インデックス投資は、毎月いくらから始めればいい?NISAやロボアドバイザー利用によってシーン別に解説
みんな、いくらから始めてる?昨今話題のインデックス投資とは
インデックス投資のメリット
投資家がインデックス投資に取り組む場合、実際に「いくらから始めるか」という変数による程度の差こそあれども、基本的には、下記のようなメリットに期待できるものとされています。
インデックス投資は低コスト
インデックス投資の場合、アクティブ・ファンドよりも圧倒的に信託報酬料率の安い、パッシブ・ファンドを利用できるというメリットがります。
また、
- 買い付け手数料の「ノーロード型」ファンドや、
- 信託財産留保額ゼロパーセント、というファンドも多く、
全体的に見て、コスト面で優れている、という利点があります。
iDeCo、並びに、つみたてNISAのメリットを最大限活用できる
インデックス投資の場合、iDeCoやつみたてNISAといった、政府の公的な投資支援制度のメリットを、最大限に活用することが出来ます。
例えば、つみたてNISAの場合、つみたてNISA口座で取得できるのは、金融庁の認定した投資信託銘柄のみ、という限定条件がありますが、全200銘柄前後の認定銘柄のうち、大半は、インデックス投資向けのパッシブ・ファンドが占めています。
投資家の手間暇がかからない
- (「市場全体」へと投資することが可能となるため、)個別の株式銘柄選びが不要となる
- 基本的には長期のバイ&ホールド運用となるため、日々の値動きを追い続ける必要が無い
- 個別銘柄投資と違い、「悪材料が出たのに自分だけ知らずに逃げ遅れる」「特定の銘柄に買い材料が出たのに、自分だけ買い遅れる」などという懸念がない
- 自動積立投資設定をしておけば、あとは半自動的にに資産形成が為される
リスク低減の仕組みが整備されている
インデックス投資の場合、個別の株式銘柄ではなく、数百~数千もの銘柄を(インデックス・ファンドを通じて)投資対象とするため、個別の株式銘柄ごとの非システマティック・リスクを排除できる、という、大きなメリットがあります。
また、複数の資産クラスへの分散投資によって、資産クラス同士の値動きの相違(時には、逆行)により、ポートフォリオ全体の値動き(ボラティリティ)を低位に保つ効果が期待できる、とされています。
複利効果が最大化しやすい
インデックス投資向けには、各運用会社から、いわゆる「無分配型」の投資信託も、複数提供されています。
無分配型のファンドの場合、投資信託が、保有する株式からの配当金を投資家に対して分配せず、そのまま株式の追加取得に充てる、という仕組みが採用されています。
分配金が課税によって目減りしてしまうことがないため、複利効果が最大化される、という利点があります。
毎月100円程度の少額から、自動積立投資が設定できる
「インデックス投資を始めてみたいが、まとまった投資用資金を用意することが難しい」というユーザーは多いもの。
「一体いくらから投資を始めればいいのか分からない」という人は、まずは、楽天証券やSBI証券、マネックス証券などのネット系証券会社を利用して、毎月100円程度の少額から始めてみるのも、良案と言えます。
参考:
インデックス投資のメリット・デメリットとは|分散投資によるリスク低減、信託報酬の安い投資信託の活用メリット等を検証
インデックス投資のデメリット
「インデックスに含まれているから」というだけの理由で買われる株が出現する
インデックス投資家の大半は、投資対象としているインデックス・ファンドがポートフォリオに組み入れている、各個別銘柄の、細かなファンダメンタルズや業績については、そこまでチェックをしていません(極論すれば、そうした作業が面倒だからこそ、インデックス・ファンドに投資をしている、というのが実情でしょう)。
このため、結果的には、「インデックスに含まれている」というだけの理由で、業績や将来性とは無関係に株が買われる企業が多発することとなり、間接的に、バブルの誘因となる恐れが指摘されています。
「世界経済の長期的な成長継続」については、疑問視する声も
インデックス投資の長期的な成功のためには、その前提条件として、「世界経済が、今後とも成長を継続すること」が、必要条件とされています。
しかしながら、本格的な人口減少社会の到来を目前に控え、世界経済が、今後も、過去数十年間の間に記録してきたような高成長を継続できるのか、どうかは、疑問視されています。
投資信託選びに手間暇がかかる
まず、ひとつの資産クラス(例:日本株式)に対して、インデックスが複数存在します(例:日経平均や、TOPIXなど)。
さらに、ひとつのインデックスに対して、それを追随する投資信託も、複数、提供されています。
投資家がインデックス投資に取り組むにあたっては、国内で数千本が販売されているという投資信託の中から、投資家自身で、自身のインデックス投資に適したファンド(投資信託)を選びぬいていく必要があります。
参考:
インデックス投資は本当に「おすすめ」なのか|おすすめしない理由も徹底検証
インデックス投資はいくらから?
iDeCo&つみたてNISAを用いたインデックス投資は、毎月いくらから?
インデックス投資に取り組む投資家の間では、
- まずは、iDeCo (個人型確定拠出年金制度)の投資可能額を最大限活用した上で、
- まだ毎月の投資資金に、いくらかの余裕がある場合は、別途、つみたてNISA口座で投資を行う、
という流れが、一般化しています。
iDeCoは毎月いくら投資できる?
iDeCoの投資可能額は、その人の就労状況等によって、大きく異なります。
加入資格 | 掛金(月額) |
第1号被保険者(自営業者) | 6.8万円 |
第2号被保険者 |
|
第3号被保険者(専業主婦・主夫) | 2.3万円 |
引用元:iDeCo公式サイト
なお、iDeCo口座での投資には、主に下記のようなメリットがあります。
- 毎月の投資額(拠出金)が、全額、所得控除の対象となる。
- 運用益に関しては、非課税で再投資が出来る。
- 積み立てた資金を、老後の資金として引き出す時にも、その受け取り方に応じて、退職金控除か、公的年金等控除を活用することができ、税制面で優遇されている。
なお、iDeCoでの運用には、合わせて、下記のようなデメリットもありますので、留意が必要です
- 基本的には、60歳になるまで引き出すことができない。
- 専業主婦や主婦など、「そもそも収入がない」と言う人にとっては、所得控除のメリットがあまり感じられない。
- 運用益に関しては、あくまでも課税の繰り延べであり、後述するつみたてNISAのような、完全な非課税での運用というわけではない。
つみたてNISAに毎月いくら積み立てる?
投資家の勤務状況等によって月額の掛け金が異なるiDeCoと異なり、つみたてNISAには、「年額で40万円」という、明確な投資可能上限の定めがあります。
これを、1か月あたりに換算すると、平均して、約3万3千円程度となります。
なお、積み立て新座の投資家の枠で投資をする場合、投資家には、主に下記のようなメリットがあります。
- つみたてNISA口座内での運用に関して、投資信託の値上がり益や分配金に関して、最長で20年間、非課税で運用できる。
- つみたてNISAで取得できる投資信託は、金融金融庁の認定銘柄に限定されているため、投資信託をいたインデックス投資が初めて、と言う投資家においても、投資信託選びが比較的容易になる。
一方、つみたてNISAに伴うデメリットとしては、下記のような点が指摘されています。
- IDeCoとは異なり、毎月いくら投資しようとも、その投資資金は、所得控除の対象とはならない。
- 一般NISAとの、同一年度内の併用はできない。
- 一般NISAと違って、投資ができる対象銘柄が限定されている。
- 一般口座(課税口座)との間で、損益通算が出来ない。また、損失の繰越控除が認められていない。
参考:
「月10万」から始めるインデックス投資の魅力とは|iDeCo&つみたてNISAフル活用で、まずは月10万円の予算消化を目指す
ロボアドバイザーを利用したインデックス投資はいくらから?
投資初心者がインデックス投資に取り組む場合、ウェルスナビやテオなどに代表されるような、いわゆる「投資一任型ロボアドバイザー」を利用することも、ままあります。
一般的に、投資家がインデックス投資に取り組む場合は、
- 自分自身のリスク許容度の診断や
- リスク許容度に見合った、アセットアロケーションの決定
- 資産クラスごとのインデックスの決定
- インデックス型の投資信託の選択
- 投資信託の買い付けや、定期的なリバランス
等と言った作業が必要となりますが、ロボアドバイザーを利用すれば、上記の作業のすべてが、ロボアドバイザー側に一任できることとなります。
なお、国内の大半のロボアドバイザー・サービスで、「毎月いくら投資できるか」という投資可能上限額については、特段の設定はありません。
投資家の資金余力が許す限り、ある程度大きな金額でも投資を行うことができるというのは、ロボアドバイザーを利用したインデックス投資のメリットの1つとされています。
また、各ロボアドバイザーごとの「最低投資額」(=いくらから投資を行えるか、の基準)としては、1万円~10万円程度で設定されており、毎月の積立投資についても、1万円程度の少額から設定可能、とされているロボアドバイザーが殆どです。
ロボアドバイザーを利用したインデックス投資のメリット
- インデックス投資初心者でも、複数の資産クラス(アセットクラス)にまたがった、マルチアセット・ポートフォリオを、比較的容易に構築・運用することが出来る。また、資産クラスの分散により、資産クラス同士の値動きの逆行(≒逆相関)により、ポートフォリオ全体のリスクを低く保つ効果が期待できる、とされている(現代ポートフォリオ理論)。
- 本来分配金について手動による再投資が必要な上場投資信託(ETF)の場合も、ロボアドバイザーが自動的に分配金を再投資(ETFの追加取得)に回してくれる(※ただし、再投資されるのは、あくまでも「課税後」の分配金であることに要注意)。
- 本来は株数単位での買い付けが原則(=非上場投資信託のように、金額指定での買い付けが出来ない)とされるETFについても、「ETF少額買い付け機能」を搭載しているロボアドバイザーの場合は、より少額から(例:1,000分の1単位)、ETFの買い付けを行うことが出来る(例:ウェルスナビのミリトレ機能)。また、ETFの買い付けにあたり、投資家が売買手数料を負担する必要が無い。
- つみたてNISAやiDeCo口座と違い、月々の投資可能額に、上限が設定されていない。また、分割投資(積立投資)のみならず、一括投資にも対応している。
- 同じ投資一任型サービスと言える、証券会社・金融機関の提供する「ファンドラップ」サービスと比較すると、利用手数料が廉価であると言える(証券会社等のファンドラップ・サービスの場合、預かり資産残高の2パーセント程度の手数料が必要だが、ロボアドバイザーの場合、手数料料率は年率1パーセント程度)。
- インデックス投資に投資家の感情が入り込む余地がないため、狼狽売りなど、投資家の感情的な動揺によって、トレードが影響を受けてしまう可能性が軽減されている(=インデックス投資の王道とされる、長期投資が実現しやすい)。
インデックス投資におけるロボアドバイザー利用の注意点
- ロボアドバイザーを用いて、インデックス・ファンドを取得・保有する場合、インデックス・ファンド自体の信託報酬等に加えて、ロボアドバイザーに対して「ロボアドバイザー利用手数料」を支払う必要が生じるため、コストが二重となる。トータルコストは年率1パーセント強程度以上となるため、インデックス投資の最大のメリットと言われる「低コスト」の原則が揺らぐこととなる。
- ロボアドバイザーの行う分散投資(複数の資産クラスへの分散)に対しては、特に債券クラス保有の効用を中心に、その効能を疑問視する声もある(≒資産クラス同士の間の相関係数が高まっているため、現代ポートフォリオ理論に従って運用したとしても、かつてのようなリスク低減効果が得られにくくなってきている)。
- 海外ETFを取得・保有するロボアドバイザーの場合、最終的な円建てでの投資成績が、米ドル/日本円の間の為替の値動きの影響を受けることとなる(為替差益の可能性がある一方で、為替差損を被るダウンサイド・リスクもある)。
- インデックス投資に纏わる様々な投資プロセスの全てを、ロボアドバイザーに一任することとなるため、投資家自身に、インデックス投資に関する知識・ノウハウが、全く蓄積されない。
- インデックス投資家から絶大な支持を集める、「iDeCo」、及び「つみたてNISA」の利用が出来ない(投資一任型ロボアドバイザーの場合)。
- ロボアドバイザーの実施する自動的なリバランスによって、含み益が実現して課税関係が生じたり、期待利回りの高い株式系資産クラスが売却され将来的な期待リターンが低下する、等と言ったデメリットがある。
参考:
インデックス投資は、やめた方がいい?「インデックス投資はやめとけ」と言われる理由とは
投資信託を利用せずにインデックス投資をする場合、いくらかかる?
目下、日本国内では、インデックス投資を行う場合、投資信託を活用することが一般的とされていますが、何も、「投資信託を利用しないと、インデックス投資をしてはならない」などと言うルールがあるわけではありません。
インデックス指数通りにポートフォリオを整えるのは、ほぼ不可能
問題は、投資信託を利用しない限り、投資家自身が、インデックス指数の通りにポートフォリオを構築する事は、極めて難しい、と言うことです。
インデックス指数には、数百から、場合によっては数千もの銘柄が含まれますから、その全てを購入する場合、各銘柄の最低取得株数(単元)などを考慮すると、一体いくらかかるか、途方もない金額となります。
また、インデックス指数ごとのポートフォリオの内容は、定期的に組み替えられますので、その都度、投資家自身で、銘柄の入れ替えをしなければならない、と言うのも、大変な作業です。
多少のトラッキングエラーを許容するなら、自力でもインデックス・ファンドなみのポートフォリオ構築が可能?
上記したように、投資家自身で、インデックス指数と「全く同じポートフォリオ」を構築・運用する事は、極めて困難ではありますが、そこまでの完璧さを求めないのであれば(≒一定のトラッキングエラーを許容するのであれば)、投資家自身で、インデックス投資向きのポートフォリオを構築することも、決して不可能ではありません。
インデックス指数と全く同じように。すべての銘柄をポートフォリオに含めようとするのではなく、インデックス指数の組み入れ上位銘柄のみに絞って購入するなどすれば、いくらかの投資資金のある投資家であれば、ある程度、インデックスに連動したポートフォリオを構築・運用することが可能です。
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