【ソーシャルレンディングファンド分析】OwnersBook「大田区マンション第4号ファンド第1回」の場合。
個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。
ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、OwnersBook(オーナーズブック)が2018年10月に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「大田区マンション第4号ファンド第1回」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。
本ソーシャルレンディングファンドの概要
同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。
本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL
こちらです。
↓
https://www.ownersbook.jp/project-detail/index/1123/
資金の借り手
1980年代に設立され、現在東京都世田谷区に所在する、総合不動産会社AI、とのこと。
主な事業は、
- 建築・土木工事
- 不動産売買・仲介・賃貸・管理
- 不動産関連投資事業
とのこと。
営業成績としては、直近3期は連続して経常利益・当期純利益を計上している、とのことです。
貸付資金の総額
400,000,000円(4億円)、とのことです。
借り手の資金使途
総合不動産会社AIの事業資金である限り、資金使途についての定めはない、とのこと。
本ソーシャルレンディングファンドの貸付・運用の期間
18ヶ月間の貸付・運用となります。
設定担保
借り手企業AIの所有下にある、下記物件に対し、抵当権が設定される、とのこと。
- 建物状況:
1990年8月に建築された5階建のマンション1棟。維持・管理の状態は良好。 - 交通・接近条件:
東京都大田区仲池上に位置しており、都営地下鉄浅草線へのアクセスが可能。 - 賃貸借の状況:
1階から5階まで住居となり、60㎡台の3DK計17戸から構成。2018年10月11日現在、稼働率は94%。
現行月額賃料(共益費込)の平均坪単価は、2018年10月11日現在、7,000円程度。
外部専門家により査定された新規月額賃料(共益費込)の坪単価は、同じく、7,000円程度。 - 物件評価額
OwnersBook評価額は、外部専門家による査定額を参考に50,300万円(5億300万円)と査定。
返済原資
総合不動産会社AIによると、返済原資として、他の金融機関等からの借入、事業活動によって稼得されるキャッシュ等を想定している、とのこと。
わたしたち個人投資家の期待利回り
4.2パーセント。
本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は
本ファンドは、100%の資金募集を達成しています。
運用・返済状況は
本事業の投資実行日は2018/10/26。
これに対し、匿名組合の償還予定日は2020/05/20です。
本記事執筆本日現在、鋭意運用中、というところと思料されます。
本ソーシャルレンディングファンドのポイント
私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。
このLTV・担保設定であれば、利回りは妥当。
単純計算するLTV(Loan to Value)は、8割以下(貸付額4億円/評価額5億300万円≒0.795…)となります。
また、本件抵当権は、先順位無の第一順位抵当権となります。
これらの事情を勘案すれば、4.2パーセントという想定利回りは、(決して高くはないが)相場、というイメージです。
肝心の物件評価額に関する考察
OwnersBook評価額は、外部専門家による査定額を参考に50,300万円(5億300万円)と査定されているわけですが、
本件担保物は、築30年近く(1990年8月に建築)経過した、マンション1棟です。
果たして、5億円を超える評価額には、妥当性は認められますでしょうか。
いくつかの視点から、検証してみることにいたします。
利回り
本件担保物について、現行月額賃料(共益費込)の平均坪単価は、2018年10月11日現在、7,000円程度となっており、かつ、外部専門家により査定された新規月額賃料(共益費込)の坪単価についても、7,000円程度である、との情報が明記されています。
また、併せて、本件担保物については、60㎡台の3DK計17戸を擁するマンションである旨が、明記されています。
まず、1坪は、約3.3平方メートルに相当します。
1戸の面積を「60平方メートル」と仮定すると、1戸あたりの面積は、約18坪である、と言い換えることが可能です。
このため、1戸あたりの月額賃料は、18坪×7,000円=12万6千円程度であることが分かります。
建物全体では17戸を擁していますから、満室時賃料月額は、12万6千円×17戸=214万円ほどであることが分かります。
すなわち、満室時の年間賃料は、214万円×12か月=2,568万円ほど、と推定されます。
こうして推定される満室時の年間賃料(2,568万円)は、OwnersBook評価額(5億300万円)に対して、約5.1パーセントに相当します。
投資用不動産検索サイトを確認してみると、
引用元:https://www.rakumachi.jp/
↑
築32年で5.81パーセント、
引用元:https://www.rakumachi.jp/
↑
築30年で5.5パーセント、等といった物件が複数ありますから、ある程度、妥当なところかな、という印象があります。
駅からの距離感
「東京都大田区仲池上に位置しており、都営地下鉄浅草線へのアクセスが可能」との情報があるわけなのですが、
具体的には駅徒歩何分くらいなのでしょうか。
東京都大田区仲池上の地図がこちら。
↓
引用元:Google Map
↑
都営地下鉄浅草線、とは、すなわち、地図右側の「西馬込」駅のことを指しているものと思われます。
引用元:Google Map
↑
東京都大田区仲池上の中で、西馬込駅から最も遠いのは、同地区の北西端となりますが、その場合で、西馬込駅からの距離は、1.12キロとなります。
不動産表示でいうところの「徒歩〇分」は、1分で80メートルを表す、とされていますから、1.12キロの場合は、「西馬込駅から徒歩14分」となります。
これは最も西馬込駅から離れている場合ですから、実際には、「西馬込駅徒歩10分圏内」程度が(ある程度)期待できるものと推測されます。
価格の絶対値
東京都大田区内で、駅近(徒歩10分圏内)物件ともなりますと、
引用元:https://www.rakumachi.jp/
↑
築30年オーバーで、7億円弱、
引用元:https://www.rakumachi.jp/
↑
築30年で5億円強、など、高額物件も確かに増えてきます。
建物のスペックは千差万別でありますが、要件さえ満たせば、本件担保物に対するOwnersBook評価額=5億300万円、というのも、確かに、一定程度の妥当性を感じられるものかと思います。
本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ
ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、オーナーズブックのソーシャルレンディングファンド「大田区マンション第4号ファンド第1回」を題材に、検証をさせて頂きました。
しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。
しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。
なお、私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資しておりますが、
その中でも、OwnersBookは、他のソーシャルレンディング事業者と比べて、私が多くの資金を投資させて頂いている事業者のひとつです。
引用元:OwnersBook
- 東証マザーズ上場企業、ロードスターキャピタル株式会社による運営。
- 全案件(ファンド)に、不動産担保がセッティングされている。
等と言った特長のある事業者ですが、その分、個人投資家からの人気が高く、
ファンドによっては、資金募集開始から、あっという間に、資金枠が埋まってしまう、というケースが多く見られます。
「いざ」という時の投資機会を逃さぬためにも、
あらかじめ、投資口座開設だけでも、済ませておくことをお勧めします。
同社の投資口座開設は、こちらの公式ページから手続き可能です。
↓
OwnersBook(公式)
なお、同社の投資口座開設手続きは、いたってシンプルですが、
「初めてで不安」という方は、あらかじめ、こちらの別記事もご参照下さい。
↓
[blogcard url=”https://social-lending.online/sl-companies/ownersbook/ownersbook-kaisetsu/”]
それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。
追伸:
主要なソーシャルレンディング事業者を、投資家登録数や累計投融資額も含めた様々なポイントから比較した分析記事はこちらです。ぜひ、ご覧になってみてください。
↓
【厳選比較】投資家登録数・累計投融資額・年利平均…。国内の大手ソーシャルレンディング事業者を、異なるアングルから比較してみた結果、見えてきた真実とは。
本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
Author Info
-
fill.mediaの公式サイト。ソーシャルレンディング業界ニュースや、国内の各ソーシャルレンディング事業者に関する最新情報等、様々な投資関連情報を提供している。
公開済記事コンテンツは1,200件超、登録読者に向け無料にて発信しているニュース・メールの累計配信数は、8,000通を突破している。
メディア掲載歴(一部・順不同)
・朝日新聞デジタル&m
・財経新聞
・SankeiBiz
・RBBTODAY
・楽天Infoseekニュース
・excite.ニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス
・Mapionニュース
・NewsPicks
・ビズハック
・MONEY ZONE
・Resemom
・SANSPO.COM
・Trend Times
・zakzak
・とれまがニュース
・徳島新聞
- 2023.10.27AGクラウドファンディングAGクラウドファンディングの新案件「不動産担保ローンファンド#30」、1億5千万円満額の投資応募を集め募集終了
- 2023.09.14AGクラウドファンディングAGクラウドファンディングにて新案件「アイフルファンド #27」が公開-予定分配率0.92%、半年運用
- 2023.08.09CAPIMA(キャピマ)CAPIMA(キャピマ)の評判・キャンペーン情報は-出金手数料無料化で話題のソーシャルレンディング事業者
- 2023.08.05ソーシャルレンディングInsight【当サイト経由の口座開設で2,000円が貰える】アイフルグループのソーシャルレンディング・サービス「AGクラウドファンディング」とは