【ソーシャルレンディングファンド分析】OwnersBook「大田区マンション第3号ファンド第2回」の場合。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、OwnersBook(オーナーズブック)が2018年10月に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「大田区マンション第3号ファンド第2回」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1122/

資金の借り手

横浜市戸塚区に所在する、不動産保有会社I、とのこと。
同社の主な事業は、

  1. 物流不動産コンサルティング事業
  2. 地方自治体向けコンサルティング事業
  3. 不動産賃貸事業

とのこと。
過去3期にわたり経常利益及び当期純利益を計上しているそうです。

貸付資金の総額

25,000,000円(2,500万円)の貸付となります。

借り手の資金使途

本ファンドは、満期を迎える別ファンド、「大田区マンション第3号ファンド第1回(1048口)」の、借り換え(リファイナンス)ファンドであることが明記されています。
本ファンドでの調達額2,500万円は、前ファンドの貸付元本3,500万円の、元本返済原資となる、とのこと。
※差額(元本1,000万円)は、本ファンドでの貸付に際して、本貸付先1から別途、弁済を受ける、とのことです。

本ソーシャルレンディングファンドの貸付・運用の期間

24ヶ月間の貸付・運用となります。

設定担保

下記の2物件に関し、既に、共同担保として、極度額3,500万円の根抵当権が既に(前ファンド「大田区マンション第3号ファンド第1回(1048口)」の時点で)設定されています。

物件その1

  • 建物状況:
    2015年6月に建築された地上4階建の建物1棟が対象。維持・管理の状態は良好、とのこと。
  • 交通・接近条件:
    東京都大田区千鳥に位置しており、東急池上線へのアクセスが良好な立地だそうです。
  • 賃貸借の状況:
    1階から4階まで住居として現在賃貸中で、稼働率は2018年10月17日時点で75%。
    住居部分の現行賃料は約9,900円程度(月額、坪単価、共益費込)。
    外部専門家により査定された新規月額賃料(共益費込)の坪単価は約10,200円程度、とのこと。
  • 物件評価額:
    外部専門家による各物件の査定額を参考に、20,400万円と評価している、とのこと。

物件その2

  • 建物状況:
    1990年10月に建築された地上4階建の建物1棟が対象。維持・管理の状況は良好とのこと。
  • 交通・接近条件:
    東京都大田区田園調布南に位置しており、東急多摩川線へのアクセスが良好な立地、とのこと。
  • 賃貸借の状況:
    1階は店舗、2~4階は住居として現在賃貸中で、稼働率は2018年10月17日時点で100%。
    店舗部分の現行賃料は約13,200円程度(月額、坪単価、共益費込)、住居部分の現行賃料は約7,400円程度(月額、坪単価、共益費込)。
    外部専門家により査定された新規月額賃料(共益費込)の坪単価は、現行月額賃料(共益費込)の平均坪単価と同程度、とのこと。
  • 物件評価額:
    外部専門家による各物件の査定額を参考に、17,000万円と評価している、とのこと。

返済原資

不動産保有会社Iによると、返済原資として、事業活動によって稼得されるキャッシュ、又は他の金融機関等からの借入等を想定している、とのこと。

わたしたち個人投資家の期待利回り

4.5%の想定利回りとなっています。

本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は

ownersbookのソーシャルレンディングファンドを解析。
引用元:ownersbook

オーナーズブックならある意味”当たり前”と化してしまっている現象ですが、
あっという間に、満額の資金調達を完了しています。

運用・返済状況は

本事業の投資実行日は2018/10/31。これに対して、償還予定日は2020/11/20。
少なくとも本記事執筆本日現在、早期償還の旨も公表されていませんので、
現在、鋭意運用中、というところでしょう。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。

メザニンであることを考えると、予定利回りはもう少し頑張ってほしかった。

まず、本件貸付については、メザニンローンであることが、しっかりと明記されています。


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1122/

担保物となる物件その1、及びその2、双方に、他の金融機関によって、既に先順位の抵当権が設定されています。
本事業の借り手(不動産保有会社I)からの返済に遅れが生じ、同社が期限の利益を喪失、債権者としては、やむなく、担保権を行使しての債権回収、というシーンにおいては、
まず、第一順位抵当権者である、外部金融機関の債権回収が、当然、最優先されます。
外部金融機関によるシニアローン分だけで、LTVは7割に達してしまっているわけですので、OwnersBook分の債権回収は、なかなか一筋縄にはいかない恐れがあります。

こうした構成でありながら、本ファンドの想定利回り(個人投資家向け還元分)は、4.5パーセント。
これは、OwnersBookのその他のシニアローンファンド(OwnersBookが、先順位無の第一順位抵当権を設定できるケース)、LTV8割弱程度、という場合と、ほぼ同程度の利回りとなっています。

例えば、こちらの過去ファンド。


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1123/

1,300人以上の投資家を集め、4億円以上を募集した大型案件でしたが、


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1123/

このように、OwnersBookは、先順位無の第一順位抵当権を設定しており、かつ、LTVは79.5パーセント。
このファンドの利回りは、


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1123/

このように、4.2パーセントとして設定されています。

例示した上記ファンドのような、「OwnersBookが、先順位無の第一順位抵当権を設定でき、かつ、LTVは8割弱程度」というファンドの場合、
いざ、担保権を行使しての債権回収、というシチュエーションにおいて、当然、どの債権者に対してもその債権は劣後することがありませんから、
その点、本ファンドと比べれば、安全性は相対的に高い、と解釈することが出来ます。

さらに、本借り換えファンドの場合、貸付・運用期間は、約2年(24カ月)に及びます。
この間、わたしたち個人投資家としては、一定の時間リスク(=2年間、という期間の間に、大きな災害など、本事業の平常運行に大きなダメージを与えるような出来事が、発生するかもしれない、というリスク)を負う必要があるわけです。
先ほど例示した別ファンドの貸付期間は、18カ月でしたね。

これらの点を勘案すれば、本ファンドには(せめて1パーセント程度は)リスクプレミアムが付与されて然るべきである、と、私には思えます。

担保物の稼働率が下がっている。

本ファンドの、借り換え前の、元ファンドの情報は、OwnersBookサイトにおいて、きちんと掲載されています。


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1048/

全文は、こちらから御確認下さい。

大田区マンション第3号ファンド第1回(OwnersBook)

よくよく見てみると、元ファンドの時点においては、


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1048/

このように、稼働率100パーセントであった、担保物件その1が、今回の借り換えファンドの組成時点においては、


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1122/

このように、稼働率が下がってしまっていることが見て取れます。

担保物件その1の評価額そのものは、


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1048/

元ファンド時点においては、21,000万円(2億1,000万円)であったところ、今回の借り換えファンド組成時点では、


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1122/

20,400万円(2億400万円)まで下がっています。
稼働率の低下を織り込んでの評価額下落かと思いますが、少々、心配なところです。

借り換えファンドはどうも…

私の個人的な考え方として、借り換えファンド、というのは、正直、あまり好きではありません。
借り手事業者の立場から考えると、ソーシャルレンディング事業者からの借入金というのは、端的に申して、極めて高利なわけですから、

  • 出来れば、(満期を待たずに)早期償還、というのがベスト。
  • それが無理でも、基本的には、満期でしっかり元本返済を終えて、借り換えなどしないで、決着をつける。

というのが、財務管理の点からは、ベターであるものと思うから、です。
それをすることが出来ずに、ある意味、ずるずると、借り換えファンドによって延命(=元ファンドの満期償還の原資を、借り換えファンドによって確保する)、というのは、あまり、好ましいものではないように感じています。
強いて申せば、元ファンド組成の際に、その返済原資について、
「物件を売却することによって、満期までの間に、返済原資を確保する。できれば早期償還する。ただし、物件がいい値段で売れずに、却って安売りをしてしまうくらいならば、借り換えによって返済原資を確保する。そうすることによって、目論見通りの高値で売りぬく事に、こだわります」
といったような明記があれば、
「なるほどね。今(※本記事執筆本日現在)は、スルガ銀行の融資問題などがあり、不動産マーケットには銀行からの資金が入りにくいから、高値での売り抜け先が確保できなかったのかもな」
等と、納得できるのですが、
元ファンドの商品情報(https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1048/)を読み返してみても、そのような表記が見当たりません。

総じていえば…

あくまでも私見ですが、

  • メザニンであることを考えると、もう少し、利回りにおいて、リスクプレミアムが乗っているべき。
  • 担保物件の稼働率が下がっている様子が気になる。
  • 借り換えファンド、ということで、借り手事業者の本事業が果たして目論見通りうまく運行されているのか、少々気になる。

というところです。

本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、オーナーズブックのソーシャルレンディングファンド「大田区マンション第3号ファンド第2回」を題材に、検証をさせて頂きました。

しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。

しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資しておりますが、
その中でも、OwnersBookは、(※今回のファンドについては、いささか、辛口となってしまいましたが、)他のソーシャルレンディング事業者と比べて、私が多くの資金を投資させて頂いている事業者のひとつです。


引用元:OwnersBook

  • 東証マザーズ上場企業、ロードスターキャピタル株式会社による運営。
  • 全案件(ファンド)に、不動産担保がセッティングされている。

等と言った特長のある事業者ですが、その分、個人投資家からの人気が高く、
ファンドによっては、資金募集開始から、あっという間に、資金枠が埋まってしまう、というケースが多く見られます。

「いざ」という時の投資機会を逃さぬためにも、
あらかじめ、投資口座開設だけでも、済ませておくことをお勧めします。

同社の投資口座開設は、こちらの公式ページから手続き可能です。

OwnersBook(公式)

なお、同社の投資口座開設手続きは、いたってシンプルですが、
「初めてで不安」という方は、あらかじめ、こちらの別記事もご参照下さい。

[blogcard url=”https://social-lending.online/sl-companies/ownersbook/ownersbook-kaisetsu/”]

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。

追伸:
主要ソーシャルレンディング業者各社を、事業者としての規模や、ファンドの平均利回り、信頼性や、初心者へのおすすめ度、といった視座から横断比較した、こちらの過去記事も、是非、ご覧になってみてください。おすすめです。

【ソーシャルレンディング徹底比較】ファンド利回り、ユーザー数、規模…。国内主要ソーシャルレンディング事業者を横断比較してみた結果をまとめました。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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