maneoにて、ソーシャルレンディングファンド「不動産担保付きローンファンド1869号」が公開されています。
個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。
本ソーシャルレンディングファンドの概要
同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。
本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL
こちらです。
↓
https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6520
本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図
引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6520
資金の借り手
maneoにとっての直接的な債務者は、事業者Cです。
ただし、同社はmaneoの関連会社であることが明記されていますから、
本事業の実質的な債務者は、不動産事業者DRである、と解釈するのが、素直です。
貸付資金の総額
本ファンドからの貸付は、1,300万円。
ただし、複数号のファンドを介し、総額では、6,000万円を融資する計画である、とのこと。
借り手の資金使途
事業者Cは、maneoからの融資金を原資に、事業者DRに対する貸し付けを行います。
事業者DRは、事業者Cからの融資金を原資に、不動産の買い付けを行います。
貸付・運用の期間
13カ月の貸付・運用となります。
設定担保
事業者DRが取得する不動産に、事業者Cを抵当権者とする、第一順位根抵当権が設定されます。
maneoとしては、事業者Cの上記担保権に、質権を設定します。
返済原資
事業者DRとしては、仕入れた不動産の売却、もしくは資金借り換えによって、事業者Cへの返済原資を確保します。
事業者Cは、事業者DRからの返済金を原資に、maneoへの返済を行います。
本ソーシャルレンディングファンドの期待利回り
5.3パーセント、とのこと。
本ソーシャルレンディングファンドの検証ポイント
私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
実際の投資是非の判断においては、必ず、各投資家様それぞれ、皆様ご自身において、ご検討・ご判断を為さって頂きますよう、お願い致します。
本ソーシャルレンディングファンドのおすすめポイント
単純に、第一順位(根)抵当権によって担保されたファンド、として見れば、運用利回り5.3パーセントは、ある程度良心的な想定利回りと言えます(※とはいえ、特筆に値する高利、とも、思いませんが…)。
本ソーシャルレンディングファンドの失敗リスク・危険性について
いくらなんでも、LTV(Loan to Value)値が高すぎます。
本事業の貸付予定総額6,000万円は、担保物となる不動産のTAS評価額(約6,200万円)に対し、約96パーセントに相当します。
LTV96パーセントという数値が、いかに法外に高いか、というと、
例えば、不動産担保付きファンドの組成で有名な、OwnersBookの場合、第一順位抵当権案件(=シニアローン案件、とも言います)の場合で、LTV値は、大体、8割弱程度(例:79パーセント程度)です。
具体例を挙げると、
・大田区マンション第4号ファンド第1回(https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1123/)の場合で、79.5パーセント。
↓
引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1123/
・江東区マンション第2号ファンド第1回(https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1118/)の場合で、79.6パーセント、となっていることが分かります。
↓
引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1118/
これは何も、OwnersBookが他社と比べて保守的過ぎる、というわけではありません。
その証拠に、SBIグループ傘下のソーシャルレンディングサービスとして有名なSBIソーシャルレンディングの人気常設型ファンド「SBISL不動産担保ローン事業者ファンド」の場合、
引用元:https://www.sbi-sociallending.jp/pages/clofund
↑
このように、「LTVは最大70パーセント」という数値条件が、大きな制約条件として設定されています。
まず、大前提として、基本的に、ソーシャルレンディング事業者としては、担保評価額めいっぱい分まで、出来ることならば、貸付をしたいのです。極論すれば、オーバーローン(=担保物の評価額以上の金額を貸し付けること)だって、本当は、したいはずです。
なぜなら、ソーシャルレンディング事業者の手数料は、貸付元本総額に比例して大きくなることが一般的であるから、です。借り手事業者だって、担保物の評価額と比べて大きな金額を借り入れることが出来れば、きっと喜んでくれるのでしょう。
それなのに、なぜ、OwnersBookやSBIソーシャルレンディングが、ここまで保守的なファンド設計を徹底しているか、というと、
いざ、担保権を行使し、担保物となっている不動産を市場で換価しよう、としたときに、
どうしても、多少のディスカウントを強いられることを、あらかじめ、織り込んでおく必要があるからです。
※債権回収を急がなくてはならぬ担保権者の事情をよく知る買い手側が、買いたたくわけですね。
例えば、LTV値が70パーセントの場合で説明します。
- 評価額1億円の不動産に第一順位抵当権を設定し、
- その見返りに、7,000万円を貸し付ける、という場合、
担保権者としては、最悪の場合、評価額の30パーセントオフまでディスカウントを強行したとしても、計算上、貸付元本については、無事に回収できることとなります。
これに対し、
- 評価額1億円の不動産に第一順位抵当権を設定し、
- その見返りに、9,500万円もの資金を貸し付ける、という場合、
- すなわち、LTV値95パーセント(9,500万円/1億円=95パーセント)、というファンドのケースだと、
貸付元本を満額回収するためには、わずか5パーセント分しかディスカウントに対応できず、
結果的に、換価(すなわち、債権回収)に時間がかかったり、
最悪の場合、貸付元本満額の回収に失敗してしまったり、というケースが、現実味を帯びる場合があります。
これらの事情を勘案すると、
本ファンドのLTV設定は、アグレッシブに過ぎる、と、私は思います。
また、逆に言えば、これだけアグレッシブなLTV値設定とするのであれば、その分、投資家への追加還元(=リスク・プレミアム)があって然るべきではないか、と感じます。
総論。本ソーシャルレンディングファンドを、他ファンドと比較・ランキングすると…
第一順位(根)抵当権案件で、利回り5パーセント強は、一見、妥当。
しかし、LTV値をよく見てみると、実際のところ、かなりのリスクを負った、アグレッシブなファンド設計になっていることが分かります。
maneoに対し他意はありませんが、
- もしも、本ファンドに安全性を感じて出資するのであれば、もっときちんと安全性の担保されたファンド(=LTV値がコンサーバティブなファンド)に出資するべきだ、と思いますし、
- アグレッシブさ・高利回り、に重点を置くのなら(=リスクを取ってでも、高利を狙っていきたいのなら)それに適した高利回りファンドは、他にいくらでもある、と思います。
勿論、いずれも、私の個人的な所見です。
本記事執筆現在の資金応募状況は
引用元:https://www.maneo.jp/apl/fund/detail?fund_id=6520
↑
そうした状況下であるにも関わらず、
昨夜(10月30日夜9時半)の募集開始から、わずかな時間しか経過していないのですが、既に満額を集め、募集終了、となっております。
本記事にて言及した諸リスクが、所詮、心配性な私の、杞憂で終われば、良いのですが…。
まとめ
記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。
なお、私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資中です。
そんな私が、国内23社中、厳選した3社のみ、「おすすめ事業者」としてご紹介しておりますのが、下記の別記事となります。
お時間ございましたら、ぜひご覧ください。
↓
【ソーシャルレンディングのおすすめ会社はどこですか?】23社分散投資中の筆者が、ソーシャルレンディング投資初心者の読者様におすすめする、厳選3社がこちら。
ソーシャルレンディング各社をランキング形式で分析したこちらの過去記事もおすすめです。
↓
【ソーシャルレンディングランキング決定版】利回り・投資対象国・担保設定状況・投資のしさすさ。異なる4つの視座から人気ソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング。
主要なソーシャルレンディング事業者を、投資家登録数や累計投融資額も含めた様々なポイントから比較した分析記事はこちらです。
↓
【ソーシャルレンディング各社徹底比較】投資家登録数・累計投融資額・年利平均…。主要ソーシャルレンディング各社を7つの視座から横断比較してみた結果、見えてきた真実とは。
それぞれ、是非、ご一読下さい。
それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。
本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
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