【節税可?】「ソーシャルレンディング収益は青色申告できますか」
「ソーシャルレンディングを個人名義で行うことを検討しています。
ソーシャルレンディング投資の収益を、事業所得として青色申告すれば、節税メリットがあると聞きました。
そのようなことは可能なのでしょうか。」
(30代・男性・ソーシャルレンディング投資歴:なし)
青色申告とは
※本記事においては、あくまでも、法人ではなく、個人が行う、青色申告について論説致します。
個人が行うことの出来る確定申告手法には、「白色申告」と「青色申告」があります。
このうち、青色申告の承認を得た人に限り、許容されているのが、「青色申告」にあたります。
いくつかの必要要件を満たす必要がありますが、その分、白色申告と比べ、複数のメリットがあります。
青色申告の対象となる所得
所得税法において、所得は、10種類に区分されています。
具体的には、
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得(※ソーシャルレンディング投資収益は、基本的には、この「雑所得」に該当します。
上記の10種類に区分されており、このうち、青色申告が可能な所得は、
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
の3種となります。
「ソーシャルレンディング投資収益を、青色申告する」という場合、ソーシャルレンディング投資の収益を、「自らが営む事業を通しての収入である」として、(雑所得として、ではなく)事業所得として、申告する、という体裁となります。
青色申告を行う条件
個人が青色申告を行うためには、
- 所定の期限までに、税務署に「青色申告承認申請書」を提出し、
- 複式簿記等による記帳や、帳簿関連書類の保管等、
複数の要件を満たす必要があります。
もっとも、昨今は、freee等のクラウド会計ソフトも充実してきていますから、この要件を満たすこと自体は、さほど困難なものではなくなってきています。
【節税効果大】青色申告のメリット
一定の要件を満たす必要のある、青色申告ではありますが、実際に使用すると、白色申告と比し、下記のようなメリットがあります。
①青色申告特別控除が活用できる。
不動産所得や、事業所得のある人が、青色申告を行うと、当該所得を通じ、最大で65万円の、青色申告特別控除を活用できる場合があります。
上記に該当しない青色申告者の場合でも、青色申告の対象となる所得、すなわち、不動産所得、事業所得、及び、山林所得を通じ、最大で10万円を、控除することが出来るものと定められています。
②青色事業専従者給与を損金計上できる。
青色申告を行う人の配偶者や、その他親族のうち、年齢が15歳以上で、青色申告者の当該事業に専従している人に対し、青色申告者が支払った給与については、所定の条件を満たせば、これを、事業に必要な支出であったとして、経費・損金計上することが可能となります。
③貸倒引当金を計上できる。
青色申告者が、その事業において存在している売掛金や貸付金等の「貸し倒れ(=回収失敗)」を見越し、当該債権の、期末時点帳簿価額の5.5パーセント以下の金額を、「貸倒引当金」として計上した場合、これを損金算入できる、というものです。
④損失の繰越しができる(繰戻しも)。
青色申告者の事業において損失が発生し、かつ、損益通算規定を活用しても尚、赤字額が残る場合、その損失を、翌年以降3年間にわたり、各年の所得金額から控除することが出来ます。
さらに、前年も青色申告をしている場合、純損失を繰越す代わりに、その損失額を、前年に繰り戻し、納付済みの前年分所得税の、還付を受けることが可能です。
ソーシャルレンディング投資収益は、青色申告の対象となり得るか
白色申告と比し、複数のメリットがある、青色申告。
白色申告の場合は「雑所得」扱いとなる、ソーシャルレンディング投資収益についても、これを「事業所得」であるとして、青色申告の対象とすることが出来れば、納税者側からすれば、各種節税メリットを享受することが可能となります。
しかし、その際に、論点となり得るのは、
「(質問者様の行う)ソーシャルレンディング投資が、税務当局等課税権者から見て、”事業”として認められるか、否か」
という点です。
不動産投資の場合
ソーシャルレンディング投資は、比較的新しい投資手法でもあるため、
「ソーシャルレンディング投資を、どのように(≒どの程度の規模で、どの程度の労力等をかけて)行えば、”事業”と認められるか」
については、明朗な指針が開示されていません。
これに対し、不動産投資の場合であれば、下記のように、国税庁ホームページにおいて、比較的分かりやすい判断基準が開示されています。
1 不動産貸付けが事業として行われているかどうかの判定
不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、 所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
引用元:国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとの区分」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm
このように、
- 部屋数で言えば、おおむね、10室以上、
- 貸家であれば、おおむね、5棟以上の賃貸を行えば、
当該不動産賃貸経営について、「事業」として行っているものと、認定され得ることとなります。
「事業」として認められなかった場合は…
ソーシャルレンディング投資収益を、「事業所得」であるとして、青色申告をした後に、税務調査等によって、これを否認された場合、当然、修正申告を行うこととなります。
場合によっては、追加納税等を行う必要が生じる可能性もありますので、慎重な検討・取り扱いが必要となります。
独断で推し進めるのではなく、税務署や、税理士等税務専門家の助言を仰いだうえで、適切な判断を行うことが望まれます。
まとめ
本記事をご覧頂くにあたっては、下記の点に、ご留意をお願い致します。
- 本記事は、質問者様への回答、及び、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ソーシャルレンディングファンド等)への投資勧誘等を目的としたものでは、ありません。
- 個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設等、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
- 税法関連事項につきましては、本記事内容の正誤等について、あらかじめ、読者様ご自身にて、税務署や、税務専門家へと御確認下さいますよう、お願い致します。
- 行き過ぎた節税には、リスクがあります。実際の税務に関しては、必ず、税務署や、税理士等税務専門家へとご相談くださいますよう、お願い致します。
高い盛り上がりを見せるソーシャルレンディング業界ではありますが、国内ソーシャルレンディング事業者の中には、複数の「危険会社」も存在します。
ソーシャルレンディング投資開始にあたっては、あらかじめ、こちらの過去記事もご参照下さい。
↓
ソーシャルレンディング【おすすめ会社&危険会社ランキング】最新版
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“【節税可?】「ソーシャルレンディング収益は青色申告できますか」” に対して 2 件のコメントがあります
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ソシャレンの事業所得(青色申告)は賛否両論みたいですね・・・。
来年に向けて早めに税理士に相談します。
コメントに感謝します。
ソーシャルレンディング投資収益を、事業所得である、として、青色申告する場合、その後、税務調査等を通し、申告内容を否認される可能性が、リスク要素となります。
管轄税務署や、税理士等税務専門家へと、早めにご相談のうえ、計画を練られることが肝要と存じます。