SAMURAIにて、ソーシャルレンディングファンド「SAF不動産ローンファンド9号」が公開されています。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、資金の大半を融資する「貸付先1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://samurai-crowd.com/item/detail/89

本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図

SAMURAIのソーシャルレンディングファンド「SAF不動産ローンファンド9号」のスキーム図
引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/89

資金の借り手

大阪府にて不動産業を営むU社が、本事業の借り手です。

貸付資金の総額

本ファンドによる貸付額は、500万円が上限となります。
ただし、本事業の全体貸付額(SAMURAIによる貸付済み総額)は、3,300万円、とのこと。

借り手の資金使途

不動産購入資金、とのことです。

貸付・運用の期間

本ファンドによる貸付期間は、10カ月、とのこと。

設定担保

東京都北区赤羽の戸建て物件に対し、担保権が設定されます。
当該物件の評価額としては、4,721万5,484円、とのことです。

返済原資

SAMURAIに問い合わせましたところ、
「不動産売却による売却代金を原資に、返済を行う計画である」とのことでした。

本ソーシャルレンディングファンドの期待利回り

6.5パーセント(年率)、とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの検証ポイント

私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
実際の投資是非の判断においては、必ず、各投資家様それぞれ、皆様ご自身において、ご検討・ご判断を為さって頂きますよう、お願い致します。

本ソーシャルレンディングファンドのおすすめポイント

担保物に関し設定される担保権については、SAMURAIに電話問い合わせをしたところ、

  • 先順位無の、
  • 第一順位抵当権(※根抵当権ではない)

との確認が取れております。

また、担保物の評価額4,721万5,484円に対し、貸付総額3,300万円は、70パーセントほどに過ぎません。

それでいて、年率利回りは6.5パーセント。

不動産に担保権を設定するファンドの組成で有名なOwnersBookの場合でも、シニアローン(第一順位抵当権)案件の場合、LTV8割弱ほどで、利回り5パーセント前後、というのが、ある種、相場となっています。

これを考えると、今回のSAMURAIファンドの、

  • シニアローン案件で、LTV7割ほど、と、保全の効いた構成で、
  • 利回り6.5パーセント、というのは、

極めて意欲的な数値設定である、と言えます。

本ソーシャルレンディングファンドの失敗リスク・危険性について

本件担保物の評価額算定においては、

SAF不動産ローンファンド9号に関するSAMURAIからのコメント
引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/89

上記のコメントが付記されています。
また、

※担保となる不動産評価額は営業者による査定額です。
引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/89


上記の付帯情報も記載されています。

念のため当方にて、SAMURAIへと問い合わせましたところ、
「本件評価額については、外部の不動産鑑定士等、第三者の意見を取り入れた評価額では、無い」
との回答が得られました。

また、

物件内容:東京都北区赤羽の戸建て(戸建てをリノベーション後、再販売を行い、売却いたします。)
引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/89


上記付帯事項に関連し、SAMURAIに、
「本件評価額は、リノベーションを実施した後の評価額であるか、否か」
について、照会をしてみたのですが、
残念ながら、明確なお答えを頂くことは、出来ませんでした。

私の個人的な所見として、担保物の評価額算定を、(外部専門家の意見を取り入れることなく)ソーシャルレンディング事業者が自ら単独で行っている場合、いささか、注意を要する、と考えています。

かつて、関東財務局から、行政処分を受けた、ラッキーバンクの場合、
証券取引等監視委員会からの、行政処分勧告書面において、下記のような記載がありました。

当社は、X社が保有する不動産に担保を設定して、X社への貸付けを行っているファンド318本のうち252本について、「不動産価格調査報告書」を当社ウェブサイト上の募集要領に掲載しているが、
当該報告書は、正式な不動産鑑定評価を行った上で作成されたものではなく、対外的に公表できない不動産価格をウェブサイト上に掲載し、ファンド出資持分の募集を行っている。

引用元:https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180220-1.htm

要は、ラッキーバンクの場合、外部専門家などに不動産評価額を算出させるのではなく、自分自身で、(しかも、きちんとした評価手法を取らずに)評価額を算出していたことが、問題視されたわけです。

今回SAMURAIの場合、あくまでも、近隣の取引事例から、築年数や建物状況、土地の形や接道状況などを加味したうえで、きちんと、評価額を算出していると、言明しているわけですから、
ラッキーバンクのように「正式な不動産鑑定評価を行っていない」わけでは、勿論、無いのでしょうが、
やはり、担保物の評価額算定プロセスにおいて、外部第三者の目が取り入れられていない、というのは、個人的にはいささか、気にかかります。

勿論、私の杞憂であれば、いいのですが…。

総論。本ソーシャルレンディングファンドを、他ファンドと比較・ランキングすると…

SAMURAI算出の評価額をそのまま鵜呑みにするのであれば、実にしっかりとした保全の効いたファンドだと思います。

もしも、「担保物の評価額算出に、きちんと外部専門家の意見が取り入れられているファンドのほうが、いいな」という場合は、


引用元:https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1124/

このように、不動産評価額算定において、外部専門家の関与が明記されている、OwnersBookや、


引用元:https://lendex.jp/main/fund_detail/35/

評価者企業の名称(この場合は、東急リバブル)が明記されているケースのある、LENDEXのファンドをご検討為さると、良いかも知れません。
※ただし、LENDEXの場合、必ずしも、東急リバブルによる評価額を公表しているファンドばかりではありませんので、留意してください。

本記事執筆現在の資金応募状況は


引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/89

現在、60万円弱ほど、資金が集まっている状況のようです。

まとめ

記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

なお、私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資中です。
そんな私が、国内23社中、厳選した3社のみ、「おすすめ事業者」としてご紹介しておりますのが、下記の別記事となります。
お時間ございましたら、ぜひご覧ください。

【ソーシャルレンディングのおすすめ会社はどこですか?】23社分散投資中の筆者が、ソーシャルレンディング投資初心者の読者様におすすめする、厳選3社がこちら。

ソーシャルレンディング各社をランキング形式で分析したこちらの過去記事もおすすめです。

【ソーシャルレンディングランキング決定版】利回り・投資対象国・担保設定状況・投資のしさすさ。異なる4つの視座から人気ソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング。

主要なソーシャルレンディング事業者を、投資家登録数や累計投融資額も含めた様々なポイントから比較した分析記事はこちらです。

【ソーシャルレンディング各社徹底比較】投資家登録数・累計投融資額・年利平均…。主要ソーシャルレンディング各社を7つの視座から横断比較してみた結果、見えてきた真実とは。

それぞれ、是非、ご一読下さい。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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