「NFTアート作りを子供にやらせる」は、ありなのか-国内・海外の事例から読み解く、メリット&デメリットとは

子供でも出来る?そもそもNFTアートとは

NFTは、Non-Fungible-Tokenの頭文字を取った造語であり、日本語に直訳すれば「非代替性トークン」を意味します。
そして、NFTアートとは、そんな非代替性トークンと、TokenURIによって紐づけられた、デジタルデータ化されたアート作品のことを指します。
2021年頃から、主に著名人・投資家・コレクター等による、半ば投機的な売買が急遽活発化し、空前のNFTアート・ブームが出現。
海外では、子供がプログラミング等を利用して作成したデジタルアートが、総額1億円以上もの高額で売却された、等という事例も出ており、昨今、「うちの子供にも、NFTアートを作らせてみようかしら」と考える父兄も、少しずつ、増えてきているようです。

子供でも描けるかも?クリエイターの目線から見た、NFTアートのメリットは

イーサリアム建てにこだわらなければ、ほぼ無料から、NFTアートの出品を行うことが出来る

ドット絵などのデジタルアートを作成し、作成したデジタルアートをNFTとして出品するためには、

  1. 仮想通貨口座の作成
  2. ウォレットの作成
  3. NFTマーケットプレイスでのアカウント開設
  4. NFTマーケットプレイスへの、デジタルアートのアップロード
  5. 出品処理

というプロセスを経る必要があります。
このうち、仮想通貨口座の作成や、ウォレット(NFTアート・クリエイターの多くは、MetaMask(メタマスク)と呼ばれる仮想通貨ウォレットを利用しています)の作成、NFTマーケットプレイスでのアカウント開設(ウォレットの紐づけ)、デジタルアートのアップロード、といった工程に関しては、大手・メジャーなサービスをしっかりと使っておけば、ほぼ、無料にて行うことが出来ます。
また、NFTアートの出品に際しては、イーサリアム・ネットワークを利用した、イーサリアム建てでの販売にこだわる場合、イーサリアム・ブロックチェーンのマイナーに対し、「ガス代」と呼ばれるマイニング報酬(最初の出品の際に、概ね日本円で1万円程度の出費が必要です)の支払いが必要となりますが、イーサリアムのサイドチェーンにあたるポリゴン・ネットワークを利用すれば、こうしたガス代の支払いの大半を、ほぼ無料化することが可能です。


参考:
NFTアートの始め方|SNSで話題のNFTアート投資の始め方も徹底解説

最大10パーセント(OpenSeaの場合)まで、転売ロイヤルティを設定できる

OpenSea(オープンシー)のような大手NFTマーケットプレイスの場合、クリエイターは、NFTアートの出品にあたり、「ロイヤルティ」の設定を行うことが可能です(最大料率は10パーセント)。
仮に、出品したNFTアートが二次流通した場合、コレクター同士の転売においても、初期のクリエイターは、設定したロイヤリティ設定に基づき、コミッションを受け取ることが可能となります。

デジタルアートの販売・取引履歴は、作品の歴史として、ブロックチェーンに刻まれる

仮に、イーサリアム・ブロックチェーンを利用してNFTアートを出品した場合、そのNFTアートの販売・転売の履歴は、イーサリアムのブロックチェーンに記録されることとなります。
ブロックチェーンは、その特質上、事後の改ざんが極めて困難とされているため、一旦ブロックチェーンに記録された転売情報が、その後、悪意ある第三者によって書き換えられる可能性は、原則として、かなり低い、と目すことが出来ます。

もしも、自身の出品したNFTが、有名人(著名なスポーツ選手やセレブなど)によって売買されるようなこととなれば、その後、その取引履歴をブロックチェーンによって証明し、自身のクリエイター活動において、ブランディングとして活用することが可能となります。

大手のマーケットプレイスを利用すれば、ミント(NFT化)も簡単(技術面で精通していなくても取り組める)

OpenSeaのような大手NFTマーケットプレイスを活用すれば、技術的なバックグラウンドのないクリエイターであっても、至極簡単に、自身のデジタルアートをアップロードし、ミント(NFT化)することが可能です。
また、マーケットプレイスによっては、Lazy Minting(=アップロードの時点ではブロックチェーンに記帳せず、作品が売買されたときに初めて、正式な記帳を行う)機能を提供しており、こうしたマーケットプレイスを利用すれば、作品アップロード時のミント手数料は、クリエイターが負担する必要がありません(基本的には、その後の売買の際に、購入者が正式なミントのためのガス代を負担する)。


参考:
せっかく作ったNFTアートが売れない時の対処法

創作者の立場から見た、NFTアートのデメリット(子供任せは禁物)

税務上の扱いが判然としない

NFTマーケットプレイス上でNFTアートを販売して利益が生じた場合、原則として、その利益は、課税の対象となります。
しかしながら、下記のような事項について、明確な基準が少なく、不明瞭な状態が続いています。

NFTアートを販売して得た利益は「何所得」になるのか

NFTアートを販売して得た利益が、果たして「事業所得」として認められ得るのか、それとも、あくまでも「雑所得」の扱いになるのか、は、見解が分かれています。
「事業所得」として申告する場合、果たして「事業」として課税権者に認められ得るほどの事業実態があるのか、どうか、が論点になり得ます。
また、「雑所得」として申告する場合、総合課税の対象とされ、給与所得と合算して課税されることとなります。
この場合、累進税率が適用されますので、給与所得額の大きい人の場合、NFTアート販売の利益に対しても、高税率が課せられる恐れがあります。

既にクリエイター同士の競争は激化しており「レッドオーシャン」との指摘も

昨今、NFTアート作り、及び販売への関心は高まり続ける一方であり、クリエイター間の競争は既に激化しています。
実際、OpenSea(オープンシー)のような大手マーケットプレイスを覗いてみると、出品されたはいいが、誰からも入札・オファーが無く、実質売れ残って放置されている、という状態のNFTアートが、多数、存在します。

Twitter(ツイッター)などのSNSでは、「NFTアートを作ったはいいが、売れない」という声が多々あり、そうしたNFTアートのクリエイター達は、

  • NFTアートのGiveAway(ギブアウェイ)企画を立ち上げてみたり、
  • 「NFTアートを買います」といったツイートを行う、等して、

まずは、自身のフォロワーの数を増やす施策に腐心するなど、様々な試行錯誤を行っている様子がうかがえます。

イーサリアム建てでの販売にこだわる場合、高額なガス代の負担を強いられる

NFTマーケットプレイスとして知られるOpenSea(オープンシー)の場合、NFTアートをイーサリアムのブロックチェーン上で販売したい場合、主に下記のようなタイミングで、イーサリアム・ブロックチェーンのマイナーに対し、「ガス代」と呼ばれるマイニング報酬を支払う必要があります。

  • 自身のNFTアートを、最初に出品する時(アカウントの初期化)
  • NFTアートを、IPFSサーバー(分散型サーバー)に保存・保管するとき
  • 購入希望者からの「オファー」を受け入れるとき
  • 一旦、「固定価格販売」にして出品した内容を、キャンセルするとき

なお、前述の通り、利用するブロックチェーンや、売却時の受け取り通貨を「ポリゴン建て」にすれば、大半のガス代支払いを回避する(ないしは、極めて廉価に留める)ことが出来ますが、投資家やコレクターの目線から見ると(少なくともイーサリアムと比較すれば)ポリゴンのブロックチェーンの永続性に対しては信頼感が薄く、
「どうせ、NFTアートを購入するのあれば、ポリゴン建てのデジタルアートの購入は避けたい。あくまでも、イーサリアム・ブロックチェーンに(売買履歴が)記帳されるNFTアートに絞って、購入を検討したい」
というコレクター・投資家も少なくありません。


参考:
NFTアートの販売方法は-販売サイトの種類や手数料、オークション販売&固定価格販売の違いも検証

データの複製を制限するような機能が付いているわけではない

SNSやブログなどでは、「デジタルアートを、NFTアートとして販売すれば、そのアートが”唯一無二”であることが証明できる」等と主張しているケースがありますが、その表現は、いささか誇張気味、と言えます。

確かに、NFT(非代替性トークン)そのものは、同一のトークンは世に存在せず、「唯一無二である」と言えます。
しかしながら、唯一無二なのは、あくまでも、NFT(トークン)そのものであり、そのトークンが紐づいたデジタルアートが、(コピー等されることなく)完全に「一点物」であることを立証するものではありません。

現に、

  • OpenSeaなどのマーケットプレイスで販売されているデジタルアートの場合、画像をブラウザ上で右クリックし「ダウンロード」すれば、誰でも、画像データを自分のパソコン等に保存できますし、
  • IPFS(分散型サーバー)にデータが保管されている場合も、同じく、ブラウザでデジタルデータを表示したうえで、自身のデバイスにダウンロードすることが出来ます。

自分のパソコンにダウンロードしたデータは、当然、複製したり、編集したりすることも可能です。
「NFTマーケットプレイスに作品をアップロードしてNFT化する」ことは、必ずしも、「アート作品の複製行為を防ぐ」能力を持つ行為ではありませんから、その点には、重々、留意が必要です。

「子供のNFTアート作り」はあり?

NFT(非代替性トークン)と紐づけられたデジタルアート、というと大仰ですが、実際にOpenSea(オープンシー)のようなNFTアート・マーケットプレイスを覗いてみると、そこで実際に売買されているNFTアートの中には、「子供の絵」レベルのデジタルアート作品も、多く含まれています。

※実際、この点を問題視し、
「NFTアートには、正直、アート作品としての価値はない。ひいては、昨今のNFTアートの高額流通は、単なるバブルである」
と指摘する人も、少なからず存在します。

子供の作ったNFTアートが高額取引された事例は多数

一方で、「子供の絵など、売れるわけがない」かというと、そうとも言い切れないのが、NFTアートの面白いところ。
現に、昨今のNFTアート業界では、子供が描いた絵(ないしは、プログラミングが得意な子供が、大人の手助けを借りながら作成した、ジェネラティブ・アート)が、投資家やコレクターによって、高額で売買された、という実例が、多々、存在します。

イギリスの12歳の少年の「WeirdWhales」コレクティブルのケース

イギリス在住の「Benyamin Ahmed」君は、5歳の時から、父親の助けを借りて、プログラミングを開始。
12歳の時に、NFTアートプロジェクトとして有名な「CryptoPunks」に触発され、Discordコミュニティからもサポートを得ながら、プログラムによって自動生成される(=ジェネラティブ)3,350頭の、クジラを描いたピクセルアート(ドット絵)を作成。
「WeirdWhales」(おかしなクジラたち)というコレクティブル名で、NFTマーケットプレイス「OpenSea」にて販売を開始したところ、なんとその後、9時間以内に、コレクティブルは完売。
およそ16万ドル(日本円にして、約1,800万円)にも及ぶ売り上げを記録しました。

2022年現在、「WeirdWhales」のオーナー数は約1,700名。
最も高値で取引された「Weird Whales 786」は、2021年8月下旬に、7.9イーサ(取引当時のレートで2万4千ドル、日本円で約270万円程度)で売買された記録があります。
こうした二次流通も含めた累計取引総額は、2022年2月現在、約1,800イーサ(1イーサ20万円とすれば、3億6,000万円相当)にも上っています。


参考:
NFTアートの書き方とは-「コレクション」や「Description」の効果的な書き方まで徹底解説

日本の小学生「Zombie Zoo Keeper」君のケース

上記の「WeirdWhales」コレクティブルの件を報じたニュースを見た母親(草野絵美さん)に触発された、日本の小学3年生「Zombie Zoo Keeper」君の成功談も、ネットニュースなどでご覧になったことがある、という人が多いでしょう。

マインクラフト好きな小学生「Zombie Zoo Keeper」君が、無料のipad向けアプリで作成したドット絵コレクティブル「Zombie Zoo」は、海外の有名DJにNFTアートが購入されたことをきっかけにブレイク。
2022年2月現在、215件のNFTアートがコレクティブにまとめられており、国内外のオーナーは143名。
豹(ひょう)をドット絵で描いた「Zombie Zoo #0061 Zombie Leopard」が、アメリカの有名DJ「スティーヴ・アオキ」さんに2イーサ(取引当時のレートで7,100ドル強)で取得されるなど、高額な二次流通も生じており、累計の取引ボリュームは95.2イーサ(1イーサ20万円と仮定すれば、約1,900万円)に達しています(2022年2月1日現在)。

そんな「Zombie Zoo Keeper」君、最近では、

  • 「2021 Forbes JAPAN 100」に選出されたり、
  • 東映アニメーションでのアニメ化が決定するなど、

世間からの関心・注目は、高まる一方です。

12歳のナイラ・ヘイズ(Nyla Hayes)さんのケース

子供のころから恐竜が大好きだったナイラ・ヘイズ(Nyla Hayes)さんは、竜脚類恐竜「ブロントサウルス」の長い首からインスピレーションを得て、最初のNFTアート・コレクティブルズ「Long neckie Originals」を、主に手書きイラストから作成。
その後、エンジニアリングチームと共同で作ったジェネラティブ・アート・コレクティブルズとして、「Long Neckie Ladies」と「Long Neckie Fellas」をリリース。
特に、首長の女性の姿を描いた「Long Neckie Ladies」コレクティブルは大人気で、二次流通も含めた取引総額は約1,300イーサ(1イーサ=20万円と仮定すれば、2億6千万円)に達しています。

手書きイラストを多用した「Long neckie Originals」シリーズでは、NFTアート単体での高額取引も多く、最近では、「Long Neckie #0024」が、二次流通で、前述の「スティーヴ・アオキ」さんに5.5イーサ(当時のレートで1万3千ドル程度。日本円で約150万円)で購入されたケースもあります。


参考:
NFTアートと日本|日本人クリエイター、及び投資家にとって、NFTアートの持つ意義とは

子供にNFTアート作りをやらせるメリット

子供にNFTアート作りをやらせるメリット

子供でも使いやすい、ドット絵作成アプリやイラスト描画アプリは多数

前述のように、海外の子供が作ったNFTアートが高額取引された事例としては、ジェネラティブ・アートの存在が目立ちます。実際にコンピューター・プログラミングを利用してジェネラティブ・アートを作成するためには、一定程度のコーディング・スキルが必要であり、元々プログラミングやコーディングに興味のある子供ならまだしも、いわゆる「普通の子供」には、些かハードルが高いのが実情です。

しかし、日本の「Zombie Zoo Keeper」君の例に倣い、ドット絵(ピクセルアート)や簡単なイラストを中心に、NFTアートを制作するのであれば、無料で活用出来るスマホアプリ(並びに、タブレット端末向けのアプリ)も、多数、リリースされています。

例えば、NFTアート作りの初心者に活用されることの多い、ドット絵作成に適した無料アプリには、下記のようなものがあります。

  • 8bit painter
  • ドット絵エディタ
  • Pixelable

参考:
NFTアートの作り方-デジタルアートの作り方や、仮想通貨ウォレット(メタマスク)の作り方等を、初心者向けにスクリーンショット付で徹底解説

NFTアートが実際に売れれば、子供の学資やお小遣いに活用できる

もしも、子供が作ったNFTアートが、実際に第三者(NFTアートのコレクターや、転売目的の投資家)に売れれば、NFTマーケットプレイスのコミッション(OpenSeaの場合であれば、2.5パーセント)や、出品・販売等に必要なガス代を控除した利益相当額は、そのまま、子供にとっての「収入」となります。

前述したような(ニュースになるほどの)成功例となることは難しくとも、自分で作ったNFTアートが、(日本円換算で、数百円~数千円程度の少額であったとしても)売れれば、当然、子供にとっては嬉しいことですし、「自分でお金を稼ぐ」ことの、良い学習機会にもなります。

実際には、ウォレットに(売上代金として)入金されてくる仮想通貨や、(その仮想通貨を売却した場合の、日本円換算での)現預金は、子供の親が、保護者として、責任をもって管理することになるでしょうから、

  • お小遣いとして、子供に定期的に渡したり、
  • 子供の将来の大学進学等を見据えた学資として、貯金しておくことも可能です。

コミュニティ作りを通して、子供自身が、様々な人と交流できるほか、英語の勉強にもなる

NFTアートを積極的に販売していくためには、Twitter(ツイッター)やインスタグラムといったSNSを積極的に活用し、コレクティブルを中心とした「ファン・コミュニティを運営する」という姿勢が欠かせません。

ツイッターなどで一方的に情報を発信するのではなく、

  • 購入希望者からの質問に答えたり、
  • 実際にNFTアートを購入してくれた人に対して、御礼の連絡をしたり、

等と言ったコミュニケーションの経験は、子供にとって、大きな財産となりましょう。

また、昨今日本でも、NFTアートは徐々に知られるようになりつつありますが、依然として、その主戦場は、英語圏を中心とした海外諸国です。
前述の「Zombie Zoo Keeper」君も、母親と一緒に、Twitterを通じて、定期的に情報発信をしていますが、その言語は、主に英語が活用されており、実際に、海外のNFTアートコレクターとの間で、英語でのメッセージ・リプライ等のやり取りが行われています。
このように”生きた英語”を使う機会は、子供の英語習得において、貴重な機会と言えます。

子供に、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンについて学ぶ機会を提供できる

NFTアートの取引履歴(より正確には、トークンそのものの取引履歴)は、基本的に、イーサリアムのブロックチェーンに記録されることとなります。
このため、NFTアートの出品や購入に際しては、仮想通貨「イーサリアム」での取引が主流であり、仮に、子供が作ったNFTアートが売れた場合、その代金は、仮想通貨ウォレットに、原則として、イーサリアム建てで入金されてきます。

入金されたイーサリアムが、日本円に換算していくらになるか、を確認するためには、日本円とイーサリアムとの間の取引レートをチェックする必要があるため、結果自然と、日常的に、仮想通貨の取引レートをウォッチする習慣がつくこととなります。

また、仮想通貨と日本円との間の取引レートは、日々変動します。
短期チャートのみならず、長期チャートも十分に閲覧したうえで、

  • NFTアートを販売して得たイーサリアムを、今、日本円にしたほうがいいのか(=仮想通貨を売却したほうがいいのか)、
  • それとも、もう少し保有を続け、売却のタイミングをずらしたほうがいいのか、

等と言った判断も必要となります。
場合によっては、仮想通貨レンディングなど、日本円に戻す”以外”の選択肢を取ることもありましょう。
そのような検討・検証を行ううちに、自然と仮想通貨業界について詳しくなれる、という点も、子供と共にNFTアート作りにチャレンジしてみる、大きなメリットと言えます。

子供ならではの創作活動にチャレンジさせることができる

NFTアートを始めてみよう、と考える人の多くが、

  • NFTアートを売却したり、
  • 自分が制作したNFTアートが二次流通していくことによって、

何らかの利益を得ることを目的としています。

しかしながら、本来のアート制作の醍醐味・目的は、そのような経済的・金銭的な物ではありません。
自分自身の考えや思い(想い)を、デジタルアートという作品上に表現して、自分や家族以外の第三者に伝えていくこと。
そのうえで、自身のアートを目にした誰かに、大きな感動を与えることが出来れば、それこそが、アート制作の本来の目的と言えます。

大人がNFTアート作りに取り組む場合、どうしても、経済的なメリットにばかり目が行ってしまいがちですが、我が子にNFTアート作りに取り組ませる場合は、経済的な成功の大小は、一旦度外視して、子供ならではの、天真爛漫な創作活動に集中させてあげたいものです。

子供にNFTアート作りにチャレンジさせるデメリット

子供にNFTアート作りにチャレンジさせるデメリット

スマホやタブレット端末を使った細かな作業が、子供の目に悪影響を及ぼすことも

スマホやタブレット端末向けのアプリを利用して、ドット絵などのデジタルアート作りに取り組む場合、どうしても、画面と目と間の距離が短くなりがち。
特に慣れないうちは、ドット絵のディテール(細部)に夢中になるあまり、気づけば子供の目が画面から10センチくらいまで近づいて…等ということも起こりがちです。

特に夜、暗い室内で長時間にわたってスマホやタブレット端末を操作すると、目や視力に悪影響が及ぶ可能性はもとより、長時間ブルーライトを浴び続けることに拠り、睡眠不足を招いてしまうこともあり得ます。

子供の場合、ひとたび何かの物事に夢中になると、時間を忘れて取り組んでしまいがち。
親や保護者が、子供をほったらかしにしないで、NFTアート作りへの取り組み時間の長短などを、しっかりと管理・監督する取り組みが必要不可欠です。

仮想通貨取引口座の開設やウォレット作成等は、子供だけでは無理

スマートフォンやタブレット端末で、無料アプリを使って作成したデジタルアートを、実際にNFTアートとしてマーケットプレイスに出品するためには、

  1. 事前に、仮想通貨取引所に口座開設をして、一定のイーサリアム等を買い付け、
  2. 仮想通貨を入れておく「お財布」の機能を持つ「ウォレット」(※NFTアート出品者の多くは、MetaMaskと呼ばれる仮想通貨ウォレットを利用しています)を作成し、
  3. そのウォレットを紐づける形で、OpenSea(オープンシー)などのNFTアート・マーケットプレイスにアカウント登録を行う、

という必要があります。

また、マーケットプレイスにアカウントを開設してからも、(ここの作品を格納するための)コレクションを作成したり、作ったコレクションに実際にデジタルアートをアップロードし、ミント(NFT化)したり、といった作業が必要となります(最終的な出品には、当然、値段の設定や、販売方式の決定などが必要です)。

これらの作業を子供だけに任せるのは、さすがにリスクがありますので、実際には、親・保護者が、それなりの時間量を割いて、サポートしてあげる必要があります。

また、そもそも、未成年では仮想通貨取引所の口座開設が出来ないケースが大半ですので、実務上、仮想通貨取引所への口座開設に関しては、親・父兄が対応する必要があります。

NFTアート作りへの取り組みを通し、子供自身に身に付くスキルは限定的

NFTアート制作、といっても、大半の子供が取り組むことになるのは、スマホアプリ等を活用したドット絵制作程度、というケースが大半でしょう。
プロのエンジニアに指導してもらいながらジェネラティブ・アートを作成する、という場合、一定のプログラミング技術が身に付く可能性がありますが、実際にはそのような取り組みをする子供は少数派です。

また、実際にNFTアートを買ってくれたクリエイターや、自身のコレクティブルのファンの方々と、SNSを通じて(英語などの外国語も交えて)コミュニケーションをする機会はありましょうが、あくまでもオンラインでのテキストベースのやり取りであり、一般的な英会話教室のように、口語で対面で(Zoomなどのオンライン会議ツールを利用するケースも)コンタクトを取る機会は限定的です。

NFTアート作りへの取り組みは、確かに、子供にとって未知なる、貴重な体験となりましょうが、実際に身に付き得るスキルは、ある程度限定的なものとなる、という点にも、あらかじめ留意が必要です。

既に「子供の絵」をデジタルアート化したものは世に氾濫している

昨今のNFTアート・ブームの中、前述したような、世界各国の子供たちのNFTアート・マーケットプレイス上での成功談を踏まえ、OpenSea(オープンシー)のような大型マーケットプレイスでは、
「子供が描いたデジタルアートを、NFTアート化したもの」(=より正確には、我が子が描いたデジタルアートを、親がNFTアート化したもの)が、多数、氾濫しています。

確かに一時は、「天真爛漫な子供が描いた絵を、Twitterのプロフィール・アイコンに設定する」等と言った取り組みが「可愛らしい」として、もてはやされた時期もありましたが、そうした風潮に乗じた父兄が、「我が子の作品こそ」と、大量のNFTアートをマーケットプレイスに投入した結果、市場はもはや、飽和状態にあります

もはや、「子供が描いた」というだけの理由でNFTアートが売れる時代は過ぎ去り、これからは、
「山ほどある、子供が描いたデジタルアート群の中で、抜きんでた存在となるためには、何が必要か」
という、具体的な戦略が必要となるフェーズに入っています。

「我が子が描いた可愛い絵ならば、きっと、NFTアートとして価値が出るに違いない」
と無根拠に考え、一定の労力を支払ってNFTアートの出品に取り組んだ挙句、
「全く売れない」
等という事態に相成れば、親子ともども、がっかりしてしまうこともありましょう。

子供の描いたデジタルアートを、著名なインフルエンサー等に対して、しっかりと売り込んでいく、具体的なマーケティング戦略があるならば、まだしも、そうした戦略がないのであれば、多くを期待することなく、「子供にとって、いい経験になればいいかな」くらいの気楽なスタンスで取り組むほうが、現実的と言えます。

NFTアートが高値で売れると、却って子供の金銭感覚に狂いが生じてしまう恐れもある

子供が作ったNFTアートが売れなければ、それはそれで、悩ましいものですが、逆に、子供の描いた絵に、思いもよらないほどの高価格が付いてしまえば、今度は、別の問題が生じてくることとなります。

さしたる努力や事前勉強を行ったわけでもなく、面白半分に作ったドット絵が、数万円~数十万円、場合によっては数百万円以上もの高値で売れてしまった場合、その後、その子供の金銭感覚に、どのような影響が出るのかは、計り知れない部分があります。

単なるNFTアートの一時的なブームに乗じただけであるにも関わらず、
「自分には、アート制作で暮らしていけるだけの才能がある」
と思ってしまうかもしれませんし、両親のように、日々、汗水を垂らして働くことを、
「馬鹿らしい」「情弱(情報弱者)のすることだ」
などと、蔑視してしまうようになるかもしれません。

また、NFTアートを売却して得た利益は、原則として、課税の対象となります。
子供は仮想通貨取引所に口座を開設することが出来ませんから、基本的に、OpenSea(オープンシー)などのマーケットプレイスでNFTアートが売れた場合、その代金は、メタマスク(MetaMask)などのウォレットを経由して、最終的には、親の仮想通貨口座に入金されることとなりましょう。
場合によっては、その時点で、「NFTアート制作という労働の対価として、仮想通貨という財産を受け取った」として、課税が為されるかもしれませんし、はたまた、イーサリアム等の仮想通貨建てで受け取った代金を、仮想通貨取引所で日本円にした(=仮想通貨を売却した)時点で、課税が為される可能性もあります。

生じた利益が「雑所得」と判断されれば、給与所得等と合算して総合課税されることとなりますので、その納税者(例えば、父兄)の給与所得が大きい場合、累進税率の影響で、NFTアートの売却益に対して、高税率が課せられることとなるケースもあり得ます。
「子供の描いたデジタルアートが売れたこと」で、思わぬ税務上の諸問題を誘発してしまうリスクも決して「ゼロ」ではありませんので、あらかじめ、一定の留意が必要です。

「子供の学資のためにNFTアートに投資」は危なすぎ?

昨今、注目が急激に高まりつつある、NFTアート。
前述のように、子供が描いたデジタルアートが、NFTアートとして高額で売買される、というケースも、世界各国で相次いでいます。

こうした状況を踏まえ、(自身のデジタルアートの発表の機会として、ではなく、)純粋な「投資対象」として、NFTアートをとらえる動きも出てきています。
こうした「NFTアート投資家」と呼ばれる人々の場合、

  1. 出来るだけ廉価に(可能であれば、無料で)、世に知られていないNFTアートを仕入れ、
  2. そうして入手したNFTアートを、出来るだけ高額で転売することによって、

値上がり益(キャピタル・ゲイン)を得ることを目的としています。

中には、子供を持つ親が、子供の将来的な学資確保等を目的に、NFTアートへと投資を検討するケースもあるようです。
実際問題として、NFTアートへの投資は、「あり」なのでしょうか。

子供の学資確保を目的にNFTアート投資に取り組むメリット

クレジットカード決済でNFTアートを購入できるマーケット・プレイスも増えてきた

OpenSea(オープンシー)のような、海外の大手のNFTアート・マーケットプレイスの場合、投資・転売目的でNFTアートを買い付けるにあたっては、あらかじめ仮想通貨取引所・販売所の口座開設を行い、イーサリアム・ブロックチェーン上で機能している仮想通貨「イーサ」を、一定量、買い付けておく必要があります。

「NFTアートへの投資には興味があるが、仮想通貨投資には興味がない」
という投資家の場合でも、プロセスの関係上、NFTアートに投資するためには、結果的に、仮想通貨に対しても投資せざるを得ない、というのが、長らくの実情でした。

しかし、昨今のNFTアート・ブームの盛り上がりによって、国内外の様々な企業がNFTアート分野へと新規参入しており、新たに開設されるNFTアート・マーケットの中には、GMOグループの運営するAdamByGMOのように、クレジットカードによる決済を受け付けているケースも増えつつあります。

さらに、AdamByGMOの場合は、各NFTアートの価格についても、イーサ建てではなく、日本円で表記されているため、仮想通貨のレートなどに不慣れな投資家の場合でも、概ねの価格帯の把握が容易である、というメリットもあります。

クリエイターによるGiveAway(ギブアウェイ)をうまく利用すれば、無料でNFTを入手できることも

昨今、NFTアートの認知度が上がるにつれて、NFTアートを創作し、販売したい、と考えるクリエイターが急増しており、クリエイター同士の競争、販売合戦は過熱の一途をたどっています。

そして、NFTアートが売れないことに困ったクリエイターにとり、まず第一に取り組むべきマーケティング施策として推奨されることが多いのが、Twitter(ツイッター)のフォロワー数を増やすこと、です。

というのも、NFTアートに関する情報収集には、ツイッター等のSNSが活用されることが一般的であり、売れっ子のNFTアート・クリエイターを目指すためには、大量のフォロワーを抱えたツイッターアカウントを保持・運用していることが重要である、とされています。

実際、OpenSeaなどのランキングを見ても、売上高上位のNFTアート・コレクションや、そのオーナーの大半は、ツイッター上においても、大量のフォロワーを抱えている、という、明確な共通点があります。

そして、NFTアート・クリエイターが、ツイッターのフォロワー数を増やすために、積極的に取り組んでいるのが、NFTアートのGiveAway(ギブアウェイ)企画。

  • 特定のTwitterアカウントをフォロワーしたり、そのツイートをリツーイトすることを条件に、
  • 抽選で一定の人数の当選者に対し、NFTアートを無料でプレゼントする、

というマーケティング施策です。

世界中のNFTアート・クリエイターたちが、ツイッターを中心に、NFTアートのGiveAway企画を立ち上げており、実際にTwitterで、ハッシュタグgiveawayで検索すると、関連ツイートの多さに驚くばかりです。

こうしたGiveAway企画をうまく活用すれば、転売用のNFTアートを、実質無料で入手できる場合もあります。

「ギブアウェイで貰ったNFTアートを転売するのは申し訳ない」は本当か

「転売目的のNFTアートを入手するために、GiveAwayに応募するのは、クリエイターさんに申し訳ない」
と感じてしまう投資家も少なくないようですが、些か誤解があります。

まず、GiveAwayに応募する時点で、そのNFTアート・クリエイターのTwitterアカウントをフォローすることとなるので、そのクリエイターとしては、フォロワー数を伸ばす、という、ギブアウェイ企画立ち上げ当初の目的は達しています。

さらに、GiveAway当選によってNFTアートを受け取った人が、入手したNFTアートを、うまく転売することが出来れば、そのNFTアートに、クリエイターのロイヤルティ設定が為されている場合、転売した際の代金の一部は、そのクリエイターの収入となります。
実際、ツイッターなどでGiveAway企画を展開しているクリエイターの中には、

  • ツイッターのフォロワー数を増やすことと合わせて、
  • この「ロイヤルティ収入」を最大化することを目的としているケースも、

少なくない、と言われています。

「申し訳ない」と及び腰になるのではなく、積極的に転売し、クリエイターへの収益還元を促進するのもまた、NFTアート投資に関わっていく際の面白さ・醍醐味の一つと言えましょう。

子供のための資金確保を目標に、NFTアート投資を始める場合のリスク・注意点

NFTコレクションの「Volume Traded」は、ウォッシュトレードによって水増しされている可能性がある

NFTアート投資の初心者が、NFTアート投資に取り組む場合、そのプラットフォームとしては、OpenSea(オープンシー)を利用することが一般的です。

OpenSeaで投資先のNFTアートを選ぶ際には、NFTアート単体を見て吟味するのではなく、そのNFTアートの属している「コレクション」全体のステータスを確認することが重要、とされています。

そして、NFTコレクションの良し悪しを判断するにあたっては、諸々のステータスの中でも特に、「Volume Traded」すなわち、二次流通も含めた累計売買代金の総額を重要視することが大切、と言われています。
NFTアート・コレクションとしての人気が高ければ高いほど、

  • プライマリー・セール(一次流通)においても、買い手が比較的高額を支払ってでも入手したい、と考えるため、売買代金が膨らみやすいはずですし、
  • セカンダリー・セール(二次流通)においても、転売に次ぐ転売が成立しやすい

と解釈できるため、です。

しかし、この「Volume Traded」値については、クリエイター、ないしはその利害関係者が、意図的に自己取引(ウォッシュトレード)を繰り返すことによって、システム上、水増ししてしまうことが可能です。

実際、各NFTアートの取引履歴を見れば、

  • いつ、
  • どのアカウントから、どのアカウントに対して、
  • どのような値段・価格で、

NFTがトランスファーされたか、については確認できますが、各アカウントの所有者がどのような人物かは、アカウントページのプロフィール欄や、リンクされているツイッターアカウントなどから推測するしかありません。

仮に、「Volume Traded」の水増しを計画したクリエイターが、サブアカウントを複数作成し、自身のNFTアートについて、サブアカウント同士での売買を繰り返していたとしても、外部の投資家からは、その真偽のほどを確認する術がない、というのが実情です。

こうした事情を踏まえれば、コレクションの「Volume Traded」値だけをみて、
「人気があるコレクションだな」
と判断するのは、些か早計に過ぎる可能性があります。
結局高値掴みをさせられて、その後、転売しようにも、誰も購入に応じてくれない、という結果に終わるリスクがあるため、です。

NFTアートの売り手、ないしは買い手は、マネーロンダリングを目的とした人物かもしれない

前述の通り、OpenSea(オープンシー)のようなNFTアート・マーケットプレイスの場合、各アカウントの実際の保有者に関しては、プロフィール欄に掲載されている情報や、リンクされているSNSなどから、類推するしかありません。

逆に言えば、プロフィール欄に書かれている情報や、リンクされているSNSアカウントが、虚偽のものであれば、そのアカウントの真の所有者に関する情報は、外部から、推し量ることすら出来ません。

そもそも、OpenSeaにアカウント登録をするためには、メタマスク(MetaMask)等の仮想通貨ウォレット(無料で作成することが出来、本人確認資料の提出等は不要です)があれば、原則として誰でも、本人確認なしで、アカウントを作成することが可能です

日本の金融機関や証券会社の場合、昨今はKYC(Know Your Customerの略。顧客の本人確認)への対応義務が重く、口座開設等に際しては、複数種類もの本人確認資料の提出を要請されることすらあります。
その点、NFTアートの販売サイトへのアカウント開設は、極めて「緩い」というのが実情です。

こうした状況を悪用し、不正な手段で入手した資金を洗浄(マネーロンダリング)しようと考えている不逞の輩が、NFTアート界隈にも存在し得る、と言われています。
実際、NFTアートの中には、単品で数百万円~数千万円規模の価格で売買されているものも少なくありませんので、一定の資金洗浄にはもってこいの市場である、とも換言出来ます。

子供の学資づくりを目的に、NFTアート投資に取り組んだところ、結果的に(=知らない間に)悪意ある第三者のマネーロンダリングに関与することとなってしまった、等というリスクも、看過することは出来ません。

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NFT(非代替性トークン)検証チーム
fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や、不動産クラウドファンディング、ロボアドバイザー、インデックス投資業界等の最新情報を提供する、投資・金融情報総合メディア。
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