アップルバンクにてソーシャルレンディングファンド「収益不動産取得資金支援ローンファンド5号」が公開されています。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=525

本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図

アップルバンクのソーシャルレンディングファンド「収益不動産取得資金支援ローンファンド5号」のスキーム図
引用元:https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=525

資金の借り手

アップルバンクにとっての直接的な債務者は、事業者AL社です。
ただし、事業者AL社については、アップルバンクの100%子会社であり、代表取締役もアップルバンクと同一、ということですので、
本事業の実質的な債務者としては、最終債務者たる「事業者AK社」と見るのが妥当でしょう。

貸付資金の総額

本ファンドによる貸付は、638万円とのこと。
ただし、複数号のファンドを介し、第1弾の合計では、3,000万円の募集を行い、
事業者ALとしては、事業者AKに対し、総額9,080万円の貸付を行う予定である、とのこと。

借り手の資金使途

事業者ALは、アップルバンクからの融資金を原資に、事業者AKへの貸し付けを行います。
事業者AKは、事業者ALからの融資金を、収益不動産の取得資金に充てる模様です。

貸付・運用の期間

17カ月間の貸付となります。

設定担保

事業者AKが所有する賃貸マンション1棟の土地・建物に関し、第二順位の抵当権が設定されます。
※ただし、登記は留保する、とのこと。

返済原資

事業者AKとしては、不動産の売却代金を原資に、事業者ALへの返済を行う予定、とのこと。
事業者ALとしては、そうして事業者AKから受け取った返済金を原資に、アップルバンクへの返済を行う予定であると思われます。

本ソーシャルレンディングファンドの期待利回り

7.50パーセント、とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの検証ポイント

私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
実際の投資是非の判断においては、必ず、各投資家様それぞれ、皆様ご自身において、ご検討・ご判断を為さって頂きますよう、お願い致します。

まずはLTVを考える。

物件評価額については、一旦鵜呑みにする、と仮定します。
シニアローンが既に2億5,400万円分設定されており、これに対し追加で9,080万円分の第二順位抵当権を設定するわけですから、
抵当権の総額は、3億4,480万円となります。
この総額は、担保評価額4億2,000万円に対し、82パーセントに相当します。

  • 一般的な金融機関(銀行等)のLTVが7割程度であり、
  • かつ、本件については、あくまでも第二順位抵当権であることを踏まえると、

いささか、LTVが高めかもしれません。

担保評価額は妥当か。

本ファンドのスキーム図には、「対象不動産」として、

アップルバンクのソーシャルレンディングファンドを分析。
引用元:https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=525

この写真が掲載されています。
「写真はイメージです」との付記が無かったので、アップルバンクへと確認したところ、
なんと、この写真は本当に、本件担保物となるマンションの写真である、とのことでした。
※あくまでも、本ブログ管理人が私的にアップルバンクへと確認した事柄です。真偽については、読者様ご自身にて、適宜御確認下さい。

物件写真、及び、ファンドに記載されている、「RC造8階建て・総戸数29戸」という情報を勘案すると、
おそらく本件担保物は、「レインボー高蔵」というマンションではないかな、と、個人的に類推しています。
※あくまでも、本ブログ管理人の個人的な類推です。真偽について保証は致しかねます。

本件担保物が、「レインボー高蔵」である、と仮定して分析を進めると、
「レインボー高蔵」については、6万円弱~6.5万円前後の月額賃料のマンションであることが、不動産サイト等を通しての情報収集により、分かります。
※SUUMO物件ライブラリー(https://suumo.jp/library/)等を参照しました。

1部屋あたりの月額賃料について、とりあえず6.5万円、と仮定し、それが29戸、ですから、満室時月額賃料は、188万5千円、となります。
年間では、2,262万円、となります。
仮に、本件担保物が4億2千万円でマーケットに売りに出される、とすると、その満室時表面利回りは、5.3パーセントほど、となります。

投資用不動産情報サイト「健美家」及び「楽待」を見る限り、「レインボー高蔵」の所在する愛知県名古屋市熱田区内において、1棟売りタイプの不動産案件は、さほど多くなかったのですが、

アップルバンクのソーシャルレンディングファンドを分析する。物件の価格相場を確認。
引用元:https://www.kenbiya.com/

高額物件(1棟売り)ですと、健美家の場合は、こんな感じ。

アップルバンクのソーシャルレンディングファンドを分析するために、楽待の物件価格相場を確認。
引用元:https://www.rakumachi.jp/

楽待の場合は、こんな感じです。

4億円オーバーの物件例が確認できなかったため、何とも判断が難しいのですが、
4億円強の値付けで、利回り5パーセント以上を確保できていれば、
ある程度、投資家(金額的に、個人投資家は手が出にくいかも知れませんが…)にとって、魅力的な物件とは、映り得るのかも知れません。

総論。

本件担保物が、私の個人的な推測の通り、「レインボー高蔵」なのであれば、評価額については、一定の説得力は持ちうるのかな、と、個人的には感じます。
「レインボー高蔵」の評価をさらに正確に確認する場合は、不動産鑑定士等に机上調査を依頼してみる、というのも、一案かもしれません。
もっとも、本件担保物が真に「レインボー高蔵」であることを示す証左はありませんから、その点については、十分にご留意ください。

評価がある程度妥当、と考えられるのであれば、あとはLTV評価です。
上述もしました通り、(評価額を鵜呑みにしたとしても)抵当権順位が第二順位であることなどを踏まえると、本件LVT設定は、いささかアグレッシブかも知れません。

簡易調査の結果、愛知県名古屋市熱田区内においては、1棟売りタイプの投資物件でも、
4億円オーバーの高額案件よりは、1億円前後の小粒な案件のほうが、目につきました。
4億円オーバーの値付けで実際にマーケットインした際、どの程度の流動性が確保できるのか、といった点については、
一定の留意を要するものと思います。

本記事執筆現在の資金応募状況は

アップルバンクのソーシャルレンディングファンド「収益不動産取得資金支援ローンファンド5号」の、現段階での資金集まり状況。
引用元:https://www.applebank.jp/fund/detail?fund_id=525

資金の集まりはまだまだこれから、という状況のようです。

まとめ

記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

国内有力ソーシャルレンディング事業者各社を、ランキング形式で分析した、こちらの旧記事も、おすすめです。お時間ございましたら、ぜひ、お目通し下さい。

国内大手ソーシャルレンディング会社を、ブログ筆者が厳選ランキング。様々なアングルから、人気のソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング致しました。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。

本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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