「借り手企業は、なぜ、銀行融資ではなく、ソーシャルレンディングの高金利ローンで資金調達するのでしょうか」

頂戴したご質問

「仕事の関係で、企業の、銀行からの資金調達・ローン組成に関与する機会が多くあります。
ソーシャルレンディングの案件を見ていると、借り手企業がソーシャルレンディング事業者に対して支払っている金利の高さが気になります。
ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける借り手企業は、なぜ、銀行ではなく、金利の高いソーシャルレンディング事業者から資金調達するのでしょうか?」
(40代・男性・ソーシャルレンディング投資歴:なし)

銀行融資に変わる資金調達手法として大注目?ソーシャルレンディングとは

貸金業者が、自身の融資プロジェクトのための資金を、クラウドファンディング形式で調達。
その後、調達した資金を借り手企業に対して融資して、回収した利息・元金を投資家に対して分配・償還するビジネスモデルが、「ソーシャルレンディング」と呼ばれています。

ソーシャルレンディングから融資を受ける流れ

資金を必要としている企業が、ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける場合、基本的に、下記のような流れを辿ることとなります。

  1. ソーシャルレンディング事業者(貸金業者)のもとを訪ね、融資に関する相談を行う。ソーシャルレンディング事業者の行う事前審査に通過した場合、ソーシャルレンディング事業者との間で、融資条件に関する具体的な取り決めを行う(融資期間や金額、担保設定の有無、資金使途等)。
  2. ソーシャルレンディング事業者がファンドレイズを行う。ファンドが最低成立金額を超過した場合、ソーシャルレンディング事業者から、実際の資金融資を受ける。この際、ソーシャルレンディング事業者との間で、金銭消費貸借契約を正式締結する。
  3. ソーシャルレンディング事業者から融資金の送金を受けると、借入期間となる。借入期間中は、原則として、ソーシャルレンディング事業者に対して、利息部分の返済を行う。
  4. 借入期間満期に伴い、ソーシャルレンディング事業者に対して、元本部分の返済を行う。

参考:
【2021年10月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ10社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】

ソーシャルレンディング事業者から融資を受けることのできる企業とは

国内のソーシャルレンディング事業者が融資先とする企業の具体的な業種としては、下記のような物があります。

①不動産事業者

不動産取得のための資金を、ソーシャルレンディング事業者から借り入れます。
その後、取得した不動産を第三者に対して売却することで、ソーシャルレンディング事業者への利息・元金返済原資を確保します。
なお、ソーシャルレンディング事業者は、貸付債権の保全のため、借り手が取得する不動産に対して、担保権を設定することもあります。

②貸金業者

ノンバンク型の貸金業者が、自身の融資事業のための貸付原資を、ソーシャルレンディング事業者から借り入れる、という事もあります。
その後、自身の借り手から回収した利息・元金を利用して、ソーシャルレンディング事業者へと返済を行います。
貸金業者の保有する貸付債権に対して、ソーシャルレンディング事業者が質権を設定することもあります。

③ファクタリング事業者

債権買取事業を展開する企業が、買い取り資金を確保すべく、ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける、というケース。
買い取った債権を自ら回収するか、より高値で別の債権回収業者に売却することによって、ソーシャルレンディング事業者への返済原資を確保します。

銀行融資と比較し、ソーシャルレンディングからの高金利な資金調達には、デメリットも多い

昨今、銀行融資とは異なる新たな資金調達手法として注目を集めつつあるソーシャルレンディングではありますが、借り手企業の立場から見ると、ソーシャルレンディング事業者からの借り入れには、いくつかデメリットがあります。

①銀行と比べ、ソーシャルレンディング事業者の貸付・ローン金利は高い。

質問者様のご指摘の通り、ソーシャルレンディング事業者の課す貸付金利は、銀行のそれと比べ、高いことが一般的です。

例えば、不動産担保付ファンドで定評のあるLENDEXの「不動産担保付きローンファンド 42号」の場合、

「借り手企業は、なぜ、銀行からではなく、ソーシャルレンディング事業者から資金調達するのでしょうか?」01

引用元:LENDEX「不動産担保付きローンファンド 42号」https://lendex.jp/main/fund_detail/58/

上掲の通り、不動産担保付でありながら、年利換算10パーセントという、高い貸付利率が設定されています。

これだけ高い金利で資金融資を受けると、その後、借り手企業の財務を圧迫する恐れがあり、借り手企業にとっては、デメリットとなり得ます。

②基本的に、短期の資金調達しか出来ない

国内のソーシャルレンディング事業者の大半は、投資家に対して、「出資の中途解約は、原則として不可」としています。
このため、投資家の多くは、長期の資金拘束を嫌い、

  • 数年単位の運用を予定する、長期運用型ファンドへの出資は忌避し、
  • 結果的に、数ヶ月程度の貸し付けを予定する、短期運用型ファンドへと、

人気が集中する傾向があります。

借り手企業としては、ソーシャルレンディング事業者から資金融資を受けようにも、数年単位の長期借り入れは基本的に難しい、という難点があります。

③借り換え用ファンドをあてにしていると、行政処分等をきっかけに資金繰りがショートすることも

前述の問題に対応すべく、国内ソーシャルレンディング事業者の中には、新規のリファイナンス・ファンド(借換用ファンド)の募集を積極的に行い、同一の借り手企業に対して、繰り返し(結果として長期的に)融資を行っているケースもあります。

借り手企業の立場から見れば、少なくとも、順調に借換ファンドの組成・募集が成功している限りは、問題が無いわけですが、ソーシャルレンディング事業者が行政処分を受ける等して、急遽、借換ファンドの募集が困難となると、返済原資が確保できなくなり、最悪、「デフォルト(貸し倒れ)」となってしまうリスクもあります。

それでは、借り手企業は、なぜ、銀行ではなく、ソーシャルレンディング事業者からローン融資を受けるのか。

借り手企業は、なぜ、銀行ではなく、ソーシャルレンディング事業者からローン融資を受けるのか。

上掲したような様々なデメリット(高い貸付金利設定等)にも関わらず、なぜ、借り手企業は、

  • もっと低い金利で融資を行ってくれる可能性のある、銀行ではなく、
  • ソーシャルレンディング事業者から、

資金調達を行うのでしょうか。

事情は千差万別ですが、一般的に、借り手企業としては、下記のようなメリット・事情を期待し、銀行ではなく、ソーシャルレンディング事業者からの資金調達・ローン組成を画策するケースが、多いようです。

①ソーシャルレンディング事業者の場合、銀行よりも、柔軟な貸出審査(ローン審査)を期待できる。

銀行と、ソーシャルレンディング事業者との、最大の相違点のひとつは、

  • 銀行は、顧客からの預金の受け入れを行うが、
  • ソーシャルレンディング事業者は、銀行と異なり、預金の受け入れは行っていない、

という点です。

外部の企業等に資金融資を行う場合、銀行は、その原資として、

  • 顧客から預金として受け入れた資金や、
  • 中央銀行(日本国の場合、日本銀行)から借り入れた資金を、

充てることとなります。

これに対し、ソーシャルレンディング事業者の場合、借り手企業への融資の原資は、ソーシャルレンディング投資家から、元本割れリスクの許容を受けた上で預かった、投資用資金が充てられることとなります。

銀行に対し、預金を行う場合、預金者としては、預け入れた資金が棄損する可能性や、流動性上の問題(=資金が銀行から引き出せない、等のトラブル)が生じる可能性を、基本的には、はっきりとは認識・許容をしていないことが一般的です。
これに対し、ソーシャルレンディング事業者のファンドに出資を行う場合、投資家としては、元本割れのリスクや、償還に遅延が発生するリスクについて、責任ある投資家として、十分に認識・許容をしているものと見なされます。

こうした状況下において、借り手企業に対する貸し出し時審査が、ソーシャルレンディング事業者と比し、銀行のほうが、堅牢・長大なものとならざるを得ないことは、想像に難くありません。
このため、銀行と比し、比較的柔軟、かつスピーディーな融資審査態勢に期待し、ソーシャルレンディング事業者からの資金調達を画策する資金需要者は、少なからず存在するものと思料されます。

②銀行よりもソーシャルレンディング事業者のほうが、担保掛け目(ローン・トゥー・バリュー)が大きい。

一般的に、銀行の場合、不動産担保物に係る「掛け目」(LTV,ローン・トゥー・バリューとも言います)は7割程度、と言われています。
すなわち、例えば、資金需要者が、担保評価額1億円の不動産を所有しており、これを担保として差し出す代わりに、銀行からの資金調達を行う場合、銀行の貸出限度額の目安は、概ね、7,000万円前後となる、という事です。
銀行としては、

  • 不動産市況の急激な悪化や、
  • 至急、担保物を市場で換価しなければならない、という事態への備え等のために、

担保物の実際の評価額に対し、ごく限られた資金しか、融資を行わないようにすることを通して、自行のリスクをコントロールしているためです。

これに対し、ソーシャルレンディング事業者の場合であれば、担保物の評価額に対して、概ね8割前後、高い掛目の場合であれば、9割前後もの資金を、借り手企業に対し、融資する場合があります。
ソーシャルレンディング事業者の営業者報酬は、基本的に、貸付総額と連動することが一般的であるため、この「高い掛目設定」は、ソーシャルレンディング事業者にとって有利であるほか、借り手企業にとっても、
「銀行であれば、7,000万円しか貸してくれないような担保物で、8,000万円、場合によっては、9,000万円もの資金融資を受けることが出来る」
と期待することが出来るわけであり、旺盛な資金需要を積極的に満たしてくれる、鷹揚な資金供給者として、ソーシャルレンディング事業者に対し、大きなメリットを見出すこととなります。

③銀行と違い、ソーシャルレンディング事業者からの融資の場合、借り入れ元本部分の満期一括返済が可能。

銀行から資金調達を行う場合、一般的には、融資実行日から所定の日数が経過すると、早速、(利息部分のみならず)借り入れ元本部分についても、分割での返済がスタートします。
銀行としては、少しずつでも、元本部分の回収を進めておくことにより、自行のリスクを、時間の経過とともに、軽減していくことを希求しているため、です。

これに対し、ソーシャルレンディング事業者の場合、貸付元本部分については、融資期間中の分割返済を求めず、「満期時の一括返済で可」としているケースが、少なくありません。

「借り手企業は、なぜ、銀行からではなく、ソーシャルレンディング事業者から資金調達するのでしょうか?」03

引用元:OwnersBook「練馬区マンション第2号ファンド第1回」https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1153/

↑東証マザーズ上場企業「ロードスターキャピタル株式会社」が運営する、不動産担保付ソーシャルレンディングとして、投資家の人気を集めている、OwnersBook(オーナーズブック)の場合においても、

  • 利息支払いこそ、毎四半期ごと、と定められているものの、
  • 元本部分については、一括での返済が許容されていることが、

ファンド概要において、記されています。

例えば、

  1. 銀行、もしくは、ソーシャルレンディング事業者から、資金調達を行い、
  2. そうして調達した資金を原資に、不動産の買い付けを行い、
  3. 買い付けた不動産を、別の第三者に、転売する。

といったタイプの事業計画である場合、事業実施者としては、実際に第三者への不動産転売が完了し、売却代金を収受するまでの間、手元には、潤沢な資金がない、というケースが、ままあります。
転売先から売却代金が送金されてくる前のタイミングで、銀行に対する元本分割返済がスタートしてしまえば、借り手企業としては、自社の資金繰りに、何らかのトラブルをきたす場合も想定されます。
この点、ソーシャルレンディング事業者から資金調達を行い、借り入れ元本部分の返済については、満期(=転売先から売却代金が送金されてきた、後)の一括返済、としてもらえれば、借り手企業としては、そのキャッシュフロー面において、大きなメリットを享受出来ることとなります。

④ソーシャルレンディング事業者のファンド募集を通じ、個人投資家向けにPRを行うことが出来る

借り手企業の中には、ソーシャルレンディング事業者のファンド募集を介して、全国の個人投資家向けに、自社のサービス・ブランドに関するPRを図ることが出来る、という点に、ソーシャルレンディング活用の魅力を感じているケースもあります。

現に、主に上場企業向けにソーシャルレンディング・プラットフォームを提供しているファンズ(Funds)では、その参画企業(上場企業)の多くが、参画の直接的な理由として、(資金調達ではなく)「個人投資家向けの認知度向上」を挙げているケースもあるほどです。

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