インデックス投資開始前に知っておきたい、インデックス投資の3つの失敗パターンとは
目次
失敗のリスクも小さくない?個人投資家に話題のインデックス投資とは
個別の株式銘柄に対して資金を分散投資するのではなく、数百から数千もの銘柄に対して資金を分散投資する「投資信託」へと投資することにより、市場の平均値、すなわち、「インデックス指数」に連動した投資成果の獲得を目指す投資手法を、「インデックス投資」と言います。
初心者でも失敗しにくい?インデックス投資のメリットは
コストが安い
投資家がインデックス投資に取り組む場合、「パッシブ・ファンド」と呼ばれる投資信託(インデックス・ファンドとも呼ばれる)を利用することが一般的です。
そして、投資信託を保有する場合、投資信託の運用会社に対して、「信託報酬」と呼ばれる運用手数料を支払う必要があります。
インデックス・ファンドの場合、ファンドマネージャーがごく少数の銘柄に対して集中投資を行う「アクティブ・ファンド」と比較し、この信託報酬等コストが安い、というメリットがあります。
- アクティブ・ファンドの場合、年率換算で、預かり資産残高の2パーセント程度の運用手数料を徴収するケースもある一方で、
- インデックス・ファンドの場合、その信託報酬料率は、概ね、年率0.3パーセント前後程度に抑えられている他、
- 更に、「ETF」と呼ばれる、上場投資信託を利用すれば、この経費率は、年率0.05パーセント未満程度まで節約することも可能です。
また、インデックス投資に用いられる、非上場のパッシブ・ファンドの場合、買い付け手数料がかからない、いわゆる「ノーロード型」のファンドや、解約時の信託財産留保額がゼロパーセントに設定されているファンドも少なくありません。
投資が成功しようが、失敗に終わろうが、手数料コストは、必ず、発生するものです。
そうした点を考慮に入れれば、このコスト・メリットは、インデックス投資の大きな利点のひとつと言えましょう。
つみたてNISAやiDeCoといった、政府の投資支援制度を最大限活用できる
長期投資において失敗を避けるためには、前述の「信託報酬」のような、いわゆる手数料コストを節約することと合わせて、投資信託の運用益や、ファンドからの分配金に対する課税(所得税や、住民税)、すなわち、税金コストに関しても、出来得る限りの節約(節税)をしていくことが必要となります。
この点、インデックス投資の場合は、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金制度)といった、政府公認の投資支援制度のメリットを、最大限に活用できる、という利点があります。
例えば、iDeCoの場合、
- 毎月の拠出金の全額が、所得控除となるほか、
- 積み立てて運用してきた年金資産を、いざ、受け取るときにも、その受け取り方に応じて、「退職所得控除」か「公的年金等控除」の仕組みを活用できる、
というメリットがあります。
また、つみたてNISAの場合は、専用口座で売買した投資信託の運用益・分配金が、最大で20年間に渡り、非課税にて運用できる、という利点がありますが、その投資対象は、金融庁の指定銘柄に限定されています。
そして、金融庁が認定した、つみたてNISAの対象銘柄のほぼすべてを、インデックス投資向けの、いわゆる「パッシブ・ファンド」が占めています。
個別の銘柄選びの労力から解放され、日々の値動きを追いかける必要もない
仮に、投資家が、個別の株式銘柄への集中投資を行う場合、あまたの上場企業の中から、今後の値上がり等を予想したうえで、取得する銘柄を選択する必要があります。
銘柄選択にあたっては、四季報などに掲載されている情報の閲覧などはもちろん、公開されている様々なファンダメンタルズ情報を分析し、慎重に銘柄選定を行う必要があります(そして、どれだけ熱心に銘柄選びを行ったところで、失敗のリスクは常につきまといます)。
また、実際に銘柄を保有した後になっても、個別の株式銘柄投資の場合、銘柄ごとの非システマティック・リスクへの配慮が欠かせません。
企業の不祥事や、同業他社の新製品開発・躍進などによって、自分が保有している銘柄の株価が急落することがあるためです。
いつ、そのような急落が起こるかは分からないため、就業中でもスマートフォンを利用した売買から逃れられず、会社のトイレで、隠れて銘柄の売買を行う、「トイレーダー」等も出現。本業に支障をきたすケースも少なくありません。
これに対して、インデックス投資の場合、投資信託への投資を通じて、市場全体に対して投資を行うことが出来るため、個別の銘柄選びは不要となるほか、そもそも、短期の売買を前提としていない、という特徴があります(基本的には、バイ&ホールド戦略による長期保有が前提とされている)。
この点は、FIREを目指し、本業に対して集中しつつも、同時並行で資産形成を狙う若年投資家にも、インデックス投資が受け入れられている理由のひとつと言えます。
多数銘柄への分散投資により、銘柄別のリスクを排除できる
インデックス投資の場合、投資信託を利用することにより、実質的に、数百~数千もの銘柄に対して、資産を分散投資します。
それだけの規模の分散投資を行う目的は、基本的には、ただ一つ、各銘柄ごとの非システマティック・リスクを排除することです。
上述した通り、少数の個別銘柄に対して資金を集中投資している限りは、
- 市場全体(ないしは、業界全体)は堅調なのに、
- 投資家がたまたま保有している、個別の株式・銘柄だけが、不祥事や業績不振などによって、株安の憂き目にあう
という、いわゆる「非システマティック・リスク」を排除することが困難です。
この点、投資信託の活用によって、数百~数千銘柄へと分散投資すれば、ポートフォリオ全体に占める、個別の企業銘柄のシェアは、大きくても数パーセント程度に留まることとなり、仮に、ポートフォリオの一部の銘柄の株価が急落したとしても、ポートフォリオ全体に対して与える影響は限定的となります。
このように、多数銘柄への分散投資によって、ポートフォリオのリスク(利回りの標準偏差)を低位に保つことが、インデックス投資における分散投資の目的とされています。
なお、仮に、一般の個人投資家が、投資信託を活用することなく、インデックス・ファンドと同じように、数百銘柄以上の株式へと資金を投じる場合、それぞれの銘柄の最低購入単位等を考慮すると、少なくとも数百万円以上の投資用資金が必要となります。
この点、インデックス投資ならば、1本の投資信託を購入するだけで、十分な分散投資効果を得ることが出来、かつ、そのための最低投資金額は、ファンドによっては、数百円程度の少額に留まります。
複数の資産クラスにまたがったポートフォリオ運用により、リスク資産全体のボラティリティを低下させることが出来る
インデックス投資の醍醐味は、「単一の」資産クラス内の分散投資に留まりません。
資産クラス別に、投資信託を購入したり、最初から、複数の資産クラスに資金を分散投資する、バランス型ファンドを利用することにより、一般の個人投資家でも、プロの機関投資家並みの、マルチアセット・ポートフォリオを運用することが可能です。
インデックス投資において投資対象とされることの多い資産クラスとしては、主に下記のような物があります。
資産クラス | 概要 | インデックス(指数)例 |
米国株式 | 世界経済の中心地、北米(アメリカ合衆国)の市場に上場している銘柄群。アップルやアルファベット、アマゾン等、有名企業が数多く含まれる。 | S&P500、ナスダック総合指数、NYダウ平均など |
先進国株式 | アメリカを除く経済先進国(日本や韓国、ヨーロッパ各国等)に所在する企業群の株式。企業例としては、サムスン電子やトヨタ自動車、ネスレ、アストラゼネカ等。 | 日経平均、TOPIX、FTSE Developed All Cap ex US Index等 |
新興国株式 | 中国や台湾、ロシア、ブラジルなど、いわゆる「経済新興国」の企業群。アリババやテンセント、台湾セミコンダクター、中国建設銀行、Infosys社など。 | FTSE Emerging Markets All Cap China A Inclusion Index等 |
先進国債券 | 米国財務省等が発行体となる国債や、社債など。伝統的に、株式との間の相関係数が低いと言われている資産クラス。 | 「ブルームバーグ米国総合債券インデックス」等 |
※その他、新興国債券や、金(きん)などのコモディティ、不動産(REIT)等の資産クラスが、投資対象となるケースもあります。
互いの相関係数が低く、値動きが同一とはなりにくい資産クラスを、自身のポートフォリオ内に組み入れることによって、ポートフォリオ全体のリスク(ボラティリティ)を低位に保つ効果が期待されており、現に、日本の年金資産の運用を担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法)では、
- 国内株式
- 外国株式
- 国債
- 外国債券
の4資産に対して、資金を均等に分散投資しています。
無分配型ファンドの利用&長期投資により、複利効果を活かすことが出来る
インデックス投資にような、いわゆる長期投資においては、前述のように、
- 手数料コスト
- 税金コスト
という2つのコストを最小化するとともに、「複利効果」の最大化を目指す必要があります。
例えば、同じく個人投資家の間から人気の高い、高配当株投資の場合、株式からの配当金を、新たな株式買い付けのための原資とすることが可能ですが、その場合はあくまでも、「課税後」の配当金を再投資に回すこととなるため、複利効果が最大化されていない、という難点があります。
その点、インデックス投資の場合であれば、複数の証券会社から提供されている、無分配型の投資信託を利用すれば、投資信託が保有している株式銘柄からの配当金が、投資信託の内部に留保され(=投資家へは配当されず)、そのまま、非課税で再投資される関係上、利益部分の元本組み入れがスピーディー、かつ効率的で、複利効果が最大化されやすい、という利点があります。
※ただし、同じくインデックス投資に利用されることが多い、ETF(上場投資信託)の場合、保有銘柄からの配当金を、決算のたびに分配することが義務付けられている関係上、無分配型のファンドが存在しません。
また、非上場投資信託の場合でも、無分配型の投資信託ばかりではなく、投資家に対して定期的に分配を行うファンドも多々存在しますので、留意が必要です。
数百円程度の少額から、定期的な自動積立投資をスタートすることが出来る
投資家がインデックス投資に取り組む場合、楽天証券やSBI証券、マネックス証券などといった、いわゆる「ネット系」の証券会社を活用することが一般的です。
そして、これらの証券会社を利用する場合、
- 様々なインデックス・ファンドを、数百円程度の少額から、買い付けることが出来るほか、
- 毎月の自動積立投資(自動引き落とし)に関しても、100円程度の少額から、設定を行うことが可能です。
失敗のリスクに対して敏感な、初心者投資家や、リスク許容度の低い投資家の場合でも、ある程度気軽に取り組みやすい、という点もまた、インデックス投資の利点の一つと言えるでしょう。
インデックス投資の失敗は主にこの3つ
インデックス投資の失敗パターン1【勉強不足編】
相場の下落リスクを理解しておらず失敗
インデックス投資では、投資信託を用いて、多数の株式銘柄等に対して、資産を幅広く分散投資することとなります。
仮に、株式市場が暴落するような出来事があれば、当然のことながら、投資対象としている投資信託のポートフォリオも、試算評価額が値下がりすることとなりますので、その投資信託を保有している投資家の投資成績も、マイナス、場合によっては元本割れとなることがままあります。
インデックス投資家の失敗談の大半を占めるのは、こうした短期的な下落に慌てて、保有している投資信託を投げ売りしてしまう、いわゆる「狼狽売り」が原因となっています。
長期的なインデックス投資においては、一時的、かつ大規模な下落は、必ず複数回、生じることとなりますので、そうした下落に動揺して、無計画にリスク資産を売却してしまうようなことがないよう、注意する必要があります。
なお、バブル崩壊後の不況が長引けば、インデックス投資ポートフォリオの元本割れ状態が、数年以上もの長きに渡り、継続することも考えられます。
現に、アメリカの主要な株式を網羅したインデックスとして知られる、S&P500指数では、2000年代初頭のドットコム・バブル崩壊から、リーマン・ショックの時期を経由し、最終的にインデックス指数がバブル崩壊前の水準を取り戻すために、約13年間程度の期間を要しました。
また、株式と言う資産クラスは、実体経済とも連動しやすい、という事実についても、あらかじめ、十分な注意が必要です。
インデックス投資が失敗しているような時期(=長期の不況等)においては、同時に、その投資家の実体経済においても、失職や、給与減など、様々な経済的なダメージを受けていることが想定されます。
インデックス投資の決定的な失敗を避けるために、いかに経済的な余裕を持って取り組んでいくことが必要であるかが、強く実感されるシーンでもあります。
参考:
インデックス投資は「危ない」のか|投資初心者必見、インデックス投資の危険性とは
投資信託のコスト構造を理解しておらず失敗
投資家がインデックス投資に取り組む場合、基本的には、個別で株式銘柄を売買するのではなく、多数の銘柄が組み合わされたパッケージに相当する、「投資信託」を活用することが一般的とされています。
そして、投資信託を保有する場合、投資家は、投資信託の運用会社に対して、「信託報酬」と呼ばれる、運用手数料を支払い続ける必要があります。
また、投資信託によっては、購入時に「買い付け手数料」が生じたり、解約時に「信託財産留保額」の支払いが必要となるケースもあります。
さらに、こうした目に見えやすいコストの他にも、投資家は、間接的に、投資信託の運用会社が株式を売買するときの手数料や、投資信託の決算・監査費用等といったコストについても、負担する必要があります。
反面、投資家が、自分自身で、数銘柄から数十銘柄程度の株式を保有し、自力で分散投資に取り組む場合、株式の買い付けの際には、一定の買い付け手数料が必要となりますが、その保有期間中に関しては、特にランニングコストが発生する事はありません。
こうした、投資信託保有ならではのコスト構造について、インデックス投資前によく理解しておかないと、そのコスト負担に驚き、思わぬ失敗を被るリスクもあるので、注意が必要です。
インデックス投資の儲け方を把握しておらず失敗
インデックス投資の場合、投資対象としている投資信託が追随しているインデックスが、その後、向上(値上がり)していくことによって、初めて、含み益が生じることとなります。
例えば、目下、連日のように最高値更新を続けている、アメリカ株式市場型のインデックスに対して投資する場合、その後も同じように、指数が最高値を更新し続けてくれない限りは、投資家に利益が生まれる事はありません。
また、インデックス投資は、アクティブ投資と異なり、あくまでも、インデックスに連動した投資成果の獲得を目指しますから、市場平均を上回るリターンを得る事は、原理上、不可能です。
仮想通貨投資やFX投資と違って、レバレッジを用いた投資も一般的ではありませんから、総じて言えば、短期的に大きな利益を上げることを狙う投資家にとっては、インデックス投資は、適切な投資先とは言えません。
さらに、
- インデックス投資の場合、ソーシャルレンディングのように利回りが事前に決まっているわけでもない
- インデックス・ファンドを保有するだけでは、株主優待を受け取ることはできない
等と言った制約もあります。
こうした、インデックス投資の特質、特にインデックス投資に取り組む場合の「儲け方」に関してよく熟知しておかないと、インデックス投資に取り組んだ後になってから、「失敗した」などと感じるような事態ともなりかねません。
参考:
インデックス投資は儲かるのか|インデックス投資の儲けの仕組み、儲からない理由も徹底検証
インデックス投資の失敗パターン2【準備不十分編】
インデックス選択や投資信託選びに十分な時間をかけずに失敗
全く同じ資産クラスに投資する場合でも、その資産クラスの中には、複数のインデックスが存在することが一般的です。
例えば、「日本の株式市場に上場している株式」という資産クラスに対して、日経平均やトピックスなど、複数のインデックスが提供されているのと同じです。
また、同じインデックスに対しても、連動している投資信託は、運用会社や販売会社によって、数本から、場合によっては10本以上にも及ぶことがあります。
そして、それぞれのインデックス・ファンドごとに、
- 純資産額や、
- 信託報酬の大小、
- 買い付け手数料や、信託財産留保額設定の有無や、
- 連動対象としているインデックスとの間の、トラッキングエラーの有無などは、
全く異なります。
投資家は、インデックス投資を始めるにあたり、国内で数千本以上販売されているといわれる投資信託の中から、自分のインデックス投資の目的に合った投資信託を選び抜く必要がありますが、この投資信託選びの時点で失敗してしまうと、その後、長期的に影響を受け続けることとなるリスクがありますから、注意が必要です。
資産クラス分散(アセットアロケーション)を過信して失敗
インデックス投資の場合、
- 米国株や、
- 米国株を除く先進国株式
- 新興国の株式
- 先進国の債券(国債や、社債)
- 新興国の債券(同上)
- 金(きん)などのコモディティー
- 不動産(REIT)
などといった、様々な資産クラスに対して、資金を分散投資することが一般的であると言われています。
そして、インデックス投資において分散投資を行う目的は、互いに相関係数の低い資産クラスに対して資産を分散することで、ポートフォリオ全体のリスクを低位に保ちたい、と言う点です。
しかしながら昨今、経済のグローバル化等に伴い、資産クラス同士の間の相関関係は、かつてないほどに強まりつつあります。
このため、複数の資産クラスに対して資金を分散投資していても、昨今のリーマン・ショックのような、大規模な経済変動が生じると、ポートフォリオ全体の資産評価額が、一気に下落するようなリスクもあります。
このように、資産クラス分散によるリスク低減効果の限界についても、あらかじめ、よく理解しておかないと、思わぬ失敗に直面するリスクもあるので、留意が必要です。
参考:
インデックス投資における「アセットアロケーション」とは
インデックス投資ブログの内容を過信して失敗
インデックス投資を始めるにあたって、インデックス選びや、投資信託選びのために、すでにインデックス投資に取り組んでいる、先輩投資家のブログを参考にすることもままあるでしょう。
しかしながら、主なブログ管理人が成功体験を積んできた、直近の数十年間は、インデックス投資において、歴史上まれに見るほどの、「稼ぎやすい時期」であり、同じ利益が今後も得られるとは限らない、という点に、十分な注意が必要です。
インデックス投資家のブログを参考にする場合は、
- 失敗のリスクについても、きちんと記述があるか、
- その投資家の具体的な失敗談等に関しても、もれなく記載されているか、
などといった点についても、注意を払ってみるべきでしょう。
参考:
インデックス投資家の実践ブログをご紹介|投資ブログ閲覧のメリット&デメリットも確認
世界経済の長期成長を過信して失敗
インデックス投資は、極論すれば、「世界経済の長期的な成長の継続に対して賭けている」投資手法といえます。
個別の株式銘柄に関しては、非システマティック・リスク(市場リスクの埒外の、個別銘柄ごとのリスク)があるため、ボラティリティーが大きいわけですが、多数の銘柄に対して資金を分散投資し、かつ、世界中の様々な資産クラスに対して資金を配分することによって、成長の果実を取り逃すことなく、世界経済の伸びとともに、自身の資産評価が高伸ばしていこう、というのが、インデックス投資の基本的な概念です。
確かに、ここ百年~数十年の間に限って言えば、世界経済は大幅な伸びを記録し、インデックスに対して投資をしていた投資家の収益も、莫大なものとなりました。
しかしながら、今後も同じように世界経済が長期的な成長を継続していくことができるのかどうかに関しては、経済学者の間でも、議論が分かれるところです。
特に、長期的な経済成長への大きな懸念として指摘されているのが、本格的な人口減少社会の到来です。
各国の株式市場、すなわちインデックス指数の伸びは、その国のGDPの伸びと強い相関関係があり、そして、GDPの成長は、その国の人口の増加と、基本的には比例しています。
- 国の領土の拡大、人口の増加、
- GDPの向上、
- 株式市場の成長、
- インデックス指数の伸び、
上記の流れが、インデックス投資の収益の伸びを形作ってきた、とも換言出来ます。
しかしながら昨今、直近数十年程度の間に、先進国を中心として、本格的な人口減少社会へと突入していくことが予想されています。
人口が減少していけば、当然のことながら、消費が減退して行くこととなり、技術革新によって生産力が向上したとしても、人口全体による購買力が低下してしまえば、GDPが伸びていく余地は限定的なものとなってしまいます。
これからインデックス投資に取り組む投資家においては、「世界経済の長期的な成長」という神話に、一定の限界があることを承知し、資産配分を慎重に検討しないと、大きな失敗を被ることとなる危険性が指摘されています。
インデックス投資の失敗パターン3【怠慢編】
ポートフォリオのリバランスを怠り失敗
インデックス投資を始めてしばらくすると、様々な銘柄の値上がり・値下がりによって、インデックス指数が上下し、それに伴い、ポートフォリオのバランスが、当初設定したものから、乖離してしまうことがよくあります。
仮に、この乖離を放置してしまうと、
- インデックス投資において、さほどのリスクを取るべきではない、失敗を避けることを最重視すべき投資家が、株式系資産クラスがポートフォリオの大半を占める、極めてリスクの高い資産運用をしてしまったり、
- 逆に、失敗を恐れる理由がなく、積極的にリスクをとっていくことができる投資家が、過度にリスク軽減を図ったポートフォリオを運用してしまう、
などといったような事態が生じる可能性があります。
こうした失敗をできるだけ避けるためには、投資家自身で、定期的にポートフォリオのリバランスを実施する必要がありますが、このリバランスに失敗してしまったり、リバランスの実施そのものを怠ってしまうと、長期的なインデックス投資の成績に、大きな影響を及ぼす可能性があります。
ロボアドバイザーに余分なコストを支払って失敗
上記したようなリバランス作業を省力化したいと考えている投資家に人気なのが、ロボアドバイザーと呼ばれる投資サービスです。
確かに、ロボアドバイザーを利用すれば、そもそものポートフォリオの構築から、投資信託の買い付け、その後のリバランスに至るまで、インデックス投資にまつわる様々なプロセスを、ロボアドバイザーに一任し、自動化することが可能となります。
投資家にとっても一定のメリットがあるサービスですが、ロボアドバイザーの手数料構成については、問題視する向きが多いのも事実です。
ロボアドバイザーを利用する場合、投資家は、投資信託運用会社の信託報酬に加えて、ロボアドバイザーの運用会社に対して、年率で、預かり資産残高の1パーセント程度の手数料を支払う必要があります。
長期的なインデックス投資において失敗を避けるためには、コストの節約こそが大切なポイントとされており、そうした観点から言えば、ロボアドバイザーに対して支払う運用手数料は、投資家のインデックス投資の損益に対して、長期的には大きな影響を及ぼす可能性が指摘されています。
その他、失敗の前に知っておきたい、インデックス投資のデメリット・注意点とは
インデックス投資で債券をポートフォリオに組み入れることには、賛否両論がある
インデックス投資においては、資産クラス別の分散投資の中で、株式との間の逆相関に期待して、国外債券や国内債券などの、債券型の資産クラスに、資金を投じることがあります。
しかしながら、インデックス投資家の中には、ポートフォリオに債券型の資産クラスを組み入れることに関して、疑問視する向きもあります。
現在、債券の利回りは、歴史的な体水準であり、今後、債券利回りがさらに下落していく余地は乏しく、むしろ将来的には、債券利回りは今後、上昇していくものとみられています。
仮に、新規発行債券の利回りが上昇すると、相対的に利回りが低く、魅力が薄くなった、既発の債券(既発債)に関しては、その取引価格が低下することとなります。
すなわち、インデックス投資において、ポートフォリオに債券を組み得る事は、自分のリスク資産に、みすみす、将来的に値下がりすることがわかっている資産を組み入れていることと、ほぼ同義である、とする見方もあります。
インデックス投資における長期的な失敗を避けるためにも、債券の組み入れに関するこうした見方に関しては、あらかじめ留意しておくことが推奨されます。
インデックス投資で、短期間に大きな利益をあげることは出来ない
投資家にとって、インデックス投資の最大の魅力の1つは、多数の銘柄、及び複数の資産クラスへと資金を分散投資することによる、ポートフォリオ全体の、リスクの低減効果にある、と言われています。
こうした指摘は、インデックス投資において色濃く反映されている、現代ポートフォリオ理論などの投資理論において、投資家がすべからく、「リスクを嫌う」存在として仮定されているため、です。
しかし、すべての投資家が、リスク(利回りのボラティリティー)を嫌い、値動きの小さいポートフォリオ好むか、と考えると、必ずしも、そうとは言い切れない、とする見方もあります。
ポートフォリオのボラティリティーが低く保たれていると言う事は、確かに、ダウンサイド・リスク(値下がりのリスク)も軽減されていると言えますが、同時に、アップサイド・リスク、すなわち、短期で大幅な値上がりを記録するような可能性に関しても、これを放棄している事と同義となります。
すなわち、数ヶ月から数年単位の短い期間で、大きな投資リターンを得ることを計画している投資家にとっては、インデックス投資は、必ずしも、理想的な投資スタイルとは言えない、というのが実情です。
「短期での値上がりを期待してインデックス投資を始めたのに、個別銘柄投資よりも値動きが乏しく、結果的に失敗に終わってしまった」などと言う事態とならぬよう、インデックス投資のこうした特性については、あらかじめ把握しておく必要があります。
インデックス・ファンドに投資しているだけでは、ビジネス・パーソンとしての成長に繋がりにくい
インデックス投資において、投資家は、インデックス指数に連動するように設計された、「投資信託」に対して投資をするのみであり、投資家自身で、個別・少数の株式銘柄を選び、資金を投資するわけではありません。
個別の株式銘柄選びの手間ひまから解放される、と言うのは、忙しい投資家にとって、メリットのひとつともいえます。
しかしながら、個別の企業分析や、ファンダメンタルズ分析をしない、と言う事は、その投資家に、企業分析に関するノウハウが、一切蓄積されない、と言うデメリットの裏返しでもあります。
株式投資のひとつのメリットとして、様々な上場企業銘柄を分析することで、企業の貸借対照表の読み込みや、損益計算書の理解、キャッシュフロー分析などに関して、投資家自身が、様々な知見を蓄積していくことができる、と言う点があります。
仮に、株式投資そのもので大きなリターンを得ることができなくとも、こうした企業分析のノウハウは、ビジネスパーソンとしての生涯に、大きな利益をもたらしてくれるといえます。
その点、インデックス投資の場合は、こうした企業分析に関するスキルが投資家自身に蓄積されない分、ビジネスパーソンとしての成長につながりにくい、と言う難点があります。
キャッシュフロー(インカム・ゲイン)目的の投資には、インデックス投資は不向き
インデックス投資において、投資家が狙うことのできる利益は、あくまでも、値上がり益(キャピタル・ゲイン)であって、キャッシュフロー(インカム・ゲイン)ではありません。
仮に、インデックス投資によって、100万円を投資した投資家の資産が、年率5%成長したとしても、それは、5万円のキャッシュフローを得た、と言う事とはなりません。
あくまでも、積み立てで投資してきた投資信託の資産評価額が、5%分値上がりした、と言うだけであり、キャッシュフローの獲得とは、全く関係がありません。
昨今、不労所得や、FIRE (会社からの経済的な独立を確保した上での、早期退職)への関心の高まりにより、毎月のフリー・キャッシュフローの入手を目的に、様々な投資を検討する人が増えています。
こうした中で、インデックス投資への取り組みも、検討対象に上がることがよくありますが、繰り返し述べていますように、インデックス投資によって、毎月の生活費を支え得るようなキャッシュフローを得ることはできません。
「早期退職後の、毎月の資金繰りを改善するために、インデックス投資を始めたのに、結局キャッシュフローを得ることができなかった」などと言う失敗談につながらないように、この点に関しては、十分な理解が必要です。
インデックス投資の損益は、為替の影響を受ける場合がある
長期のインデックス投資において、信託報酬等のコストを引き下げる事は、極めて重要です。
そして、低コストを追求していくと、結果として、「米国市場に上場しているETF」(海外ETF)へと行きつく人が多くいます。
確かに、米国ETFの場合、バンガード社のETFなどを中心に、低コストのインデックス・ファンドが多く、
- 海外ETFを主たる投資対象とするロボアドバイザー(例:ウェルスナビや、テオなど)を利用したり、
- こうした外国ETFを、買い付け手数料の「フリーETF」に指定している証券会社を利用する、などすれば、
日本に居ながらにして、こうしたETFを利用して、インデックス投資に取り組むことも可能です。
例えば、ネット証券大手「SBI証券」の場合、下記の米国ETFが、買付手数料無料の「フリーETF」に指定されています。
- バンガード トータル ワールド ストックETF
- バンガード S&P 500 ETF
- バンガード トータルストックマーケットETF
- iシェアーズ S&P 500 ETF
- SPDR S&P 500 ETF トラスト
- ウィズダムツリー インド株収益ファンド
- ウィズダムツリー米国株高配当ファンド
- ウィズダムツリー米国大型株配当ファンド
- ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長
ただし、これらの海外ETFを活用したインデックス投資には、意外な注意点もあります。
それは、投資家の投資損益が、インデックス・ファンドのポートフォリオに組み入れられている株式銘柄の値動きだけではなく、日本円と外国通貨(主に、米ドル)との間の、為替相場の値動きの影響を受ける、という点です。
日本在住の投資家が、海外ETFを買い付けるためには、一旦、日本円を米ドル等へと交換し、米ドル建てで、ETFを買い付ける必要があります。
その後、ETFを売却し、日本円を出金するにあたっては、当然、ETFを米ドルに換えて、そのドルを、改めて日本円へと両替する必要が生じることとなります。
すなわち、
- 仮に、ETFの買い付け時点と比較し、為替相場が、「円安・ドル高」方向へと推移すれば、投資家は、為替差益を享受することが出来ますが、
- もしも、為替が逆方向、すなわち、「円高・ドル安」方向へと推移してしまえば、「為替差損」が生じる危険がある、
ということです。
インデックス投資の失敗の回避策は
上記したように、インデックス投資には、様々な失敗パターンがあります。
また、失敗に繋がりやすい、インデックス投資独自のデメリットやリスクも、複数存在します。
こうした特性を理解したうえで、インデックス投資における失敗を回避していくための具体策としては、主に、下記のようなものが挙げられます。
インデックス投資の失敗回避策①事前に本やブログでしっかり勉強する
日本でインデックス投資が広がり始めたばかりの頃、インデックス投資に関する、日本語で記述された情報は、限定的でした。
初期のインデックス投資家の多くは、時には英語の情報も読み解きながら、限られた選択肢の中から、インデックス投資のノウハウ・スキルを蓄積してきたものです。
その点、今では、インデックス投資について専門的につづられた書籍も多数刊行されているほか、実際にインデックス投資に取り組んでいる投資家のブログも、多数、インターネット上に公開されています。
特に後者においては、無料で情報収集できる、というメリットがあり、インデックス投資初心者にとっては、貴重な情報源となります。
インデックス投資で失敗する前に読んでおきたい書籍
インデックス投資について主に記述された書籍としては、下記のようなものがあります。
電子書籍として発行されている本の場合、本購入の前に、試し読みができるケースもあるので、気になる書籍があれば、チェックしてみると良いでしょう。
書籍名 | 著者(敬称略) | 発売日 |
インデックス投資は勝者のゲーム | ジョン・C・ボーグル | 2018/5/13 |
全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド | 山崎 元、水瀬ケンイチ | 2015/6/12 |
世界一やさしいインデックス投資信託入門 | ペロンパワークス | 2018/12/6 |
チャールズ・エリスのインデックス投資入門 | チャールズ・エリス | 2017/12/14 |
世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました | NightWalker(ナイトウォーカー) | 2018/6/1 |
米国株 S&P500インデックス投資 | 堀越陽介 | 2021/8/10 |
お金は寝かせて増やしなさい | 水瀬ケンイチ | 2017/12/8 |
インデックス投資の情報収集におすすめのブログ
インデックス投資で失敗を避けるためには、先輩投資家の投資歴も参考になります。
インデックス投資家に人気のブログとしては、下記のようなものがあります。
いずれも、無料で購読でき、かつ、各先輩投資家の保有ポートフォリオに関する情報が掲載されているケースもありますので、閲覧してみると良いでしょう。
ブログタイトル | URL |
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記) | http://randomwalker.blog19.fc2.com/ |
投信で手堅くlay-up!(インデックス投資ブログ) | https://www.lay-up.net/ |
NightWalker’s Investment Blog | http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/ |
インデックス投資日記@川崎 | http://longinv.blog103.fc2.com/ |
熱血硬派!人生よよよの貧乏セミリタイア塾! | https://jinseiyoyoyo.hatenablog.com/ |
インデックス投資女子 Around40 Happy Life | http://opal10opal.blog.fc2.com/ |
インデックス投資の失敗回避策②複数のツールを利用して、リスク・リターンのシミュレーションを徹底する
インデックス投資においては、まず、自分自身のリスク許容度を、出来るだけ正確に把握することが肝心です。
また、取り得るリスクの範囲内で、期待利回り(リターン)を最大化すべく、アセット・アロケーションの作成を行うことも、必要です。
インデックス投資で失敗してしまう人の多くが、こうしたリスク許容度の把握や、ポートフォリオ作成に費やす時間を無視し、
「SNSで話題だからこのファンド1本」
のように、ほぼ無作為にインデックス投資を始めてしまう、という傾向があります。
実際にインデックス・ファンドに対して資金を投じる前に、少なくとも、自分自身のリスク許容度診断と、アセット・アロケーションの作成には、きちんと時間を割くべきです。
インデックス投資の失敗を回避する、リスク許容度診断ツールとは
一般の個人投資家でも気軽に利用できる、インデックス投資におけるリスク許容度診断ツールとしては、無料で利用できる、いわゆる助言型のロボアドバイザーが挙げられます。
国内で提供されているロボアドバイザーには、
- 助言型と、
- 投資一任型
の2種類があり、このうち、インデックス・ファンドの買い付けやリバランスについても自動化する、投資一任型のロボアドバイザーの場合、利用すると、預かり資産残高に応じた手数料が生じてしまう、というデメリットがあります。
その点、助言型のロボアドバイザーであれば、リスク許容度の診断や、ポートフォリオ(アセット・アロケーション)の提案までは、オンラインで、無料で利用することが可能です。
投資家が、
- 自分自身の年齢や、
- 金融資産の残高、
- 予定している資産運用期間や、
- 運用したい資産の性格(余裕資金なのか、退職金なのか、等)を入力すると、
ロボアドバイザーが自動的にリスク許容度を診断してくれるほか、参考情報として、与えられたリスク許容度の中でリターン(期待利回り)を最大化できる、いわゆる「最適ポートフォリオ」についても、提案を行ってくれます。
国内で提供されているロボアドバイザー・サービスのうち、無料で利用できる「助言型」として提供されているものとしては、下記のようなものがあります。
インデックス投資の失敗リスクを管理する、アセット・アロケーション作成ツールの使い方
インデックス投資においては、複数の資産クラスへと資金を分散投資することが、大原則とされています。
昨今では、「インデックス投資を始めたが、期待利回りを最大化すべく、米国株のみに集中投資している」という投資家も少なくありませんが、期待利回り(リターン)のみを追求したポートフォリオは、往々にしてリスク(利回りのボラティリティ)が大きく、最終的にどのような投資成績となっているか、明確な予測が難しい(期待利回りの複利計算通りの投資結果とは、なかなかならないことが多い)というのが実情です。
このため、出来るだけ失敗リスクを低減したうえで、インデックス投資に取り組む場合は、やはり、複数の資産クラスに、適切な分散投資を行ったポートフォリオを保有することが、望ましいとされています。
現に、日本の公的年金の運用を担うGPIFでは、
- 外国株式
- 日本株式
- 外国債券
- 国内債券
の4資産に、資金を25パーセントずつ分散投資する戦略を採用しています。
そして、複数の資産クラスにまたがった、マルチアセット・ポートフォリオを構築するにあたり、欠かせないのが、アセット・アロケーションごとのリスク・リターンの予測値を出力してくれる、いわゆるシミュレーション・ツールです。
- 米国株100%のポートフォリオと、4資産均等分散ポートフォリオの場合では、リスク・リターンはどのように変化するのか
- 株式系の資産クラスは、外国株式と国内株式、双方に対して投資したほうが、シャープ・レシオは効率的なのか
- ポートフォリオに対して債券を組み入れる場合、ポートフォリオのボラティリティはどの程度低下し、その代償として、期待利回りはどの程度下落するのか
といった点を、個人投資家が自分で計算・集計するのは困難です。
その点、オンラインで提供されているツールを利用すれば、
- 資産クラス別の保有内訳(割合ベースや、金額ベース)
- 運用予定期間・積立投資の予定額
- 各資産クラス別の相関係数情報
などを入力すれば、ポートフォリオの期待利回り、及びボラティリティ(リスク)を数値化して、シミュレーションすることが可能です。
こうしたツールを利用すれば、例えば前述の、米国株1本のインデックス投資が、いかにリスクが大きく、シャープ・レシオの観点からは必ずしも全投資家向けのポートフォリオとは言えない、等と言った点が、よく理解できるはずです。
インデックス投資の失敗回避策③毎月の積立投資で、ドルコスト平均法のメリットを活用する
インデックス投資の失敗パターンは複数ありますが、最もよくあるパターンのひとつが、
- 相場の状況をみて「今が買い時だ」と主体的に判断し、投資可能な資金の全額を、一度に集中投資し、
- その後、相場が急落し、資産評価額が急落、
- 相場が不況期に突入した結果、場合によっては10数年以上もの長きに渡り、元本割れが継続、
- もしくは、長期にわたる元本割れに耐え切れず、投資信託を赤字で売却し、損失を確定、
というパターンです。
ドルコスト平均法により、投資信託の「高値掴み」で失敗するリスクを減らす
その点、各証券会社が提供している、自動積立投資機能を利用すれば、毎月一度、決まった日に、決まった金額分の投資信託を自動的に取得することにより、
- 投資信託が値上がりしているときは、少なく買い(=高値で大量に買い付けてしまうことを防ぐ)、
- 逆に、投資信託が値下がりしているときは、多く買う(=割安で投資信託を取得するチャンスを活かす)、
ことで、投資信託の買い付けコストを平均化できます。
特に、投資信託の高値掴みを防ぐ効果によって、インデックス投資の失敗リスクを軽減する効果が期待されています。
ドルコスト平均法には、メリットだけでなく、デメリットもある
勘のいい人ならお気づきでしょうが、上記したようなドルコスト平均法の特質は、「高値掴みのリスクを減らす」という効果が期待できる一方で、「安値で多量に投資信託を取得するチャンスをふいにしている」というデメリットもあります。
- 投資信託が安いときにも、あくまでも定額分の買い付けしかせず、(=安い、というだけの理由で、追加買い付けはしない)
- また、投資信託が高い時にも、少なくとも定額分については、買付をする(=高い、という理由で、取得をやめたりはしない)、
ことが、その要因です。
このため、インデックス投資を研究している投資家の中には、ドルコスト平均法を活用した積立投資を敢えて推奨せず、「投資家自身の目利きで、買付のタイミングを計ったほうがいい」「場合によっては、(時間を分散した積立投資よりも)1回の集中的な買い付けのほうが、長期的には有利」と主張する人もいます。
ひとつの見解として、頭には入れておくことが重要でしょう。
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