NFTアートと日本|日本人クリエイター、及び投資家にとって、NFTアートの持つ意義とは

日本人クリエイターの間で、NFTアートへの関心が高まりつつある理由

日本の小学生が作ったNFTアートが高額で売買された事例も

”日本の普通の小学生”のNFTアートの流通総額が、既に約2,000万円に到達

マインクラフトが大好きな、一見普通の、日本人の小学生。
そんな彼が、NFTアート販売サイト「OpenSea」(オープンシー)上で、母親に手伝ってもらいながら展開しているNFTアートコレクションが、「Zombie Zoo Keeper」です。
ゾンビとなった動物等をモチーフとしたNFTアートが、2022年2月8日現在236点公開されており、累計取引ボリューム(Volume Traded)は105イーサリアム(1イーサリアムが20万円だとすると、約2千万円)に達しています。
2イーサ(1イーサリアムが20万円だとすれば40万円)程度の高額で売買されているNFTアートも多数あり、日本のNFTアートシーンでは、ある意味、一番有名な小学生かもしれません。

日本人小学生「Zombie Zoo Keeper」君の活躍は続く

「Zombie Zoo Keeper」君については、2022年に入ってからもビッグニュースが相次いでおり、

  • 東映アニメーションとのアニメ化や、
  • Zombie Zoo君の作ったNFTアートを物理アート(現物アート)として販売する試みなど、

様々な日本企業を中心に、複数の大型プロジェクトが進行しています
「小学生が描いたドット絵が、こんなに高い値段で売れるなら、私のデジタルアートだって…」
と、日本のクリエイターたちが触発されたことも、日本のNFTアート・シーンが盛り上がってきているきっかけのひとつと言えましょう。


参考:
「NFTアート作りを子供にやらせる」は、ありなのか-国内・海外の事例から読み解く、メリット&デメリットとは

イーサリアムの価値が上がれば、日本円建ての売上高も増えていく

NFTアートの売上代金は、日本円建てではなく、イーサリアム建てが普通

OpenSea(オープンシー)などの大手NFTアート販売サイトでは、各NFTアートの販売代金は、日本円建てではなく、イーサリアム建て(時折、ポリゴン建て)で表記されていることが一般的です。

実際、こうした販売サイトを介してNFTアートを購入する場合、投資家やコレクターは、

  1. 一旦、イーサリアム等の仮想通貨を購入し、
  2. こうしたイーサリアムを仮想通貨ウォレットに送金したうえで、
  3. NFTアート販売サイトのアカウントを接続し、
  4. その資金で、NFTアートを買い付ける、

という形が一般的です。

日本円/イーサリアムの間の交換レートが好転すれば、円建て売上高は自然と向上する

そして、イーサリアムと日本円との間の交換レートは、日々、上下動しています。
出品・販売しているNFTアートそのものの量や質は変わらなくとも、イーサリアムと日本円との間の交換レートが変化すれば、それだけで、クリエイターの受け取る(日本円建ての)販売代金は、大きく変化することとなります。

うまく、円安・イーサリアム高のタイミングで、NFTアートを売却し、日本円に換えることが出来れば、日本円建てで、大きな販売益を計上できる可能性もあります。


参考:
NFTアートの作り方-デジタルアートの作り方や、仮想通貨ウォレット(メタマスク)の作り方等を、初心者向けにスクリーンショット付で徹底解説

日本企業の作った、日本円で売買できる、日本人向けの日本のNFTアート販売サイトも

NFTアート販売サイト事業には、日本企業の新規参入が相次いでいる

NFTアート市場に注目しているのは、何も、日本人クリエイターだけではありません。
暗号資産の取引所や販売所、といった事業を営んでる企業も、新たな事業領域として、NFTアート市場に注目しています。

そして、そうした日本企業が昨今提供開始しつつあるのが、AdamByGMOのように、主に日本人クリエイター、そして日本人投資家をターゲットにした、「日本人向け」のNFTアート販売サイトです。

こうしたNFTアート販売サイトでは、クレジットカード決済も導入されており、場合によっては、投資家やコレクターは、仮想通貨・暗号資産を事前に買い付けずとも、NFTアートの購入を行うことが出来るケースもあります。

「円建て表記」がされていることにより、クリエイターサイドも、実収入をイメージしやすい

また、こうしたNFTアート販売サイトでは、各NFTアートの販売価格も、イーサリアム建てではなく、日本円で表記されています。
このため、実際にNFTアートを出品・販売するクリエイターとしても、

  • 自分の競合となりそうなNFTアート・クリエイターは、だいたい、いくら程度の価格で、NFTアートを出品しているのか
  • 自分が仮に、当該販売サイトでNFTアートを販売した場合、概ね、どの程度の売上高をたてることが出来そうか

といった点について、事前の検討がしやすい、というメリットもあります。

日本人の好きな、TwitterやインスタグラムといったSNSを親和性が高い

日本人クリエイターの間で、「NFTアートが売れない」問題が急浮上

昨今、日本人クリエイターの間で、NFTアートの存在は認知度を高めつつあり、

  • NFTアートを作成してみたい、
  • 出品してみたい、

と考える日本人クリエイターは、増加の一途をたどっています。

その結果、クリエイター同士の間での競争は過熱気味であり、せっかくNFTアート作りに取り組んでみたものの、思ったようにNFTアートが売れない、という現実に悩むクリエイターも増えているのが実情です。

そうした日本人クリエイターたちにとって救いの手となりつつあるのが、ツイッターやインスタグラムといったSNS。
実際、

  • 画像付きで、リンクを含む短文を投稿出来るツイッターや、
  • 画像、及び短時間の動画専用のSNSであるインスタグラムは、

そもそも、NFTアートと親和性が高い、という特長があります。

Twitterのタイムライン上では、NFTアートの販促のためのツイートが多発

このため、特にツイッター上では、NFTアートの販売促進を狙う日本人クリエイターたちを中心に、GiveAway企画などが大量にツイートされています。
また最近では、「NFTアートを買いたいので、おすすめのNFTアートを教えて欲しい」等のツイートも増えてきており、ツイッター上では、NFTアートをめぐるリプライ・リツーイトが氾濫している状況です。

このように、もともと日本人クリエイター達の間で愛用されてきた、ツイッターやインスタグラム、といったSNSと、比較的相性がいい、という点も、NFTアートが、昨今、日本人クリエイターの間で注目を集めつつある理由の一つと言えましょう。


参考:
せっかく作ったNFTアートが売れない時の対処法

日本のアーティストには、NFTアートが流行りづらいと言われる根拠

NFTアートを積極的に販売していくためには、日本語だけでは不十分

「NFTアートを買いたい」と考えている日本人は、まだ少ない

昨今、日本人の間でもNFTアートの認知度が高まりつつある点は前述の通りです。

しかしながら、日本人でNFTアートについて盛り上がってのは、大体が、NFTアートを作りたい・売りたい、と考えているクリエイターであり、NFTアートを投資対象物として考えている投資家やコレクターは、まだまだ、日本では少数派、というのが実態です。

このため、日本人クリエイターがNFTアートを創作する場合、その販売先は、日本人ではなく、基本的に、海外・外国人を対象していく必要があります。

コレクション作成やアート作品の出品に際し「言葉の壁」問題が浮上

当然のことながら、

  • コレクションの名前や、概要欄、
  • 個々のNFTアートのタイトルや説明・PR文は、

英語で表記していく必要があります。
※前述の「Zombie Zoo Keeper」君も、SNS等は英語にて情報発信をしています。

こうした「言葉の壁」の存在は、日本人クリエイターにとって、NFTアート業界へと参入する際の、ひとつのハードルとなっている、と言えます。


参考:
NFTアートの販売方法は-販売サイトの種類や手数料、オークション販売&固定価格販売の違いも検証

日本の税法におけるNFTアートの取り扱い

そもそも、「NFT=仮想通貨」なのだろうか

NFTアートが、日本の税法において、どのような取り扱いとなるのか、を検討するためには、まず、NFT(非代替性トークン)そのものが、果たして、仮想通貨なのか、どうか、から検討する必要があります。

ブロックチェーン上に記帳されるトークン、と考えれば、ビットコイン等と同様、NFTについても、「仮想通貨である」と考えることもできます。
ただし、ビットコインのような代替性トークンと異なり、NFT(非代替トークン)それ自体は、通貨としての機能は持ちません。
このため、「NFT(勿論、NFTアートを含む)は、仮想通貨ではない」とする考え方もあります。

このあたりを明確にしないと、拡大解釈すれば、デジタルアートをNFT化(ミント)した時点で、
「クリエイターがNFTを入手した」=「マイニングによって仮想通貨を入手した場合と同様、入手の時点で課税」
という考え方も成立してしまう可能性があり、留意を要します。

NFTアート販売代金への課税タイミング、及び、所得分類についても、明確な基準が未策定

また、NFTアートを実際に判断した後、

  • 販売した時点の時価(例えば1イーサリアムが20万円のタイミングで、3イーサで売れたのであれば、60万円)を売上高として考慮するのか、
  • それとも、NFTアートを販売することに拠って入手した仮想通貨を、売却した時に、課税対象として考慮するのか

という点についても、議論の余地がある、とする見方もあります。

更に、NFTアートの販売によって得た利益が、所得の分類上、「何所得」に分類されるのか、という点についても、見解が分かれています。

  • 創作活動をメインにビジネスを展開しているクリエイターが、NFTアートを販売した場合、「事業所得」だとする考え方もある一方で、
  • 物理アート(現物アート)の創作を本業としているクリエイターが、退勤後の空き時間を利用してNFTアートを作成・販売した場合、それは副業ではないか、そして、副業である以上、「雑所得」として勘案されるべきではないか、

という議論もあります。

このように、税法・税務上の取り扱い方が明確でない以上、無計画にNFTアートの作成・販売を行い、その後、無作為に日本円に換金する、などした場合、課税権者サイドとの見解の相違により、思わぬ課税を受ける可能性も否めません。
NFTアートの売却価額や、納税時点でのキャッシュフローによっては、十分な納税資金を確保できない、等と言ったトラブルも起こりえる、というリスクもあります。


参考:
NFTアートの書き方とは-「コレクション」や「Description」の効果的な書き方まで徹底解説

大半の日本人クリエイターは、仮想通貨・暗号資産やウォレットの扱いに慣れていない

NFTアートの販売にこぎつけるまでには、ウォレット作成等の手間暇が必要

日本人クリエイターが、NFTアートを販売する場合、

  1. 事前に仮想通貨取引所に口座を開設し、NFTアート販売サイトのアカウント初期化のためのガス代支払いに充てるイーサリアムを買い付けておいたうえで、
  2. 仮想通貨ウォレット(主にメタマスク)の作成を行い、
  3. 仮想通貨ウォレットを紐づける形で、NFTアート販売サイトにアカウント開設をし、
  4. コレクションを作成し、
  5. そのコレクションに投入する形で、デジタルアートをNFT化(ミント)する、

という手続きが必要となります。

イーサリアム・ブロックチェーンの「スケーラビリティ問題」もネックに

上記したいずれのプロセスも、関連ブログなどを閲覧しながら進めれば、決して難しくはありません。
しかし、日本のデジタルアートのクリエイターの多くは、創作活動に忙しく、仮想通貨・暗号資産周りの知識に疎いケースも少なくない、というのが実情です。
「NFTアートの出品に興味はあるが、事前に仮想通貨を買わなくてはならないのが面倒だ」
等と言った理由で、NFTアート事業への参入を躊躇しているクリエイターも少なくありません。

また、NFTアートを作成・販売する場合、どうしても、イーサリアム・ブロックチェーンのスケーラビリティ問題、すなわち、高額なガス代負担の問題と向き合う必要が出てきます。
最近では、OpenSeaに最初のイーサリアム・ブロックチェーンNFTを出品する際のアカウント初期化に伴うガス代は、数千円~1万円以上にも及んでいます。

  • 実際にNFTアートとして売り上げが立つのかどうかすら分からないのに、
  • それなりの金額の初期投資が求められる、

という点は、多くのデジタルアート・クリエイターにとって、ひとつのハードルとなります。


参考:
NFTアートの始め方|SNSで話題のNFTアート投資の始め方も徹底解説

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