【ソーシャルレンディングファンド分析】OwnersBook「江東区マンション第2号ファンド第1回」の場合。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、オーナーズブックが2018年に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「江東区マンション第2号ファンド第1回」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1118/

資金の借り手

大阪府大阪市中央区に所在する、設立3年超の総合不動産会社AA、との表記があります。
同社の主な事業は、

  1. 不動産を取得し、運営し、売却する「不動産運用事業」
  2. 中小規模の土地を仕入れ開発する「不動産開発事業」
  3. 不動産の仲介を行う「不動産仲介事業」等

とのこと。
過去3期にわたり黒字決算(2期前は経常損失となったが、保有する不動産の売却益によって当期純利益を計上)、とのこと。

貸付資金の総額

156,000,000円(1億5,600万円)とのこと。

借り手の資金使途

総合不動産会社AAの事業資金である限り、資金使途についての定めはない、とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの貸付・運用の期間

25ヶ月間の貸付・運用となります。

設定担保

総合不動産会社AAが所有する、有明の高層マンション最上階居室(1室)に、第一順位抵当権が設定されます。

  • 建物状況:
    2010年代初頭に建築された地下1階付地上33階建てのマンション。対象部分は、当該建物の最上階に所在するマンション一室。建物全体の管理は大手不動産会社系列の建物管理会社に委託され、総合不動産会社AAによれば、建物全体(総戸数:1,000戸超)の管理費・修繕費等積立金につき100万円程度の滞納があるものの、管理規約等の通りに徴収され、修繕計画等に即した小規模修繕工事が実施されてきており、維持・管理の状態は良好、とのこと。
  • 交通・接近条件:
    東京都江東区有明に位置しており、東京臨海新交通臨海線(通称:ゆりかもめ線)及び東京臨海高速鉄道りんかい線(通称:りんかい線)へのアクセスが便利な立地、とのこと。
  • 賃貸借の状況:
    2018年10月1日現在、空室、とのこと。
  • 物件評価額:
    OwnersBook評価額は、外部専門家による査定額を参考に19,600万円(1億9,600万円)と査定している、とのこと。
  • LTV(Loan to Value):
    貸付金額15,600万円(1億5,600万円)は、担保物件の評価額(1億9,600万円)に対し、約79.6%に相当します。

返済原資

総合不動産会社AAによると、返済原資として、担保物件の売却の他、他の金融機関等からの借入等を想定している、とのことです。

わたしたち個人投資家の期待利回り

5.0パーセント、とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は

オーナーズブックでは、もはやお馴染みの光景ですが、
本ファンドについても、満額の資金募集を達成しています。

運用・返済状況は

本匿名組合の償還予定日は、2020/11/20。貸付期間も長いファンドです。
現在、目下鋭意運用中、というところでしょう。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。

利回りはOwnersBookとしては相場。貸付期間は少々長い。

先順位無の第一順位抵当権が設定されるファンドであること、及びLTVが(ギリギリですが)8割を切っていることを考えると、利回りは(OwnersBookとしては)相場だと思います。
貸付期間は2年強、と少々長めなので、留意が必要でしょう。

担保評価額は、一見、高いが、ブリリア有明スカイタワーのプレミアム住戸なら面白い。

マンションの区分所有1室に、2億円弱の評価、というのは、いささか高額に見えます。
気になって少々調べてみました。

有明で、地上33階、地下1階、1,000戸超、2010年代初頭に建築された高層マンション、と言えば…

私が探索した限りでは、ブリリア有明スカイタワーかな、と考えています(※勿論、あくまでも、私の個人的な推測です)。


引用元:https://www.ariakesky.com/

同マンションの建物概要を見ると、


引用元:https://www.ariakesky.com/outline.html

建築年月や総戸数、構造・階数といった情報に至るまで、概ね一致します。

この点について、OwnersBookに電話で確認してみましたが、
貸金業法の規制の関係により、担保物件の特定につながってしまう恐れがある、ということで、
Yesとも、Noとも、お答え頂く事は出来ませんでした。

担保物件が私の見立て通りだとすれば、その評価額は妥当だろうか。

ここからは、本ファンドの担保物が、ブリリア有明スカイタワーの最上階居室1室では【なかろうか】、という、私の至極個人的な推測に基づき、綴らせて頂きます。
繰り返しとなりますが、あくまでも、私の私的な類推に過ぎませんので、くれぐれも、悪しからずご了知下さい。

ブリリア有明スカイタワーの中古居室物件は、いくつか、不動産サイトに掲載されています。
例えばSUUMOの場合、ブリリア有明スカイタワーの物件は複数件、登録されておりますが、そのうち最も高額な物で、7480万円となっています。


引用元:https://suumo.jp

ブリリア有明スカイタワーの公式ホームページでも、売り出し中の中古物件情報が掲載されていますが、こちらは8980万円。


引用元:https://www.ariakesky.com/chuko/

というわけで、いくらなんでも、2億円弱(1億9,600万円)の評価額は、高すぎるのでは、と思ったのですが…

「プレミアム住戸」なら、あり得るかもしれない。

もう少し突っ込んで調べてみるため、ブリリア有明スカイタワーの物件を広く取り扱っている、「東京建物グループ 東京湾岸支店」に、電話で問い合わせをしてみましたところ、面白い情報が入手できました。
同支店曰く、

  • 最上階33階は、プレミアム住戸にあたる。
  • 他のフロア(1フロアあたり、概ね、30戸ずつ)と異なり、33階のプレミアム住戸は、20戸弱しか存在しない。
  • 居室の面積も、プレミアム住戸の場合、150平方メートル前後と、極めて広くなる。
  • ここ1年間くらいは、最上階33階の居室については、中古の売り出しは出ていない。
  • 万が一、プレミアム住戸で売り出しが出てきた場合、2億円前後の価格は十分にあり得る。

とのこと。

これらの情報を総合勘案すると(※そして、本件担保物件が、ブリリア有明スカイタワーの最上階居室である、と仮定すると)、
区分所有1室に対する、1億9,600万円という高額担保評価も、あながち、無茶な話では、ないのかもしれません。(※繰り返しますが、あくまでも私的な推測です)。

本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、オーナーズブックのソーシャルレンディングファンド「江東区マンション第2号ファンド第1回」を題材に、検証をさせて頂きました。

しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。

しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

なお、私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資しておりますが、その中でも、OwnersBookは、他のソーシャルレンディング事業者と比べて、私が多くの資金を投資させて頂いている事業者のひとつです。


引用元:OwnersBook

  • 東証マザーズ上場企業、ロードスターキャピタル株式会社による運営。
  • 全案件(ファンド)に、不動産担保がセッティングされている。

等と言った特長のある事業者ですが、その分、個人投資家からの人気が高く、
ファンドによっては、資金募集開始から、あっという間に、資金枠が埋まってしまう、というケースが多く見られます。

「いざ」という時の投資機会を逃さぬためにも、あらかじめ、投資口座開設だけでも、済ませておくことをお勧めします。
同社の投資口座開設は、こちらの公式ページから手続き可能です。

OwnersBook(公式)

なお、同社の投資口座開設手続きは、いたってシンプルですが、「初めてで不安」という方は、あらかじめ、こちらの別記事もご参照下さい。

[blogcard url=”https://social-lending.online/sl-companies/ownersbook/ownersbook-kaisetsu/”]

それでは、本記事はここまで。また次回の記事にて、お会い致しましょう。

追伸:
大手ソーシャルレンディング事業者数社を、投資家登録数や累積投融資額、利回りや手数料、といった指標で、横断的に比較検討した、こちらの過去記事も、おすすめです。是非、ご覧になってみてください。

【徹底比較】ソーシャルレンディ事業者ごとの投資家登録数・投融資額・ファンド利回り…。国内大手ソーシャルレンディング各社を複数視座から比較してみた結果、見えてきたものとは。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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