国際分散投資型ソーシャルレンディング大手【クラウドクレジット】の実績を徹底分析致します。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

今回実績分析の対象とするクラウドクレジットのファンドがこちら

本記事において、まずは、

  • 東欧金融事業者支援ファンドと、
  • マイクロローン事業者ファンドを、

実績分析の対象とさせて頂きます。
いずれも、わたしが実際に出資をしているファンドです。

実際に満期レポートが発行されているファンドは、非常に多数に上ります。

クラウドクレジット実績01
引用元:https://crowdcredit.jp/operation/index/1

ゆくゆくは、全てのファンドについて、実績分析を行いたい考えですが、まずは上記2ファンドについて、ということで、ご容赦下さい。

クラウドクレジットの「東欧金融事業者支援ファンド」の実績分析

情報参照元は、こちらのページです。

https://crowdcredit.jp/operation/index/6

本記事執筆本日現在で、52件のファンドに関する満期レポートが掲載されていましたので、そちらを元データにさせて頂きました。
元データをスプレッドシートに打ち込んだのがこちらです。
※出資者返済原資は運用手数料控除後の数値です。
※利回りはいずれも年利です。

こうしてデータ化してみると、いろいろなことが見えてきます。

東欧金融事業者支援ファンドで、損益実績がマイナスとなったのは、第1号ファンドのみ

東欧金融事業者支援ファンドのうち、満期レポートが発行されているのは、本記事執筆本日現在で52ファンドに及びます。
このうち、損益実績がマイナスとなったのは、第1号ファンドのうち、為替ヘッジ無、のファンドのみ、です。
その他のファンドは全て、損益プラスで満期を迎えています。

また、第1号ファンド【為替ヘッジ無】が損益マイナスとなってしまった原因については、ある程度、事情斟酌の余地があります。
というのも、第1号ファンドの運用期間は、2016年2月25日から2016年9月25日でした。
この間、為替ヘッジ無、ということは…そう、2016年6月に実施された国民投票の結果決定した、【ブレグジット】の影響を、もろに受けた、ということです。
あの頃、まさかの「EU脱退」という国民投票結果に、世界がざわめきましたね。
その影響で、英ポンドは勿論のこと、ユーロも大幅安となりました。

このため、

運用開始時に1ユーロ当たり123.60円だった換算レートが運用終了時に1ユーロ当たり112.49円へと円高が進行
引用元:https://crowdcredit.jp/operation/entry/3/6

という非常事態が発生。
本ファンドとしては、ユーロ建てでは、当初計画通りの利回りを達成して、満期を迎えたのですが、為替の影響により、最終損益はマイナス、となってしまいました。

このように、マクロ的な巨大事件の影響で、損益マイナスとなってしまったファンドは1ファンド、確かに存在するわけですが、その他のファンドは、損益プラスで、きっちりと満期を迎えているようです。

実現した収益率実績の平均は

年利換算で14.57パーセントとなりました。
平均を大きく引っ張り上げているのが、実は「為替ヘッジ無」のファンドたちであることも、注目に値します。

痛恨の「損益マイナス」を出した「為替ヘッジ無」だが、その他のファンドの場合はむしろ良好な実績を残している。

「為替ヘッジ無」に絞ると、実現した収益率の実績平均は、21.64パーセントまで跳ね上がります。
ちなみに、今回実績が公開されていた全52ファンドのうち、

  • 為替ヘッジあり→28ファンド
  • 為替ヘッジなし→24ファンド

という内訳です。

為替ヘッジ無のファンドの場合、確かに、時期によっては、大きなリスクを抱えることとなりますが、逆に、タイミングが良ければ、大きな為替差益が実現できる可能性もある、ということを、念頭には置いておくべきかもしれません。

為替ヘッジ有りファンドの場合、期待利回りと実現利回りとの差は極めて微小

為替ヘッジ有りファンドの平均実現利回りは、8.76パーセントでした。
これに対して、期待されていた利回りは8.72パーセントですから、極めて精緻な利益予想が為されていることが分かります。

逆に、為替ヘッジ無ファンドの場合、期待利回りと実現利回りとの間のギャップは、平均して11パーセント強になります。
あくまでも、時期によっての「ラッキー」なので、何とも言えませんが、魅力的、と考える人も、少なくないかもしれませんね。

なんだかんだ、為替ヘッジ有りファンドのほうが、資金が集まりやすい?

52件のファンドの投資総額の合計値は、1,055,440,000円、すなわち、10億円超、となっております。
このうち、為替ヘッジ有りファンドは、745,720,000円、すなわち、7億4000万円ほどを占めます。
資金総額のうち7割以上が、為替ヘッジ有りファンドを通して集められている、ということです。
為替ヘッジ有りファンド1件あたりの平均資金額は、約2663万円です。
これに対して、為替ヘッジ無ファンド1件あたりの平均資金額は、1290万円ほど。
約2倍の差が付いていることが分かります。

東欧金融事業者支援ファンドは「あり」か、「なし」か。

公開されている実績を見る限りは、至極魅力的な投資対象であると、わたしは思います。
もっとも、東欧金融事業者支援ファンドは、本記事執筆本日現在で、既に第65号まで組成が進んでおり、

クラウドクレジット実績02
引用元:https://crowdcredit.jp/fund/

このうち、満期実績が公開されていうのは、第32号まで(※本記事執筆本日現在)なわけですから、あと半分のファンドの実績については、未確定、ということです。
この点は、留意を忘れぬようにいたしましょう。

クラウドクレジットの「マイクロローン事業者ファンド」の実績分析

情報参照元は、こちらです。

https://crowdcredit.jp/operation/index/7

こちらも、スプレッドシートにデータを打ち込ませて頂きました。
※出資者返済原資は運用手数料控除後の数値です。
※利回りはいずれも年利です。

マイクロローン事業者ファンドは、為替ヘッジとは(少なくとも既存満期分は)無縁。

先ほど実績分析した、東欧金融事業者支援ファンドでは、多くのファンドに、為替ヘッジがセットアップされていましたが、少なくとも、マイクロローン事業者ファンドの場合は、為替ヘッジがセットアップされていません(※既存満期分)。

ちなみに、本記事執筆本日現在、マイクロローン事業者ファンドでも、為替ヘッジがセットアップされたファンドがちゃんと登場しています。
例えば、これらのファンドです。

【為替ヘッジあり】マイクロローン事業者ファンド17号
【為替ヘッジあり】マイクロローン事業者ファンド16号

「為替ヘッジがないと嫌だ!」という投資家の場合も、一安心ですね。

ロシアルーブル建ては、(時期によって)大苦戦。

上記のスプレッドシートで、ファンドの号数の部分に「ロシア」と書かせていただいたものは、ロシアルーブル建てのファンドです。
「【ロシアルーブル建て】マイクロローン事業者ファンド1号」は非常にうまくいったようですが、その他のロシアルーブル建てファンドは、苦戦したようですね。
特に「【ロシアルーブル建て】マイクロローン事業者ファンド 5 号」に至っては、あともうちょっとで、損益がマイナスとなりかねない状況でした。
ルーブル建てでの運用そのものは、きちんと上手くいったようですが、問題は、為替です。
「【ロシアルーブル建て】マイクロローン事業者ファンド 5 号」の満期報告書にも記載がありますが、

しかしながら、運用開始時に1ルーブル当たり 1.9856 円だった換算レートが運用終了時に1ルーブル当たり 1.7609 円となり円高が進行した結果、円建てでの運用成績がファンド募集時の期待利回りを下回りました。
特に、2018 年 4 月 6 日にトランプ米政権がシリアへの武器売却や米国へのサイバー攻撃等を理由に、ロシアの企業、実業家および政府関係者に対する追加制裁を科すと発表したことを受け、ルーブルが大きく下落したことで、本ファンドの円建てでの収益を圧迫することとなりました。

引用元:https://crowdcredit.jp/img/blog/upload/upload_1525913755.

↑こういう地政学リスクがあるわけですね。
為替ヘッジ無のファンド、特に、ロシアルーブル建てのファンドへと投資を行う際は、可能性論として、忘れずに留意することといたしましょう。

マイクロローン事業者ファンドはまだまだ満期実績公開が少ない。

本記事執筆本日現在では、まだ9件のファンドしか、満期実績が公開されていませんでした。
もう少し満期実績数が増えてきたら、改めて追加考察を行いたい、と考えております。

クラウドクレジットの実績公開姿勢は高評価に値する。

少なくとも満期を迎えたファンドについては、こうしてオンラインで実績公開を行ってくれているわけですから、わたしたち個人投資家としては、非常に助かりますね。
ただし、そのように実績が公開されている以上、それらをきっちりと確認して、柔軟に、かつ慎重に、投資判断を行う責任が、わたしたち個人投資家に、あります。
この点は、重々、留意をすることといたしましょう。

なお、クラウドクレジットが公開している元データのスプレッドシートへの転記等には、転記ミスなどがないよう、出来得る限りの注意を払いましたが、正確な数値については、あくまでも、クラウドクレジット側の公開情報についてもご確認頂きますよう、お願いいたします。

それでは、本記事は一旦ここまで。
また後日、加筆・更新などを進めたいと思います。

追伸:
利回りや規模、初心者へのおすすめ度等、様々な視座からソーシャルレンディング各社をランキングした、こちらの過去記事も、是非ご参照下さい。おすすめです。

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本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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