「毎月10万」から始めるインデックス投資の魅力とは|iDeCo&つみたてNISAフル活用で、まずは月10万円の予算消化を目指す
この記事のまとめ(本文は約2万文字→まとめは3分で読めます)
- 投資する株式銘柄を逐一選択する必要が無い(=市場全体に対して投資が出来る)
- 1本の投資信託で、数百~数千もの株式銘柄に分散投資できる。分散投資により、リスクを減らす効果が期待できる
- 証券会社の提供する、自動積立投資機能を利用すれば、ドルコスト平均法のメリットを活かし、投信の買い付けコストを平均化できる(=極端な高値掴みを回避する効果が期待できる)
- 一時的には、資産評価額が元本割れするリスクがある。また、不況が長期化すれば、元本割れ期間も長引く恐れがある
- 「いつ頃までに」「どの程度の」利回りを得ることができるのか、は、未知数(=値上がり益が実際に生じるか、どうかは、投信の基準価額の値動き次第)
- 短期(数ヶ月程度)で利益を上げることを目的としたトレードには向かない(短くとも10年以上。基本的には数十年単位の長期投資が前提とされている)
- まずは、所得税&住民税の節税効果(=毎月の拠出金全額が所得控除)が明確な、iDeCo(個人型確定拠出年金制度)の拠出可能額(=就業の状態によって異なる)を活用
- 続いて、長期の積立投資に特化した、政府の投資支援制度「つみたてNISA」を活用(=専用口座で取得した投資信託の値上がり益、及び分配金が、最長で20年間、非課税にて運用できる)
- さらに、毎月の積立投資予算が余る場合は、一般の課税口座(特定口座)にて、インデックス・ファンドの追加買い付けを行う(利益確定時には、所得税と住民税を合わせて、約20パーセント程度の税金がかかる)
- 「日本株式」「日本債券」「外国債券」「外国株式」という4つの資産クラスに均等に資産配分する場合の期待利回りは4.03%(年率)
- 投資対象を株式のみ(国内株式50%+海外株式50%)とする場合、期待リターン(年率)は6.40%
- 全額を外国株式に対して積立投資する場合、期待リターン(年率)は7.20%
- インデックス投資で毎月10万円分の値上がり益を得たい場合、(ポートフォリオにもよるが)数千万円以上程度の投資元本が必要
- インデックス・ファンドの基準価額は、「値上がりしたり、値下がりしたり」を繰り返す習性があるため、毎月コンスタントに値上がりを続けることは難しい
- そもそも、インデックス投資は「キャピタル・ゲイン」(=投信の値上がり益)を期待する投資手法であるため、毎月10万円程度の「キャッシュ・フロー」(=一種の不労所得)の獲得を目的としている人には、不向きな投資法
- クラウドファンディング系投資の場合、そもそも期待利回り(5%前後~10%程度)が事業者側から提示されている(一方で、インデックス投資の場合、所与の期間経過後に、リターンがプラスとなるか、マイナスとなるか、は、未知数)
- 運用期間は事前に定められているため、投資家自身で、買い時・売り時の判断をする必要が無い(インデックス投資の場合、少なくとも運用終了の「出口」に関しては、投資家自身で、出口戦略を策定する必要がある)
- そもそも「値動き」というものがないため、日々のチャート監視も不要。投資家自身で値動きに応じた投資判断を行う必要が無い(一方で、インデックス・ファンドの場合、日々、基準価額の値動きが生じるため、値上がり・値下がりが気になり、一喜一憂することとなる)
- COZUCHI(公式サイト)
東京都内・首都圏の不動産に対して、1口最低1万円から、ネットで気軽に分散投資をすることが出来る。運営会社による共同出資で、投資家の出資元本を保護する「優先劣後スキーム」が採用されている。 - クラウドバンク(公式サイト)
証券会社が直接運営する投資型クラウドファンディング・サービス。累計応募総額は1,000億円を超えており、国内の投資型クラウドファンディング業界では最大手クラス。タレントのトリンドル玲奈さんを起用したテレビCMも。 - Funds(ファンズ)(公式サイト)
日本国内の上場企業へと融資するファンドに、最低1円から投資可。これまでの融資先には、メルカリ(東証マザーズ)やアイフル(東証一部)、タカラレーベン(東証一部)など、有名・有力企業が多数。
※クラウドファンディング投資についてより詳しくは、下記の別記事も参照:
ソーシャルレンディングおすすめ9社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】
目次
月10万円からでも可能?インデックス投資とは
個別の株式銘柄に対して投資をするのではなく、投資信託やETF(上場投資信託)を活用し、市場の平均インデックス(指数)に連動した投資成果の獲得を目指すのが、昨今話題の「インデックス投資」と呼ばれる投資スタイルです。
インデックス投資の流れ
投資家が初めてインデックス投資に取り組む場合、基本的には、下記のようなステップを辿ることとなります。
- 自身のリスク許容度を把握する。
- そのうえで、どのインデックス(指数)に、どの程度の資産割合を投じるのか、アセット・アロケーションを決定する。
- 資産クラス別に、インデックス、及び、インデックスに連動する投資信託・ETFを取得する。
- 毎月積立で、投資信託(ETF)を買い足す(追加投資)。基本的には、バイ&ホールド戦略のもと、数十年単位で資産を継続保有する。運用期間中に、資産クラス別の値上がり・値下がりで、ポートフォリオのバランスが崩れてきたら、適宜、リバランスを実施する(※2)。
それぞれ、詳しく見て参りましょう。
①リスク許容度の把握
投資家がインデックス投資を始めるにあたっては、まず、自分自身の「リスク許容度」の把握が欠かせません。
投資における「リスク」とは、利回りの標準偏差のことを指します。
- 「リスクが大きい」投資というのは、上方向にも、下方向にも、利回りがぶれる可能性が高くあります。
- 一方で、「リスクの小さい」投資は、利回りの標準偏差が小さく、基本的に、期待利回りから僅差の範囲内に、実際の利回りが(少なくとも、過去のデータに基づいた統計学の観点からは)収まりやすい、という特質があります。
勘のいい人はお気づきでしょうが、投資の世界において、「リスク」とは、必ずしも、「危機」「危険」のことだけを示すのではありません。
想定されていた期待利回りよりも「上方向」(=投資家にとって、良い方向)に、実際の利回りが着地する可能性もまた、投資の世界では、「リスク」と表現されます。
このことから、投資の世界でリスクは、「機会」とも日本語訳されることがあります。
※一般的なイメージにあたる、「危険」という意味でのリスクは、「ダウンサイド・リスク」と表現され、逆に、利回りが上揺れする可能性のことは、「アップサイド・リスク」として歓迎されます。
そして、投資の世界の鉄則として、「リスク」と「リターン」は、必ず、正比例する、と言われています。
- 「ハイリスク・ローリターン」という、効率の悪い投資商品が、市場原理によって淘汰される(=買い手がつかない)一方で、
- 「ローリスク・ハイリターン」な、投資家にとってメリットばかりの投資商品もまた、長くは存続し得ない
という大原則です。
※仮にごく短い期間の間、「ローリスク・ハイリターン」な投資商品(ほぼ確実に高い利回りの得られる投資商品)が存在したとしても、そこには、話を聞きつけた投資家からの買い注文が殺到し、結果として、現在価格が高騰し、結局、ローリスク・ローリターンな投資商品へと収斂する、という仕組みです。
分かりやすいのが、一部のインデックス投資家にも馴染みのある、債券投資でしょう。
債券投資の業界では、
- 格付けが高く、約定通りに利払い・償還が為される可能性が極めて高い債券(=ローリスクな債券)は、基本的に、利回りが低く(=ローリターン)、
- 一方で、利回りが高い債券(ハイリターン)は、総じて、発行体の信用リスクが大きく、延滞やデフォルトのリスクが高い(=ハイリスク)、
という特性があります。
インデックス投資においても、「高いリターンを求めるのであれば、高いリスクを許容する必要が」あり、一方で、「高いリスクの受け入れを忌避するのであれば、結局、ローリターンを受け入れないといけない」という鉄則があります。
そして、投資家が、自分のインデックス投資のシミュレーションを行うにあたり、期待する「リターン」から検討を始めると、知らぬ間に、「リスク」がないがしろになる恐れがあります。
このため、「どの程度のリターンが欲しいのか」ではなく、「どの程度のリスクを受け入れることが出来るのか」から、検討・把握を始める必要がある、と言われています。
これが、「リスク許容度の診断」です。
リスク許容度は、人的資産と、金融資産等の資産量によって変化しますので、
- 年齢が若く、今後より多くの給与等の所得を稼いでいくことが見込まれる場合、人的資産が大きいと判断でき、さらに、預貯金などの金融資産量が大きければ、総じて、リスク許容度は高いと判断できる一方で、
- 既に年齢が高く、今後残された人的資産が大きくない、と判断される場合や、金融資産の量が小さい場合、リスク許容度は低いと見做される
ことが一般的です。
リスク許容度の判断に迷ったときは、ロボアドバイザーの無料サービス等を利用して、インターネットで簡単に、リスク許容度診断を受けることも可能です。
②リスク許容度に応じた、アセットアロケーションの設定
前段で、投資家自身のリスク許容度が把握できたら、次は、リスク許容度に応じた、資産クラスの組み合わせ、すなわち、アセット・アロケーションを設定する必要があります。
インデックス投資の場合、主には下記のような資産クラス(アセット)に対して、資金を分散投資することとなります。
- 米国株式
- 米国を除く先進国の株式(日本株や、ヨーロッパ企業の株式等)
- 新興国の株式(中国・台湾・ロシア・ブラジルなど、いわゆる経済新興国の企業株式)
- 先進国の債券(主に米国財務省発行の米国債)
- 新興国債券
- 金(きん)などのコモディティ
- 不動産(実質的な投資対象はREIT)
資産クラスの組み合わせ例としては、例えば、「米国株式50:先進国債券50」等といったアセット・アロケーションが考えられます。
基本的に、ポートフォリオ全体に占める株式の比率が高まれば高まるほど、期待リターンとボラティリティ(リスク)の双方が高まります。
これは、数ある資産クラス(アセット)の中で、株式が、最も期待利回りが高く、かつ、リスクの大きい資産クラスであるから、です。
逆に、ポートフォリオ内の債券系の資産クラスの比率を高めると、リスク・リターンは低減します。
もっとも、インデックス投資家の中には、リスク資産ポートフォリオには債券を組み入れず、「リスク資産は株式系のみ。あとは、無リスク資産として、現預金及び変動型国債を保有している」という投資家も少なくありません。
③資産クラス別に、インデックスの選択。及び、インデックスごとに、投資信託(ETFを含む)を選択する
アセット・アロケーションが決まったら、今度は、実際にポートフォリオを構築していく必要があります。
ポートフォリオを構築するにあたっては、
- アセット(資産クラス)ごとに、どのインデックス(指数)を追随対象とするか、及び、
- 追随するインデックスごとに、どの投資信託(ETFを含む)を利用するか、
を選択する必要があります。
例えば、「日本株式」という1つの資産クラスの中にも、
- TOPIX
- 日経平均株価
- JPX日経インデックス400
のように、複数のインデックス指数が存在します。
指数に組み入れられている具体的な銘柄や、その個別の保有割合は、インデックス指数によって千差万別ですから、投資家自身で、自分のインデックス投資の目的等に従って、追随するインデックス指数を選択する必要があります。
また、インデックス投資ごとに、そのインデックスを連動対象とする投資信託(ETF含む)は多数販売されていますから、各投資信託ごとの信託報酬料率や、運用実績、純資産残高等を鑑みながら、投資家自身で、必要な投資信託を選ぶ必要があります。
例えば、米国株式インデックスとして人気の高い、「S&P500」指数の場合、つみたてNISAの認定銘柄だけに絞っても、下記のような投資信託が候補に挙がってきます。
ファンド名 | 運用会社 |
米国株式インデックス・ファンド | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ㈱ |
iFree S&P500インデックス | 大和アセットマネジメント㈱ |
農林中金<パートナーズ>つみたてNISA米国株式 S&P500 | 農林中金全共連アセットマネジメント㈱ |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 三菱UFJ国際投信㈱ |
つみたて米国株式(S&P500) | 三菱UFJ国際投信㈱ |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | SBIアセットマネジメント㈱ |
Smart-i S&P500インデックス | りそなアセットマネジメント㈱ |
④自動積立投資による追加投資、及び、定期的なリバランスの実施
インデックス投資を始めてから暫くすると、その間の各銘柄の値上がり・値下がりといった値動きに応じて、投資家の最新のポートフォリオの内容が、当初設定したアセット・アロケーションと比較し、乖離してきてしまうことが、良くあります。
この乖離を放置してしまうと、
- リスク許容度が高く、株式系の資産クラスを中心とした、「ハイリスク・ハイリターン」なポートフォリオを運用して、資産を積極的に(=リスクを取りながら)増やしていくべきフェーズにある投資家が、債券を中心とした、極めて保守的なポートフォリオを、知らないうちに、運用してしまっていたり、
- 逆に、退職金の運用者など、リスク許容度が低い投資家が、過度にリスクを取り過ぎたポートフォリオを保有してしまったり、
等と言った問題が生じてきます。
こうした弊害を回避するためには、投資家自身で、「半年に1度「1年に1度」等と頻度を決めて、定期的に、ポートフォリオの再調整作業、すなわち「リバランス」を実施する必要があります。
なお、「リバランス」と聞くと、それだけで、「面倒くさそうだな」と感じてしまう投資家も少なくありませんが、実際には、毎月の自動積立投資(ネット系の証券会社の場合、毎月100円程度の少額から、自動積立投資を設定することが可能です)の時点で、「ポートフォリオ全体に占める割合が不適切に低下している資産クラス」を買い足すことで、実質的なリバランスを図ることが可能です(この場合、資産売却を伴いませんから、課税関係が生じない、というメリットもあります)。
なお、インデックス投資家の中には、「リバランスは不要。ひたすら、株式系のETF・投資信託を積立投資で取得していく」という戦略を採る人も存在します。
この場合、資産クラスごとのリバランスは確かに不要となりますが、資産全体に占める株式系資産クラスが過大になると、暴落時に資産全体が大きなダメージを受けることとなるため、注意が必要です。
【ブログでも話題沸騰】インデックス投資のメリット
インデックス・ファンドは、運用手数料が安い
インデックス投資に用いられる、インデックス・ファンドは、アクティブ運用を志向するアクティブ・ファンドと比較して、信託報酬等のコストが安い、という利点があります。
さらに、非上場型の投資信託ではなく、上場投資信託(ETF。特に海外ETF)を活用すれば、信託報酬等コストは更に下げることが可能です。
買い付け手数料等が無料の投資信託も多い
近年、販売会社、及び運用会社間の競争激化により、購入時手数料無料(ノーロード)、信託財産留保額ゼロパーセント、など、投資家に対して好条件を提示するインデックス・ファンドが増えてきています。
現に、ネット証券会社の取り扱う投資信託の中には、ノーロード型の投資信託だけで、数千を超える銘柄がラインアップされています。
個別の株式銘柄選びの手間暇から解放される
投資家が、個別の株式銘柄へと集中的な投資を行う場合、投資対象とする株式銘柄について、慎重な選択が必要となります。
国内株式であれば、四季報を読み込んだり、決算・開示情報を熟読したり、といった作業に、膨大な時間を投入することが必要です。
また、一旦、株式銘柄を取得した後も、自分が保有している株式銘柄に、急な悪材料が出ていないか、日々、本業に従事している時間中も含めて、気をとられてしまうこととなります。
この点、インデックス投資の場合は、投資信託を通じて、いわば、市場全体(市場平均)に対して投資を行うことができるため、個別の株式銘柄選びの手間ひまから、解放されると言うメリットがあります。
また、基本的には、バイ&ホールドによる長期保有が前提とされていますから、短期での売買を必要とはしていません。
その分、日々の値動きに心を惑わされてるようなこともありません。
実際、インデックス投資で前提とされる長期投資(基本的に20年以上)の場合、短期投資と比較し、投資家の勝率が高い、とされています。
多数の株式銘柄への分散投資により、リスクを低減できる
単一の、ないしは、少数の株式銘柄に対して、資金を集中的に投資している場合、その株式の発行大企業の不祥事や、競合他社の新製品開発などのニュースによって、保有している株式の株価が、市場全体の値動きとは無関係に、急落してしまうことがあります。
こうしたリスクは、専門用語では、個別の株式銘柄の、非システマティック・リスクと呼ばれています。
インデックス投資の場合、投資信託の買い付けを通して、実質的に、数百から数千もの銘柄に対して、分散投資を行うことができます。
これだけの規模の分散投資を行えば、株式銘柄固有の、非システマティック・リスクに関しては、十分に排除することが可能です。
※ただし、市場そのもののシステマティック・リスクに関しては、物理的に排除することができないため、注意が必要です。
複数の資産クラスへの分散投資により、ポートフォリオ全体のボラティリティーを、さらに低く保つ効果が期待できる
インデックス投資においては、互いに相関係数の小さい、複数の資産クラスへと、資金を分散投資することにより、互いの値動きの逆行効果を利用して、ポートフォリオ全体のリスク(ボラティリティー)を、更に低減させることが可能です。
資産クラスをまたいだ分散投資の手法としても、
- 資産クラスごとに、投資信託を1本ずつ、買い付けるか、
- 最初から、複数の資産クラスにまたがった運用を行う「バランス型ファンド」を買い付けるか、
の選択が可能です。
※ただし、経済のグローバル化に伴い、各資産クラスごとの間の相関係数は、上昇傾向にある、とも言われています。
仮に、資産クラス同士の間の相関係数が大きくなりすぎると、複数の資産クラスに資金を分散投資したとしても、思うようなリスク低減効果が得られなくなる可能性もあります。
適切な投資信託を選べば、再投資による複利効果を最大化することができる
インデックス投資において、投資信託の決算のたびに、ポートフォリオに含まれる株式銘柄からの配当金を、投資家に対して分配するファンドを利用すると、仮に、分配金をそのまま再投資に回したとしても、分配金への課税(所得税、および住民税)により、再投資の効率はいささか低下してしまうこととなります。
しかし、インデックス・ファンドの中には、投資家への株式配当金の分配を一切行わない、いわゆる「無分配型」の投資信託もあるため、こうした投資信託をうまく活用していけば、分配金が課税されることなく再投資され、複利効果が最大化されやすい、というメリットがあります。
ブログなど、インデックス投資に関する情報源も豊富
初心者投資家が、インデックス投資を始める場合、あらかじめ、どのようなインデックス・ファンドを選ぶか、などといった点に関して、入念な情報収集が必要となります。
日本でインデックス投資が広まり始めた当初は、こうした情報収集に関しても、苦労する投資家が多かったのですが、昨今では、ブログでインデックス投資の様子を発信している投資家も多く、情報収集には困らなくなりました。
書店では、インデックス投資に関して専門的にまとめられた書籍なども購入することが可能ですので、初期の情報収集に関しては、昔と比べると、格段に有利な状況となりました。
なお、累計10万円以上の投資元本を、インデックス投資に投じている投資家の運営するブログとしては、下記のようなものが挙げられます。
ブログ名 | ブログURL |
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記) | http://randomwalker.blog19.fc2.com/ |
投信で手堅くlay-up!(インデックス投資ブログ) | https://www.lay-up.net/ |
NightWalker’s Investment Blog | http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/ |
インデックス投資日記(アットマーク)川崎 | http://longinv.blog103.fc2.com/ |
熱血硬派!人生よよよの貧乏セミリタイア塾! | https://jinseiyoyoyo.hatenablog.com/ |
インデックス投資女子 Around40 Happy Life | http://opal10opal.blog.fc2.com/ |
つみたてNISAや、iDeCoのメリットを活用できる
特に、数十年単位の長期投資においては、投資にかかる手数料コストを節約していくことと合わせて、利益金などに対する課税コストを、いかに節約(節税)していくか、と言う点も、重要なポイントとなります。
この点、インデックス投資の場合は、つみたてNISAや、iDeCoといった、政府の投資支援制度のメリットを、最大限に活用することができます。
iDeCoの場合、毎月の拠出金が、全額、所得控除になると言う、大きな節税メリットがありますし、老後資金として積み立てた資金を、60歳以上に達したときに引き出すに当たっても、その取り崩し方法によって、
- 退職所得控除か、
- 公的年金等控除か、の、
いずれか(ないしは、その組み合わせ)を利用することができ、税務面でのサポートが手厚く設定されています。
また、つみたてNISAの場合も、最長で20年間もの長期にわたり、専用口座の中で保有している投資信託の値上がり駅や分配金が、非課税で運用できるという利点があります。
自動積み立て投資の活用により、投資信託の高値買いを回避できる
インデックス投資家の多くが、毎月、自身の銀行口座からどうしよう資金を自動的に引き落とし、指定した投資信託の買い付けを行う、自動積み立て投資機能を利用しています。
楽天証券やSBI証券などといった、インターネット系の証券会社の場合、毎月100円程度の少額から、自動積み立て投資の設定を行うことが可能です。
毎月、自動的に、投資信託の定額買い付けを行うことにより、月々の投資信託の買い付け価格を平均化し、いわゆる「高値づかみ」のリスクを軽減してくれる、ドルコスト平均法のメリットを活用することが可能です。
インデックス投資のリスク・デメリット・注意点
少なくとも短期的には、大幅な元本割れを記録するリスクがある
インデックス投資の場合、多数銘柄への分散投資によってリスク低減が図られている、といえども、相場全体が下落していくようなシーンにおいては、インデックス・ファンドも大幅に値を下げることがあります。
現に、「100年に一度」と言われたリーマン・ショックの際には、少なくとも短期的には、50パーセント以上の下落を記録したインデックス・ファンドも存在します。
バブル崩壊後の不況が長引けば、元本割れも長期化する
バブル崩壊後、長期のリセッション(不況)で市場の回復が遅れれば、10年以上の長期にわたり「元本割れ」の状態が継続するリスクがあります。
現に、米国株式市場の主要銘柄を網羅したインデックスとして人気の「S&P500」指数においては、2000年代初頭のドットコム・バブル崩壊以降、途中のリーマン・ショックなどを経て、最終的に、インデックス指数が、バブル崩壊前の水準を回復するまでには、十数年もの歳月を要しました。
投資信託の運用会社に対して、信託報酬等の手数料を支払う必要がある
インデックス・ファンドに投資する場合(アクティブ・ファンドの場合も同様)、ファンドの運用会社に対して、「信託報酬」と呼ばれる、一種の運用手数料を支払う必要があります。
また、その他にも、投資信託が株式を売買するための、売買手数料や、ファンドの決算や監査のための費用等に関しても、間接的に、投資信託を保有している投資家が、負担する必要があります。
勿論、投資家が、個別株式銘柄で分散ポートフォリオを自己運用している場合は、こうしたコストを支払う必要はありません。
インデックス投資は、つまらない
インデックス投資の場合、個別株投資のような、投資としての「面白さ」は期待できません。
また、投資家が、株主優待を直接受け取ることも出来ません。
このため、長らく株式投資に親しんできた個人投資家からは、インデックス投資はつまらない、との批判を受けることもあります。
投資家に、株式投資に関するノウハウが蓄積されない
インデックス投資の場合、投資家は、インデックス指数に連動した投資成果の獲得を目指す投資信託を買いつけるのみであり、個別の株式銘柄の内容に関して吟味し、株式を直接購入するわけではありません。
このため、インデックス投資のみを行っている限りにおいては、投資家に、個別の株式銘柄選びに関するノウハウや、スキルが蓄積される事はありません。
基本的に、投資信託を買い付けたら、後は長期保有することが前提とされていますから、株式の、細かな買い時や売り時に関する見極めの能力も、蓄積される事はありません。
株式型のインデックスは、実体経済と連動する
株式系のインデックス・ファンドには、実体経済と連動しやすい、という特質があります。
バブル崩壊、及びそれに伴う不況が生じると、投資家においては、
- インデックス・ファンドの値下がりにより、リスク資産の評価額は下がり、
- かつ、実体経済においては、勤務先企業の業績不振等により、減給や、失職などの憂き目にあう、
といった要領で、「ダブルパンチ」を食らうこととなるリスクがあります。
短期間で、大きな利益を上げるトレードには向かない
インデックス投資の場合、あくまでも「市場平均」への投資である以上、短期で大きな利益を期待するトレードには不向きです。
FX投資や、仮想通貨投資等と違い、投資元本にレバレッジを効かせるようなことも、一般的ではありません。
ポートフォリオのリバランスを定期的に実施する必要がある
前述の通り、インデックス投資を開始してからしばらくすると、資産クラスごとの値上がりや値下がりによって、ポートフォリオの最新状況が、投資家が当初設定したアセット・アロケーションの内容と比較して、乖離してきてしまうことがよくあります。
この乖離を放置してしまうと、
- 積極的にリスク(ボラティリティー)を取り、期待利回りの高いポートフォリオ運用するべき投資家が、債券等の占める比率の大きい、極めて保守的なポートフォリオ運用することになったり、
- はたまた、老後に向けて、退職金を運用しているような、リスク許容度の低い投資家が、株式型の資産クラスを多く含んだ、ハイリスク・ハイリターンなポートフォリオを運用してしまったり、
などといった弊害が生じることとなります。
このため、インデックス投資を開始して以降、半年に1度、ないしは、1年に1度、などと頻度を定めた上で、投資家自身で、
- 値上がりした資産クラスの売却や、
- 値下がりしている資産クラスの買い足し等により、
ポートフォリオの再調整、すなわち、リバランス作業を実施する必要があります。
このリバランス作業には、一定の手間暇がかかるほか、値上がりしている資産クラスを売却すると、それまでに生じていた含み益が実現することにより、課税関係が生じるような可能性にも、留意が必要となります。
インデックス銘柄の組み入れ変更の時に、インデックス投資家が、アクティブ投資家の「カモ」にされるリスクがある
インデックス指数に組み入れられている銘柄は、定期的に見直され、必要に応じて、組み入れ銘柄の変更が行われます。
そして、組み入れ銘柄を変更するにあたっては、その組み入れ変更予定が、あらかじめ、広く公開されます。
こうした公開情報に基づいて、アクティブ投資家が、
- 近く、インデックスから外されることがわかっている銘柄に対して、空売りを仕掛けたり、
- 新たにインデックス指数に組み入れられることとなる銘柄に、ロング(買い)のトレードを仕掛けたり、
などといった仕掛けをすることがあります。
アクティブ投資家によるこうしたトレードにより、結果的に、インデックス・ファンドを定期的に買い付けている投資家が、損失を被るようなリスクが指摘されています。
参考:
インデックス投資は本当に「おすすめ」なのか|おすすめしない理由も徹底検証
月10万円から始めるインデックス投資の方法
投資初心者がインデックス投資に取り組む場合、まずは「月10万円」程度の投資予算を検討するユーザーが多いようです。
毎月10万円を定期的に積立投資する場合、果たしてどのようなインデックス投資スタイルが現実的なのか、検討してみましょう。
まずは、月10万円のうち、最初の数万円を、iDeCo(イデコ)口座で運用
インデックス投資初心者においてまず目指すべきなのは、iDeCo口座(個人型確定拠出年金)の限度額(拠出額上限)を目いっぱい利用することです。
iDeCo(イデコ)には、
- 拠出した掛金が、全額、所得控除となるため、所得税及び住民税の節税効果がある。
- 運用期間中の分配金は課税されず、そのまま非課税で再投資できる(課税口座で投資する場合、無分配型の投資信託を利用しない限りは分配が為され、分配金には課税されてしまう関係上、再投資の効率が落ち、複利効果が低減する)。
- 60歳以降に受け取りを開始する時には、受け取り方(一時金、もしくは、年金として受け取る)に応じて、退職所得控除、ないしは、公的年金等控除が活用できる。
などといったメリットがあるほか、投資対象銘柄(※証券会社によって異なります)には、インデックス投資に活用できる、低コスト(信託報酬の安い)なパッシブ型ファンドが複数ラインアップされています。
なお、iDeCoの利用限度額は、下記の通り、投資家の個々の就業状態等によって様々です。
加入資格 | 掛金(月額) |
自営業者 | 6.8万円 |
会社に企業年金がない会社員 | 2.3万円 |
企業型DCの加入者 | 2.0万円 |
DBと企業型DCに加入している会社員 | 1.2万円 |
DBのみに加入している会社員 | 1.2万円 |
公務員等 | 1.2万円 |
専業主婦・主夫 | 2.3万円 |
情報引用元:iDeCo公式サイト
まずは、自身の加入資格を確認し、月額いくらまでなら拠出が許容されるかを、把握することが必要です。
現在、iDeCo口座で取得できるインデックスファンド例としては、下記のような物があります。
資産クラス | 商品名 | 経費率 |
国内株式 | One DC 国内株式インデックスファンド | 0.154% |
国内株式 | DCニッセイ日経225インデックスファンドA | 0.1859%以内 |
国内株式 | iFree JPX日経400インデックス | 0.2145% |
国内債券 | 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | 0.132% |
国内REIT | DCニッセイJ-REITインデックスファンドA | 0.275%以内 |
海外株式 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.1023%以内 |
海外株式 | eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 0.1870%以内 |
海外株式 | たわらノーロード NYダウ | 0.2475% |
海外株式 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968%以内 |
海外株式 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144%以内 |
海外債券 | eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | 0.154%以内 |
海外債券 | iFree 新興国債券インデックス | 0.242% |
海外REIT | 三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.297%以内 |
情報引用元:マネックス証券|iDeCo商品一覧
続いて、「月10万円」の予算消化を目指し、つみたてNISAの限度額いっぱいを積立投資
「月10万」という積立予算があるならば、基本的に、iDeCoだけでは予算が余ることとなります。
この「余った部分」については、NISA(少額投資非課税制度)のうち、特に「つみたてNISA」を活用して、積立投資することが主流とされています。
つみたてNISAの場合、
- つみたてNISA口座で取得した銘柄の値上がり、及び運用益は、最大で20年間、非課税となる(例えば2022年に取得した銘柄が、2042年までに100パーセント成長(評価2倍)したとしても、2042年時点での価格を、「買い付け価格」と出来る)。
- 投資可能銘柄が、そもそも、金融庁の認定銘柄に限定されているため、投資信託選びが初めて、という投資家の場合でも、ファンド選びに迷う必要が無い(国内では数千本の投資信託が販売されているが、つみたてNISAの認定銘柄は200本程度)。
などというメリットがあります。
基本的には、長期的な値上がりを期待できる資産クラスを中心に、つみたてNISA口座で取得しておくことが得策となります。
なお、つみたてNISAの指定インデックスファンドには、下記のような銘柄が名を連ねています。
追随インデックス | ファンド名 | 運用会社 |
TOPIX | 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | 三井住友DSアセットマネジメント㈱ |
日経平均株価 | 朝日ライフ 日経平均ファンド | 朝日ライフ アセットマネジメント㈱ |
JPX日経インデックス400 | SMT JPX日経インデックス400・オープン | 三井住友トラスト・アセットマネジメント㈱ |
MSCI ACWI Index | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 三菱UFJ国際投信㈱ |
MSCIコクサイ | 東京海上セレクション・外国株式インデックス | 東京海上アセットマネジメント㈱ |
FTSE Developed All Cap Index | SBI・先進国株式インデックス・ファンド | SBIアセットマネジメント㈱ |
S&P500 | NZAM・ベータ S&P500 | 農林中金全共連アセットマネジメント㈱ |
CRSP U.S. Total Market Index | SBI・V・全米株式インデックス・ファンド | SBIアセットマネジメント㈱ |
MSCI Emerging Markets Index | 三井住友・DC新興国株式インデックスファンド | 三井住友DSアセットマネジメント㈱ |
まだ、月数万円、積立予算が余るようなら、課税口座でインデックスファンドを購入
iDeCoの拠出可能額が小さい投資家等の場合は、つみたてNISAを併用しても尚、積立投資予算が余る、ということもありましょう。
この場合は、残りの数万円分、自分の好きなインデックスファンドを、課税口座で取得する、という方策をとることが一般的です。
課税口座でインデックス投資を行う場合、分配金への課税には注意を
課税口座でインデックスファンドを取得する場合、「分配金あり」の投資信託を選択してしまうと、分配金が課税され、結果として、再投資の効率が低下してしまうこととなります。
※「分配金あり」の投資信託でも、証券会社によっては、「分配金の自動再投資」を選択できることがあります。ただし、この場合でも、分配金への課税自体は避けられず、あくまでも、「課税後」の分配金を再投資することとなる、という点に、留意が必要です。
楽天証券やSBI証券、マネックス証券等といったネット証券会社を利用して、無分配型の投資信託を探す場合、各インデックスファンドの過去実績を確認して、
- 純資産や基準価額は上昇基調にあるのに、
- 分配金は出していない、
という特質のある投資信託を、逐次、スクリーニングしていく必要があります。
些か手間のかかる作業ではありますが、長期的にみると、
- 課税後(20パーセント程度目減りする)の分配金を再投資するのか、
- 課税による目減りを防ぎ、課税前の分配金(相当額)を再投資するのか、
によって、複利効果の大小は大きく左右されてきますので、入念なチェックが必要です。
ロボアドバイザーで、自分のインデックス投資を再評価してみるのも〇
なお、自分で投資信託を選択するインデックス投資「以外」のスタイルを試してみたい、という人は、ウェルスナビやテオなどに代表される、投資一任型のロボアドバイザーを試しに利用してみる、という方策も取り得ます。
こうした投資一任型のロボアドバイザーも、その投資スタイルは、結局「インデックス投資」と同種ですので、自分が実践しているインデックス投資との間のリターンの差分などに着目して調査してみるのも、投資のいい勉強となりましょう。
※ただし、投資一任型ロボアドバイザーの場合、取得する投資信託の信託報酬等コストのほかに、ロボアドバイザーそのものに対して、年率で預かり資産残高の1パーセント程度の手数料を支払う必要があるため、注意が必要です。
ポートフォリオ作成や、取得推奨投資信託の確認だけをしてみたい、という人は、投資一任型ではなく、無料で使える助言型(アドバイス型)のロボアドバイザーのみを利用してみる、というのもいいでしょう。
毎月10万円ずつのインデックス投資の成果をシミュレーション
最後に、実際に毎月10万円ずつの積立投資を、インデックス投資形式にて実施した場合、どのような投資結果となりそうなのか、
ツールを用いて、簡単なシミュレーションを行ってみましょう。
シミュレーションの前提条件
インデックス・ファンドへの積立投資の結果をシミュレーションするにあたっては、
- 資産クラス別の期待リターン(ただし、賃金上昇率を加味しない、名目リターン)
- 資産クラス別のリスク(標準偏差)
- 各資産クラスごとの相関係数
の情報が必要です。
今回のシミュレーションにおいては、
厚生年金保険事業及び国民年金事業を取り仕切る、年金積立金管理運用独立行政法人、通称、GPIF(Government Pension Investment Fund)の資料をもとに、下記のように仮定します。
資産クラス別の期待リターン
- 国内債券:0.7%
- 外国債券:2.6%
- 国内株式:5.6%
- 外国株式:7.2%
※ただし、いずれの数値も、名目賃金上昇率を考慮しない、名目リターン。
資産クラス別の標準偏差(リスク)
- 国内債券:2.56%
- 外国債券:11.87%
- 国内株式:23.14%
- 外国株式:24.85%
※ただし、いずれの数値も、バブル崩壊後の過去25年間における、政策ベンチマークの年次データを用いて推計されたもの。
資産クラス間の相関係数
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | |
国内債券 | 1.00 | |||
外国債券 | 0.290 | 1.00 | ||
国内株式 | -0.158 | 0.060 | 1.00 | |
外国株式 | 0.105 | 0.585 | 0.643 | 1.00 |
数値は上記のGPIF資料から引用
なお、以下、資産クラスごとの保有割合(アセット・アロケーション)を変化させたシミュレーションは、「ファンドの海」(http://guide.fund-no-umi.com/)にて提供されている、「長期投資予想/アセットアロケーション分析」を利用しています。
毎月の積立投資額は10万円、初期元本はゼロ円で、30年間の積立投資を行った場合を試算します。
30年間の総投資額は、いずれのシミュレーションにおいても、3,600万円です。
①月10万円の投資予算を、4つの資産クラスに平等に振り分ける場合
期待リターン(年率) | 4.03% |
リスク(年率) | 12.32% |
期待リターンの複利(期待値) | 6,882万円 |
運用結果 |
|
元本割れの確率 | 10.1% |
※本計算は、連続複利年率の収益率が正規分布することを前提に算出
日本株式・日本債券・外国債券・外国株式に、資産を25%ずつ均等に分散投資するアセット・アロケーションは、GPIFが第4期中期目標期間(2020年4月1日からの5年間)の基本ポートフォリオとして設定している内容と同一です。
②月10万円の投資予算の全額を株式に振り分け、その内訳を、「国内株式50%、外国株式50%」とする場合
期待リターン(年率) | 6.40% |
リスク(年率) | 21.75% |
期待リターンの複利(期待値) | 1億477万円 |
運用結果 |
|
元本割れの確率 | 18.1% |
※計算の前提条件については同上
インデックス投資に取り組む投資家の中には、ポートフォリオに債券を組み入れることについて、疑問視する向きもあります。
その主な論拠としては、下記のような点が挙げられます。
- 債券の値下がりリスク:
目下、債券利回りは歴史的な低水準にあり、今後は、インフレ抑制などのために、金利が上昇する余地のほうが大きい(金利の更なる下落余地はあまり残されていない)。
新発債(新規発行債券)の利回りが上昇すれば、相対的に利回りが魅力薄となる、既発債券の価格が下落する。
このため、債券については、今後、値下がりしていく公算が大きい。 - 資産クラス分散によるリスク低減効果への疑義:
昨今、経済のグローバル化、及び、複数の資産クラスにまたがった、マルチアセット・ポートフォリオ運用の汎用化に伴い、各資産クラス間の相関係数は高まりつつある。
このため、仮に、分散投資を目的に、債券をポートフォリオに組み入れたとしても、かつてのような、リスク低減効果は期待しづらい。
このように、インデックス投資において、債券をポートフォリオに組み入れることを忌避する投資家においては、「株式100%」のポートフォリオを組むこととなります。
地理的な分散投資を目的に、「日本株」及び「外国株」へと、均等に資産を振り分ける場合、そのシミュレーション結果は、上記の通りとなりました。
ポイントはいくつかありますが、中でも目を引くのは、
- リスク(標準偏差)は、4資産均等の場合と比較して、1.7倍以上まで上昇し、
- かつ、元本割れの確率も、1.8倍程度まで上昇するにも関わらず、
- 期待利回りは、1.58倍程度までしか上昇しない、
という点でしょう。
逆に言えば、GPIFの採用している、4資産均等分散の場合、ポートフォリオに債券を組み入れることで、少なくとも計算上は、利回りをさほど下げずに、リスクを大幅に減少させることで、シャープ・レシオを向上させている、とも換言出来ます。
これが、いわゆる、「資産クラスの分散投資効果」です。
確かに、債券には値下がりリスクがありますし、株式と債券の間の相関係数も、完全な逆相関(相関係数がマイナス1)には程遠い、というのが実情です。
しかし、それでもなお、国内債券は、国内株式に対して「-0.158」という逆相関傾向を持ち、かつ、外国株式に対しても、0.1強という、正相関ながら、低めの相関係数を有しています。
また、外国債券は、外国株式との間では、0.585という、些か高めの相関係数を有していますが、国内株式との間では、0.06という、低相関を維持しています。
投資家において、「ポートフォリオに債券は組み入れない。月10万円の投資予算ならば、全額を、株式系の資産クラスに投資したい」と考えるのであれば、それは投資家の自由ですが、上記のような分散投資効果を示すシミュレーション結果についても、あらかじめ留意しおくべき、と言えるでしょう。
③月10万円のインデックス投資予算を、全額、外国株式に投入する場合
期待リターン(年率) | 7.20% |
リスク(年率) | 24.85% |
期待リターンの複利(期待値) | 1億2,134万円 |
運用結果 |
|
元本割れの確率 | 20.6% |
※計算の前提条件については同上
インデックス投資に関して、SNSやブログ等を中心に、情報収集をしていると、
- あくまでも余裕資金を投じる以上、一定期間・頻度の元本割れ等は、差支えない
- むしろ、債券の組み入れや、外国株式に比べて期待利回りの低い日本株をポートフォリオに組み入れて、リターンを下げることは好まない
- 投資予算の全額を、最も期待利回りの高い外国株式に集中したい(ないしは、すべき)
等といった意見を、よく見かけます。
こうした意見を推すインデックス投資家の多くが、米国の主要企業銘柄を組み入れた、S&P500指数に連動するパッシブ・ファンドの1本買い、等の、些か極端なポートフォリオを運用しています。
確かに、様々な資産クラスの中で、最も期待利回りの高い、外国株式に、資金を集中投資するのは、少なくとも、「リスク愛好型」と言われる投資家層を考慮すれば、理にかなっている、と言えます。
また、「集中投資」と言えども、基本的には、インデックス投資である以上、数百~数千銘柄程度に資金を分散投資する投資信託(非上場投資信託、ないしは、ETF)を投資対象とする以上、個別銘柄ごとの非システマティック・リスクに関しては、排除されていることが期待できましょう。
ただし、実際に、「外国株式100%」のポートフォリオによる運用結果をシミュレーションしてみると、以下のような問題点が見えてきます。
- 30年間という長期運用を予定したとしても、最頻値(試算の結果、最も頻度が高く出現した結果・値)はむしろ、元本割れしている。
- 元本割れの確率も、20%を超える。
- 4資産均等分散(GPIFのポートフォリオ)のシミュレーションと比較し、リスク(標準偏差)、及び元本割れの確率は、2倍強となるが、期待利回りは1.78倍程度までしか膨らまない(=リスクの増大の割には、期待リターンが増大しない)。
仮に、各個人投資家において、「期待利回りを最優先。リスクは度外視し、外国株式100%のポートフォリオでインデックス投資を行いたい」と考える場合、上記したようなシミュレーション結果の存在について、今一度、振り返ってみると良いかもしれません。
インデックス投資で、毎月10万円の利益をコンスタントに得ることはできるのか
昨今、会社からの経済的な独立を確保した上で、早期退職を果たそう、という、「FIREムーブメント」も盛り上がりを見せており、応じて、アーリーリタイア後のセカンドライフを経済的に支えうる、不労所得作りへの関心も、高まりつつあります。
目下、インデックス投資への取り組みを考えている人の中にも、そうした不労所得作りの手法のひとつとして、インデックス投資を検討している人も、少なくないようです。
果たして、インデックス投資への取り組みで、毎月コンスタントに、10万円程度の利益を得続けることは、できるのでしょうか。
そして、そうして得た利益は、投資家にとって、何を意味する(自由になるキャッシュ・フローが増えるのか、単なるキャピタル・ゲインなのか)のでしょうか。
インデックス投資で、月平均10万円の利益を得るための元本、及びポートフォリオ
まず最初に、毎月10万円程度の利益をコンスタントに期待できる、ポートフォリオの期待利回りを検討してみましょう。
前述のシミュレーションの通り、インデックス投資の場合、ポートフォリオに組み入れる資産クラスの内容や、その割合を調整することで、ポートフォリオ全体の期待利回りとリスクを、投資家自身で、ある程度主体的にコントロールすることが可能です。
今回は、「毎月」コンスタントに、10万円程度の値上がり益を得ていくことを検討するため、一定の利回りを求めつつも、リスクをある程度抑えた、伝統的な、4資産分散型のポートフォリオを検討してみましょう。
GPIFと同じように、
- 外国株式
- 国内株式
- 外国債券
- 国内債券
の4つの資産クラスに、資金を25%ずつ、均等に分散投資する場合、ポートフォリオの期待利回りは、約4%となります。
毎月10万円ずつの利益を獲得していく場合、1年間を通しての期待利益の総額は、10万円× 12ヶ月= 120万円となります。
そして、期待利回り4%で、毎年コンスタントに120万円分の利益を得ていく場合、必要な投資元本は、120万円円÷ 4% =3000万円となります。
すなわち、期待利回りから基づく計算上においては、GPIFと同じく、4資産均等・分散投資型のポートフォリオ運用する場合、投資元本が3000万円以上であれば、毎月10万円以上の利益を期待することができる、ということとなります。
インデックス投資で「毎月」定期的に利益を得ることは難しい
上記した通り、期待利回りから単純に計算する限りにおいては、3000万円の投資元本を用意すれば、毎月10万円の値上がり益を期待できることとなりますが、インデックス投資の難しいところは、必ずしも、毎月の収益は、期待利回り通りとはならない、と言うことです。
計算結果と同じように、3000万円分の投資元本を用意し、4つの資産クラスに資産を均等に分散投資して、ポートフォリオの運用を開始したとしても、
- 単月で、数十万円程度の利益を得ることができる月もあれば
- 逆に、1ヵ月間で、資金の3分の1から半額程度を失ってしまうような、大規模な下落を記録することもあり得ます。
毎月定額の(例えば、毎月10万円)の投資収益を積み重ねていきたい、と考えている場合、インデックス投資は、必ずしも最適な投資手法とは言えず、むしろ、その他のストック型の投資手法、たとえば、
- 不動産投資や、
- 高配当株投資、
- ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングの活用などのほうが、
本来の目的には適していると言えるかもしれません。
インデックス投資の利益はキャピタル・ゲインであり、インカム・ゲインではない
あわせて、留意しておきたいのが、インデックス投資における利益は、
- あくまでも値上がり益(キャピタル・ゲイン)であって、
- キャッシュフロー(インカム・ゲイン)ではない、
という点です。
インデックス投資で、仮に、毎月平均で、10万円分の利益が生じたとしても、それはあくまでも、買い付けた投資信託が値上がりした結果であり、その分、自由に使える資金が増える、と言うわけではありません。
長期のインデックス投資においては、ポートフォリオに組み入れられている株式等の配当金も含めて、すべて再投資(投資信託の新たな買い付け)に回していくことで、複利効果を最大化することが求められています。
もしも、毎月10万円分のフリー・キャッシュフローを得ることを優先し、値上がり益が生じるたびに、投資信託を売却し換金してしまっていては、いつまでも、複利効果を得ることができません。
Author Info
-
fill.mediaは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や、不動産クラウドファンディング、更には、ロボアドバイザー業界等の最新情報を提供する、投資・金融情報総合メディア。
インデックス投資専門の検証チームでは、様々な資産クラス・銘柄に対して資産を長期・積立・分散投資するパッシブ型ファンド情報を中心に、業界の市場調査、各社の新サービスの検証などを実施する。
メディア掲載歴(一部・順不同)
・朝日新聞デジタル&m
・財経新聞
・SankeiBiz
・RBBTODAY
・楽天Infoseekニュース
・excite.ニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス
・Mapionニュース
・NewsPicks
・ビズハック
・MONEY ZONE
・Resemom
・SANSPO.COM
・Trend Times
・zakzak
・とれまがニュース
・徳島新聞