ロボアドバイザーと、つみたてNISA|つみたてNISAのメリット&デメリット、ロボアドバイザーとの併用・比較について検証
ロボアドバイザー投資とは
投資家が、ロボアドバイザーの発する、10個前後の質問に回答することで、ロボアドバイザーが、各投資家の「リスク許容度」を自動的に診断し、各リスク許容度に応じた、最適なポートフォリオの提案を行ってくれる、というのが、いわゆる「助言型ロボアドバイザー」の基本機能です。
さらに一歩踏み込んだサービスを提供する「投資一任型ロボアドバイザー」の場合、
- 最適ポートフォリオを構築するために必要な、具体的な銘柄の取得(購入)処理や、
- その後の値上がり・値下がりに応じたリバランスまで、
ロボアドバイザー側が自動的に執行してくれる、という特長があります。
ロボアドバイザー投資の仕組み
投資家がロボアドバイザー(ここでは、投資一任型)を利用する場合、基本的には、下記のような流れを辿ることとなります。
- 投資家が、ロボアドバイザーの発する複数の質問に対して回答する。
- ロボアドバイザーは、投資家の回答内容に応じて、各投資家の潜在的な「リスク許容度」(※1)を、プログラムによって自動的に診断(算出)する。
- ロボアドバイザーは、投資家に向けて、各々のリスク許容度に見合った、最適ポートフォリオ(=リスクを同一とした場合に、リターンが最大となるポートフォリオ。現代ポートフォリオ理論でいう、”効率的フロンティア”上のポートフォリオ)の提案を行う(※2)。
- 投資家が、ロボアドバイザーの提案するポートフォリオに同意し、かつ、ロボアドバイザーの定める最低投資金額を入金すると、ロボアドバイザーは、最適ポートフォリオを構築するために必要な、具体的な投資対象銘柄(※3)の取得(買い付け)を行う。
- その後の時間の経過に伴い、取得した銘柄の値上がり・値下がりに応じて、投資家のポートフォリオが崩れてきた場合、ロボアドバイザーは、投資家のポートフォリオを適正な内容に戻すべく、自動的に「リバランス」を実施する。
(※1)ロボアドバイザーの算定する「リスク許容度」とは
ロボアドバイザーは、投資家に対し、事前に、
- 投資家の、現在の年齢
- 年収
- 金融資産の残高
- これまでの投資経験
- 資産運用の目的
- 投資する資金の性格(余裕資金か、退職金・年金等か)
- 予定している運用期間
- 相場が急落した際に想定される対応(リスク資産を買い足すのか、売却し手じまいするのか)
等に関する質問を投げかけます。
そして、投資家の回答内容を吟味したうえで、各投資家の「リスク許容度」を診断します。
投資における「リスク」とは、「収益率の標準偏差」のことを示し、「ボラティリティ」と表現されることもあります。
要は、「リスク許容度」とは、その投資家が、どの程度の値動き(ボラティリティ)を許容できるのか、を示しています。
基本的に、ハイリターンを求めれば、ハイリスク(ボラティリティが大きい=下落時には、資産評価額が半額以下となることもある)を許容することが必要です。
逆に、リスク(ボラティリティ)を低位に保ち、ある程度安定的な資産運用を行いたいのであれば、リターンを犠牲にしなくてはなりません(=効率化された市場においては、ローリスク・ハイリターンな投資商品は存在しない)。
ロボアドバイザーは、複数の質問を投資家に対して投げかけ、その回答内容を診断することで、「この投資家ならば、この程度のボラティリティならば許容できる」「この投資家は、これ以上の標準偏差には対応できない(=リスクを許容できない)」等といった具合に、各投資家のリスク許容度(ボラティリティに対する経済的・心理的な耐性)を測定している、ということです。
基本的に、「年齢が若く」「年収が高く」「資産残高が多く」「これまでの投資経験が豊富で」「運用予定資産は、余裕資金であり」「相場急落時には、(押し目だ、と判断し)リスク資産の買い足しを希望する」と回答する投資家の場合は、リスク許容度が「高い」(=相場の下落に耐えるだけの、経済的・心理的な余裕がある)と判断されます。
逆に、「年配で」「所得が小さく」「資産残高が少なく」「投資経験が豊富でなく」「運用予定資産が、退職金や年金であり」「運用予定期間が短い」という場合、リスク許容度は「低い」(=相場の急落に、経済的にも、心理的にも、耐えきれない)と判断されます。
ロボアドバイザーの行うリスク許容度診断について詳しくは、当サイトの別記事をご覧下さい。
(※2)ロボアドバイザーが提案・構築する「ポートフォリオ」とは
投資対象銘柄が単一でなく、複数の銘柄(ないしは資産クラス)に対して、同時並行的に投資を行うことを、「ポートフォリオ運用」と呼びます。
極論すれば、トヨタ株とソフトバンクグループ株を半分ずつ保有している、というだけで、それは「ポートフォリオである」と言えます。
ただし、ロボアドバイザーの場合は、基本的に、「複数の資産クラスに対して、資金を分散投資する」、いわゆるマルチアセットなポートフォリオを構築することが一般的です。
ロボアドバイザーが投資対象とする資産クラスには、主に、下記のような物があります。
- 米国株式:
世界経済の中心地であるアメリカ合衆国の上場企業株式。ETF(上場投資信託)への投資を通じて、数千銘柄へと分散投資することが一般的です。 - 先進国株式:
日本・ヨーロッパの上場企業株式。基本的には米国株式と強い相関関係がありますが、地理的な分散効果が期待されています。 - 新興国株式:
中国や台湾、ブラジルなど、いわゆる経済新興国の上場企業株式。株式系の資産クラスであるため、米国株や先進国株との相関係数は小さくありませんが、やはり、地理的な分散効果が期待されています。 - 先進国債券:
米国財務省が発行する米国債や、投資適格社債に対して投資します。株式系の資産クラスとの間での相関係数が小さいため、分散投資によって、ポートフォリオの標準偏差(リスク)を低位に保つ効果が期待されています。なお、単独での期待リターンは高くありません。 - 新興国債券:
先進国債券と比較して、ハイ・イールドであること(利回りが高い)ことが特徴です。先進国債券と同様、株式系の資産クラスとの分散効果が期待されています。 - コモディティ:
金(きん)等の実物資産(実際の投資対象はETFであることが一般的です)。紛争等の「有事」に対して強い、という特質があります。 - 不動産:
REIT等が投資対象とされます。賃料収入や売却益、といった数値は、基本的に、物価と連動しやすい、という特質があります。このため、インフレヘッジ(物価高騰によって資産が相対的に目減りしてしまうことを防ぐ)効果が期待されています。また、同じインフレヘッジ目的の資産クラスとしては、「物価連動債」などが採用されることもあります。
ロボアドバイザーの多くは、投資家に対して提案するポートフォリオとして、「米国株2割、(米国以外の)先進国株2割、先進国債券2割、新興国債券2割、コモディティ1割、不動産1割」のように、上記した複数の資産クラスを少しずつ組み入れた内容を提示することが一般的です。
そして、上記で解説した「リスク許容度」が高い投資家ほど、「株式系の資産クラスが占める割合が多く、かつ、債券系の資産クラスが占める割合が小さい」ポートフォリオ(=ハイリスク・ハイリターンなポートフォリオ)を提案されることとなります。
反面、リスク許容度を低く診断した投資家に対しては、「株式系の資産クラスの占める割合が相対的に小さく、逆に、債券系の資産クラスが占める割合が大きい」ポートフォリオ(=ローリスク・ローリターンなポートフォリオ)を提案します。
これは、株式系の資産クラスは、債券系の資産クラスと比較して、
- 期待されている収益率(リターン)は高いものの、
- 値動き(ボラティリティ。リスクとも表現される)も大きい、
という特徴があるため、です。
なお、ロボアドバイザーのポートフォリオ運用の仕組みについて詳しくは、別記事をご覧下さい。
(※3)ロボアドバイザーの投資対象銘柄は
上記したように、ロボアドバイザーは、米国株式や、米国以外の先進国株式、更には、債券、コモディティ、不動産、等といった、複数の資産クラスを投資対象とし、それぞれのアセットを、投資家のリスク許容度に合わせて割合を調整したうえで、組み合わせています(=シングル・アセット・ポートフォリオではなく、マルチ・アセット・ポートフォリオで運用する)。
そして、各資産クラスごとの、具体的な投資対象については、投資信託が用いられていることが一般的です。
中でも、国内の主要ロボアドバイザーの多くは、ETF(上場投資信託)を、主たる投資対象としています。
ETFが投資対象として選ばれている理由としては、主に下記のような物があります。
①未上場の投資信託よりも純資産が大きい
例えば、日本国内で販売されている、未上場の投資信託の場合、純資産の総額が100億円を下回るケースも少なくありません。
これに対して、上場投資信託(ETF)の場合、純資産総額が10兆円を超えているケースも多々あります。
投資信託(ETFを含む)の運用会社の報酬は、基本的に、投資信託の純資産に連動します。
純資産の小さい投資信託の場合、運用会社の手取り報酬料が少なく、運用のためのコストをカバーしきれずに、ファンドが早期償還となってしまうケースがあります。
また、コストを引き下げるために、トラッキングする対象銘柄の数が省略され、結果的に、追随しなければならないインデックスとの間で、乖離(=トラッキング・エラー)が生じてしまうリスクもあります。
こうした点を考慮に入れると、純資産の少ない、未上場の投資信託を投資対象とするよりも、純資産の大きいETFを投資対象としておいたほうが、ロボアドバイザーの得意とする(=インデックス投資の本質とされる)長期投資、及び、徹底した分散投資の実現には、適している、と言えます。
②信託報酬などのランニングコストが安い
投資信託(ETFを含む)保有している間、投資家は、投資信託の運用会社に対して、「信託報酬」と呼ばれるランニングコストを支払います。
この「信託報酬」は、たとえ、投資している投資信託の運用成績がマイナスであったとしても(≒運用に元本割れが生じたとしても)、支払いを続ける必要があり、中長期的な投資運用を考える際には、極めて重要なコスト要素となります。
そして、基本的に、上場投資信託(ETF)には、未上場の投資信託と比較して、信託報酬コストが安い、という特質があります。
その理由としては、
- ETFは、未上場の投資信託と違い、市場で直接売買されるため、投資信託の販売会社のコミッションが加算されない。
- ETFは、未上場の投資信託よりも純資産総額が大きいため、低い信託報酬料率でも、投資信託運用のコストを賄うことが出来る。
等といった点が挙げられます。
③各ETFが取得する銘柄数が多く、市場のカバー率が高い
未上場の投資信託の場合、ファンド・マネージャーが選出した、数社の株式を取得し、その後の値上がりに期待する、等というケースもあります(アクティブ型の投資信託の場合)。
また、パッシブ型の投資信託の場合でも、追随しようとするインデックス(指標)の種類によっては、取得する銘柄数が、数百銘柄程度に限られているケースもあります。
これに対し、世界的に有名な上場投資信託(ウェルスナビが投資対象としていることで知られる、バンガード社のVTI等)は、投資対象銘柄が、数千を超えている事例もあります。
上述した通り、投資信託の運用会社の収入は、投資信託の純資産額に比例します。
多数の銘柄に正確に資金を分散投資するためには、当然、投資信託の運用者には、大きなシステム・人的コストがかかります。
このため、(必然的に、)未上場の投資信託よりも、上場投資信託(ETF)のほうが、カバーできる銘柄数が多くなり、その結果、同じインデックスに対して投資する場合でも、トラッキング・エラーが小さくなることが一般的です。
なお、ロボアドバイザーの投資対象について詳細は、本サイトの別記事をご覧下さい。
つみたてNISAとは
専用口座で行った投資の利益が、最長で20年間、非課税となるのが、「つみたてNISA」と呼ばれる、少額投資非課税制度です。
つみたてNISAのメリット
- 一般NISAと比較して、非課税投資期間が長い(一般NISAの場合は5年間。つみたてNISAの場合は最長20年間)。
- つみたてNISAの場合、投資対象が、金融庁が選定した投資信託(ETF含む)に限定されているため、投資初心者でも、投資対象選びに困らない。
- iDeCo(イデコ)と違い、年齢制限がない(iDeCoの場合、積み立ては60歳まで。つみたてNISAの場合は年齢制限なし)。
- 毎月、自動的に投資対象の買い付けが行われる(=積立投資)ため、「買い」のタイミングの判断に迷う必要が無い。
- 投資資金の分散投入で、ドルコスト平均法のメリットにより、投資対象の取得単価の平均化が図れる(=高値掴みを回避しやすい)。
- 毎月の積立額は、数百円程度の少額から設定出来るため、目下まとまった投資資金が無い初心者投資家であっても、気軽にスタートが切りやすい。また、積立額を、家計に負担がかからない程度に留めることによって、長期投資が実現しやすくなる。
- つみたてNISAの投資対象銘柄(ETF含む)には、多量の銘柄へと分散投資を行う投資信託が多数含まれているため、投資になかなか手間暇・時間をかけられない投資家であっても、比較的容易に分散投資が実現できる。
- 資金は、原則としていつでも換金できる。
つみたてNISAのデメリット
- 一般NISAとは違い、あくまでも、長期にわたる「積立投資」が前提とされているため、投資可能な資金を、一挙にまとめて投資することが出来ない(=一括投資には活用できない)。800万円を一挙に投資できるだけの資金余力がある投資家でも、800万円全額を投資に回すために、20年間をかける必要がある。
- 一般NISAの非課税枠(年間120万円)と比較すると、非課税投資枠が小さい(年間最大40万円まで)。
- NISA口座は、1人あたり1口座まで、と制限されているため、一般NISAとの併用が出来ない(=一般NISAを利用するのか、つみたてNISAを利用するのか、投資家が選択する必要がある)。
- 非課税投資の対象となるのは、あくまでも、つみたてNISA口座で新たに取得した銘柄のみ。既に一般口座(非課税口座ではない口座)で購入した銘柄を、つみたてNISA口座に移管することは出来ない。
- 20年後の時点で、当初取得した銘柄が、取得価額を下回っていると、本来の取得価額よりも低い価額(=課税口座への移管時点ので価額)が、当該銘柄の取得価額として評価されてしまう(=その後、銘柄が値上がりした時に、課税関係が生じてしまう)。
- (一般NISAの場合と同様、)非課税投資枠は、単一年度の間は復活しない(=一度使用した非課税枠を、資産売却によって復活させることは出来ない)。また、使わなかった非課税投資枠を、翌年以降に繰り越して利用することは出来ない。
- 非課税口座で生じた損失を、他の口座(=課税口座)との間で損益通算することは出来ない。また、非課税口座で生じた損失は、翌年以降の繰越控除に利用することは出来ない。
- つみたてNISAで購入できる投資信託・ETFは、金融庁が認定したものに限られており、投資家の自由な判断で、投資対象を選ぶことが難しい。また、個別の株式銘柄の売買や、REIT(不動産投資信託)への投資は行えない。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)と違い、掛金(つみたてNISAの場合、毎月の積立投資額)は、所得控除の対象とならない(直接的な節税効果は、iDeCoのほうが大きい)。
- 投資対象としている(ないしは、保有している)銘柄の運用が不調の場合、累積投資金額が、資産評価額を下回る(=元本割れが生じる)恐れがある。
つみたてNISAの投資対象は
上述したように、つみたてNISAの場合、投資家が非課税口座を用いて取得できる投資対象銘柄は、金融庁が別途認定した投資信託・ETF(合計199本)に限られます。
その内訳としては、2021年6月18日時点で、下記の通りです。
投資対象エリア | 国内 | 国内外 | 国外 |
株式型の投資信託 | 41 | 12 | 46 |
マルチアセットの投資信託 | 5 | 86 | 2 |
上場投資信託(ETF) | 3 | 0 | 4 |
引用元:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/28.pdf
具体的な投資対象となる投資信託・ETFの一例としては、下記のようなものがあります。
ファンド名称 | 追随するインデックス | 運用会社 |
たわらノーロード TOPIX | TOPIX | アセットマネジメントOne㈱ |
iFree 日経225インデックス | 日経平均 | 大和アセットマネジメント㈱ |
野村インデックスファンド・JPX日経400 | JPX日経インデックス400 | 野村アセットマネジメント㈱ |
全世界株式インデックス・ファンド | MSCI ACWI Index | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ㈱ |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | FTSE Global All Cap Index | SBIアセットマネジメント㈱ |
東京海上セレクション・外国株式インデックス | MSCI World Index(MSCIコクサイ・インデックス) | 東京海上アセットマネジメント㈱ |
つみたて米国株式(S&P500) | S&P500 | 三菱UFJ国際投信㈱ |
引用元:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/26.pdf
ロボアドバイザーで、つみたてNISAの非課税枠は利用できるのか
ロボアドバイザーで、つみたてNISAの非課税枠を利用できるのか、どうかは、ロボアドバイザーの種別、及び運営会社によって異なります。
助言型(アドバイス型)のロボアドバイザーの場合
- 投資家のリスク許容度診断、
- 並びに、最適ポートフォリオの提案や、
- 取得推奨銘柄(投資信託)の提案までは行うが、
- 実際の銘柄取得やリバランスは行わない、
という、いわゆる助言型(アドバイス型)のロボアドバイザーの場合、投資家は、ロボアドバイザーの提案内容を閲覧したうえで、実際の銘柄取得は、自身が開設した非課税口座(つみたてNISA口座、ないしは、一般NISA口座)で行うことが可能です。
例えば、松井証券が提供している助言型ロボアドバイザー「投信工房」にて、無料診断を実施すると、取得推奨銘柄として「たわらノーロード 先進国株式」が表示されることがあります。
「たわらノーロード 先進国株式」は、マザーファンドへの投資を通じて、「MSCIコクサイ」というインデックスに連動する投資成果の獲得を目指す投資信託です。
そして、「たわらノーロード 先進国株式」投資信託は、金融庁の認定した、つみたてNISAの投資対象銘柄に選ばれていますから、投資家自身が証券会社にて「つみたてNISA」口座を開設し、非課税投資枠で購入することが可能です。
また、「MSCIコクサイ」インデックスに連動することを目的として運用されている投資信託は、なにも、「たわらノーロード 先進国株式」だけではありません。
つみたてNISAの投資対象銘柄のうち、「MSCIコクサイ」インデックスに連動する、その他の投資信託としては、下記のようなものがあります。
- iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり) :大和アセットマネジメント㈱
- <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド:ニッセイアセットマネジメント㈱
- 野村インデックスファンド・外国株式・為替ヘッジ型:野村アセットマネジメント㈱
- 外国株式指数ファンド:三井住友DSアセットマネジメント㈱
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス:三菱UFJ国際投信㈱
また、「MSCIコクサイ」インデックスに連動する上場投資信託(ETF)として知られる「上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)」(日興アセットマネジメント㈱)もまた、つみたてNISAの投資対象銘柄として認定されています。
このように、投資家が、助言型ロボアドバイザーを利用している場合、助言型ロボアドバイザーの提案する投資信託、ないしは、その投資信託がトラッキング対象としているのと同じインデックスと連動する投資信託を、つみたてNISAの非課税枠で取得・購入出来る場合があります。
投資一任型ロボアドバイザーの場合
国内の投資一任型ロボアドバイザー・サービスの多くは、NISA口座(一般NISA、及び、つみたてNISA)での売買に対応していません。
例外的な存在として、国内ロボアドバイザー業界大手「ウェルスナビ」が、2021年2月から、一般NISAでの売買に対応した「おまかせNISA」機能の提供を開始していますが、「つみたてNISA」での売買には、依然として非対応、とされています。
国内ロボアドバイザー業界において、目下、つみたてNISAに対応しているサービスとしては、楽天証券の提供しているロボアドバイザー「らくらく投資」のみ、というのが現状です(※ただし、らくらく投資は、「投資一任型」のロボアドバイザーではなく、「投資信託型」のロボアドバイザー、更に極言すれば、投資信託のラインナップ、とする見方もあります)。
つみたてNISAとロボアドバイザー、どちらで投資するのが良いか
投資家が、同じインデックスに投資する(より正確には、同じインデックスをトラッキング対象とする投資信託に投資する)場合、
- つみたてNISAで投資をするのか、
- (投資一任型で、つみたてNISAに対応していない、)ロボアドバイザーで投資をするのか、
どちらのほうが、より投資家においてメリットが大きいのでしょうか。
基本的には、ロボアドバイザーを利用せず、つみたてNISA口座で投資したほうが、コストは低くなる
例えば、国内ロボアドバイザー業界大手「ウェルスナビ」の場合、「米国株式」という資産クラスへの投資にあたっては、VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)という投資信託(ETF)を活用しています。
そして、VTIは、「CRSP US Total Market Index」というインデックスに対して連動する成果の獲得を目指し、米国株式市場に上場している、3,000社を超える株式銘柄に、資金を分散投資しており、2021年7月末時点での純資産総額(Share class total net assets)は、2,600億ドル(1ドル1円だとすると、26兆円)以上に達しています。
なお、VTI自体の経費率(Expense ratio)は、2021年4月時点で、0.03パーセントとされていますが、ロボアドバイザー「ウェルスナビ」を利用してVTIに投資する場合、別途、ウェルスナビに対する手数料(=ロボアドバイザ-の利用料)として、年率で1パーセント(税別)を支払う必要があります。
一方、つみたてNISAの認定投資信託の中にも、バンガード社のVTIと同様、「CRSP US Total Market Index」をトラッキング対象としているものが、2点、あります。
投資信託名 | 運用会社 | 信託報酬等 | 純資産 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 楽天投信投資顧問㈱ | 0.162% | 3519.38億円 |
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド | SBIアセットマネジメント㈱ | 0.0938%程度 | 22,145百万円 |
情報引用日:2021年9月5日
上記2ファンドは、いずれも、前述の、バンガード社のVTI(Vanguard Total Stock Market ETF)を主たる投資対象としています。
こうしてみると、
- ロボアドバイザーを利用して、米国株式インデックスに投資(=VTIに投資)すると、年率換算で1パーセント強程度(ウェルスナビの手数料+VTIの信託報酬)がかかるが、
- つみたてNISAを利用し、同じくVTIに対して(実質的に)投資する場合、0.1~0.2パーセント程度のコスト負担で済む、
という計算になります。
さらに言えば、VTIのように高いリターンが期待される(反面、リスクも大きい)銘柄の場合、つみたてNISAならではの、非課税投資のメリットが大きくなる、という特質もあります。
※逆に言えば、債券(国債や、社債)のように、基本的には値上がりを期待しにくい資産クラスの場合、つみたてNISAの非課税枠で購入したとしても、そもそも、値上がりに伴う課税関係の発生が考えにくい、とも換言出来ます。
リバランスの手間暇を考えると、ロボアドバイザー利用にも利点がある
つみたてNISAでは期待がしづらい、投資一任型ロボアドバイザーならではのメリットとしては、「リバランス」が挙げられます。
つみたてNISAで、投資家が、自身のリスク許容度に見合った、ポートフォリオ運用(複数の資産クラスの組み合わせ運用)を行いたい場合、
- 互いに異なる資産クラスに対して投資する投資信託を、複数、購入するか(例:国内株式指数に連動する投資信託と、海外の株式インデックスに連動する投資信託を、1本ずつ、購入する)、
- 最初から複数の資産クラスに対して投資する、「バランス型」の投資信託を購入する、
という、2通りの手法が考えられます。
まず、前者の場合、株式以外の資産クラスに投資するためには、つみたてNISAの枠外で投資する必要がある(=つみたてNISAの認定銘柄の中には、債券のみ、ないしは、不動産のみ、に対して投資する投資信託が存在せず、単一指数としては、株式系のみが存在するため)、という難点に留意する必要があります。
加えて、ポートフォリオのバランスが崩れてきた時には、投資家自身で、リバランスを実施する必要がある、という問題があります。
また、後者の作戦を採用する場合、資産クラス同士のリバランス(例:株式の比率が、従前想定よりも高まってしまった場合、債券系の資産クラスを追加取得する、等)は、投資信託内で行われることとなりますが、投資家の加齢に応じた、投資家自身のリスク許容度変化に伴うリバランスは、各投資信託運用会社が自動的に執行してくれるわけではない、という点に、注意が必要です。
つみたてNISAは、基本的に、20年間という、極めて長い期間の継続的な投資を前提とした投資支援制度です。
30歳でつみたてNISAを始めた投資家も、10年後には40歳、20年後には50歳、と、年を取っていきます(加齢)。
そして、投資家の加齢に従って、当該投資家のリスク許容度は、基本的に、縮小していきます(ただし、年収の増加によって、リスク許容度が大きくなるケースもある)。
これは、加齢に応じて、残りの就労可能年数が、少しずつ短くなっていき、結果的に、当該投資家の「人的資産」が、年々、小さくなっていくため、です。
国内の主要ロボアドバイザーの場合、単純なポートフォリオの崩れ(理想的なポートフォリオからの乖離)のみならず、投資家の加齢(及び、加齢に応じたリスク許容度の減少)に伴い、少しずつポートフォリオのリスク(標準偏差)を小さくしていく、「加齢リバランス」を取り入れているケースも多々あります。
こうした高精度な「リバランス」は、ロボアドバイザーの最大の特徴のひとつであり、「たとえ、コスト高になったとしても、リバランス機能が使えるのであれば、ロボアドバイザーを活用しよう」と考える投資家がいたとしても、不思議ではありません。
なお、ロボアドバイザーのリバランスについてより詳しくは、当サイトの別記事をご覧下さい。
ロボアドバイザーと、つみたてNISAの、併用はどうか
(投資一任型の)ロボアドバイザーも、つみたてNISAも、双方、
- 長期投資:
少なくとも、10年以上。基本的には20年以上。
インデックス投資の収益のけん引役である株式は、年率平均で5パ―セント程度の、高い収益性を見込めるが、反面、一旦バブル崩壊等の憂き目にあうと、バブル崩壊前の水準を取り戻すために、長ければ10数年程度の歳月を要するため。 - 積立投資:
資金の一括投入は、資産の「買い時」のタイミングを外してしまうと、挽回が難しい恐れがある。
毎月コンスタントに、資金を少額ずつ投入していくことで、ドルコスト平均法のメリットを生かし、リスク資産の取得コストを平均化することが大切。 - 分散投資:
とある資産クラスからの収益性を最大化したい場合は、その資産クラスの該当する全ての銘柄へと投資することが理想的(=投資信託やETFを利用すれば可能)。
また、互いの相関係数の低い、複数の資産クラスへと資産を分散投資することで、ポートフォリオの標準偏差(ボラティリティ。リスク)を低位に保つことが出来る、というメリットもある。 - 低コスト:
インデックス投資の最大のボトルネックとなる「コスト」(投資信託の場合、信託報酬や、買付手数料、信託財産留保額等)は、投資信託・ETF等によって千差万別。
同一のインデックスに対して連動する、同程度の純資産額の投資信託(ないしは、ETF)でも、信託報酬等のコストに大きな差分があるケースがある。
また、一般的に、非上場の投資信託よりも上場投資信託(ETF)のほうが、信託報酬は安い。
を標榜している、という点は共通しています。
ただし、つみたてNISAには、「(非課税枠が魅力、と言えども、)年間40万円までしか、買付が行えない」という、決定的なデメリットがあります。
反面、ロボアドバイザーには、(投資額に上限が無い、というメリットがあれども)「預かり資産残高に応じて手数料が生じるため、(投資家がつみたてNISA口座で投資信託を取得し運用する場合と比較して)手数料が割高となる」というデメリットがあります。
仮に、つみたてNISAと(投資一任型の)ロボアドバイザーとを併用する場合、それぞれを単体で考えるのではなく、投資家個々人の資産全体ポートフォリオの一部として、
- つみたてNISAに期待すること
- 投資一任型ロボアドバイザーに期待すること
を明確にしたうえで、投資に取り組む必要があります。
例えば、投資家によっては、下記のような戦略を立てるケースもありましょう(あくまでも、仮説・仮定であり、そのような運用を推奨するものではありません)。
- (20年間にも及ぶ非課税投資が出来る、という、つみたてNISAのメリットを最大限活用すべく、)ハイリスク・ハイリターンな、株式系の資産クラスについては、つみたてNISAで積み立てる。
- 債券系の資産クラスを取り入れたバランス型の投資信託は、リスク(ボラティリティ)を低位に保つために、リターンを犠牲にしている。非課税投資が出来る、という、つみたてNISAのメリットにはそぐわないため、つみたてNISAでは、バランス型の投資信託は取得しない。
- たとえ、年齢が若く、年収が高く、リスク許容度が高い投資家であったとしても、つみたてNISAでハイリスク・ハイリターンな投資信託を選択し、かつ、ロボアドバイザーでも、最高のリスク許容度でポートフォリオを組んでしまうと、資産全体を俯瞰したときに、リスクを取り過ぎている可能性がある。このため、(非課税枠での投資が出来ない)ロボアドバイザーについては、利益創出に極端にはこだわらず、つみたてNISAで取っているリスクを中和するために、敢えて、債券系の資産クラスを多分に含んだポートフォリオを運用することとする。
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