ロボアドバイザーが「ダメダメ」な7つの理由とは|ロボアドバイザーを「使っちゃダメな人」も検証
ロボアドバイザーが「ダメ」な理由とは
ポートフォリオに債券を組み入れることは無意味だからダメ
国内で提供されているロボアドバイザーの大半が、ポートフォリオの一部に、先進国や新興国の「債券」を組み入れます。
ロボアドバイザーが、ポートフォリオに債券を組み入れる目的は、株式と債券との間の「逆相関」(相関係数が負であること)に期待して、値動きの逆行により、ポートフォリオ全体のリスクを低く保つことにある、と言われています。
しかしながら昨今、複数の資産クラスにまたがったマルチアセット・ポートフォリオ運用が一般化(昔は機関投資家のみに限定されていた運用手法ですが、昨今では一般個人投資家も実践するようになりました)したことなどもあり、株式と債券との間の相関係数は、かつてのようには低くない、と言われています。
実際に、株式系のインデックスと、債券系のインデックスとの間の相関係数を調べてみると、相関係数がプラスの時期と、相関係数がマイナスの時期とが、まるで波のように、交互に現れる傾向が確認されています。
このように、ポートフォリオに債券を組み入れることの、リスク低減効果については、一部、疑問視する声がある一方で、アセット・アロケーションに債券を組み入れることには、1つ、明確なデメリットがあります。
それは、債券と言う、極めて期待利回りの低い資産クラスを組み入れることによって、ポートフォリオ全体の期待利回りが、低減してしまう、という不利益です。
現に、目下、債券の利回りは、歴史的に見ても、かなりの低水準にあります。
今後、債券の利回りがさらに下がっていく余地は小さく、むしろ、債券利回りは、少しずつ上昇していくことが見込まれています。
今後発行される債券の利回りが上がれば、当然、既に発行されて市場で取引されている債券(既発債)の利回りは、相対的に魅力の薄いものとなり、結果的に、現在発行されている債券の市場価格は、下がっていくこととなります。
このように、債券に関しては、
- リスク低減効果も疑問視されている上に、
- 近い将来、値下がりしてしまう、ダウンサイドのリスクも懸念されており、
合理的な統一対象ではない(=ポートフォリオに含めてはダメ)、と見る向きも少なくありません。
投資家が、自身のポートフォリオのボラティリティを低く保ちたいだけの目的であれば、わざわざ債券を取得することはせず、リスク資産ポートフォリオの外側に、一定量の現預金を保持しておけば良い(※)、と考える投資家も少なくありません。
(※)勿論、投資ポートフォリオの外部で、銀行口座に現預金を保持しているだけであれば、ロボアドバイザーに対して手数料を支払う必要など、毛頭ありません。
参考:
ロボアドバイザーのポートフォリオ運用の仕組み・メリット&デメリットを考える
ロボアドバイザーを使うと、アクティブファンド並みの手数料がかかるから、ダメ
ロボアドバイザーは、投資家の目線から見れば、「インデックス投資のサポートツール」、といえます。
そして、インデックス投資の最大の魅力は、投資に用いられるパッシブ・ファンドの経費率(信託報酬料率等)が、アクティブ・ファンドのコストと比較すると、極めて低い、という点です。
実際、パッシブ型の投資信託と、アクティブ運用型の投資信託の違いを比較すれば、その差は一目瞭然ですし、さらに、投資対象としていて、上場投資信託(ETF)をも考慮に入れるのであれば、なおさらです(そもそも、アクティブ投資においては、ETFと言うもの自体が存在しません。すべてのETFは、指数に連動するように設定されている、パッシブ型のものだからです)。
このように、インデックス投資の最大の魅力は「コストが安い点」であるにも関わらず、ロボアドバイザーを利用すると、そのインデックス投資ならではのメリットが、完全に失われてしまう、という、大きな難点があります。
投資家が自分でパッシブ・ファンドを保有し、インデックス投資を行う場合、投資家は、投資信託の運用会社に対して信託報酬を支払っているだけで良いわけですが、ロボアドバイザーを用いて同様の投資を行おうとすると、当然、民間営利企業であるロボアドバイザー運用会社に対して、「ロボアドバイザー利用手数料」を支払う必要が生じます。
そして、インデックス投資に用いられる一般的な投資信託(パッシブ・ファンド)の信託報酬が、年率で0.2パーセント程度と、極めて低廉であるのに対して、ロボアドバイザーの利用手数料は、年率で、預かり資産残高の1パーセント程度と、かなりの高率に設定されています。
結局、ロボアドバイザーを用いてインデックス・ファンドを取得すると、トータルでは、アクティブ・ファンド並みの年率コストがかかってしまうこととなります。
参考:
ロボアドバイザーと手数料|投資家にとって、ロボアドバイザーの手数料は、高いのか
ロボアドバイザーは再投資の効率が悪いからダメ
ロボアドバイザーの場合、主な投資対象は、上場投資信託、すなわち、ETFです。
非上場の投資信託とは異なり、ETFの場合、決算のたびに、保有中の株式からの配当金等に関して、投資家に対して「分配」を行います。
そして問題は、この分配のたびに、分配益に対しては、課税がなされてしまう、という点です。
ロボアドバイザーの多くが、ETFからの分配金を、自動的に再投資(=ETFの買い付けに充てる)していますが、実際に再投資されているのは、あくまでも、「課税後」の分配金である、ということに、注意が必要です。
長期的なインデックス投資の成功のために「重要なカギ」とされる、複利効果を最大化するためには、
- ロボアドバイザーを利用してETFへと投資するのではなく、
- 投資家が自分で、「無分配型」の非上場投資信託を利用したほうが、
得策である、とされています。
ロボアドバイザーは、為替の影響を受けるからダメ
ロボアドバイザーの投資対象の多くが上場投資信託(ETF)である事は、前述の通りですが、大半のETFは、日本の国内市場ではなく、主にアメリカの証券市場に上場しています。
こうした、海外市場に上場しているETFを投資対象とする場合、当然のことながら、投資家の最終的な損益は、「日本円」と「米ドル」との間の、為替変動の影響を受けることとなります。
為替が円安ドル高方向へと推移すれば、円建てでの投資家の利益は大きくなりますが、その一方で、為替が円高ドル安方向へと推移した場合、投資家がデメリットを被る事となります。
ロボアドバイザーは、ideco・つみたてNISAが使えないからダメ
ロボアドバイザーが、投資家の目線に立てば、インデックス投資のサポートツールである、と言う点は、先に述べたとおりです。
そして、日本国内の投資家がインデックス投資に取り組む場合、基本的には、
- iDeCo (個人型確定拠出年金制度)の投資枠を最大限活用した上で、
- 別途、つみたてNISAに対して、月額3万円強程度(※つみたてNISAは、年間40万円まで、という上限設定があります)の資金を振り分ける、
という流れが、ある種の「鉄板」とされています。
まず、iDeCoの場合、毎月の掛け金が、全額所得控除されると言う、大きな税務上のメリットがあります。
また、運用してきた資金を老後に受け取る際においても、
- 退職所得控除か、
- 公的年金等控除を活用することができ、
受け取り時の税制についても、手当が為されています。
また、つみたてNISAの場合、最長で20年もの間、つみたてNISA口座で取得・運用している投資信託等の値上がり益や分配金が、非課税で運用できる、という、極めて大きなメリットがあります。
しかしながら、現在日本国内で提供されているロボアドバイザー・サービスには、iDeCo、及び、つみたてNISA口座での取引に対応しているサービスは、存在しません。
国内ロボアドバイザー業界では唯一、ウェルスナビが、一般NISAに関しては対応していますが、他のロボアドバイザー同様、つみたてNISAに対しては、非対応です。
参考:
ロボアドバイザーと、つみたてNISA|つみたてNISAのメリット&デメリット、ロボアドバイザーとの併用・比較について検証
ロボアドバイザーは、既存投資家と運営会社の利益が、必ずしも一致しないから、ダメ
ロボアドバイザー運営会社にとっての収入にあたる、ロボアドバイザー利用手数料は、投資家の預かり資産残高と連動するように設定されており、一見する限りにおいては、ロボアドバイザー運営会社と投資家との間では、利害が一致しているように見えます。
しかしながら、ロボアドバイザー運営会社としては、資産運用によって、投資家の資産残高を増やしていく事は、必ずしも簡単なことではありません。
前述の通り、ロボアドバイザーが実際に行っているのは、インデックス・ファンドの売買であって、実際に利益が出るかどうかは、インデックス指数がどのように推移していくかに依存しています。
例えば、インデックス指数がレンジ相場であったり、下げ相場である場合においては、ロボアドバイザーがどのような運用を行ったとしても、投資家の預かり資産残高を運用で増やしていくことは、容易なことではありません。
これに対して、テレビCMなどを放映して、新規投資家を多量に獲得すれば、一人当たり数万円から10万円程度であったとしても、多量の投資家から、一気に新たな預かり資産残高を得ることが可能となります。
反面、既にそのロボアドバイザーに対して資金を投資している投資家からすれば、ロボアドバイザーが新規投資家を多量に獲得したとしても、特段のメリットを感じる事はありません。
このように、ロボアドバイザーの運営会社と投資家との間では、必ずしも、利益の方向性が一致しないケースも多々想定されます。
ロボアドバイザーは、リバランスによって弊害が生じるからダメ
投資家が、ロボアドバイザーを利用開始してしばらくすると、ロボアドバイザーが取得した投資信託やETFの値動きに応じて、投資家の最新のポートフォリオの内容が、ロボアドバイザーが当初設定した、最適ポートフォリオの内容から、乖離してしまうことがよくあります。
この場合、乖離の程度が大きくなると、ロボアドバイザーは、値上がりした資産の売却や、値下がりしている資産の買い足しによる、ポートフォリオの再調整、すなわち、「リバランス」を自動的に執行します。
このリバランス機能は、ロボアドバイザーの特徴の1つとされており、投資家に対しては、「メリットである」と強調されることの多いサービスのひとつです。
しかしながら、ロボアドバイザーの実施するリバランスに対しては、その効果を疑問視する投資家も少なくありません(※)。
(※)ロボアドバイザーが、リバランスに伴って、含み益の生じている資産を売却すると、含み益が実現し、その値上がり益に対して課税関係が生じることとなります。
また、値上がりによって売却されることの多い資産クラスは、主に株式系のETFであることが一般的です。
株式系のETFが売却されると、当然のことながら、ポートフォリオの将来的な期待利回りも、低下してしまうこととなります。
参考:
ロボアドバイザーの行うリバランスとは|リバランスの仕組み、メリット・デメリット、課税関係まで検証
ロボアドバイザーを「やっちゃダメ」な人の特徴
自分の主義主張に基づいてポートフォリオを構成したい人は、ロボアドバイザーをやっちゃダメ
前述の通り、ロボアドバイザーは、あくまでも、インデックス投資のサポートツールであり、個別の株式銘柄を売買することを目的としたツールではありません。
ロボアドバイザーが投資対象とするインデックス・ファンドには、多数の(基本的には数百銘柄以上。インデックスによっては、数千銘柄を超える)銘柄が組み入れられており、これらの企業全ての業績やファンダメンタルズの状況について、投資家自身が精査することは困難です。
このため、投資家自身が、
- 自分の主義主張に基づいて(例:ESGやCSRを重視した企業に投資したい、女性役員比率が一定以上の企業に投資したい、等)、
- しっかりと企業選定を行っていきたい、考えている場合、
ロボアドバイザーの活用は、合理的な選択ではありません。
いわゆる「リスク愛好」型の投資家にとっては、ロボアドバイザーは全くダメ
前述の通り、投資家がロボアドバイザーを利用して投資すると、半強制的に、一定量の「債券」が、ポートフォリオに組み入れられることとなります。
その目的は、株式と債券との間の、相関係数の低さによって、ポートフォリオ全体のリスクを、できるだけ低く保つこととされています。
前段にて述べた通り、その効果そのものにも、疑問視する向きはありますが、そもそも、「リスクを低く保ちたい」というニーズがない投資家においては、債券の組み入れは、全く無意味であるといえます。
債券を組み入れて、ポートフォリオのリスクを低く抑えると言う事は、その一方で、債券と言う、極めて期待利回りの低い資産クラスをポートフォリオに含めることで、ポートフォリオ全体の期待利回りも、下げてしまう効果があるため、です。
「少なくとも一時的には、資産の評価額が、累計投資元本の1/3以下程度になったとしても、一向に構わない。それだけのリスクを許容するので、できるだけ高い期待利回りを維持したい」
そのように考える、いわゆる「リスク愛好型」の投資家の場合、わざわざロボアドバイザーを利用するようなことはせず、自分で株式系の資産クラス(米国株・先進国株・新興国株)をフォローしておけば十分、という考え方もあります。
短期で大きな利益を出したいと考えている人は、ロボアドバイザーを使ってはダメ
繰り返し述べている通り、ロボアドバイザーは、あくまでもインデックス投資の支援ツールであり、期待される(手数料控除後の)利回りは、平均すれば、年率換算で、数パーセント程度に過ぎません。
実際問題として、ロボアドバイザーに関しては、「インフレーションに負けない程度の購買力を維持するくらい」というのが、現実的な目標である、といっても、過言ではありません(これだけで、十分にすごい事であるともいえます)。
ロボアドバイザーの場合、
- ショート・ポジション(売り持ち)からトレードに入るようなことは、原則、しませんから、上昇相場以外(レンジ相場や、下げ相場)では、利益を出す能力がありませんし、
- FX投資や仮想通貨投資等と違って、レバレッジ取引機能も、提供されていません。
このため、短期で大きな利益を上げることを目的として投資に取り組む人にとっては、ロボアドバイザーの利用は、合理的な選択とは言えません。
また、ロボアドバイザーの場合、「ある程度確実性の高い利回り」を追求したい人に対しても、不向きである、と言えます。
ロボアドバイザー投資の場合、インデックス投資と同様、
- いつ頃までに、
- どの程度の利回りを上げるかは、
誰にも分からないためです。
ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングのように、「(ファンドの)想定利回り」というものが事前提示されている投資に取り組みたい、と考えている投資家にとっては、ロボアドバイザーや、インデックス投資は、そもそも、不向きな投資と言えるでしょう。
投資に関する知見を活かしたい、ないしは、ノウハウを蓄積したいと考えている人も、ロボアドバイザーは使ってはダメ
ロボアドバイザー投資の場合、
- アセット・アロケーションはどのように設定するか、
- 資産クラスごとのインデックスは、何を利用するか、
- インデックスごとの投資信託としては、どのような商品を用いるのか、
といった点に関して、投資家自身が検討・判断・差配する事はありません。
どれだけ投資に関するノウハウを習得している投資家であっても、その知見を全くを生かすことができない、というのは、ロバアドバイザーのデメリットのひとつです。
同じ理由で、どれだけ長くロボアドバイザーを利用したとしても、投資家自身には、投資に関する知識やスキルが一切蓄積されない、というのも、ロボアドバイザー利用時の注意点のひとつとして挙げられています。
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