トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社に、ソーシャルレンディング業界初の、登録取り消し処分

ソーシャルレンディングとは

年利3パーセント~10パーセント程度の高い利回りを狙える投資商品として、個人投資家を中心に、広く注目を集めている、新種の投資手法。
従来型の銀行と比べ、柔軟かつスピーディーな審査を期待できるとして、資金重要者からの関心も高まっています。

反面、一部のソーシャルレンディング事業者が、不適切な業務運営によって、監督官庁から行政処分を受けるケースも、複数、発生。
また、行政処分を受けた事業者のファンドを中心に、借り手事業者からソーシャルレンディング事業者に対する元利金返済に、遅延が生じるケースも多発しており、投資家に動揺が広がっています。

トラブルの根源には、貸金業法の規制により、借り手事業者に関する具体的な情報が、投資家に対して開示されない、現行制度の問題点がある、と見る向きも多く、ソーシャルレンディング市場の規模拡大に合わせて、必要な規制緩和や、業界慣習に根差した新たな規制法規の制定等、適正な投資家保護が担保され得る投資環境の整備が急がれます。

エーアイトラストとは

トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社に、ソーシャルレンディング業界初の、登録取り消し処分01

引用元:エーアイトラスト株式会社(https://www.ai-trust.net/)

↑ソーシャルレンディングサービス「トラストレンディング」の運営会社にあたるのが、東京都港区に本社を構える、エーアイトラスト株式会社。
同社の運営するトラストレンディングは、他のソーシャルレンディング事業者のファンドと比べて、高い利回りを誘因に、広く個人投資家の人気を集めていましたが、2018年12月、ファンドの資金募集において、投資家に対する虚偽の表示が為されていたとして、関東財務局から、1カ月間の業務停止命令を含む、行政処分を受けました。

その後、2019年2月に入ってからは、早くとも、2度目の行政処分勧告を受け、当該行政処分勧告に呼応し、2019年3月8日に、同社に対する、2回目の行政処分が下されることとなりました。

トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社に、ソーシャルレンディング業界初の、登録取り消し処分02

参考:エーアイトラストの運営するソーシャルレンディングサービス「トラストレンディング」。昨年の第1回目の行政処分以降、新規ファンドの組成は行われていません。
引用元:トラストレンディング(https://www.trust-lending.net/)

エーアイトラストに下された行政処分内容

トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社に、ソーシャルレンディング業界初の、登録取り消し処分03

引用元:関東財務局「エーアイトラスト株式会社に対する行政処分について」http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000813.html

↑エーアイトラスト株式会社に対し、監督官庁「関東財務局」から、3月8日に下された、第2回目の行政処分内容としては、下記引用のとおり。

2.このため、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。

(1)登録取消し
  関東財務局長(金商)第2601号の登録を取り消す。

(2)業務改善命令
  1)今回の行政処分の内容について、顧客に対し適切に説明を行うこと。
  2)顧客が出資した財産の運用・管理の状況等(資金の使途を含む。)を早急に精査したうえで、顧客に対して、顧客が出資した財産の運用・管理の状況その他必要な事項の説明を行うこと。
  3)顧客が出資した財産の顧客への返還に関する方針を策定し、速やかに実施すること。
  4)投資者間の公平に配慮しつつ、適切な対応を行うなど、投資者保護に万全の措置を講ずること。
  5)上記の対応・実施状況について、完了までの間、書面で随時報告すること。


引用元:関東財務局「エーアイトラスト株式会社に対する行政処分について」http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000813.html

これまでソーシャルレンディング事業者に対して下された行政処分のうち、もっとも重度な物は、「業務停止命令」でしたが、今回、それを上回る重度とされる、「登録取り消し」処分が下されたことにより、エーアイトラスト株式会社運営のソーシャルレンディングサービス「トラストレンディング」へと出資する投資家を中心に、動揺が広がっています。

エーアイトラストの反応は

トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社に、ソーシャルレンディング業界初の、登録取り消し処分04

引用元:エーアイトラスト株式会社「当社に対する行政処分の内容と今後の対応について」https://www.trust-lending.net/topics/2019/2019030801.pdf

↑登録取り消し処分を受けることとなったエーアイトラスト株式会社のホームページには、同社の今後の運営方針について、同社見解が掲載されています。
同社の今後の運営方針に関する公表内容は、下記引用の通り。

今後の運営方針
この度の行政処分を受け、今後、当社はソーシャルレンディングサイト「Trust Lending(ト
ラストレンディング)」における新規会員および新規ファンドの募集は行わず、既存ファンド
の運用業務や資金回収のための業務に注力することとなります。
各ファンドの運用状況、資金回収を目的とした訴訟や協議の進捗等につきましては、引き続
き Trust Lending(トラストレンディング)のホームページへの掲載や、対象となる出資者の
皆様に対するメール配信等を通じてご報告致します。
この度は投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしており
ますことを心よりお詫び申し上げます。


引用元:エーアイトラスト株式会社「当社に対する行政処分の内容と今後の対応について」https://www.trust-lending.net/topics/2019/2019030801.pdf

また、エーアイトラスト株式会社運営「トラストレンディング」のホームページには、「トラストレンディングにて運用中の各ファンドの状況」というPDF資料が公開されています。
当該資料によると、各ファンドの状況としては、下記のとおり。

債権買取ファンド

69~72号, 78~85号
・ 勧告/処分での指摘 : -
・ 事業の実在性 : 事業が行われている。
・ ファンド運用状況 : 通常のファンド運用を継続中

高速道路工事ファンド

105~111号, 113~119号, 122~124号, 127号, 128号, 131~138号
120号, 121号, 125号, 126号, 129号, 130号
・ 勧告/処分での指摘 : 虚偽の表示(2019/03/08付 行政処分)
・ 事業の実在性 : 何れの高速道路工事も行われていない。
・ ファンド運用状況 : 当社の訴訟提起により貸付先は支払停止中

公共事業コンサルファンド

146~154号
・ 勧告/処分での指摘 : 虚偽の表示(2019/03/08付 行政処分)
・ 事業の実在性 : コンサルティング業務が行われていない。
・ ファンド運用状況 : 当社が訴訟に着手したことで貸付先は支払停止中

大型船舶建造ファンド

176~183号, 185~191号, 201号, 202号, 204号
・ 勧告/処分での指摘 : -
・ 事業の実在性 : 船舶の建造が行われている。
・ ファンド運用状況 : 通常のファンド運用を継続中

大型重機ファンド

205号, 206号
・ 勧告/処分での指摘 : -
・ 事業の実在性 : 大型重機が発注されている。
・ ファンド運用状況 : 通常のファンド運用を継続中

船舶艤装品ファンド

93~102号
・ 勧告/処分での指摘 : -
・ 事業の実在性 : 船舶の建造が行われている。
・ ファンド運用状況 : 通常のファンド運用を継続中

除染事業ファンド

139~146号, 155~158号
・ 勧告/処分での指摘 : 虚偽の表示(2018/12/14付 行政処分)
・ 事業の実在性 : 除染事業が行われていない。
・ ファンド運用状況 : 当社が訴訟に着手したことで貸付先は支払停止中

IoT実証実験ファンド

163号, 165~168号, 170~174号
・ 勧告/処分での指摘 : 虚偽の表示(2018/12/14付 行政処分)
・ 事業の実在性 : 大手企業との提携に関する合意は無かった。IoT実証実験は行われている。
・ ファンド運用状況 : 通常のファンド運用を継続中

燃料卸売ファンド

193~200号, 203号, 207~210号
・ 勧告/処分での指摘 : 誤解を生ぜしめるべき表示(2019/03/08付 行政処分)
・ 事業の実在性 : 年間売上30億円の確証は無かった。燃料卸売事業は行われている。
・ ファンド運用状況 : 通常のファンド運用を継続中

※上掲情報は、トラストレンディングホームページ(https://www.trust-lending.net/)にて公開されている、「● トラストレンディングにて運用中の各ファンドの状況」というPDF資料(URL:https://www.trust-lending.net/topics/2019/2019030501.pdf)の内容に基づいています。
正確、かつ最新の一次情報については、トラストレンディングホームページ(https://www.trust-lending.net/)等を御確認頂きますよう、お願い致します。

ソーシャルレンディング業界初の登録取消処分に関する、各社報道状況

近年、複数の業者が、行政処分を受けている、ソーシャルレンディング業界ではありますが、「登録取り消し」処分が下されたのは、今回の「エーアイトラスト株式会社」のケースが初めてとなります。
このため、報道各社も、大きく取り上げています。

NHK「ソーシャルレンディング 初の登録取り消し処分 金融庁」

トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社に、ソーシャルレンディング業界初の、登録取り消し処分05

引用元:NHK NEWSWEB「ソーシャルレンディング 初の登録取り消し処分 金融庁」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190308/k10011841111000.html

朝日新聞「ソーシャルレンディング業者、虚偽の募集 金融庁が処分」

トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社に、ソーシャルレンディング業界初の、登録取り消し処分06

引用元:朝日新聞「ソーシャルレンディング業者、虚偽の募集 金融庁が処分」https://www.asahi.com/articles/ASM385JJCM38ULFA03C.html

トラストレンディング投資家の反応は

ソーシャルレンディング投資家の情報共有サイト「レンダータウン」では、トラストレンディングを運営するエーアイトラスト株式会社に対し、「登録取り消し」処分が下されたことに関し、様々な反応が寄せられています。

この期に及んでまだ返ってくると思ってる人はもう心の準備を開始しておいた方がいいよ
おれは高速でも除染でもないけど、200万だけどもう諦めた

エーアイの立場になったら免取になってもうやる気0だろ
適当にバックれた方が楽と判断するんじゃないか


引用元:レンダータウン「トラストレンディング 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/trust-l-3/

免取になって全案件(通常運用と言われている案件含め)が回収できなくなる可能性ってあるんですか?

可能性は「ある」のかもしれないけど、「高い」のかなぁ。。

引用元:レンダータウン「トラストレンディング 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/trust-l-3/

官僚出身の取締役が大勢いて、しかも、内容が内容だけに、今回の免許取消は当然だった。
身内に甘いと言われるのも嫌だろうからな。


引用元:レンダータウン「トラストレンディング 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/trust-l-3/

免取になったらもう全案件無理っぽくて凹むわ
集団訴訟に参加しても、結局回収できなさそうだし、もう泣き寝入りするしかないのかもね
高い勉強代になりました・・・


引用元:レンダータウン「トラストレンディング 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/trust-l-3/

どっちみち新規の案件募集なんかしないんだから取り消されたって大した影響はない
回収作業だけしてればいい


引用元:レンダータウン「トラストレンディング 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/trust-l-3/

エーアイトラスト貸金業の免許は取り消されていないんだよね?
貸金の営業利益とかいくらくらいなんだろ?


引用元:レンダータウン「トラストレンディング 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/trust-l-3/

免許取消後、問題ないor問題の程度が軽いと言われていた燃料やら船舶やらの案件はどうなるんでしょうか?ちゃんと管理、分配・償還が行われるんでしょうか?

私は高速と燃料に出資してますが、高速はもう諦めます。でも何とか燃料の元本だけは取り戻したい。分配ももう要りません。。

引用元:レンダータウン「トラストレンディング 掲示板3」https://render-town.com/forums/topic/trust-l-3/

今後のエーアイトラスト社の対応、及び、事態全体の先行きに、注目が集まります。

関連記事のご案内

投資家、資金需要者、双方から、高い注目を集めている、ソーシャルレンディング。
しかしながら、業界にまだ未成熟の部分も多く、いくつかの「危険会社」の存在にも、留意が必要です。
ソーシャルレンディング投資をご検討為さるにあたっては、こちらの過去記事も、是非、ご参照下さい。

【ソーシャルレンディング・ラボ】ソーシャルレンディング危険会社ランキング最新版

Author Info

fill.media
fill.mediaの公式サイト。ソーシャルレンディング業界ニュースや、国内の各ソーシャルレンディング事業者に関する最新情報等、様々な投資関連情報を提供している。
公開済記事コンテンツは1,200件超、登録読者に向け無料にて発信しているニュース・メールの累計配信数は、8,000通を突破している。

メディア掲載歴(一部・順不同)
・朝日新聞デジタル&m
・財経新聞
・SankeiBiz
・RBBTODAY
・楽天Infoseekニュース
・excite.ニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス
・Mapionニュース
・NewsPicks
・ビズハック
・MONEY ZONE
・Resemom
・SANSPO.COM
・Trend Times
・zakzak
・とれまがニュース
・徳島新聞