せっかく作ったNFTアートが売れない時の対処法
目次
実は全然売れない?今話題の「NFTアート」とは
NFTは、Non Fungible Token、すなわち、「非代替性トークン」の略称。
そんなトークン情報が紐づけられたデジタルアートが、NFTアートです。
海外を中心に、一見何の価値もなさそうに見えるNFTアートが、数億円を超える高値で売買されるなど、大きな話題となっており、日本でも、普通の小学生が描いたデジタルアートが数十万円程度の高値で購入されるなど、メディアを賑わわせる日々が続いています。
一方で、NFTアートの認知度向上に伴い、クリエイターの新規参入が続出。
結果として、クリエイター・出品者同士の販売競争が過熱しており、せっかく頑張ってデジタルアートを制作し、NFTアートとして出品しても、「全く売れない」という事態に直面するクリエイターも、多数出現する事態となっています。
売れなくても挑戦すべき?NFTアートのメリットとは
仮に売れなくとも、ポリゴン・ネットワークでの出品とすれば、初期投資は限定的
OpenSea(オープンシー)のような大手のNFTアート販売サイトでNFTアートを出品する場合、最初のミント(NFTの鋳造)・出品の設定の時点で、
- イーサリアム・ブロックチェーンに出品するか、
- ポリゴン・ネットワークに出品するか、を、
クリエイター自身が選択することが可能です。
この際、ポリゴン建てでの販売を選択すれば、初回出品時のガス代(マイナーへのマイニング報酬)支払いは不要(もしくは、極めて少額)となります。
この仕組みをうまく活用すれば、万が一、NFTアートの販売がうまくいかず、「一つも売れない」という結果に終わってしまったとしても、高額な初期投資が無駄になってしまう、というリスクを避けることが出来ます。
NFTが売れたとしても、デジタルアートの著作権や商業利用権は移転しない
NFTアート販売サイトにデジタルアートをアップロードし、そのデジタルアートに紐づいたNFTが売れたとしても、購入者の所有物となるのは、あくまでも、そのトークンだけであり、デジタルアートの所有権が購入者に渡るわけではありません(そもそも、日本国の法律においては、デジタルアートのような無形物に関しては、所有権の存在が認めれられない、との議論もあります)。
自分の創作したデジタルアートのデータそのものは、クリエイター自身のパソコン等デバイスに保管しておくことが出来るため、当然のことながら、全く同じデジタルアートを元データにして、新たなNFTアートを作成し、出品することも可能です(ただし、最初に出品したNFTアートを購入してくれた投資家・コレクターに対して不義理とならないよう、留意が必要です)。
また、NFTそのものが売却されたとしても、そのNFTが紐づいたデジタルアートの著作権や、商業利用の権限等に関しては、トークンの所有者情報の変更だけでは、移転されません。
クリエイターとしては、自身が丹精込めて作成したデジタルアートの著作権等については、手元に慎重に留保しながら、そのデジタルアートと紐づいたNFTを売却することで、自身の創作活動の一部をマネタイズが出来る、というメリットがあります(※ただし、投資家やコレクターとの間で、別途、所有権・著作権・商業利用権等の移転に関する取り決め等が為される場合、別段となります)。
参考:
NFTアートの販売方法は-販売サイトの種類や手数料、オークション販売&固定価格販売の違いも検証
出品したNFTアートが転売された場合でも、二次流通からのロイヤルティ収入を確保できる
OpenSeaのような、主要なNFTアート・マーケットプレイスでは、NFTアートの出品にあたり、セカンダリー・セールス(二次流通)における「ロイヤルティ」の設定を行うことが出来ます(オープンシーの場合は、上限は10パーセント)。
あらかじめロイヤルティの設定を済ませておけば、自分がプライマリー・セールスで販売したNFTアートが、その後、最初の購入者から、別のコレクターへと転売された場合でも、その転売代金の一部を、ロイヤルティとして収受することが可能となります。
NFTアート・クリエイターの中には、この点に着目し、敢えて、プライマリー・セールスでは売上高を狙わず、GiveAwayやエアドロップによってNFTを大量に配布し、そうして市場に解き放たれたNFTが転売されていくことによる、セカンダリー・セールスからの副収入を、主たるインカムとしてターゲッティングしているケースもあります。
作っても売れず、努力が報われないことも-NFTアートのデメリット・リスクとは
イーサリアム(通貨)の価格が上がると、却って売れにくくなる可能性がある
OpenSeaのようなNFTアート販売サイトでは、各NFTアートの出品・販売価格は、日本円建てではなく、あくまでもイーサリアム建て(一部、ポリゴン建て)で表記されます。
3イーサで販売されているNFTアートの、円建てでの価格は、
- 1イーサ=10万円のときは、30万円ですが、
- 1イーサ=30万円にまで(イーサの対円での価値が)上昇すれば、90万円にまで値上がりすることになります。
この点は、NFTアートのクリエイターからすれば、夢のある話ですが、実際にNFTアートを買い付ける投資家・コレクターの立場に立つと、イーサが値上がりしていけばいくほど、円建てでの価格が実質的に上昇し、買付のハードルが上がってしまう、ということとなります。
購入を検討できる候補者が少なくなればなるほど、当然のことながら、NFTアートは売れにくくなってしまうため、最終的には、イーサの極端な値上がりは、クリエイターに対しても、ネガティブな影響を及ぼす可能性があります。
参考:
NFTアートの書き方とは-「コレクション」や「Description」の効果的な書き方まで徹底解説
売れたNFTアートの販売益について、税務上の取り扱いが不明瞭
仮に、出品したNFTアートが売れた場合、その売却価額と、NFTアート創作・出品のためにかかったコストとの間の差額、すなわち、NFTアート販売の利益相当額は、当然のことながら、課税の対象となります。
しかしながら、その課税が、
- いつ、
- どのように(=何所得として)
為されるか、という点については、目下、明確な基準が示されておらず、曖昧な状況が続いています。
課税のタイミング
NFTアート販売への課税のタイミングとしては、
- クリエイターが、デジタルアートをミントし、NFTを(出品者として)手にしたとき
- クリエイターの出品したNFTが、第三者によって購入され、売上高が生じたとき
- NFTアートの販売代金として収受した仮想通貨(イーサリアム等)を、売却した時(=日本円に換えたとき)
という、3つの選択肢が考えられます。
このうち、最も有力視されているのは、2つ目、すなわち、NFTアートが「売れたとき」に、その時点での仮想通貨の時価に応じて、売上高が計上される、という考え方です。
しかしながら、この場合、NFTアートが売れてから、その販売代金として収受したイーサリアム(ないしは、ポリゴン)の売却までに、時間がかかってしまうと、
- 売上高として(税務上)計上される価額と、
- 実際にクリエイターが手にする日本円との間に、
差額が生じてしまう可能性があります。
特に、イーサリアムの最終的な売却時に、イーサが日本円に対して(NFTアート売却時と比較して)値下がりしてしまっていると、その値下がり幅の大きさや、課せられる税率によっては、十分な納税資金を確保することが出来ない、というトラブルが生じるリスクもあります。
イーサリアム建てで出品する場合、NFTアートが売れなかったとしても、ガス代負担が必要となる(初回限定)
OpenSea(オープンシー)の場合、NFTアートをイーサリアム建てで(≒イーサリアム・ブロックチェーンをターゲットし)出品する場合、初回の出品に限り、アカウント有効化のためのマイニング報酬(ガス代)の負担が必要となります。
昨今、イーサリアム・ブロックチェーンのマイナーへのマイニング報酬は高騰しており、上記の手続きに要するガス代は、日本円換算で、少なくとも数千円、時間帯などによっては、1万円以上にも及ぶケースがあります。
「売れないかもしれない」というリスクを抱えながらも、その出品には1万円前後の手数料を支払う必要がある、というのは、デジタルアートのクリエイターにとっては、ひとつ、大きなハードルとなっています。
なお、高額なガス代負担を迂回する施策として、
- メインとなるイーサリアム・ブロックチェーンではなく、
- サイドチェーンにあたるポリゴン・ネットワークに出品する、という選択肢を取ることも可能ですが、
一般的なNFTアート・コレクター(投資家を含む)の間で、ポリゴン・ネットワークへの信頼度は(少なくとも、イーサリアム・ブロックチェーンへの信頼度と比較すると)低く、
「長期的な資産形成・転売を考慮すると、イーサリアム・ブロックチェーンに売買歴が記録されるNFTアートでない限り、投資対象とはしない」
と考えるコレクターも、少なくない、と言われています。
参考:
NFTアートと日本|日本人クリエイター、及び投資家にとって、NFTアートの持つ意義とは
NFTアートが売れない時は、「コレクション」をしっかりと育てていくことが大切
世界最大級のNFTアート・マーケットプレイスとして知られるOpenSea(オープンシー)の場合、クリエイターの作ったNFTアートは、それ単体で掲載・表示されるのではなく、「コレクション」と呼ばれる、一種のパッケージの中に掲載されることとなります。
そして、それぞれのコレクションには、
- items
- owners
- floor price
- volume traded
といった「ステータス」が存在します。
実際、NFTアートの購入を検討する投資家やコレクターは、NFTアート単体はもとより、そのNFTアートの属している「コレクション」のステータスの大小・良し悪しも、必ず確認しています。
もし、せっかくミントしたNFTアートが売れない場合、まずは、そのNFTアートの「入れ物」となっている、「コレクション」そのものを改善する必要性があるケースが多いのが実情です。
「items」の数の考え方(NFTが多ければ良い、という単純化は出来ない)
「items」は、そのコレクションに含まれているNFTアートの全体数を指す数値。
例えば、人気NFTアート・コレクションとして知られる「CryptoPunks」の場合、1万体のNFTアートがコレクションに含まれています。
一方で、日本の小学生が作成したドット絵アートがNFTアート化されたコレクションとして有名な「Zombie Zoo」の場合、2022年2月現在220件程度のNFTアートが「items」として登録されています。
items数はある程度絞り、限定感を演出したほうがベター
この「items」の数は、必ずしも、多ければ多いほどいい、というわけではありません。
確かに、ネイマール選手やジャスティン・ビーバーさんによる購入などでも話題の「Bored Ape Yacht Club」等のように、NFTマーケットプレイス上で上位にランクインしてくるコレクションは、総じてitems数が多い、という特徴がありますが、数千体以上のNFTアートを作成しようと思うと、実際問題として、プログラミングを活用したジェネラティブ・アートでないと、実現は困難です。
現実的な作戦としては、
- NFTアートの大量生産を志向するのではなく、
- むしろ、ある程度意図的に供給量を制限しながら、「プレミアム感」を出していくほうが、
長い目で見ると、マーケティング施策としては効果的、と言われています。
一番避けるべきなのは、出品したNFTアートが売れ残っている状態
せっかく出品したNFTアートが、コレクション内で売れ残ってしまっていると、投資家やコレクターからは、
「人気のないNFTアート=仮に購入したとしても、セカンダリ・セールで転売することが難しい」
と判断されてしまいがちです。
仮に、itemsの数そのものは少なくとも、
「出品したNFTアートは、一両日中にしっかりと売りさばけている」
という状態を確立・維持したほうが、コレクターからの「印象」上は、ベターであると言えます。
参考:
NFTアートは「売れた後」が肝心-NFTアートが売れたらすぐにやるべきToDoリストとは
プレミアム感は維持しつつも、定期的に追加リスティングを
「itemsの数量にプレミアム感が必要」というのは、前述の通りですが、さりとて、一定期間に渡り、全く追加のリストが為されていないと、コレクターや投資家からは、
「NFTアート・コレクションを継続する気があるのか?」
と、疑問視されてしまうきっかけにもなりかねません。
ある程度、頻度・ペースを決めて、コンスタントに追加出品をしていくことで、少しずつコレクションを成長させていく、というイメージが重要となります。
追記:
2022年1月下旬、OpenSea(オープンシー)は、プラットフォーム上の不正行為対策などを目的に、「1つのコレクションに含まれるitemsの数を、50個までに制限する」との仕様変更を発表しましたが、主にクリエイター達からの反発を受け、一両日中に撤回しました。
ownersの数(基本的には、多くのNFTコレクターに保有してもらっているほうが好ましい)
「owners」は、そのコレクションに含まれているNFTアートを、目下所有・保有してくれている人の数を表します。
まず、一般論としては、この「owners」の数があまりにも少ないのは、好ましくありません。
逆に、ここの数値がある程度大きいと、
「それなりに人気のあるNFTアート・コレクションなのかな」
というイメージを、投資家やコレクターに抱いてもらいやすくなります。
この点に着目し、GiveAway企画や、NFTアートの「トランスファー」(一種の、無償譲渡)で、ownersの数を増やしていく施策を取るクリエイターは少なくありません。
※それぞれ、メリット・デメリットがありますので、詳しくは後述します。
ただし、
- ownersの数は多いのに、
- volume traded(※後述します)の金額は小さい、という場合、
OpenSeaでのNFTアート買付に慣れた投資家・コレクターからは、違和感(=ただ無料でNFTをばらまいているだけでは、との疑念)を抱かれてしまうケースも少なくありません。
floor price(投資家の中には、”掘り出し物”のNFTを探している人も少なくないが…)
そのコレクションに含まれているNFTアートの、最安値(イーサリアム建て)を示すのが、「floor price」です。
この数値に関しては、「安いほうがいい」とも、「高いほうがいい」とも、なかなか断言が難しいのが実情です。
実際問題として、NFTアートの二次流通(転売)でキャピタル・ゲインを得ることを目指している投資家は、当然のことながら、出来るだけ安く仕入れることのできる(そして、将来高値で転売できそうな)NFTアートを、目を皿のようにして探しています。
そうしたコレクターから見れば、floor priceの小さいコレクションは、
「もしかしたら、掘り出し物があるかも」
と、興味を抱いてもらえる可能性もあります。
一方で、あまりにも多量に、安いNFTアートが氾濫してしまっているようなコレクションの場合、
「作ったNFTアートが売れないから、投げ売りしているのだろう」
と見られてしまうリスクもあります。
volume traded(NFTコレクションの人気度を示す重要指数だが、偽造リスクもある)
そのコレクションに含まれているNFTアートの、これまでの取引量(プライマリー・セールと、セカンダリ・セール以降の流通の全ての)の合計量を示しているのが、「volume traded」です。
当然のことながら、この「volume traded」の値が大きければ大きいほど、投資家やコレクターからは、
「二次流通も含めて沢山売買されている、比較的人気の高いNFTアート・コレクションなんだな」
と思ってもらいやすくなります。
NFTアートが売れないことに悩むクリエイターの中には、volume tradedの自作自演を始めてしまうケースも…
一方で、「NFTアートが売れない」という問題に直面したクリエイターの中には、「volume traded」値のもつ、上記のような特質に目を付けて、自分がミントしたNFTアートの「自己取引」に手を染めてしまっている人もいるようです。
具体的には、
- OpenSea(オープンシー)上に、サブアカウントを含めた複数のアカウントを作成し、
- メインのアカウントからミントしたNFTアートを、複数のサブアカウントを介して売買することで、
- コレクションの「volume traded」の値を意図的に操作(値を上昇させる)する、
という施策に取り組んでしまっている人が、一定数存在する、との指摘があります
なお、そうした行為の対象が、証券市場に上場している株式の場合、当然、株価操縦行為として、証券取引法違反等の罪に問われることとなりますが、NFTアート業界の場合においては、まだまだ法整備が追い付いておらず、そうした(一種の)不正行為が、いわば「野放し」となってしまっている、という実情に、警鐘を鳴らす人も、少なくありません。
NFTマーケットプレイスの適正な運用のためにも、volume tradedの吊り上げ行為はやめるべき
なお、こうした手法の存在は、少しずつ、ではありますが、投資家やコレクターの間でも認知されつつあり、その効果が疑問視されるようになってきています。
そもそも、NFTアートをサブアカウントで自己取引・売買する場合、その都度、マーケットプレイスに対して手数料(OpenSeaの場合は、売買代金の2.5%)を支払う必要が生じますので、仮にこうした行為を行ったとしても、思うような効果を得られず、却ってジリ貧になる、との指摘もあります。
NFTコレクションへの”想い”を伝えるべく、「プロフィール」欄も充実させる
OpenSeaの場合、各コレクションの「プロフィール」欄には、紹介文(テキスト)を記載できるほか、
- 各コレクションの公式サイトや、
- Discord、
- Twitter、
- インスタグラム、等と言った外部サイト・SNS等に対して、
リンクを設定することが出来ます。
公式サイト・専用ホームページを運用していると、NFTアート・コレクションへの「本気度」が伝わりやすい
特に、コレクターから人気の高いNFTアート・コレクションの場合、独自の専用ホームページが立ち上げられており、
- コレクション立ち上げの経緯や、
- コレクション運営に関わっているチームメンバー(クリエイターやコーダーなど)の紹介、
- 各NFTアートへの思いや創作秘話、等と言った情報が、
多々、掲載されているケースも多くあります。
日本人のNFTクリエイターの場合、
「専用ホームページの立ち上げまではちょっと…」
という人も多いようですが、その場合、note(ノート)のようなサービスを利用して、創作活動への意気込みなどを共有している人も珍しくありません。
最近では、自身の仮想通貨ウォレットと紐づいたNFTアートを、オンラインの3Dギャラリーに展示できる、OnCyberのようなサービスを利用し、独自のインターネット個展を開き、そこへのリンクを、コレクションのプロフィールに設置している人も増えてきました。
「items」の数や、「volume traded」の情報等を閲覧し、コレクションに対して興味を持った投資家は、実際にNFTアートを買い付ける前に、こうしたプロフィール情報を仔細に閲覧し、そのクリエイターの、NFTアート作りに向ける熱量等を把握しようとしているケースもある、と言われています。
「プロフィール」欄の表記は、海外のNFTコレクターにも理解できるよう、出来るだけ英語で
昨今、日本人の間でも、少しずつ、NFTアートへの関心は高まりつつありますが、まだまだ、「アーリーアダプター向け」というのが実情です。
そして、日本でNFTアートに関心を持つ人の多くは、
- NFTアートを自分で作って、出品・販売してみたい、考えているケースが多く、
- NFTアートに対して投資し、プライマリー・セールで安く仕入れたNFTアートをセカンダリ・セールで転売して利益を出す、という、いわゆるキャピタル・ゲイン(トークンの値上がり益)を目的にNFTアートと関わっている人は、
日本では、まだ少数派、というのが実情です。
このため、コレクション、及びNFTアートの説明文等においては、原則として、海外向け表記、すなわち、英語向け表記が好ましい、とされています。
必ずしも流暢ではなくとも、拙くても良いので、英語で一生懸命に自身のNFTアート・コレクションの情報を伝えようとする姿勢が、最も大切と言えます。
参考:
NFTアートの始め方|SNSで話題のNFTアート投資の始め方も徹底解説
プロパティ設定や販売手法にこだわりがないと、なかなかNFTアートは売れない
個々のNFTアートにとっての「入れ物」となる「コレクション」の設定が重要なことは、前述の通りですが、当然、各NFTアートの作りこみ、そして販売方法もまた、実際にNFTアートを売っていくためには、重要なポイントとなります。
NFTアート1つずつの「プロパティ設定」の重要性
NFTアートをOpenSeaにアップロード・出品するときには、各NFTアートについて、下記のような設定を行うことが出来ます。
- External link
- クリエイターのHP(NFTアートに関する詳細情報が掲載されているホームページ等)への外部リンク。
- Description
- 作品に関する説明欄。マークダウン形式による入力が可能。
- Properties
- アイテムの属性情報(例:性別や、種類など)。前述のCryptoPunkの場合であれば、各NFTアートに、「アクセサリー」や「タイプ(性別)」といった属性情報が付帯しており、各NFTアートのレア度などが細かく表現されています。
- Levels
- クリエイターが任意で、「力」や「スピード」、「知力」などといった項目を作成し、それぞれのレベルを入力することが出来ます。
出品したいと考えているNFTアートと無関係であれば、当然、設定しないことも出来ますが、設定する場合は、プログレスバー(棒グラフのようなもの)での表示となります。 - Stats
- 前述のレベル表示と似ていますが、こちらで設定した情報は、プログレスバーではなく、テキスト(文字列)にて表示されます
引用元:NFTアートの作り方&販売方法(出品)とは-初心者向けにスクリーンショット付で徹底解説
NFTアート1つずつに対して、これらの情報全てを逐一入力していくのは、確かに、かなり大変な作業です。
しかしながら、実際にコレクター・投資家によく売れているNFTアートを見ると、特に上述の「Properties」の部分は、事前にプランニングをしたうえで、相当に練りこまれていることが分かります。
中でも「レア度」に関する情報は、
「出来るだけ希少価値の高いNFTアートを選んで投資したい」
と考えているコレクター・投資家にとっては、相応に重視すべき情報、とされています。
独自コントラクトを利用してNFTアートをミントする手法の検討
いささかテクニカルな話となりますが、NFTアートが売れない時は、思い切って、共用コントラクトからのミントをやめて、独自コントラクトを使用してみる、というのも、一手となります。
共用コントラクトを利用すれば、ミントにガス代は不要だが…
OpenSea(オープンシー)のようなNFTアート・マーケットプレイスにデジタルアートをアップロードしてミント(NFT化)する場合、クリエイターは、NFT化のためのガス代(マイニング報酬)を支払う必要がありません。
例えばOpenSeaの場合、「Lazy Minting」という手法を利用しており、
- クリエイターがデジタルアートをアップロードした時点では、ブロックチェーンへの記帳は行わず(=オフチェーン)、
- 作品が第三者に売れたときに初めて、NFTをオンチェーンに記帳し、
- その際のガス代(マイニング報酬)は、購入者負担、としています。
まずは気軽にNFTアート作りを始めてみたい、と考えているクリエイターにとっては、確かにメリットがありますが、一方で、OpenSeaの共用コントラクトを利用して作品をミントする場合、そのNFTの「最初の保有者」は、ブロックチェーンの記録上、クリエイターではなく、OpenSea、と記帳されることとなります。
独自コントラクトのデプロイ、及び独自コントラクト上の作品ミントも、物理的には可能
一方で、クリエイター自身が、何らかの外部サービスを利用するなどし、OpenSeaの共用コントラクトではなく、独自コントラクトを自らデプロイし、その独自コントラクト上に、デジタルアートをミント(NFT化)する取り組みも、一部のクリエイターの間では、少しずつ広まりつつあります。
特に、2022年1月下旬、オープンシーが突如として、「1つのコレクションに(共用コントラクトを利用して)ガス代無料でミントできるNFTの数は、50個まで」という制限を発表(※ただし、その後撤回)したことを契機に、OpenSeaという強大なプラットフォームへの依存度を下げるべく、独自コントラクトでのミントを検討するクリエイターが増えた、という事情もあります。
一方で、OpenSeaのような中央集権的な組織を嫌うコレクター・投資家の中には、
「オープンシーの共用コントラクトでミントされたNFTではなく、クリエイターの独自コントラクトを通じてブロックチェーンに記帳されているNFTアートを、購入したい」
と考えているケースもあり得ますから、両者の思惑が一定程度一致する可能性もあります。
※ただし、独自コントラクトのデプロイ、及び作品のミント(NFT化)には、相応のガス代負担が必要となります。
新規のNFTアート発行等を、プレスリリースで宣伝していく
「プレスリリース」と聞くと、
「企業が行うもので、個人のNFTクリエイターには関係ない」
と思ってしまいがちですが、決して、そんなことはありません。
確かに、一般企業がプレスリリースを発行する場合、PRTIMESなどの、PR作業の代行業者に依頼し、多額の広告宣伝費用をかけて行うケースも、少なくありません。
しかし、そのような手法を採らずとも、
- NFTアートや暗号資産・仮想通貨関連の情報を継続的に取り上げているメディアサイトを探し、
- そのサイトの「問い合わせフォーム」から、サイト運営者に対してコンタクトを取ったうえで、
- 自身のNFTアート・コレクションの内容や、新規に発行することを予定しているNFTの情報等を伝える、等、
個人のNFTクリエイターでも、費用をかけることなく、出来ることは、たくさんあります。
また、一度、ブログメディアの管理人などとコンタクトを取り、互いに信頼関係が築けると、その後、新たなNFTアート発行のたびに、気軽に記事化を依頼し得るような関係を構築できることもあります。
※勿論、メディア管理者に対しては、お礼として、自身のNFTアートをトランスファー・GiveAwayするなど、互いにメリットのある関係性を構築することが重要なのは、いうまでもありません。
SNSの活用は、「売れないNFTアート」を人気作品に変えるための必須事項
NFTアートのプロモーションの鉄板=Twitter(ツイッター)
OpenSeaなどの作成している、NFTアートの流通高ランキングなどを見てみると、実際にNFTアートが売れているクリエイターは、総じて、「Twitterのフォロワー数が多い」という、ある意味、意外な共通点があります。
NFTアートの出品をツイートすれば、無料の宣伝ツールとして使える
継続的にツイッターの運用に取り組み、フォロワー数をコンスタントに増やし、維持することが出来れば、NFTアートのプライマリー・セール(一次販売)を行うにあたっても、その情報をツイートの形で流せば、実質無料で、NFTアートの広告宣伝を行えることとなります。
Twitterを使えば、海外のNFTアートコレクターとも連絡が取れる
海外のNFTアート愛好家の間でも、Twitterによる情報発信や収集は一般的です。
著名なNFTアートコレクターのアカウントをフォローし、リプライ等でコンタクトを重ねつつ、
「何かお勧めのNFTアートは無いかな?」
等とツイートしている様子を見かけたら、さりげなく自分のNFTアートをプッシュしてみる、というのも、販促上、効果的でしょう。
NFTアートのファンコミュニティとしてよく利用されているのが「Discord」(ディスコード)
Discord(ディスコード)の場合、Twitterと比較すると、NFTアート収集家やクリエイター同士の間で、「コミュニティ」を形成する時の手段として、良く活用されています。
※それに対し、Twitterの場合、情報の発信・受信や、リプライ欄の開放などによる「絡み」が重視されている、という印象があります。
特に、海外のNFTアート・コレクションの場合、Twitterはもとより、Discordについても積極的に活発している様子が伺えます。
NFTアートに対して目の肥えた投資家の場合、コレクションやトークンそのものと同様、アカウントやコレクション・ページに紐づけられたDiscordコミュニティが活発か、どうかを、ファン・コミュニティの形成程度の判断基準として利活用しているケースも散見されます。
「NFTアートが売れない」という人必見、SNSを使った販促活動の有効施策は
Giveaway企画の実施を実施して、「売れないNFT」を有効活用
NFTアートの販売促進において、SNS、特にTwitterの有効活用が欠かせない事は、前述の通りです。
そして、Twitterの拡散力を最大限に活用するためには、何はともあれ、十分な数のフォロワー数を確保しておくことが欠かせません。
そして、「Twitterのフォロワー数を増やす」ための施策として、NFTアート・クリエイターの間で最も頻繁に利用されているもののひとつが、「GiveAway」(ギブアウェイ)です。
フォローやリツーイトの見返りに、NFTアートをプレゼントする
GiveAwayの仕組みを一言で表現すると、
- アカウントをフォローしてくれた人の中から、抽選で1名(ないしは、複数名)に、NFTアートをプレゼントする、という企画を立ち上げ、
- その企画を見た人たちからの、フォローやリツーイトを期待する、
という施策です。
施策の性質上、主にNFTアートの転売を目的に、出来るだけ廉価に(出来れば、無料で)NFTを入手する機会を狙っている人が、アカウントをフォローしてくれることが期待できます。
なお、当選者に対しては、当然、所定のNFTアートをプレゼントする必要がありますが、もしもその人が、受け取ったNFTアートをうまく転売(二次流通)してくれれば、事前にロイヤルティの設定させしておけば、クリエイターとしても、一定のコミッション収入が得られることとなり、メリットがあります。
GiveAway(ギブアウェイ)作戦には、デメリットもある
流行り始めた当初は、フォロワー獲得のためにそれなりの効果があった、GiveAwayではありますが、昨今は、
「NFTアートが売れない」
という状況に悩むクリエイターの多くが、
「まずはGiveAwayをして、Twitterのフォロワー数を増やそう」
と考える傾向があるために、Twitterコミュニティには、「#giveaway」というハッシュタグをつけたツイートが氾濫している状態です。
また、そもそもTwitterのフォロワー数が少ないと、「GiveAwayします!」とツイートしたところで、そのツイートを見てくれる人自体が少ない、という、「鶏が先か、卵が先か」レベルの問題もあります。
さらに、あまりにも頻繁にGiveAwayをしていると、コレクションを見た投資家が、
「どうせ、すぐにまた、GiveAwayをするだろうから、わざわざ資金を出して買うまでもない」
と、購入を敬遠してしまうリスクもあります。
有名人・インフルエンサーの力を借りて、NFTアートが「売れる仕組み」を構築する
フォロワー数の少ないNFTクリエイターの場合でも、大量のフォロワーを抱えたインフルエンサーにリツーイトしてもらうことが出来れば、一気にフォロワー数を増やすことが出来る場合があります。
NFTの一方的なトランスファーには要注意
NFTアートが売れなくて困っているクリエイターの中には、苦肉の策として、
- OpenSeaの「Transfer」機能を利用して、
- 有名スポーツ選手やアーティスト、芸能人など、いわゆる「セレブ」と呼ばれる人たちに対して、
- 自身の(売れ残った)NFTアートを、一方的に送付し、
- そのNFTについて、「有名人に保有してもらった」という、ブロックチェーン上の記録(いわゆる、”箔”)をつけよう、
という取り組みを行うケースも散見されます。
ただしその場合、一方的にトランスファーするだけでは、当然、受け取る側からしても、迷惑でしょうし、即座にバーンアドレスにトランスファーされるだけ、という結末もあり得ます。
なお、バーンアドレスにトランスファーするのは、それはそれで、(少なくとも、イーサリアム・ブロックチェーンの場合は)ガス代のかかる行為です。
いずれにせよ、受け取り手に不快な思いをさせてしまうリスクがありますので、不用意に取り組むべく施策とは言えません。
有名人からの二次流通に期待したいのであれば、まずは常識に基づき、きちんと挨拶を
もしも、有名人にNFTアートを贈りたいのであれば、きちんとSNS等を通じて、ご本人と多少なりとも、コミュニケーションを取ってから、とするのが無難であり、礼儀です。
仮に、コンタクトがうまくいき、著名人にNFTを受け入れてもらえれば、当初の目論見通り、当該トークンには箔が付きますし、有名人がそのNFTアートを転売してくれれば、二次流通のロイヤルティも入ることとなります。
いろいろとメリットもあるだけに、最初、どれだけきちんとしたアプローチを取ることが出来るか、が、重要です。
参考:
「NFTアート作りを子供にやらせる」は、ありなのか-国内・海外の事例から読み解く、メリット&デメリットとは
Author Info
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