【2021年9月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ10社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】

「高リスク投資は独身のうちに」というのは一案

リスクの高いソーシャルレンディング投資は、独身のうちにというのも、一案01

質問者様のおっしゃる通り、ソーシャルレンディング投資は、数ある投資手法の中でも、決して、「リスクの小さな投資手法」とは言えません。
詳しくは後述致しますが、

  • ソーシャルレンディング投資は、元本割れのリスクがある投資商品ですし、
  • 借り手企業からソーシャルレンディング事業者に対する返済が遅れれば、ソーシャルレンディング事業者から投資家への分配にも、遅れが生じます。
  • また、ソーシャルレンディング事業者が破綻した場合、投資家が出資している資金についても、棄損が生じる可能性があります。

ソーシャルレンディング投資というのは、実際問題として、様々なリスクを内包している投資手法なのです。

それを踏まえたうえで、
「ある程度リスクの高い投資手法については、独身のうちに学んでおきたい」
という、質問者様の御見解には、一理があるものと思料します。

ご結婚為さると、当然、パートナー様のご意見も尊重する必要が生じるでしょうし、お子様が生まれれば、学資保険等、貯蓄性の高い商品へと資金配分をリバランスする必要も発生してくるでしょう。
そうした将来事情を踏まえ、

  • ソーシャルレンディング投資のリスクを十全に理解したうえで、
  • 長い投資人生における、まずは手始めの勉強として、

ソーシャルレンディング投資に取り組んでみたい、という御見解でしたら、それは、ある程度合理的なご見識かと存じます。

ある程度リスクの取れる独身時代におすすめできる、ソーシャルレンディングへの取り組み方

ある程度リスクの取れる独身時代におすすめできる、ソーシャルレンディングへの取り組み方

ソーシャルレンディング投資の具体的な流れを簡潔に記しますと、下記の要領となります。

  1. 第二種金融商品取引業の登録事業者である、ソーシャルレンディング事業者が、ファンドを組成。自社のホームページ等にて、投資家への勧誘を行う。
  2. 投資家が、ソーシャルレンディング事業者のホームページ上にて、出資申込を行う(=正確には、匿名組合契約の締結手続きを行うこととなります)。
  3. ソーシャルレンディング事業者が、借り手期に対して、資金融資を行う。
  4. 借り手企業が、ソーシャルレンディング事業者に対して、元利金の返済を行う。
  5. 借り手企業から受け取った元利金を原資に、ソーシャルレンディング事業者が、投資家に対する、分配を行う。

上掲した流れを踏まえると、ソーシャルレンディング投資における重要なプロセスには、下記の2点があることが分かります。
それは、

  • ソーシャルレンディング【事業者選び】と、
  • ソーシャルレンディング【ファンド選び】です。

ソーシャルレンディング【事業者選び】のポイント

国内には、現在、20社以上のソーシャルレンディング事業者が存在します。
これらの事業者の中から、投資家個々人のリスク性向に見合った、適切なソーシャルレンディング事業者を選び抜く必要があります。
ソーシャルレンディング事業者選びの視座は、いくつかありますが、そのうち、代表的な物をいくつかピックアップ致しますと、下記のようになるでしょう。

  • ソーシャルレンディング業界におけるシェア:
    この視座に立つ場合、現在の国内ソーシャルレンディング業界において大手といえる、maneo(マネオ)や、クラウドバンク、SBIソーシャルレンディング、といったソーシャルレンディングサービスが、有力な候補となるものと思料します。
  • 上場企業が運営するソーシャルレンディングサービス:
    この場合、東証マザーズ上場企業「ロードスターキャピタル株式会社」が運営するソーシャルレンディングサービス、オーナーズブック等が、候補となるでしょう。
  • 上場企業の100パーセント子会社が運営するソーシャルレンディングサービス:
    上掲したSBIソーシャルレンディングのほか、LCレンディングもまた、上場企業の100パーセント子会社が運営しているソーシャルレンディングサービスと言えます。

また、ソーシャルレンディング市場におけるシェアや、運営会社の上場/非上場だけでなく、

  • 実際に、ソーシャルレンディング事業者が主催するセミナー・勉強会に出席し、事業者の「生の声」を聞いてみたり、
  • 各ソーシャルレンディン事業者のファンドに実際に投資している投資家が、互いの投資関連情報を交換している、オンラインの情報掲示板等を覗いてみたり、

等と言った、地道な情報収集も、ソーシャルレンディング事業者選びにおいては、欠かせないプロセスとなります。
いくぶん手間のかかる部分ではありますが、ソーシャルレンディング投資において、この「ソーシャルレンディング事業者選び」というステップは、極めて影響力の大きい、重大なステップとなります。
時間をかけて、じっくりと取り組むこととしてください。

ソーシャルレンディング【ファンド選び】

ソーシャルレンディング事業者選びに続いて、ソーシャルレンディング投資における重大なファクターとなるのが、実際に出資を行うソーシャルレンディング【ファンド】の選定プロセスとなります。
ソーシャルレンディング各社の公開しているファンドを検討するうえで、重要なポイントは複数ありますが、そのうち代表的なものとしては、下記のようなものが挙げられます。

  • 利回り:
    確かに、呈示されている期待利回りが高いファンドのほうが、魅力的に映るものと思いますが、えてして、期待利回りが高いファンドというのは、その分、比例して、リスクも高い場合もありますので、ご注意ください。
    利回りのみに目を引かれるのではなく、リターンの裏側に存在する「リスク」とのバランスを見極めたうえで、適切な出資判断を行う必要があります。
  • 運用期間:
    ソーシャルレンディング投資の場合、一旦、個別のファンドに出資を行うと、その後、出資したファンドが償還を迎えるまでの間、資金は手元に返ってきません。
    出資契約の途中解約は、原則として不可、とされているためです。
    このため、出資検討の際には、そのファンドの「運用予定期間」についても、念入りに確認する必要があります。
  • 担保設定:
    ソーシャルレンディングファンドの担保設定は、案件によって、千差万別です。
    無担保・無保証型のファンドもあれば、不動産や、借り手企業の有する売掛債権等に、担保権が設定されるファンドもあります。
    万が一、借り手企業からソーシャルレンディング事業者への返済に遅延が生じた場合、ソーシャルレンディング事業者は、債権回収プロセスに乗り出すこととなりますが、一般論として、無担保・無保証型のファンドの場合、(※有担保の債権と単純比較すれば、)債権回収の難度は高くなります。
    ※とはいえ、「担保付であれば安心」とは、必ずしも言い切れない、という点に、注意が必要です。

経済的にゆとりのある独身時代といえども、ソーシャルレンディング投資のリスクには注意が必要。

経済的にゆとりのある独身時代といえども、ソーシャルレンディング投資のリスクには注意が必要。

冒頭にも述べました通り、ソーシャルレンディング投資には、リスクがあります。
自身の資産について、ある程度の自由が利く独身時代と言えども、ソーシャルレンディングに特有の諸リスクについては、決して、軽視してはなりません。

元本割れリスク

上掲も致しました通り、ソーシャルレンディング投資とは、

  • ソーシャルレンディング事業者(匿名組合契約における、営業者)と、
  • 投資家(匿名組合契約における、匿名組合員)との間の、

匿名組合契約締結によって、成立するものです。
この、匿名組合契約において、営業者は、匿名組合員に対し、匿名組合員が出資した元本の、保証を行いません。

匿名組合契約において、営業者は、匿名組合員に対し、匿名組合の事業において生じた利益を分配する義務を負っていますが、これは文字通り、「(利益が生じたら)その利益を分配する義務」に過ぎません。

これらの事情により、ソーシャルレンディング投資において、投資家は、おのずから、元本割れリスクを許容する必要があります。

延滞リスク

ソーシャルレンディング事業者は、投資家に対し、事前に匿名組合契約において取り決めた通りに、分配を行いますが、この分配の「原資」は、あくまでも、借り手企業がソーシャルレンディング事業者に対して支払った(=返済した)、元利金となります。
ソーシャルレンディング事業者から資金を借り受けた借り手企業が、経営不振等に陥った場合、借り手企業からソーシャルレンディング事業者への元利金の返済に、遅延が生じる可能性があります。
そして、実際にそのような遅延が生じてしまった場合、ソーシャルレンディング事業者から投資家への分配にも、当然、遅れが発生することとなります。

事業者破綻リスク

匿名組合契約において、匿名組合員(投資家)が出資した資金は、あくまでも、営業者(ソーシャルレンディング事業者)の財産として、取り扱われることとなります。
※正確には、ソーシャルレンディング事業者の貸借対照表における、負債項目「預り金」に計上されます。
このため、万が一、ソーシャルレンディング事業者が経営破綻等し、破産手続きへと移行した場合、投資家が出資等している資金についても、棄損してしまう可能性があります。

お金を貯めやすい独身時代、まずは、生活防衛資金分の貯蓄確保を最優先に

お金を貯めやすい独身時代、ソーシャルレンディングよりも、貯金を。

自らの家庭を築く前の、独身時代は、生涯を通じて、最も、「お金を貯めやすい」時期のひとつでもあります。
結婚すると、お子様の学資や、住居費用など、独身時代には考えもつかなかったような出費が、増えていくものです。
ましてや、結婚した後になってから、大切なパートナーやご家族に、経済的なご不自由を強いてしまうことは、誰にとっても、心苦しいことでしょう。

そうした事態を避けるべく、まず、お金を貯めやすい独身時代においては、

  • 無理な出費や、
  • リスクの高すぎる投資は、敢えて、避け、

凡庸なようではありますが、まずは、必要な生活防衛資金の確保、すなわち、貯蓄に取り組まれることも、大変大切な財務活動となります。

つまらぬ終わり方となってしまって恐縮ではございますが、この点を、どうぞ、ご失念なきよう、ご留意ください。

※本記事は、質問者様への回答、及び、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ソーシャルレンディングファンド等)への投資勧誘等を目的としたものでは、ありません。個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設等、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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「独身のうちに投資を始めておきたいと思っています。ソーシャルレンディングについて概要を教えて下さい」” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 通りすがり より:

    結婚すると(というか、子供が出来ると)本当にお金がかかる。独身で実家住まい、っていうのが結局最強。その間にもっとお金貯めておけばよかった。。。

    1. ソーシャルレンディング・ラボ より:

      コメントに感謝します。
      ご指摘の通り、比較的経済的余剰を生みやすい、独身社会人時代においては、まずは、予後に向けた生活防衛資金の確保・貯蓄が、最優先の取り組み事項となるものと、思料致します。

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