【ソーシャルレンディングファンド分析】さくらソーシャルレンディング「さくら北海道(札幌)セレクトファンド99号」の場合。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、さくらソーシャルレンディングが2018年9月に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「さくら北海道(札幌)セレクトファンド99号」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。

本ファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://www.sociallending.co.jp/fund/detail?fund_id=299

本ファンドのスキーム図


引用元:さくらソーシャルレンディング

資金の借り手

さくらソーシャルレンディングにとっての直接的な債務者は、事業者B社となります。
ただし、同社は、さくらソーシャルレンディングの関連会社ですので、
本ファンドにおける実質的な債務者は、最終債務者たる、「売掛債権買取事業者T社」と見るのが素直でしょう。

貸付資金の総額

本ファンドによる貸付は、367万円とのこと。
ただし、複数の号数に分けて、合計では、総額1,176万円を融資する計画、とのこと。

借り手の資金使途

事業者B社は、さくらソーシャルレンディングから借り入れた資金を原資に、事業者T社に対する融資を行います。
事業者T社は、事業者B社からの借入金を原資に、歯科医院1社(1事業所)の売掛債権(診療報酬債権等)を買い取ります。

貸付・運用の期間

10か月間の貸付・運用となります。

設定担保

事業者B社としては、事業者T社に貸し付けた貸付金債権の保全を図るべく、

  1. 事業者T社が歯科医院1社(1事業所)から買い取る売掛債権に、譲渡担保を設定します。
  2. 事業者T社の株式に質権を設定します。
  3. 事業者T社の代表者他1名の連帯保証を取得します。

そして、さくらソーシャルレンディングとしては、事業者B社に貸し付けた貸付金債権の保全を図るべく、

  1. 事業者B社が、上記の通り、譲渡担保設定した債権に対して、質権を設定します。
  2. 事業者B社代表者の連帯保証を取得します。

返済原資

最終債務者たる事業者T社としては、歯科医院1社(1事業所)から買い取った売掛債権(診療報酬債権等)を転売した代金や、
もしくは、歯科医院1社(1事業所)が債権買戻しを行った場合、その代金を、原資に、
事業者B社への返済を行う予定、となっています。

事業者B社からさくらソーシャルレンディングへの返済原資については、これといって、明記がありませんでしたが、
素直に解釈すれば、事業者B社としては、事業者T社から受け取った元利金返済金を原資に、さくらソーシャルレンディングへの返済を行うものと思われます。

わたしたち個人投資家の期待利回り

6.65パーセント、とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は

本ファンドは、100%の資金募集を達成しています。

運用・返済状況は

本ファンドの貸付実行日は2018/09/27。
これに対して、返済完了(予定)日は2019/07/31。
目下、鋭意運用中、というところでしょう。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。

一見ややこしいですが、要は、ファクタリング案件です。

本スキームの最終債務者である、事業者T社は、歯科医院1社(1事業所)から、売掛債権(診療報酬債権等)を買い取る、とあります。
端的に言えば、歯科医院としては、何らかの理由で、資金繰りが必要な状況だったのでしょう。
診療報酬債権とは、ざっくり言ってしまえば、

  • 患者さんの自己負担分(=患者さんが医院窓口で支払う)ではなく、
  • 健康保険対象分の、売掛金です。

この「健康保険対象分の売掛金」は、当然、所定の期限までに、国から、医院に対して、支払われるわけですが、
ここに、タイムラグがあるわけです。
そして、医院としては、その間の資金が必要。

そんな資金ニーズに着目するのが、「ファクタリング」という事業です。

ファクタリング業者は、お金を必要としている事業者から、その事業者が有している債権を、債権の額面よりも安く、買い取ります。
(債権の額面と、債権の買い取り額との間の、差額が、ファクタリング業者の手数料等となります)
「お金を必要としている事業者」としては、ファクタリング業者から、債権買取代金を受け取ることが出来ますから、資金繰りの目途が立ちます。
ファクタリング業者としては、買い取った債権をきちんと現金化するなり、
もしくは、別の債権買い取り業者に転売するなどして、資金を確保します。

事業者T社の目利き力が鍵。

事業の構造上、肝心になってくるのは、ファクタリング業者側の「目利き力」です。
本ファンドの場合で言えば、「売掛債権買取事業者T社」の判断力、
特に、良質な債権と、悪質な不良債権とを見極める”眼力”が、重要な要素となります。

さらに具体的に、本ファンドに関して言えば、
今回T社が歯科医院から買い取る債権が、良質な物であるか、どうか、が、最も重要です。
というのも、本ファンドの場合、

  • T社からB社(さくらソーシャルレンディング関連会社)への元利金返済がスムースにいくか、どうか。
  • B社からさくらソーシャルレンディングへの元利金返済がスムースにいくか、どうか。
  • ひいては、さくらソーシャルレンディングから、わたしたち個人投資家への分配・元金償還が、スムースにいくか、どうか。

上記は、まさに、
今回T社が歯科医院から買い取る債権が、良質な物であるか、どうか、にかかっているため、です。

※万が一の場合の保全のために、「事業者T社の株式に質権」も設定されるわけではありますが、
文脈から察する限り、事業者T社は、非上場企業であると推察されます(上場企業であれば、その旨がファンド情報に明記されるでしょう)。
そして、「いざ」というときに、非上場企業の株式を換価するのは、実際問題、なかなか大変です。

ともあれ、さくらソーシャルレンディングとしては、T社の目利き力に、なかなかの信頼を寄せている模様です。
以下、さくらソーシャルレンディングのブログからの引用となります。

札幌に拠点を置くこの事業者様とは、毎月定例の事業報告ミーティングを東京にて行なっていますが、今回は事業者様の札幌本社に訪問しました。同社は札幌駅から車で約10分のところに位置し、地下鉄でも3駅と交通の便が良い場所です。
引用元:さくらソーシャルレンディング

事業者様の事務方責任者様は若くて非常に優秀なスタッフでした。さらに、社長との信頼関係も厚く社長が案件を開拓し、事務方でしっかりフォローする体制ができていました。
引用元:さくらソーシャルレンディング

この事業者様では、社長自身がその事業者へ毎月定例訪問を欠かさず行い、施設の最新状況をしっかりと把握されています。そのため現在は、案件を管理できる範囲と規模も限られておりますが、ゆっくりとした成長を目指されています。
引用元:さくらソーシャルレンディング

↑このように、さくらソーシャルレンディングとT社との間では、比較的頻繁に打ち合わせの機会が持たれているようであり、
また、T社の場合、債権を買い取る事業者の施設現地を定期訪問し、運営状況を確認している、とのこと。

素直に解釈すれば、T社の「ファクタリング業者」としての実力(特に、上掲の、”目利き力”)には、一応の信を置けるのでしょうが、
貸金業法の規制の関係上、T社の実際の事業者名などが明らかにならないため、
私達個人投資家としては、T社の正確な実力を、客観的資料から判断することが出来ません。

せめて、同社の過去実績(買い取った債権を、これまで、実際にどの程度の金額に換価してきたのか。買い取った債権に、過去、不良債権が混在してしまっていたことがあるのであれば、それは何パーセントにあたり、実際にどの程度の損害をT社に与えたことがあるのか、といった実績情報)だけでも、明記されていれば、
もう少し、判断が容易(かつ、合理的)なものとなるのですが…。

本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、さくらソーシャルレンディングのソーシャルレンディングファンド「さくら北海道(札幌)セレクトファンド99号」を題材に、検証をさせて頂きました。

しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。

しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

なお、私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資中です。
そんな私が、国内23社中、厳選した3社のみ、「おすすめ事業者」としてご紹介しておりますのが、下記の別記事となります。
お時間ございましたら、ぜひご覧ください。

【ソーシャルレンディングのおすすめ会社はどこですか?】23社分散投資中の筆者が、ソーシャルレンディング投資初心者の読者様におすすめする、厳選3社がこちら。

ソーシャルレンディング各社をランキング形式で分析したこちらの過去記事もおすすめです。

【ソーシャルレンディングランキング決定版】利回り・投資対象国・担保設定状況・投資のしさすさ。異なる4つの視座から人気ソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング。

主要なソーシャルレンディング事業者を、投資家登録数や累計投融資額も含めた様々なポイントから比較した分析記事はこちらです。

【ソーシャルレンディング各社徹底比較】投資家登録数・累計投融資額・年利平均…。主要ソーシャルレンディング各社を7つの視座から横断比較してみた結果、見えてきた真実とは。

それぞれ、是非、ご一読下さい。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。

本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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