ソーシャルレンディング【Fund-Insight】LENDEX「不動産担保付きローンファンド22号」

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、LENDEXが2018年6月に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「不動産担保付きローンファンド22号」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。

本ソーシャルレンディングファンドへの投資申し込み完了のエビデンス

実は、本ソーシャルレンディングファンドについては、私も、個人的に出資をしています。
LENDEXのマイページ内、「投資履歴」からのスクリーンショットがこちら。

LENDEX投資申込完了01
引用元:LENDEXのマイページから引用。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要情報としては、下記の通りです。
なお、「投資案件1」及び「投資案件2」のうち、資金の大半を融資する、「投資案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

スキーム図

LENDEX投資申込完了02
引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/33/

資金の借り手

事業者M、と表記があります。
京都で宿泊業を営んでいる、とのこと。
同社のこれまでの宿泊関連事業の実績などについては、詳しい記述は確認することが出来ませんでした。

貸付資金の総額

貸付金額上限は2600万円、と記載があります。
後述もする通り、本ファンドは満額募集を達成して募集終了となっていますから、予定通り、2600万円が融資されることとなるでしょう。

借り手の資金使途

事業者Mとしては、本ファンドから借り入れた資金を原資に、古民家再生事業用の不動産を購入し、当該物件を、簡易宿泊所としてリフォームする、とのこと。
その後、旅館業法に基づく簡易宿泊所の許認可を行政より取得したうえで、宿泊施設として運営する、とのことです。
借り入れた資金は、事業者Mの運転資金にも充てられるそうです。

貸付・運用の期間

12か月、とのこと。
※ただし、繰り上げ返済によって、早期償還となっています。詳しくは後述します。

設定担保

事業者Mが今回まさに取得する物件に対し、第1順位の抵当権を設定する、とのこと。
事業者Mが今回取得する予定の物件に関する、東急リバブル株式会社評価額の平均値としては、3,295万円である、とのこと。
貸付総額である2600万円は、上記の評価額に対し、79パーセント程度に相当します。

返済原資

事業者Mとしては、今回購入する不動産を、将来的に、第三者に対して売却し、そして、その売却代金を原資に、LENDEXに対する返済を行う予定である、とのこと。
場合によっては、他の金融機関からの借り換えによって返済原資を確保することも、想定しているようです。

わたしたち個人投資家の期待利回り

9パーセント、とのこと。

資金募集の達成度は

100%の資金募集を達成したファンドです。

運用・返済状況は

本来は2019年6月までの貸付予定でしたが、
借り手事業者からの繰り上げ返済によって、早期償還となりました。
既に、元利金全て、無事に償還してもらっています。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

出資往時、主に下記のように検討・判断を行ったうえで、本ソーシャルレンディングファンドへと投資申込をさせて頂く事に致しました。

京都の宿泊需要の強さは◎

京都市の宿泊需要については、わたしがかつて、Ownersbookの「京都市中京区京町家用地第1号ファンド第1回」へと出資申込の検討を行った際に、いろいろと調べてみたことがあります。

京都市観光協会という、ある程度堅めの印象のあるソースからの情報として、京都市内については、なかなか強い宿泊需要が存在することが確認済でしたので、その点は、今回のLENDEXファンドの検討においても、当然、ポジティブな材料として勘案致しました。

無論、中長期的には、読み切きれない部分が多くあります。
特に懸念されるのは、無許可民泊物件の排除が進めば、大手企業の民泊業への進出がさらに進むはずです。
競争は熾烈を極めるでしょうから、その中で、生き残っていけるのか。
事業者Mが(返済原資確保のために)目論んでいる、本物件の売却は、本当にうまくいくのか。

いろいろと不確定要素は尽きないわけですが、何はともあれ、京都市内の宿泊需要は、少なくとも短期的には、ある程度強い物が見込まれるだろう、と、判断しました。

担保評価には、いささか、疑問

そんな中ではありますが、東急リバブル株式会社による今回の評価額の妥当性については、検証の必要を感じました。

本件不動産の概要として、

  • 京都市右京区に所在。
  • 土地は40平方メートル。
  • 建物の延床面積は70平方メートル。

上記情報が記載されています。

住宅の建設を検討為さったことのある方なら、お分かりだと思いますが、40平方メートルって、本当に狭いです。
坪数にして12坪ちょっとしかないですから。
畳数(帖数)にしても、25帖程度。

上物(建物)については、「古民家」であると表記されていますので、不動産評価としては、基本的に無価値でしょう。

となると、わずか40平方メートルの土地に対して、3,295万円の評価、というわけです。
平方メートル単価は、82万円ほどに上ります。
京都市右京区の土地に対して、この評価、果たして、妥当なのでしょうか。

この点を検証すべく、国土交通省の、「標準地・基準地検索システム」を確認してみると、
京都府京都市右京区において、1平方メートルあたり80万円を上回る公示価格は、平成11年以降、平成30年に至るまでの間、存在せず、
平成30年の最高値としては、

レンデックスのソーシャルレンディングファンド分析
引用元:国土交通省「標準地・基準地検索システム」

上記の72万円強のケースであることが分かります。

勿論、土地値は交渉によって千差万別・ケースバイケースではありますが、
少なくとも公示価格例において、80万円を上回る平方メートル単価について、裏付けが確認できなかったことは、
留意対象となりました。

ものは試しで、最低投資額を投資させて頂きました。

上述致しました通り、

  • 京都市の宿泊需要の強さについては、ある程度、納得しながらも、
  • 担保不動産の評価額については、ちょっと、疑問あり

との解釈により、今回、最低投資額(2万円)の出資とし、様子見としたような次第です。

結果的には、上記した通り、むしろ繰り上げ返済によって早期償還となったわけですから、
”結果オーライ”というところでした。

本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、LENDEXのソーシャルレンディングファンド「不動産担保付きローンファンド22号」を題材に、検証をさせて頂きました。

しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。

しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

利回りや規模、初心者へのおすすめ度等、様々な視座からソーシャルレンディング各社をランキングした、こちらの過去記事も、お時間ございましたら、是非、ご参照下さい。おすすめです。

【ソーシャルレンディング会社ランキング決定版】ファンド案件利回り・投資対象国の分散程度・不動産担保設定率・投資のしやすさ。様々な角度から、国内の大手人気ソーシャルレンディング事業者を徹底検証。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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