ソーシャルレンディングとリーマンショック

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

リーマンショックとは

リーマンショックとは

2008年9月、米国の投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻したことを契機に、グローバルレベルでの金融危機が発生。
日本を含む世界各国の金融・経済に、多大な影響を与えました。

リーマンショックの前兆

リーマンショックが起こる前年、2007年に、米国にて、住宅バブルの崩壊が発生。
ここから、いわゆる「サブプライムローン」問題が生じ、住宅や証券、債券等と言った、様々な資産クラスにおいて、価値の暴落が生じていきます。

サブプライムローンとは

金融上の信用能力が低い人々(=サブ・プライム)向けの、住宅ローンの総称。
低格付けながらも、高い利回りが提示された、サブプライムローン債権をベースに、デリバティブ商品(金融派生商品)が組成され、往時、多数の投資銀行が、当該商品を大量保有していたことが知られています。
住宅バブル崩壊を契機に、サブプライムローンの不良債権化が深刻化、関連デリバティブ商品を保有していた投資銀行等の資産価値に、大きな下落をもたらすきっかけとなりました。

住宅市場の急速な景況悪化を受け危機的状況となっていた、連邦住宅抵当公庫(連邦住宅公社「ファニーメイ」や、連邦住宅貸付抵当公社「フレディマック」)に対しては、米国政府から様々な救護策が取られていましたが、市況の悪化を食い止めるには至らず、住宅ローン支払いの延滞や、それに応じての差押件数も、大きく増加を続けました。

リーマン・ブラザーズの経営破綻

様々な資産クラスにおける価値暴落は、往時、米国最大級(業界第4位)の投資銀行にまで成長していた、リーマン・ブラザーズをも直撃。
ぎりぎりまで続けられた身売り交渉も実らず、同社は2008年9月、破産手続きへと移行することとなります。
このときの同社の負債総額は、日本円にして約60兆円強。
米国の経済史上、最大規模の企業倒産となりました。

危機は、全世界へ

リーマン・ブラザーズの破産手続き開始を受け、同社が発行していた社債・投資信託等を保有している企業等の資産価値が大きく目減りすることが予測され、その影響は米国市場全体へと急拡大。
ダウ平均株価に至っては、2008年の間に、30パーセント強もの大幅な下落を記録することとなりました。
国内全土へと波及していった金融危機に対する、米国政府の対応の遅れ・稚拙さもあり、危機は米国内に留まらず、一気に世界レベルへと拡大することとなりました。
特に影響の大きかったのは、米国経済と密接な関係のある、イギリスや日本等の経済先進国であり、また、米国系のヘッジファンドが資金撤収を行った影響で、中国やインド、ロシアといった、往時の経済新興国にも、深刻な影響を与えることとなりました。

日本への影響

米国経済危機の影響は、日本の株式市場をも直撃し、2008年9月12日金曜日の終値ベースで、1万2,000円を超えていた日経平均株価は、同年10月下旬時点では、7千円を割り込むレベルまで下落。
一時は、約30年ぶりの安値を付けるところまで、株価は大きく下落しました。

ソーシャルレンディングとリーマンショックの”浅からぬ関係”

ソーシャルレンディングとリーマンショックの浅からぬ関係

日本を含む世界経済に、大きな影響を与えた、リーマンショック。
実は、そんなリーマンショックと、その後のソーシャルレンディングの隆興には、浅からぬ関係がある、とも言われています。

リーマンショック後、銀行に対する資本規制が強化

リーマンショックがあれほど迄に巨大な物となった原因には、
「預金者の資金を守るべき立場であるはずの銀行(投資銀行を含む)が、サブプライムローン関連のデリバティブ商品等、リスクの高い投資商品を多く購入し、安全性を度外視した、無理な”利益追求”を図ってしまったこと」
「各銀行が、不動産市場における一時の好況に目をくらませ、慎重な融資・審査態勢を堅持できなかったこと」
等がある、と言われています。

このため、リーマンショック以降、各国政府は、銀行に対する各種規制を強化することとなりました。
具体的には、

  • 高い自己資本比率の維持
  • 資金流動性の確保
  • レバレッジ比率の規制

等が主要項目とされ、以後、銀行の経済活動を、強く束縛していくこととなります。

「借りたいのに借りられない」という個人や企業が続出

政府の、銀行に対する規制強化を受け、各金融機関としては、まずは自己資本比率の強化など、「守り」の力を高めることが最重要課題となりました。
これを受け、銀行の貸し渋りが深刻化。
結果的に、

  • 企業のような大型担保を持たない個人や、
  • 事業計画はしっかりしているのだが、社歴が浅い会社
  • 損益モデルは確立されているが、担保として供する有力な資産を持たない会社

等においては、「銀行からお金を借りたいのだが、借りられない」という事態が発生するようになりました。

企業の資金需要に応える新たな資金源としての、ソーシャルレンディング

そうした状況下において、欧州や米国では、「個人が個人に(もしくは、中小企業に)お金を貸す」、P2Pレンディングという仕組みに、大きな注目が集まるようになりました。
イギリスで創業したZOPA(ゾーパ)や、米国のレンディング・クラブなどは、大企業と言ってもよいレベルまで成長。
そして、欧米で先行している金融モデルを追いかける形で、日本国内でも、ここ数年、ソーシャルレンディングが、大きな注目を集めるようになっています。

次の”リーマンショック”が発生した場合、ソーシャルレンディング業界はどのような影響を受けるのか

次の”リーマンショック”が発生した場合、ソーシャルレンディング業界はどのような影響を受けるのか

2008年のリーマンショック発生当時には、まだ日本では、ソーシャルレンディングという仕組みは、極めてマイナーなものでした。
その後、約10年が経過し、今や、日本国において、ソーシャルレンディングは、投資家からも、資金需要者からも、大きな注目を集めるレベルまで、成長してきました。
そうした中、もしも今後、再び、リーマンショック・レベルの金融危機が発生した場合、ソーシャルレンディング業界は、どのような影響を受け得るのでしょうか。

不動産市況の悪化は、不動産担保付ローンファンドを直撃する。

リーマンショッククラスの金融危機が再発した場合、国内の不動産市況は、大きなダメージを受けることが予想されます。
地価も大きく下落するでしょうから、ソーシャルレンディング事業者が担保権を設定する、借り手所有不動産の価値も、連動して下落していくことでしょう。
ソーシャルレンディング事業者から借りた資金を原資に、不動産を購入し、その転売益を原資に、ソーシャルレンディング事業者に対する元利金返済を行う、というスキームのファンドの場合、その事業進捗、ひいては、元利金返済に、大きなトラブルが発生することが予測されます。
ソーシャルレンディング事業者としても、借り手が期限の利益を喪失した場合、担保権を行使し、債権回収を図ることとなりますが、その際、担保権が設定されている不動産を、市場にて換価しようとしても、十分な高値での売却が出来ない、等と言う事態が想定されます。

銀行の貸し渋りの再燃は、借り換えを困難にする。

ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける借り手企業の中には、

  • まずは、ソーシャルレンディング事業者から(高利で)資金を借り、
  • その後、銀行等金融機関から借り換えを行い、ソーシャルレンディング事業者への返済を行う、

という事業計画を描いているケースも、少なくありません。

しかし、リーマンショッククラスの金融危機が再発した場合、各金融機関は、まずは「守り」の態勢の強化に注力することが最優先される関係で、特に、社歴の浅い中小企業等に対しては、「貸し渋り」の再燃が予想されます。
すると当然、借り手企業の借り換えが不調となるため、同社からソーシャルレンディング事業者に対する元利金返済にも、支障が生じることとなります。

リファイナンス頼みのファンドは、元金返済が厳しく

リーマンショッククラスの金融危機は、各投資家の投資意欲にも、大きなマイナスをもたらすこととなります。
このため、ソーシャルレンディング事業者が新規組成するファンドにおいても、投資家からの資金応募は、少なくとも当座の間、極めて軟調なものとなることが予想されます。
ソーシャルレンディング事業者から融資を受けている借り手企業の中には、既存ファンドへの満期・元本返済原資を確保するために、ソーシャルレンディング事業者に、新ファンド(=リファイナンス用の新ファンド)を組成してもらうことを計画している所も、少なくありませんが、上掲のような事情により、新規ファンドの資金応募が低調な物となった場合、こうした借り手企業においては、既存ファンドへの返済原資の確保が、一気に難しくなることが想定されます。

次のリーマンショックに、ソーシャルレンディング投資家はどのように備えるべきか

次のリーマンショックに、ソーシャルレンディング投資家はどのように備えるべきか

リーマンショッククラスの経済危機ともなれば、小手先レベルの施策では、その影響を免れることは難しいでしょう。
わたしたち個人投資家は、「次のリーマンショック」への備えとしては、とにかく、原点に立ち返る事、すなわち、

  1. 投資は、純然たる余裕資金のうち、ごく一部を充てること。
  2. 現預金などの流動性資金比率を、常に一定以上に保つこと。

これらの原則の徹底が求められます。

特に、ソーシャルレンディング・ファンドの場合、一旦ファンドへと出資した資金は、当該ファンドが満期償還を迎えるまで、返ってこない、すなわち、途中解約が出来ない、という、流動性上のデメリットがあります。
突如、大きな金融危機が発生した場合、出資中の資金を即座に手元に回収する、ということは、ソーシャルレンディング投資の場合、出来ないのです。

この点を、重々、肝に銘じたうえで、常日頃から、慎重な投資態度を貫くことこそ、【次のリーマンショック】への、最善の備えであるだろうと、私は信じています。

それでは、本寄稿はここまで。
拙文に最後までお目通しを頂き、本当に、有難うございました。

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