SAMURAIにて、ソーシャルレンディングファンド「大阪デザイナーズ民泊ファンド1号」が公開されています。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、資金の大半を融資する「S社あて貸付」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://samurai-crowd.com/item/detail/92

本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図

SAMURAIのソーシャルレンディングファンド「大阪デザイナーズ民泊ファンド1号」のスキーム図
引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/92

設定担保

S社が既に購入済である下記物件が、担保として供されることとなります。

担保として供される不動産の内容
引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/92

本ソーシャルレンディングファンドの期待利回り

7パーセント、とのことです。

本ソーシャルレンディングファンドの検証ポイント

私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
実際の投資是非の判断においては、必ず、各投資家様それぞれ、皆様ご自身において、ご検討・ご判断を為さって頂きますよう、お願い致します。

本ソーシャルレンディングファンドのおすすめポイント


引用元:https://www.youtube.com/watch?v=YHGjAxH6co4

本ファンドの紹介動画(https://www.youtube.com/watch?v=YHGjAxH6co4)にて、楽天LIFULL STAY株式会社の太田社長も述べておられる通り、
不動産に投資するにあたり、

  • 当該不動産を賃貸住宅として運用するのではなく、
  • 宿泊施設(民泊物件)として運用する、というのは、

ひとつ、面白い取り組みではあります。
賃貸住宅の場合、常に空室リスクにさらされおり、かつ、日本の人口は今後さらに減少していきますから、先行きは不透明と言えます。
これに対し、宿泊施設物件の場合、これだけインバウンドも盛り上がっていますし、渡航先としてのブランディングがさらに進めば、新規顧客・リピーターともに伸びていくことでしょうから、伸びしろがあります。
(※ただし、大きな地震や地政学上のトラブルが発生した場合、その判断は裏目に出る可能性があります。地震が起きたから(建物は壊れていないのに)転居する、という住人は限られるでしょうが、わざわざ被災地にレジャーを楽しみに行こうと考える外国人観光客は、基本的に皆無です。いくら日本の「おもてなし」が外国人に評価されていると言えども、あくまでも、国外からの旅行者にとっては、日本は、世界中にいくらでもある観光地のうちの1か所、渡航候補地の一つに過ぎない、という点を、忘れてはなりません。)

その点で言えば、本ファンドを一つの興味深い事業としてとらえるのであれば、なかなか面白い取り組みだろうとは思います。

本ソーシャルレンディングファンドの失敗リスク・危険性について

本ファンドにおいて私が最も気になる点は、
どこをどう読んでも、担保として供される不動産の【評価額】の記載がない、という事です。


引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/92

このように、不動産担保付であることがアピールされているのですが、
当該不動産の評価額算定手法や評価責任者についての記載が無いどころか、「評価額」そのものの記載が、ファンド情報をどう読み込んでも、見当たりませんでした。

そこで、念のため、SAMURAI側に電話で照会してみたのですが、お電話口のご担当者様曰く、
「担保として供される不動産の評価額については、非公表」との回答でした。
そこで、恐る恐る、
「それでは、営業者さんが既にS社へと貸し付けている3,629万1,702円を、担保物の評価額が、下回っている可能性も、あるのですか?」
と質問したところ、
同じく、ご担当者様曰く、「その可能性も否めない」とのご回答でした。

申し上げるまでもありませんが、
これでは、ファンドの保全効能を推測するための常套手段であるLTV(Loan to Value)値の算出も、当然、出来ません。

なお、担保物は今後リノベーション予定であるため、リノベーション前の現時点の評価額は、決して高くないのかもしれず、その事情は、よく理解できます。
ただし、それならばそれで、ファンド概要にその旨を記載するべきでしょうし、
併せて、「リノベーション後の評価額は、収益還元方式から算出すると、〇〇万円です」といった要領で、(たとえ予測値であったとしても、明朗な予測根拠と共に、)きちんと記載してくれれば、
一定のリスクは理解したうえで、投資是非の判断も、より合理的にしやすくなるものと思います。

総論。本ソーシャルレンディングファンドを、他ファンドと比較・ランキングすると…

前述致しました通り、一(いち)事業としては、確かに面白いものと思います。

ただし、投資家としての投資是非判断においては、リスクに関する検討は欠かすことが出来ず、
そして、リスクに関する判断をごく合理的に行うためには、万が一に備えた保全(担保設定等)の状況について、冷静な分析が不可欠です。
そして、不動産への担保設定によって保全を図る、という場合、その担保物の評価額については、やはり、必携情報であろうと、私個人としては、思います。

本記事執筆現在の資金応募状況は


引用元:https://samurai-crowd.com/item/detail/92

私の憂慮をよそに、既に350万円以上の資金が集まっている模様です。
毎度のことですが、単に、私が心配性なだけなのでしょうか…。

まとめ

記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

なお、私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資中です。
そんな私が、国内23社中、厳選した3社のみ、「おすすめ事業者」としてご紹介しておりますのが、下記の別記事となります。
お時間ございましたら、ぜひご覧ください。

【ソーシャルレンディングのおすすめ会社はどこですか?】23社分散投資中の筆者が、ソーシャルレンディング投資初心者の読者様におすすめする、厳選3社がこちら。

ソーシャルレンディング各社をランキング形式で分析したこちらの過去記事もおすすめです。

【ソーシャルレンディングランキング決定版】利回り・投資対象国・担保設定状況・投資のしさすさ。異なる4つの視座から人気ソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング。

主要なソーシャルレンディング事業者を、投資家登録数や累計投融資額も含めた様々なポイントから比較した分析記事はこちらです。

【ソーシャルレンディング各社徹底比較】投資家登録数・累計投融資額・年利平均…。主要ソーシャルレンディング各社を7つの視座から横断比較してみた結果、見えてきた真実とは。

それぞれ、是非、ご一読下さい。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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