FIREは「胡散臭い」のか|FIREが胡散臭いと言われる理由&今後の展望を解説

FIREが「胡散臭い」と言われる理由

昨今、特に若い会社員の間では、大きな関心・注目を集めつつある、FIRE。
しかしながら、まだまだ、「どこか胡散臭い」を感じる人も、少なくないようです。

FIRE達成者はなかなか身近に存在しない

FIREが「胡散臭い」と言われる理由
FIREを達成し、悠々自適のセカンドライフ満喫中-そんなロールモデルがなかなか身近にいない、というのも、FIREが「胡散臭い」と思われてしまう理由のひとつと言えます。
※画像はイメージです。

FIREと呼ばれるムーブメントが、日本に上陸してから、まだ数年しか経過しておらず、日本の一般的な会社員サラリーマンの間では、FIREムーブメントは、まだ、十分に根付いているとは到底言い難いのが実情です。

当然、社会的な認知もされておらず、「FIRE」と聞いても、それが、経済的な独立を確保した上での、会社からの早期退職を目指すムーブメントである、と即答できる人は、むしろ少数派でしょう。

当然のことながら、身近には、FIREを達成して、セカンドライフを満喫している人など、なかなかいない、というのが現実的なところです。
自分自身のロールモデルとなるような、FIRE達成者を、実生活の中で探すのは、どのような人にとっても、なかなか大変なことです。

結局のところ、FIRE達成を積極的に喧伝しているのは、まだ実際に会ったことがないような、ブログの執筆者・管理人や、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNS上で、FIRE達成後の華やかな生活をアップしているような人たちばかりです。

会ったことがない以上、そうした人たちが本当に実在しているのかどうかも定かではなく、当然のことながら、胡散臭い、と感じてしまうのも自然なことです。


参考:
FIRE(早期退職)実現のためには、結局、いくら必要なのか|毎月の貯金額も検討

FIREの話題には、どうしても、投資の話が付いて回る

少しでも、FIRE達成を早めるためには、本業で稼ぎ、稼いだ資金を貯蓄する、と言うだけでは、どうしても不十分であり、貯めた資金に関して、「お金にも働いてもらう」、すなわち、資産運用に回すことが、不可欠となります。

また、FIRE、特に、早期退職後の副業従事などを前提としない、いわゆる「フルFIRE」と呼ばれるFIREにおいては、FIRE達成後の生活費の全般は、

  • 国からの年金と、
  • 自分自身が蓄積した資金を元本とする資産運用から得る、分配金や配当金等を元手に、

賄っていく必要がある、とされています。

このように、FIREについて語る以上、投資の話題を避けて通ることは不可能であり、FIREの話題には、どうしても、投資関連の情報がついて回ることとなります。

これに対して、日本では、まだ、「投資=胡散臭い」、と言う印象を抱いている人が少なくありません。
このため、投資と一体化して語られることの多いFIREに関しても、「なんとなく胡散臭い」と、警戒感を抱いてしまう人が少なくないのも事実です。

アメリカ人著者による書籍を直訳したFIRE本では、非現実的な数値が語られることが多い

書店等に並んでいるFIRE本などを購読していると、FIRE達成の最低必要条件として、

  • 年間の生活費の25倍に相当する金額を貯蓄したり、
  • FIRE後においては、税引き後の利回りとして、年率4%でコンスタントな運用を続ける、など、

極めて大仰な数字が多く述べられています。

「年間生活費の25倍貯蓄」は、極めてハードルが高い

そもそも、年間生活費の25倍分相当額もの大きな金額を貯蓄する事は、一般の会社員にとっては、極めて困難なことです。
例えば、手取りの年収が500万円で、年間の生活費を400万円に抑え、毎年100万円を貯蓄・投資に回している会社員がいた、と仮定します。
この会社員の年間生活費の25倍に相当する金額は、1億円(=400万円×25倍)です。
そして、この会社員は、毎年100万円を、貯蓄と資産運用に回していますから、合計1億円を貯めるまでには、100年(=1億円÷100万円)もの歳月がかかることとなります。


参考:
日本のFIREの問題点|日本版FIREが「無理」「無謀」と言われる理由とは

ネット利回り4パーセントの資産運用も、簡単なことではない

また、「年率4パーセント運用を長期継続する」という点も、決して簡単なことではありません。
税引き後で、かつ、インフレーション率(物価の上昇率)の控除後で、年率4パーセントの運用益が必要、と言う事は、税引き前、かつインフレーション控除前であれば、場合によっては、必要な利回りは、年率で10パーセント程度に達することも十分に考えられます。

銀行の定期預金利息等と比較する事は無意味ですが、

それだけの税引き前・インフレ率向上前の利回りを確保する事は、決して簡単なことではありません。

そもそも、アメリカ版FIRE本が日本語に直訳されていることに問題がある

そもそも、アメリカ版FIRE本が日本語に直訳されていることに問題がある
FIREムーブメント発祥の地であるアメリカと、日本との間には、社会制度にもライフスタイルにも、様々な違いがあります。
※画像はイメージです。

上記したようなFIREに関する様々な弊害・誤解は、アメリカ版FIREの内容が、そのまま直訳されて、日本で「FIRE指南書」として広がってしまっていることに原因があります。

日本と比べて公的年金制度が充実していないアメリカでは、確かに、FIRE後の生活費の大半を、それまでの貯蓄や運用益で賄う必要がありますが、曲がりなりにも、年金制度がそれなりに機能している日本の場合、事情は相当に異なります。

また、FIRE達成後の健康保険に関しても、日本の場合であれば、たとえ企業に就職・勤務していなくても、所定の保険料を支払っていれば、国民健康保険の被保険者となることができます。
これに対して、アメリカの場合、健康保険を従業員向けに提供している会社に勤めていない限り、自分で民間の保険会社に対して加入しないと、健康保険制度を利用することはできません。
このため、必然的に、高額な健康保険料、ないしは、見込み医療費を、必要生活費の一部として見込んでおく必要があります。

さらに、アメリカでは、トレーラー・ハウスに生活したり、山奥にキャビンを建てて生活するなど、生活スタイルも実に多種多様です。
日本では、若い夫婦が子供と一緒に山奥に暮らしていると、それだけでテレビ取材を受けるほどに珍しがられますが、アメリカには、「ホームスクール制度」という就学制度もあり、子連れで山暮らしをしている家族も少なくありません。
当然、生活にかかる一般的な生活費にも、かなりの幅があるのが実情で、

  • ニューヨークの中心地で、賃貸型の高層マンションに家族で暮らし、子供をプライベートスクールに通わせている家族と、
  • 山中に自分たちで建設した小屋(ロッジ)に暮らし、ホームスクール制度を活用して子供には自宅学習をさせている家族では、

生活コストに、数十倍の差が生じることもざらです。

また、日本の日経平均株価が、未だにバブル崩壊前の水準を回復できないなか、アメリカの株式市場のインデックス指数は、直近数十年間だけで、数十倍にも及ぶ成長を見せました。
こうした市場の成長度・成長スピードの違いを考量すると、「年率4パーセントの運用益(値上がり益)」というものへのイメージも、当然、日米の間で、大きな違いが生じることとなります。

さらにアメリカの場合、日本と違って、小規模な事業を興して、それを上場企業等の大型企業へと売却するM&Aが、草の根レベルでも積極的に行われています。
学生が創業したベンチャービジネスを、当該学生が実際に卒業してしまう前に、大企業が数億円程度の金額で買い取る、などといった事例も多く見られますので、いわゆる「小金持ち」に該当するような人たちも、たくさん存在します。

これらの違いを一切無視して、

  • 年間生活費の25倍相当額と貯蓄
  • 手取り利回り4パーセントで資産運用

という2点のみを鵜呑みにして、アメリカのFIRE本を、日本のFIREの指南書として直接導入するとなると、様々な弊害が生じ、どうしても、非現実的な数字が並ぶことによって、「なんだか胡散臭い」という印象が強くなることとなります。


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FIRE=胡散臭い、は本当か

FIREは、欧米では数年前から広がっているムーブメントであり、社会定着もしつつある

日本では、「どうも胡散臭い」という印象で語られることもあるFIREですが、日本以外の経済先進国、特に欧米諸国では、ひとつのライフスタイルとして、少しずつではありますが、受け入れられつつあるのも実情です。

実際に、実名で書籍を出版しているFIRE達成者も多くいますし、FIREの様子を描いたドキュメンタリー番組も、数多く制作・放映されています。

そもそも、欧米で最初に流行した「ミニマリスト」等と呼ばれる生き方も、日本では、なかなか一般的な認知を得るのに苦労しました。
また、同じく欧米から発展してきた、菜食主義者、ヴィーガン、などといったライフスタイルに関しても、日本で広く受け入れられるようになってきたのは、つい最近のことです。

FIREに関しても、将来的にはいつしか、これまで受け入れられてきた、欧米発の新たなライフスタイルの一種として、日本でも浸透していくのかもしれません。

日本版FIREの指南書なども出てきている

前述したように、これまで、FIREの指南書といえば、アメリカ人著者によるFIRE本をただ直訳したものが多く、両国の違いを無視した条件構成等から、「なんだか非現実的で、胡散臭い」との印象を生む要因ともなってきました。

しかし、昨今では、いわゆる「日本版FIRE」の解説書も数点、執筆されており、Amazon等の通販サイトを通して、購入することが出来るようになってきています。

こうした「日本版FIRE」の解説書では、

  • 日本独自の公的年金制度や、
  • 健康保険制度、といった社会保障制度の内容を踏まえた上で、
  • 日本独自の慣習や家族構成、
  • ライフスタイルに関する考え方、
  • 多様性の受け入れ方等を考慮し、
  • さらに、日本企業独自の退職金制度なども勘案に入れた上で、

日本に住み、日本の会社に勤めるサラリーマンが、どのようにFIREを目指していくべきかが、具体的に記されています。

完全早期退職、だけがFIREではない。

FIREに対して、懐疑的な見解を取り、胡散臭い、と感じる人たちの多くが、「FIRE=完全な早期退職(以後は一切働かない)」、と考えている節があります。
しかしながら、FIREは、必ずしも1種類のものだけではなく、欧米では、すでに4種類ものFIREスタイルが誕生・提唱されています。

日本人の多くが「胡散臭い」というイメージで見ているFIREは、複数種類あるFIREのうち、いわゆる「ファットFIRE」と呼ばれるものです。
これは、FIRE達成後も、それまでの生活水準は一切落とすことなく、悠々自適のセカンドライフを楽しもう、というライフスタイルを示すものであり、実現には、途方もない額の貯蓄・運用元本が必要となるため、一般的なサラリーマンがこのFIREスタイルを目指していくのは確かに難があり、それをまるで簡単なもののように語るFIREムーブメントに対して、一定の「胡散臭さ」を感じるのは自然なことです。

しかしながらFIREには、前述のファットFIREのほかに、

  • リーンFIRE
  • バリスタFIRE
  • コーストFIRE

と言われる3つの種類があり、それぞれの人々の生活様式や、収入のボリューム、毎月の支出の程度や家族構成に応じて、自分自身に見合ったFIREを選択することが可能であるとされています。

例えば、リーンFIRE(Lean FIRE)と呼ばれるFIREスタイルの場合、FIRE達成後の生活費を極力切り詰めることによって、ファットFIREほどには莫大な投資資産元本を蓄積することなく、就業生活からの完全な早期リタイヤを実現しようという考え方です。

例えば、独身の人であれば、実家に仮住まいすることを検討したり、家族で生活している人であれば、日本よりも生活コストの安い東南アジアなどの新興国に移住してしまえば、月々の生活コストは、数分の1、場合によっては数分の1にまで切り詰めていくことができます。
このようにして、収入と支出の家質の部分も圧倒的に切り詰めることによって、FIREの達成を、胡散臭いと忌避するようなレベルから、より現実的なレベルへと引き下げてこよう、と言うムーブメントもあるわけです。

また、「バリスタFIRE」と呼ばれるFIREスタイルの場合、そもそも、FIRE達成後の就労そのものを、否定しません。
FIRE達成によって、心身への負担の大きい、いわゆる「本業」からはセミリタイヤしつつも、その後、アルバイトやパートタイムジョブ、個人事業を含む副業など、体への負担の少ない、ちょっとした仕事に取り組むことによって、毎月の生活費を補填することが、FIRE達成後の前提条件とされています。
前述のリーンFIREと同じく、ファットFIRE達成に求められるような巨額の資産元本は必要なく、ある程度の資産を蓄えている人であれば、比較的気軽に取り組みやすいFIREスタイルとして、昨今日本でも、少しずつ、注目を集めつつあります。

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FIRE(早期リタイア)検証チーム
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