ソーシャルレンディングにおける「保証」とは

頂戴したご質問

「初心者です。
ソーシャルレンディング各社のファンドを見ていると、”保証付き”という物を時折見かけます。
反面、”ソーシャルレンディングに元本保証は無い”との言説もよく見かけます。
では、ソーシャルレンディングファンドによくある、”保証”とは、何なのでしょうか?」
(20代・男性・ソーシャルレンディング投資歴:なし)

「保証付き」のソーシャルレンディングファンドは確かに多い。

国内ソーシャルレンディング事業者が組成・公開しているファンドの中には、確かに、「保証付き」とされているファンドが、多数、存在します。

例えば、ジャスダック上場企業である、LCホールディングス株式会社の100パーセント子会社、「株式会社LCレンディング」が運営するソーシャルレンディングサービス、「LCレンディング」にて組成・公開されているファンド「LCGF588号 6か月運用型」を見てみると、

ソーシャルレンディングにおける「保証」とは01

引用元:LCレンディング「LCGF588号 6か月運用型」https://www.lclending.jp/apl/fund/detail?fund_id=1131 ※赤い囲み線は、当サイト加筆

↑このように、「保証:有り」と明記されており、かつ、ファンド概要文においては、

ソーシャルレンディングにおける「保証」とは02

引用元:LCレンディング「LCGF588号 6か月運用型」https://www.lclending.jp/apl/fund/detail?fund_id=1131 ※赤いアンダーラインは、当サイト加筆

↑このように、「(連帯)保証が付与される」「元本と利息を保証致します」等と言った文言の記載が確認できます。

その反面、同ファンドの「リスク説明(PDF)」においては、

(B) 借り手が貸し付けを行った資金の返済をしなくなった場合には、お客様が当社にお支払いいただいた出資金の元本額が全額返ってこないおそれがあります。

引用元:https://www.lclending.jp/common/pdf/risk/current/risk_public.pdf

但し、担保権を実行しても、担保物件の価値下落、担保物件の売却ができない等の理由により、お客様が LC レンディング社にお支払いいただいた出資金の元本額が全額返ってこないおそれがあります。また、保証人が倒産等する場合には、保証人からの支払を受けることはできないことになります。

引用元:https://www.lclending.jp/common/pdf/risk/current/risk_public.pdf

LC レンディング社は、担保権の取得に際し、担保の評価を行いますが、担保価値の低下や借り手及び保証人の信用力の低下等により、LC レンディング社の借り手に対する貸付債権が全額担保されない結果、お客様が当社にお支払いいただいた出資金の元本額が全額返ってこないおそれがあります。

引用元:https://www.lclending.jp/common/pdf/risk/current/risk_public.pdf

↑このように、投資家が出資した元本の全額が、返ってこない(=毀損する)可能性が、明記されています。

結局のところ、投資家の出資した元本は、保証されるのか、されないのか、質問者様がご不安に思われるのも、当然の事と存じます。

参考:
LCGF588号 6か月運用型|LCレンディング

(連帯)保証と、元本保証は、全く異なる。

(連帯)保証と、元本保証は、全く異なる。

第一に、質問者様に、はっきりと御認識頂く必要があるのが、(※質問者様自ら仰っておられる通り、)ソーシャルレンディングファンドにおいて、ソーシャルレンディング事業者が、投資家の出資元本を保証することは、無い、という点です。
換言すれば、全てのソーシャルレンディングファンドは、一様に、元本割れ・元本毀損のリスクを負っています。
投資家としては、ソーシャルレンディング事業者が組成しているファンドに出資を行う場合、元本割れのリスクを、許容・受忍する必要があります。

では、上記例のように、ソーシャルレンディングファンドにおいて謳われていることのある「保証」とは、何なのか、と申しますと、これは、

  • (出資元本の)元本保証ではなく、
  • あくまでも、第三者による、債務の連帯保証に過ぎません。

連帯保証とは

連帯保証とは

連帯保証とは、債務者の、債権者に対する債務支払いについて、債務者本人以外の第三者が、これを連帯にて保証することを指します。
万が一、債務者本人が、債権者への債務支払いを滞らせた場合、債務者の債務を連帯保証している、保証人は、債務者本人に代わって、債権者に対し、債務の支払いを行う義務を負うこととなります。

例えば、お金に困ったAさんが、Bさんに対し、借金の申し込みをする、とします。
その際、Bさんとしては、Aさんの経済的窮状を知っているため、Aさんに対してお金を貸したとしても、そのお金が実際に返ってくるか、不安を感じる場合があります。
そうした状況を見た、第三者、Cさんが、Bさんに対して、
「Aさんにお金を貸してあげてください。万が一、AさんがBさんにきちんとお金を返さなければ、私(Cさん)が、Aさんに代わって、Bさんにお金を返して差し上げます」
と申し出たとします。
そして、Bさんが、Cさんの資産状況等を確認した結果、Cさんが経済的に信頼できる方であることを、Bさんとして、納得できた場合、

  • Aさんが債務者
  • Bさんが債権者
  • Cさんが連帯保証人

という、債権・債務・保証の構造が成立することとなります。

「連帯保証付き=安心」とは、限らない。

上記の、Aさん・Bさん・Cさんの関係で言えば、一見、債権者であるBさんの立場は、Cさんによる連帯保証の存在によって、安泰なものに見えるかもしれません。
しかしながら、実際にAさんがBさんへの返済を遅らせてしまい、BさんがCさんに対し、
「連帯保証義務に基づいて、私(Bさん)への返済を、あなた(Cさん)が行ってください」
と求めた場合、Cさんが、必ず、従前の約束通りに、Bさんへの返済を行ってくれるか、どうか、は、現実問題としては、未知数です。

  • Cさんが、連帯保証義務の履行を拒否したり、
  • Cさんとしては、連帯保証義務を履行したかったとしても、経済的に、そのような余力がない状態である場合、

Bさんとしては、Aさんのみならず、Cさんからも、債権の回収が出来ない、という事態が発生し得ます。

基本的に、「物的担保」のほうが、「人的担保(保証)」よりも好ましい

基本的に、「物的担保」のほうが、「人的担保(保証)」よりも好ましい

上記例で言えば、Cさんが、連帯保証義務の履行を拒否した場合、Bさんとしては、裁判等を通じて、Cさんの資産を特定し、これに対し、差押等の手続きを行う必要があります。
その時点で、Cさんに、有効な資産がなければ、「差し押さえるべき資産が(そもそも)ない」として、Cさんからの債権回収に、失敗する恐れもあります。

上記にて見てきた「(連帯)保証」という仕組みは、担保実務においては、

  • 不動産等の「物的」担保に対し、
  • 「人的」担保、

という呼ばれ方をします。

資金の借り手(債務者)が、返済を滞らせた場合、もしもあらかじめ、金銭消費貸借契約において、不動産等の「物的担保」の設定が為されていたとすれば、貸し手(債権者)としては、裁判等の手続きを経ることなく、担保権が設定されている資産(不動産等)について、市場での換価を行う等して、自身の債権の回収を図ることが可能です。
※ただし、先順位の抵当権者が存在する場合等は除く。

このため、一般的に、資金の貸し借りにおいては、物的担保(不動産等)の提供のほうが、人的担保(第三者個人や第三者法人による、連帯保証)の提供よりも、貸し手からは、歓迎される傾向があります。

「物的担保として差し出す資産が無い時に、やむを得ず活用されるのが、人的担保(連帯保証)である」と換言することもできるでしょう。

※ソーシャルレンディングファンドにおける、担保・保証等の用語の詳細については、こちらのコンテンツも、ご参照下さい。

ソーシャルレンディング投資に欠かせない担保の用語・知識を総まとめ。|ソーシャルレンディング・ラボ

保証付きファンドの見方

各ソーシャルレンディング事業者の組成・公開している、(連帯)保証付きファンドへの出資を検討する場合、下記のような点に、十分に、注意を払う必要があります。

  • 当該「保証」は、あくまでも、第三者による、借り手債務の「連帯保証」に過ぎず、元本保証では、決して、ない。
  • 連帯保証人が、連帯保証義務の履行を行わない場合、債権者としては、債権の回収に失敗する恐れがある。
  • 連帯保証人の保証能力(純資産の状況や、現時点で連帯保証を行っている債務の合計額等)を十分に確認したうえで、出資是非を検討する必要がある。

「保証」という耳当たりの良い言葉に惑わされることなく、元本毀損リスクについても、十分に把握をしたうえで、冷静に、ファンド内容を精査する必要がある点に、どうぞくれぐれも、ご留意ください。

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