クラウドクレジットへのソーシャルレンディング投資は儲かるのか|クラウドクレジットのファンド投資のメリット・デメリットから検証

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約3年が経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディングとは

貸金業者が、金融商品取引業の登録を取得し、自身の融資プロジェクトのための資金(融資原資)を、インターネットを通じ、クラウドファンディングによって調達する行為を、ソーシャルレンディング(=融資型クラウドファンディング)と言います。
資金を調達したソーシャルレンディング事業者は、その後、資金を借り手に対して融資し、融資先から回収した利息・元金を原資に、投資家に対する利益分配、及び、元本償還を実施します。

ソーシャルレンディングの基本的なスキーム

ソーシャルレンディングの基本スキームを理解するためには、

  • ソーシャルレンディング事業者
  • 借り手企業
  • 投資家

という、各ステークホルダーの立ち位置・利害を確認することが先決です。

ソーシャルレンディング事業者

貸金業法に基づく、「貸金業」の登録、及び、金融商品取引法に基づく、「金融商品取引業」の登録を併せ持っているのが、「ソーシャルレンディング事業者」です(※1)。
ソーシャルレンディング事業者は、必要な許認可を得たうえで、サービスサイト・システムの開発などを行い、自社のホームページ上で、投資家登録を受け付けます。
また、投資家向けのホームページで、ファンドの情報を掲載し、投資家からの投資を募集します。

ファンドに十分な資金が集まり、ファンドが成立すると、ソーシャルレンディング事業者は、ファンドに集まった資金を、外部の借り手企業(※2)に対して融資し、借り手企業との間で、金銭消費貸借契約を締結します(ソーシャルレンディング事業者が貸し手)。
この際、ソーシャルレンディング事業者が、借り手企業(ないしは、その関係先)の保有している資産(不動産や、債権、株式など)に対して、担保権を設定するケースもあります。

ソーシャルレンディング事業者は、その後、融資先から、利息、及び元金の回収を行い、回収に成功した利息を元手に、投資家に対する利益分配を実施します。
最終的には、回収元本を原資にして、投資家に対する元本償還を実施し、ファンドの運用は終了となります。

ソーシャルレンディング事業者としては、ソーシャルレンディング事業に参入することによって、

  • 融資資金を、(自己資金や、借入金ではなく、)クラウドファンディング形式で調達できるようになる。
  • 自己リスクを抑えた資金調達を行うことで、銀行等が貸し渋るような高リスク案件や、(短期的な利益計上は難しいような)社会的インパクト重視型プロジェクトに対しても、積極的に融資を行えるようになる。
  • (ソーシャルレンディング事業者に、グループ企業が存在する場合、)グループ全体にとって、新しいスキームの資金調達チャネルを獲得できる。

等といったメリットがある一方で、

  • イニシャルコスト(貸金業・金融商品取引業の登録取得コストや、システム開発費用)がかかる。
  • 貸金業法の定める「借り手保護」と、金融商品取引法の求める「投資家保護」を求められることとなる。

等といった、デメリット・留意点も存在します。


(※1)ソーシャルレンディング事業者の中には、貸金業の登録と、金融商品取引業の登録を、別々の法人(グループ会社等)で取得している例もあります。
なお、ソーシャルレンディング事業者のほとんどが、「第二種」金融商品取引業の登録を取得していますが、中には、より資本・登録要件の厳しい、「第一種」金融商品取引業の登録を有している企業(=証券会社)もあります。

(※2)ソーシャルレンディング事業者の融資先の大半は企業ですが、個人事業主向けの融資を取り扱っているソーシャルレンディング事業者もあります。
なお、融資先は「外部」とは限らず、中には、(ソーシャルレンディング事業者自身の)グループ会社向けに融資を行う、というファンドが募集されているケースもあります。

借り手企業

ソーシャルレンディング事業者から資金融資を受け、自らの事業のためにこの資金を活用し、その後、ソーシャルレンディング事業者に対し、利息、及び元金の返済を行うのが、「借り手企業」です。
ソーシャルレンディング事業者から資金融資を受ける借り手企業としては、下記のような業種があります。

  • 不動産事業者:
    不動産の取得費用等をソーシャルレンディング事業者から調達。その後、不動産を売却することで、ソーシャルレンディング事業者への返済原資を確保する。
  • 貸金業者:
    ソーシャルレンディング事業者から借りた資金を、自身のクライアント(借り手)に対して融資する。自身の借り手から回収した利息・元金を元手に、ソーシャルレンディング事業者への元利金返済を実施する。
  • 債権買取業者:
    ソーシャルレンディング事業者からの融資金で、自身のクライアントの債権を買い取る。回収に成功した債権額を元手にして、ソーシャルレンディング事業者への元利金返済を行う。
  • 介護事業者:
    自身の介護事業のために資金を用いて、その後、介護報酬などを原資に、ソーシャルレンディング事業者への返済を行う。
  • ホテル運営会社:
    ホテル事業のために資金を活用し、事業の売上・利益の中から、ソーシャルレンディング事業者への返済原資を確保する。

未上場企業のみならず、上場企業でも、(主に、個人投資家への宣伝広告などを目的に)ソーシャルレンディング事業者から融資を受けているケースがあります。

ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける、借り手企業には、下記のようなメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
  • 銀行のような、一般的な金融機関と比較し、柔軟な審査を期待できる(=創業から間もない企業や、赤字企業であっても、融資を受けられる場合がある。また、銀行からすでにシニアローンを借りていても、ソーシャルレンディング事業者ならば、重ねて、メザニンローンを貸してくれることがある)。
  • 貸付条件もフレキシブル(短期借入や、早期繰り上げ返済にも応じてくれるほか、「資金使途自由」「代表者連帯保証不要」などのケースもある。
  • ソーシャルレンディング事業者のファンド募集を通じて、自社(借り手)の事業内容やブランドについて、知名度向上を図ることが出来る。
  • 銀行や株式市場とは異なる、新たな資金チャネルを確保することで、財務運営を安定化できる。
  • ソーシャルレンディング事業者の課す、貸付金利が高い(年率換算で10パーセントを超えるケースもある)。
  • ノンバンクタイプの貸金業者(ソーシャルレンディング事業者)からの借入履歴の存在が、今後、銀行等から融資審査を受ける際の与信に、一定の影響を及ぼす可能性がある。

投資家

ソーシャルレンディング事業者の募集するファンドに出資し、ソーシャルレンディング事業者との間で、匿名組合契約を締結(ソーシャルレンディング事業者が、「営業者」、投資家が「匿名組合員」)するのが、投資家です。
ソーシャルレンディングに投資している投資家の大半が、「個人投資家」ですが、ソーシャルレンディング事業者の多くが「法人名義での投資口座開設」を受け付けている関係で、自身の管理下にある資産運用会社名義等で投資を行っているケースも想定されます。

投資家においては、ソーシャルレンディング事業者のファンドへの投資にあたり、

  • 貸金業の登録を持たない個人・法人でも、ソーシャルレンディング事業者の募集するファンドへと持分出資することによって、貸金業者の融資プロジェクトからの利益を、部分的に享受することが出来る。
  • (ファンドの運用は、ソーシャルレンディング事業者側が専任で行う関係上、)投資家自身の手間暇はかからず、かつ、投資初心者でも、ベテラン投資家と同一のリターン(※同一ファンドに投資している場合に限る)を得ることが出来る。
  • 投資家登録から、ファンドの選定、出資手続きに至るまで、投資にまつわる諸手続きが、いずれも、インターネット経由で完結できる

などといったメリットがある一方で、

  • 元本割れのリスクがある。
  • 情報の透明性上の課題がある(ソーシャルレンディング事業者の中には、融資先の具体的な情報を、投資家に対して非開示・匿名化しているケースがある)。
  • 運営会社の不正・行政処分リスクのほか、倒産・経営破綻リスクがある。
  • 投資にあたり、レバレッジの活用は出来ず、短期間で大きな利益を得ることは難しい。

などといったデメリットを受忍する必要があります。


参考:
【2021年7月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ10社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】

ソーシャルレンディング・サービス「クラウドクレジット」とは

ソーシャルレンディング・サービス「クラウドクレジット」とは

サービス名 クラウドクレジット
運営会社 クラウドクレジット株式会社
運営会社住所 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場町一丁目平和ビル802
運営会社設立 2013年1月
上場/非上場 非上場
運営会社経営体制 代表取締役 杉山 智行
取締役 Chief Information Officer 宮田 修宏
社外取締役 宇根 尚秀
常勤監査役 鈴木 忠
監査役 須藤 智雄
監査役 宮口 徹
執行役員 森川 晃次
執行役員 太田 均
執行役員 大西 志麻里
執行役員 杉崎 梓
執行役員 小松 真也
執行役員 新渡戸 理貴
出資企業 伊藤忠商事株式会社
フェムトグロースキャピタル有限責任事業組合
有限責任事業組合フェムト・スタートアップ
マネックスベンチャーズ株式会社
株式会社GCIキャピタル
合同会社MCC
第一生命保険株式会社
三菱UFJキャピタル株式会社
Z Venture Capital
ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社
グローバル・ブレイン株式会社
SBIインベストメント株式会社
株式会社丸井グループ
三井住友海上キャピタル株式会社
GMO VenturePartners株式会社
事業内容 金融業
許認可 第二種金商品取引業者:関東財務局長(金商)第2809号
子会社 クラウドクレジット・ファンディング合同会社
Crowdcredit Peru S.A.C
Crowdcredit Estonia OÜ
CC Plataforma Mexico, S.A. de C.V.
運営会社沿革
  • 2013年1月:クラウドクレジット株式会社設立
  • 2014年11月:第二種金融商品取引業の登録完了
  • 2015年3月:伊藤忠商事及びフェムトグロースキャピタルによる増資
  • 2016年8月:累計成約ローン総額10億円を突破
  • 2017年12月:電通とパートナーシップ関係構築
  • 2018年5月:累計成約ローン総額100億円を突破
  • 2019年6月:累計成約ローン総額200億円を突破
  • 2020年6月:累計成約ローン総額300億円を突破
1口あたりの最低投資額 1万円
ファンドへの出資の中途解約 原則として不可
募集形態 先着方式募集
借り手の匿名化解除 借り手の匿名化解除対応済
償還済ファンドの情報公開 償還を迎えたファンドの運用実績について、オンライン公開されている
累計出資金額 374億円強
累計償還額 239億円強
累計登録者数 5万1千人強
成立済のファンド数 1,529件
償還済のファンド数 770件


情報引用日:2021年7月6日

「クラウドクレジット」は、クラウドクレジット株式会社(東京都中央区日本橋)が運営する、ソーシャルレンディング・サービス。
海外案件を専門的に取り扱っており、「キルギスマイクロファイナンス事業者支援ファンド」や「中東地域ソーラー事業者支援ファンド」、「アフリカ未電化地域支援ファンド」、「東欧金融事業者支援ファンド」など、複数の国と地域に関連する投資案件を取り揃えています。
2021年7月6日時点で公式ホームページに掲載されている情報によれば、累計出資金額は、既に374億円を突破、累計投資家登録者数は5万1千名強に達しているとのこと。

融資先企業の匿名化解除にも積極的に取り組んでおり、すでに大半のファンド・シリーズにおいて、実質的な借り手企業の具体的名称等が公開されています。
また、サービス運営会社であるクラウドクレジット株式会社は、伊藤忠商事株式会社や第一生命保険株式会社といった、国内の大企業のほか、マネックスベンチャーズ株式会社やYJキャピタル株式会社、LINE Ventures株式会社、SBIインベストメント株式会社、ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社といった、複数の有力VC(ベンチャーキャピタル)・投資会社から出資を受けていることでも知られています。

2020年1月からは、投資家の分散投資をより容易にすべく、「ファンドパッケージ機能」を新設。同月には、最初のパッケージ型商品「バランス型パッケージ1号」をリリースし、その後、2021年6月に至るまでに、「社会的インパクト重視型パッケージ」「先進国通貨パッケージ」「短期運用型パッケージ」と、様々なパッケージ型商品を公開しています。
2021年7月時点で、成立済ファンド数は1,529件。このうち償還済ファンドは770件に上り、累計での償還額は239億円を突破しています。

クラウドクレジットのソーシャルレンディング・ファンドへの投資は、儲かるのか

国内のソーシャルレンディング事業者の中では唯一(※2021年7月現在)、国外の案件を専門的に取り扱うソーシャルレンディング・サービスとして知られている、クラウドクレジット。
そんなクラウドクレジットのソーシャルレンディング・ファンドへの投資は、投資家の目線から見ると、果たして、儲かるのでしょうか。

ソーシャルレンディング・サービス「クラウドクレジット」への投資のメリット

他の一般的なソーシャルレンディング・サービスや、その他の様々な投資手法(株式投資や不動産投資、FX投資等)と比較し、クラウドクレジットのソーシャルレンディング・ファンドへの投資には、主に、下記のようなメリットがあります。

各ファンドで提示されている利回りは高い

ソーシャルレンディング投資は、そもそも、銀行預金等と比較し、かなり高い期待利回りが提示されていることが一般的です。
しかし、クラウドクレジットの場合、日本の利息制限法が適用されない(※)、海外案件を専門的に取り扱っていることもあり、各ファンドにて提示されている期待利回りは、他の一般的なソーシャルレンディング・サービスと比較しても、高利回りであることが多くあります。

ファンド名 表面利回り(年率換算・税引き前)
【ユーロ建て】ユーラシア個人向け小口融資事業者支援ファンド66号【償還実績あり】 8.4パーセント
【ロシアルーブル建て】欧州フィンテック事業者支援ファンド40号【償還実績あり】 10.8パーセント
【モンゴルトゥグルグ建て】モンゴル金融事業者支援ファンド29号【償還実績あり】 8.8パーセント
【メキシコペソ建て】メキシコ女性起業家支援ファンド36号【償還実績あり】【社会(的)インパクト重視ファンド】 8.1パーセント
【米ドル建て】欧州フィンテック事業者支援ファンド29号【償還実績あり】 7.6パーセント


引用元:クラウドクレジットHP

上記は、2021年7月7日現在、クラウドクレジットにて投資を募集しているファンドの一例ですが、年率換算で、7パーセント~8パーセント程度はもとより、10パーセントを超える期待利回りが提示されているファンドもあることが分かります。

これに対し、例えば、ソーシャルレンディング・サービス「ファンズ」にて募集された、「アイフルローン事業ファンド#3-1」案件の場合、予定利回りは1.10パーセントですし、クラウドバンクにて募集された「米ドル建カリフォルニア不動産ローンファンド第536号」ファンドの場合も、年率換算4.7パーセント、CRE Fundingの「CRE物流ファンド11号羽生」の場合で、年利2.5パーセントの期待利回りが提示されています。

無論、各ソーシャルレンディング事業者の募集ファンドの期待利回りは、各案件によって様々ではありますが、ごく一般論として述べれば、クラウドクレジットの募集ファンドの期待利回りは、他のソーシャルレンディング・サービスの募集案件と比較して、ある程度高めに設定されていることが多い、と言えましょう。


(※)クラウドクレジットで募集されているファンドは、

  • 第二種金融商品取引業登録事業者である、クラウドクレジット株式会社が、投資家からの投資を募集し、
  • ファンド(匿名組合)の営業者にあたる、クラウドクレジット・ファンディング合同会社が、クラウドクレジット株式会社の「海外子会社」に対して、同一企業グループ間融資(=貸金業法の適用が除外される)に対して融資し、
  • この「海外子会社」が、日本国外の資金需要者に対して、融資を行う等する(=日本国外で行われる金銭消費貸借なので、日本の貸金業法が適用除外される)。

というスキームを主に採っています。
このため、日本の貸金業法の規制を受けることが無く、日本の利息制限法の定める上限を超える貸付金利での融資を行うことが出来る、という仕組みとされています。

ファンドの運用期間を選ぶことが出来る

ファンド名 ファンド運用予定期間
【円建て】東欧金融事業者支援ファンド95号【償還実績あり】 13ヵ月
【円建て】東欧金融事業者支援ファンド96号【償還実績あり】 19ヵ月
【タンザニアシリング建て】東アフリカ金融事業者支援ファンド18号【償還実績あり】 25ヵ月
【ロシアルーブル建て】ロシア公共事業セクター金融事業者ファンド17号【償還実績あり】 10ヵ月
【モンゴルトゥグルグ建て】モンゴル金融事業者支援ファンド29号【償還実績あり】 16ヵ月


引用元:クラウドクレジットHP

上記は、これまでにクラウドクレジットにて募集されたことのあるファンドの、運用予定期間例です。
上記5例だけでも、

  • 予定運用期間が短いものでは、10ヶ月程度、
  • 逆に、予定運用期間が長い物では、2年間程度、と、

様々な運用期間を予定するファンド(※1)が募集されていることが分かります。

後述するように、クラウドクレジットを含む、日本のソーシャルレンディング・サービスのほとんどで、ファンドへの出資の中途解約は、「原則として不可」とされています。
こうした事情を踏まえ、投資家としては、自身の資金力や、利息許容度等に応じて、「このくらいの期間であれば、資金が手元を離れても大丈夫だろう」と検討したうえで、ファンドの選択・出資判断を行うことが出来ます(※2)。


(※1)一般的に、運用予定期間が長いファンドのほうが、短いファンドよりも、期待利回りが高く設定されています。これは、「運用期間が長い場合、投資家は、運用期間が短いファンドよりも多量に、”時間リスク”を負うこととなるため」と考えられています。
(※2)ただし、融資先企業からの元利金返済が遅延した場合等においては、ファンドの運用期間が変更となる(延長となる)場合がありますので、留意が必要です。

融資先の対象国・通貨などを考慮して、ファンドを選択できる

ファンド名 貸付通貨
バルカン地域オンライン金融事業者ファンド13号 円建て
東欧金融事業者支援ファンド8号 メキシコペソ建て
モンゴル金融事業者支援ファンド27号 モンゴルトゥグルグ建て
アフリカ未電化地域支援ファンド21号 ケニアシリング建て
ロシア公共事業セクター金融事業者ファンド16号 ロシアルーブル建て


引用元:クラウドクレジットHP

上記は、これまでにクラウドクレジットにて募集されたファンドの、「実質的な貸付先に対する貸付通貨」を表にしたものです(一部)。
日本円建てはもとより、

  • メキシコペソや、
  • モンゴルトゥグルグ、
  • ロシアルーブルなど、

様々な通貨建てで、融資先のへの貸付が行われていることが分かります。

そして、融資先への貸付が外貨建てである場合、そのファンドの最終的な損益・成績は、為替変動の影響も受けることとなります。
ファンドの運用終了期頃にかけて、貸付通貨が(日本円に対して)値上がりしていくことが予想出来る場合、

  • ファンドの(現地通貨建てでの)運用成果と、
  • 為替差益(※)の、

両取りを狙う、という投資手法も、取ることが可能です。

たとえば、1ドル100円のタイミングで、予定年利5パーセントの米ドル建てファンドに、10万円(1,000ドル)を、1年間、投資する、とします。
もし、ファンドが予定通りの投資成績(現地通貨建て)を挙げれば、元本は、1,050ドル(1,000ドル×1.05)に増えているはずです。
そして、そのファンドが償還を迎える時点での為替レートが、1ドル=110円であれば、日本円建てで償還される元本は、11万5,500円となります。
これは、もともとの元本(10万円)に対して、15パーセント以上の利益が乗っている計算になります。

  • ファンドの運用成績は、従前予定通りであったとしても、
  • 為替変動が、投資家有利な方向に働いていれば、

為替差益が生じ、予定を上回る利回りを収受できる可能性がある、ということです。


※ただし、逆に、為替が、投資家にとって不利な方向へと働いてしまった場合、為替差損が生じ、たとえ現地通貨建てでのファンド運用は好調であったとしても、最終的な日本円建て元本が、毀損してしまう、という可能性があります。

各ファンド・シリーズの償還歴は公開されている

クラウドクレジットでは、各ファンドを「シリーズ」形式で募集しており、各シリーズの過去ファンドの満期償還実績を、オンラインで公開しています。

  • ペルー小口債務者支援プロジェクト
  • リトアニア個人向けローンファンド
  • 東欧金融事業者支援ファンド
  • マイクロローン事業者ファンド
  • ジョージアマイクロローン事業者ファンド
  • カメルーン中小企業支援プロジェクト
  • バルト三国自動車リースファンド
  • イタリア消費者ローン・ファンド
  • 北欧不動産ローンファンド

など、様々なシリーズ・ファンドの、過去号の償還実績が掲載されているため、投資家としては、各シリーズの過去号の運用成績を閲覧したうえで、出資先ファンドの検討を行うことが可能です。

分散投資を容易にする「パッケージ」型商品も提供されている

クラウドクレジットでは、かねてより投資家向けブログ等を通して、複数ファンドへの分散投資の徹底を、投資家に呼びかけています。
そして、サービス面においても、投資家の分散投資をより容易にすべく、他のソーシャルレンディング・サービスにはない取り組みとして、「複数のファンドをまとめた、”パッケージ型商品”の提供」を行っています。

これまでにクラウドクレジットで提供されたパッケージ型商品としては、下記のような物があります。

  • 社会的インパクト重視型パッケージ:
    女性起業家支援ファンドや、ソーラー事業者支援ファンド、協同組合支援ファンドなど、投資の「社会的インパクト」を重視したファンドをパッケージ化したもの。
  • バランス型パッケージ:
    融資先事業者通貨、貸付期間(予定運用期間)の組合せが異なるファンドをパッケージ化し、全体的なバランスを重視した商品。
  • 短期運用型パッケージ:
    予定運用期間が短い(13か月以内)ファンドを組み合わせたもの。「時間リスクをとりたくない」という投資家の意向に対応したパッケージ商品。
  • 先進国通貨パッケージ(円重視タイプ):
    円建てファンドを8割以上組み入れ、全体としても、先進国通貨建ての融資ファンドに特化したパッケージ。為替リスクを極力抑えることを目的としたパッケージ。

借り手の匿名化解除にも積極的に対応

日本のソーシャルレンディング業界では、長きに渡り、融資先の具体的な情報(商号や、所在地等)については、投資家に対して、非開示、とされてきていました。
もしも、融資先情報が投資家に知れてしまえば、実質的に、(貸金業の登録を受けていない)投資家が、ソーシャルレンディング事業者を経由して、借り手企業に対し、貸金業と営んでいるのと同質では、と解釈される危険があったため、です。

しかし、この「融資先匿名化」という慣習を隠れ蓑にするようにして、一部の悪質なソーシャルレンディング事業者が、不正行為を働くケースが続出。
事態を重く見た金融庁は、ノンアクションレター制度に拠る形で、「ソーシャルレンディングに対して投資する、という投資家の行為は、貸金業行為に当たらない。ひいては、ソーシャルレンディング事業者は、投資家に対し、借り手情報を開示しても差支えない」という、公的見解を発表。

以後、情報公開に積極的なソーシャルレンディング事業者を中心に、融資先の匿名化解除を進める動きが活発化したのですが、クラウドクレジットは、その中でも、最も積極的に、借り手情報情報開示を進めてきたソーシャルレンディング事業者のひとつです。

2020年3月の時点までに、

  • 「シンガポール広告代理店ベンチャー企業支援ファンド」シリーズ
  • 「中東地域ソーラー事業者支援ファンド」シリーズ
  • 「欧州フィンテック事業者支援ファンド」シリーズ
  • 「マイクロローン事業者ファンド」シリーズ
  • 「ブルガリア中小企業向けローンファンド」シリーズ

など、大多数のファンド・シリーズで、融資先の匿名化解除を実施しています。

クラウドクレジットのソーシャルレンディング案件への投資のリスク・デメリット

上記したように、様々なメリットがある、クラウドクレジットのソーシャルレンディング・ファンドへの投資ですが、実際の投資にあたっては、併せて、下記のようなリスク・デメリットにも、あらかじめ、留意をしておく必要があります。

元本割れのリスクがある

クラウドクレジットはもとより、ソーシャルレンディング事業者は、融資先から回収することに成功した利息、及び、元金を元手にして、投資家に対する分配、及び、元本償還を実施します。
借り手が経営破綻するなどして、ソーシャルレンディング事業者が、貸付元本全額の回収を行うことが出来なかった場合、投資家の出資元本についても、毀損が生じる(元本割れする)こととなります。

また、クラウドクレジットの「外貨建て」ファンドの場合、上述の通り、ファンドの最終的な(円建ての)成績が、為替変動の影響を受けることとなります。
為替変動の方向によっては、

  • たとえ、ファンドの(現地通貨建ての)運用自体は、順調に終わったとしても、
  • 為替変動の影響によって、為替差損が生じ、その差損の規模が、ファンドの現地事業の利回りを超過してしまった場合、

円建てで償還した出資元本が、元本割れしてしまう、というリスクがあります。

出資の中途解約が出来ない

国内の一般的なソーシャルレンディング・サービスと同様、クラウドクレジットの場合でも、ファンドへの出資の中途解約は、原則として受け付けていません。
また、クラウドクレジットの場合、上記でも見て参りましたように、2年間の運用を予定するような、「想定運用期間が長いファンド」も存在します。

実際の出資にあたっては、「(少なくとも)ファンドの運用期間中は、出資資金の返金・換金は出来ない」という、流動性上のリスク・デメリットを、しっかりと把握しておく必要があります。

税務上のメリットが無く、確定申告義務が生じるケースもある

投資家がクラウドクレジットから受け取る「分配金」は、現行の所得税法下では「雑所得」に該当し、総合課税の対象とされています。
上場企業株式投資のように「申告分離課税制度」を利用することは出来ないほか、実物不動産投資等では一般的な、「損益通算」「(損失の)繰越控除」といった仕組みも、活用が認められていません(※1)。

さらに、クラウドクレジットから受け取る分配金の、年間総額によっては、
「これまでは、会社の年末調整に任せきりで、自分では確定申告をしたことが無い」
という方の場合でも、所得税の確定申告が必要となる場合があります(※2)。


(※1)及び(※2)とも、他のソーシャルレンディング事業者の場合でも、事情は同様です。

レバレッジは活用できず、「短期で大きな利益を上げる」ことは困難

現物不動産投資(アパート経営や、投資用マンションの購入など)の場合、銀行融資によって投資用資金を拡充する、いわゆる「レバレッジ」の活用が一般的です。
また、専業投資家等にも人気の高いFX投資の場合、運営会社に預託する「証拠金」の25倍(日本の場合)の規模まで、レバレッジを用いた外貨取引を行うことが可能です。

しかしながら、クラウドクレジットを始めとするソーシャルレンディング投資の場合、上記のような「レバレッジ投資」を行うことは、原則、不可能です。

また、あくまでも、「ソーシャルレンディング事業者側から送金されてくる分配金を、利益として、コツコツと積み上げていく」という投資手法となるため、株式投資やFX投資のように、「短期集中型で、大きな利益を上げる」ことを目的とした投資には、不向きです。

Author Info

fill.media
fill.mediaの公式サイト。ソーシャルレンディング業界ニュースや、国内の各ソーシャルレンディング事業者に関する最新情報等、様々な投資関連情報を提供している。
公開済記事コンテンツは1,200件超、登録読者に向け無料にて発信しているニュース・メールの累計配信数は、8,000通を突破している。

メディア掲載歴(一部・順不同)
・朝日新聞デジタル&m
・財経新聞
・SankeiBiz
・RBBTODAY
・楽天Infoseekニュース
・excite.ニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス
・Mapionニュース
・NewsPicks
・ビズハック
・MONEY ZONE
・Resemom
・SANSPO.COM
・Trend Times
・zakzak
・とれまがニュース
・徳島新聞

コメントを残す

コメントは当ラボによる承認作業後に自動掲載されます。