「借り手企業は、なぜ、銀行からではなく、ソーシャルレンディング事業者から資金調達するのでしょうか?」

頂戴したご質問

「仕事の関係で、企業の、銀行からの資金調達に関与する機会が多くあります。
ソーシャルレンディングの案件を見ていると、借り手企業がソーシャルレンディング事業者に対して支払っている金利の高さが気になります。
ソーシャルレンディング事業者から融資を受ける借り手企業は、なぜ、銀行ではなく、金利の高いソーシャルレンディング事業者から資金調達するのでしょうか?」
(40代・男性・ソーシャルレンディング投資歴:なし)

銀行と比べ、ソーシャルレンディング事業者の貸付金利は高い。

質問者様のご指摘の通り、ソーシャルレンディング事業者の課す貸付金利は、銀行のそれと比べ、高いことが一般的です。

例えば、不動産担保付ファンドで定評のあるLENDEXの「不動産担保付きローンファンド 42号」の場合、

「借り手企業は、なぜ、銀行からではなく、ソーシャルレンディング事業者から資金調達するのでしょうか?」01

引用元:LENDEX「不動産担保付きローンファンド 42号」https://lendex.jp/main/fund_detail/58/

上掲の通り、不動産担保付でありながら、年利換算10パーセントという、高い貸付利率が設定されています。

借り手企業は、なぜ、銀行ではなく、ソーシャルレンディング事業者から融資を受けるのか。

借り手企業は、なぜ、銀行ではなく、ソーシャルレンディング事業者から融資を受けるのか。

上掲したような高い貸付金利設定にも関わらず、なぜ、借り手企業は、

  • もっと低い金利で融資を行ってくれる可能性のある、銀行ではなく、
  • ソーシャルレンディング事業者から、

資金調達を行うのでしょうか。

事情は千差万別ですが、一般的に、借り手企業としては、下記のようなメリット・事情を期待し、銀行ではなく、ソーシャルレンディング事業者からの資金調達を画策するケースが、多いようです。

①ソーシャルレンディング事業者の場合、銀行よりも、柔軟な貸出審査を期待できる。

銀行と、ソーシャルレンディング事業者との、最大の相違点のひとつは、

  • 銀行は、顧客からの預金の受け入れを行うが、
  • ソーシャルレンディング事業者は、銀行と異なり、預金の受け入れは行っていない、

という点です。

外部の企業等に資金融資を行う場合、銀行は、その原資として、

  • 顧客から預金として受け入れた資金や、
  • 中央銀行(日本国の場合、日本銀行)から借り入れた資金を、

充てることとなります。

これに対し、ソーシャルレンディング事業者の場合、借り手企業への融資の原資は、ソーシャルレンディング投資家から、元本割れリスクの許容を受けた上で預かった、投資用資金が充てられることとなります。

銀行に対し、預金を行う場合、預金者としては、預け入れた資金が棄損する可能性や、流動性上の問題(=資金が銀行から引き出せない、等のトラブル)が生じる可能性を、基本的には、はっきりとは認識・許容をしていないことが一般的です。
これに対し、ソーシャルレンディング事業者のファンドに出資を行う場合、投資家としては、元本割れのリスクや、償還に遅延が発生するリスクについて、責任ある投資家として、十分に認識・許容をしているものと見なされます。

こうした状況下において、借り手企業に対する貸し出し時審査が、ソーシャルレンディング事業者と比し、銀行のほうが、堅牢・長大なものとならざるを得ないことは、想像に難くありません。
このため、銀行と比し、比較的柔軟、かつスピーディーな融資審査態勢に期待し、ソーシャルレンディング事業者からの資金調達を画策する資金需要者は、少なからず存在するものと思料されます。

②銀行よりもソーシャルレンディング事業者のほうが、担保掛け目が大きい。

一般的に、銀行の場合、不動産担保物に係る「掛け目」は7割程度、と言われています。
すなわち、例えば、資金需要者が、担保評価額1億円の不動産を所有しており、これを担保として差し出す代わりに、銀行からの資金調達を行う場合、銀行の貸出限度額の目安は、概ね、7,000万円前後となる、という事です。
銀行としては、

  • 不動産市況の急激な悪化や、
  • 至急、担保物を市場で換価しなければならない、という事態への備え等のために、

担保物の実際の評価額に対し、ごく限られた資金しか、融資を行わないようにすることを通して、自行のリスクをコントロールしているためです。

これに対し、ソーシャルレンディング事業者の場合であれば、担保物の評価額に対して、概ね8割前後、高い掛目の場合であれば、9割前後もの資金を、借り手企業に対し、融資する場合があります。
ソーシャルレンディング事業者の営業者報酬は、基本的に、貸付総額と連動することが一般的であるため、この「高い掛目設定」は、ソーシャルレンディング事業者にとって有利であるほか、借り手企業にとっても、
「銀行であれば、7,000万円しか貸してくれないような担保物で、8,000万円、場合によっては、9,000万円もの資金融資を受けることが出来る」
と期待することが出来るわけであり、旺盛な資金需要を積極的に満たしてくれる、鷹揚な資金供給者として、ソーシャルレンディング事業者に対し、大きなメリットを見出すこととなります。

③銀行と違い、ソーシャルレンディング事業者からの融資の場合、借り入れ元本部分の満期一括返済が可能。

銀行から資金調達を行う場合、一般的には、融資実行日から所定の日数が経過すると、早速、(利息部分のみならず)借り入れ元本部分についても、分割での返済がスタートします。
銀行としては、少しずつでも、元本部分の回収を進めておくことにより、自行のリスクを、時間の経過とともに、軽減していくことを希求しているため、です。

これに対し、ソーシャルレンディング事業者の場合、貸付元本部分については、融資期間中の分割返済を求めず、「満期時の一括返済で可」としているケースが、少なくありません。

「借り手企業は、なぜ、銀行からではなく、ソーシャルレンディング事業者から資金調達するのでしょうか?」03

引用元:OwnersBook「練馬区マンション第2号ファンド第1回」https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1153/

↑東証マザーズ上場企業「ロードスターキャピタル株式会社」が運営する、不動産担保付ソーシャルレンディングとして、投資家の人気を集めている、OwnersBookの場合においても、

  • 利息支払いこそ、毎四半期ごと、と定められているものの、
  • 元本部分については、一括での返済が許容されていることが、

ファンド概要において、記されています。

例えば、

  1. 銀行、もしくは、ソーシャルレンディング事業者から、資金調達を行い、
  2. そうして調達した資金を原資に、不動産の買い付けを行い、
  3. 買い付けた不動産を、別の第三者に、転売する。

といったタイプの事業計画である場合、事業実施者としては、実際に第三者への不動産転売が完了し、売却代金を収受するまでの間、手元には、潤沢な資金がない、というケースが、ままあります。
転売先から売却代金が送金されてくる前のタイミングで、銀行に対する元本分割返済がスタートしてしまえば、借り手企業としては、自社の資金繰りに、何らかのトラブルをきたす場合も想定されます。
この点、ソーシャルレンディング事業者から資金調達を行い、借り入れ元本部分の返済については、満期(=転売先から売却代金が送金されてきた、後)の一括返済、としてもらえれば、借り手企業としては、そのキャッシュフロー面において、大きなメリットを享受出来ることとなります。

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