不動産クラウドファンディングと新型コロナウイルス|市場への影響、及び、今後の注意点を解説

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からクラウドファンディング投資(主に融資型)を始め、約3年が経過。
合計20社以上のクラウドファンディング投資事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングは、

  • 新たに不動産を取得したり、取得した不動産にリノベーション・バリューアップを施すことを検討している、不動産事業者が、
  • 不動産特定共同事業法に基づく許可を取得したうえで、
  • インターネットを活用したクラウドファンディング形式で、広く全国の投資家から出資を募り、
  • 募集した資金を原資に、不動産プロジェクトを実行し、
  • 運用期間中に収受した賃料や、対象不動産の売却代金などの、収益を、
  • 出資者に対して、分配する、

というビジネスモデルのことを指します。

上場企業の参入も相次いでいることから、「リスクを出来るだけ低減して投資を行いたい」と考え、「ローリスク・ミドルリターン」の投資スタイルを模索する個人投資家の間で、急速に人気が広まりつつあります。


関連記事:
【2021年7月更新】不動産クラウドファンディングとは?|不動産クラウドファンディングのメリット・デメリット・リスクから徹底解説。上場企業運営サービスも

不動産特定共同事業法の許可モデル

不動産特定共同事業法上の許可事業としては、不動産特定共同事業法第2条第4項にて、下記の4事業に分類されます。

  • 1号事業:
    不動産特定共同事業者が、投資家との間で、不動産特定共同事業契約を締結し、当該不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行う行為。
  • 2号事業:
    上記の不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介をする行為
  • 3号事業:
    特例事業者の委託を受けて、当該特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を行う行為
  • 4号事業:
    特例事業者が当事者である不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介をする行為

国内の不動産クラウドファンディング・サービスの大半は、上記の4許可のうち、1号許可に基づいて運営されています(不動産特定共同事業者自身が、ファンドの募集、及び資産運用を行う)。
ただし、不動産特定共同事業が1号許可に基づいて運用されている限り、ファンドは運営者の内側に組成され、ファンドが取得する不動産についても、不動産特定共同事業者の資産として計上されることとなります。
投資家から見れば、運営者の倒産リスクから隔離されていない、というデメリットがあり、かつ、運営者の立場から見ると、不動産のオフバランス(貸借対照表カラの除去)が実現しない、という難点があります。

上記課題を解決するためには、不動産特定共同事業法の3号許可並びに4号許可を所得し、特例事業者(SPC)に不動産を保有させるスキームを採る必要がありますが、この場合、SPCの設立・維持コストがかかるほか、4号事業許可取得のためには第二種金融商品取引業の登録が必要とされているなど、ハードルが高い、というデメリットがあります。
このため、目下、SPCスキームを活用した不動産クラウドファンディングを展開しているのは、トーセイ社のTREC Fundingのみ、というのが現状です。

なお、不動産クラウドファンディング・サービスでは、投資家と不動産特定共同事業者との間の契約締結は、電磁的に行われています。
このため、各不動産特定共同事業者は、クラウドファンディングによる資金調達を実施するにあたり、事前に、電子取引業務の許可を合わせて取得しています。

不動産クラウドファンディング活用のメリット

不動産クラウドファンディング事業に参入する不動産事業者、及び、不動産特定共同事業者の募集するファンドに投資する投資家にとっては、それぞれ、主に下記のようなメリットがあります。

不動産クラウドファンディング事業者側のメリット

  • 自己資金投下を抑えて、新たな不動産プロジェクトに取り組むことが出来る:
    不動産特定共同事業者としては、自己資金や、銀行からの借入金等ではなく、投資家からクラウドファンディング形式で調達した投資資金を活用して不動産投資を行うことにより、自社のリスクを抑えた不動産プロジェクトを実施することが可能となります。
    例えば、銀行からの借入金で不動産を取得する場合、取得した不動産の売却価額が、取得価額を大幅に下回ったとしても(=不動産プロジェクトが不調に終わったとしても)、不動産事業者は、銀行に対し、借入金全額の返済義務を負い続けることとなります。
    しかし、投資家からの優先出資額で不動産を取得する場合、その不動産プロジェクトが失敗に終わったとしても、不動産特定共同事業者は、投資家に対し、損失を補填する義務は負っていません(※むしろ、損失補填行為は法で禁じられています)。
    この点、不動産クラウドファンディングを通じて調達する資金は、ノンリコース性の強い調達資金と言え、不動産特定共同事業者にとっては、メリットのある資金調達手法と言えます。

    また、不動産クラウドファンディング事業者としては、ファンドに劣後出資を行うことにより、もしもファンドの運営に大幅な利益が生じた場合は、投資家への優先出資分配を行った後の残余利益を独占できる、というメリットもあります。

  • 匿名組合スキームを用いて、投資家の反対を恐れずに不動産投資を遂行できる:
    国内の不動産クラウドファンディング・サービスの大半で、投資家と不動産特定共同事業者との間の契約形態としては「匿名組合」型が主流となっています。
    当該匿名組合において、投資家は「匿名組合員」となり、不動産特定共同事業者は「営業者」となりますが、匿名組合の特性として、事業の実質的な執行権は、匿名組合の営業者が独占することとなります(=匿名組合員には、経営へ参画する権利がない)。
    このため、不動産特定共同事業者としては、投資家の反対表明等を恐れることなく、自身の裁量で、ファンドの資産を運用できる、というメリットがあります。
  • 自社保有不動産の現金化を図れる:
    不動産特定共同事業者としては、自身が目下保有している不動産を、ファンドに売却することによって、資産の現金化を図れる、というメリットがあります。

    スマートデイズ問題や、スルガ銀行の不正融資問題、TATERUの融資資料改ざん問題等を経て、国内金融機関は、サラリーマン投資家向けのアパートローンの新規貸し出しに消極的です。
    このため、投資家が不動産投資のための融資を受けることが難しく、投資用不動産の開発・販売業者としては、従来型の販売手法(=投資家に融資を受けさせることを前提とした販売・勧誘手法)では、業績を伸ばすことが困難になりつつあります。

    こうした環境下において、自社が開発した投資用不動産を、個人投資家に直接売却するのではなく、多数の投資家が小口出資する「ファンド」に対して売却することによって、不動産売却の新たな「出口」を確保したい、と考える不動産事業者は少なくありません。

    また、不動産特定共同事業者が、SPCを利用した特例事業スキームを利用する場合、目下自社の貸借対照表上に計上されている不動産を、SPCに譲渡することに拠って、オフバランス(BSからの除去)を実現できます。
    この場合、流動性の高まった資産(不動産→現預金)を活用して利益を増大させることによって、ROA(総資産利益率)を向上させることが可能となります。

  • 投資家に、事業にコミットさせることが出来る:
    少子高齢化や、空き家問題など、地域の共通課題を、不動産クラウドファンディングを活用して解決しよう、という取り組みも、数多く進められています。
    例えば、保育所が不足している地域において、不動産クラウドファンディングで調達した資金を原資に、空き家を取得&リノベーションし、その後の保育所事業で生じた利益金を原資に、投資家への分配を実施、最終的には保育事業を展開している営利企業に事業を売却し、その売却代金を元手に、投資家への元本償還を実施する、というビジネススキームが考えられます。
    この場合、地域に実際に居住している投資家向けに優先出資枠を設ける等して、地域住民からの投資を積極的に募り、またその投資家に、プロジェクトの利用者(上記例であれば、保育所のユーザー)となってもらうことで、投資を通じて、事業の”ファンづくり”を行い、投資家から事業へのコミットメントを高めてもらう工夫が可能です。
  • ファンドから、様々な手数料を収受できる:
    不動産クラウドファンディング事業者としては、ファンドが不動産を取得・売却する時に、仲介業者として「売買手数料」を徴収したり、ファンドが取得した不動産の管理業務を受託することで、ポートフォリオマネジメント報酬(PM報酬)を収受出来る場合があります。
    また、3号事業許可に基づき、SPCから、ファンドの資産運用業務を受託する場合、SPCから、AM報酬(アセットマネジメント報酬)を徴収できるケースも想定されます。
  • 自社の見込み客獲得ツールとして活用できる:
    不動産クラウドファンディング事業者としては、「数万円から出資可能、数ヶ月程度の短期運用、予定年利5パーセント」など、不動産投資に興味を持つユーザーにとって魅力的に映るファンドを組成・募集することで、潜在的な不動産投資ユーザーに対して、自社の不動産投資サービスを宣伝するとともに、将来的に自社開発の投資用不動産を購入してくれるかもしれない「見込み客」を大量に集め、リスト化することが出来ます。
    一般的に、不動産クラウドファンディング・サービスへと投資家登録を行う場合、勤務先や年収、これまでの投資歴、といった情報を入力しますが、不動産クラウドファンディング事業者側としては、こうした情報をスクリーニングしたうえで、属性の良い投資家(自己資金が多量にある投資家や、アパートローンに消極的な金融機関からも融資を引き出せそうな投資家)に対し、自社の投資用不動産の購入を持ち掛けることが可能となります。

投資家側のメリット

逆に、不動産クラウドファンディング事業者の募集するファンドに投資する投資家としては、主に、下記のようなメリットに期待することとなります。

  • 優先劣後方式が採用されており、投資家の優先出資元本の毀損リスクが低減されている:
    国内の不動産クラウドファンディング・サービスの大半で、不動産特定共同事業者側の劣後・共同出資によって、投資家の優先出資元本を(一定程度まで)保護する、優先劣後スキームが採用されています。
    例えば、出資総額が1億円、というプロジェクトの場合、投資家からの優先出資を7,000万円分募集し、残りの3,000万円については、サービス運営会社が劣後出資する、というスキームを取ることに拠って、ファンドの運営に損失が生じた場合でも、その損失が3,000万円未満(=運営会社の劣後出資額未満)に収まれば、投資家の優先出資元本については、毀損を免れることとなります。
  • 出資申込後も、クーリングオフによる解約が出来る:
    不動産クラウドファンディングの場合、規制法規にあたる不動産特定共同事業法の第26条で、書面による解約、すなわち、クーリングオフによる出資の解約が認められています(ただし、出資にまつわる書面の電磁的交付を受けてから、一定期間内)。
    同じクラウドファンディング型の投資分野として知られているソーシャルレンディングの場合、クーリングオフの適用は認められていませんから、この点は、不動産クラウドファンディングならではのメリットともいえます。
  • 現物不動産投資のように、長期にわたる建物の劣化やメンテナンスに配慮する必要が無い:
    不動産クラウドファンディングの場合、各ファンドの運用期間は、短い場合では数ヶ月、長い場合でも1年~2年程度です。
    現物不動産投資の場合は、投資対象不動産の長年の経年劣化(及び、劣化に応じたメンテナンスの実施)に対して、不動産所有者として、十分な配慮を行う必要がありますが、不動産クラウドファンディング事業者の募集ファンドへと投資しているだけ、という場合、そのような配慮は基本的に無用です。
  • ポイントを投資に活用できる事業者もある:
    国内で展開されている不動産クラウドファンディング・サービスの中には、クレジットカードの利用や、その他のポイ活サイト利用等によって貯まったポイントを、ファンドへの出資に活用できるサービスも存在します。
    現預金をいきなり投資に回すことには抵抗がある、という投資家の場合でも、さほど労せずに貯まったポイントであれば、気軽に投資に回しやすい、というメリットがあります。
  • 匿名組合型の場合、投資家の責任は、出資額全額まで、と限定されている(有限責任):
    同じ不動産特定共同事業の場合でも、任意組合スキームを用いた事業ではなく、匿名組合型の不動産クラウドファンディングに投資している限りにおいては、投資家の責任は、出資額の全額を上限とする「有限責任」とされています。
    逆に、任意組合型の不動産特定共同事業の場合、投資家の責任には限度が定められておらず「無限責任」とされていますので、留意が必要です。

  • 上場企業が直接運営にあたっているサービスが多い:
    国内で不動産クラウドファンディング事業に参入している企業の中には、証券市場に株式を上場している、いわゆる「上場企業」も多数含まれます(穴吹興産やプロパティエージェント、トーセイなどの東証一部上場企業や、マザーズ市場の上場企業など)。
    上場企業運営の不動産クラウドファンディング・サービスを利用する場合、運営会社の財務情報が公開されていたり、(少なくとも、未上場の零細企業と単純比較すれば)運営者の倒産リスクが小さいと目せる、などのメリットがあります。
  • 期待利回りが高く、現物不動産投資と比較しても遜色がない:
    不動産特定共同事業者各社が、各ファンドにおいて提示している利回りは、案件内容やリスク程度によって千差万別ですが、概ね、年率換算で数パーセント~10パーセント弱程度の、極めて高い期待利回りが提示されていることが一般的です。
    低金利が一般化した日本社会において、これだけ高い期待利回りが恒常的に提示されている例は多くなく、現物不動産投資と単純比較しても、全く遜色はありません。
  • 現物不動産投資と比較して、手間暇がかからない:
    現物不動産投資の場合、投資対象とする不動産の選定や、取得手続き、その後の入居者確保や、賃料回収・管理、最終的な物件売却まで、投資にまつわる様々な手続きを、投資家自身で(ないしは、投資家の責任のもとに、管理会社等に委託して)行う必要があります。
    現物不動産投資の手間暇の多さは、本業の忙しい会社員投資家や、主夫・主婦投資家にとって、高いハードルとなっていますが、この点、不動産クラウドファンディングの場合は、一旦ファンドへの出資を済ませれば、その後、ファンドの運用期間中の諸作業については、いずれも、不動産特定共同事業者(匿名組合の営業者)が行うため、投資家側では手間暇が発生しません。

不動産クラウドファンディングのデメリット

上述のように、不動産特定共同事業者、及び、投資家、それぞれにとって、様々なメリットが期待される、不動産クラウドファンディングではありますが、その反面、両者において、主に下記のようなデメリット・リスクも存在します。

不動産クラウドファンディング事業者側のデメリット

  • 資金調達コストが高い:
    不動産事業者が、不動産クラウドファンディングを通じて資金調達を行う場合、その資金調達コストは、年率換算で数パーセント~10パーセント程度に及びます。
    銀行等の金融機関から融資を受ける場合は、年率換算で1パーセント前後の利息で資金調達が出来るため、不動産クラウドファンディングからの資金調達は、一般論として、高コストになります。
    このため、銀行融資を引ける(=銀行が担保価値を認める)物件を投資対象とする場合は、不動産クラウドファンディングで資金調達を行うことは非合理です。
  • 短期の資金調達しか実現しないことがある:
    一部の不動産クラウドファンディング事業者は、投資家の持分を買い取る形で、出資の中途解約を認めていますが、大半の不動産クラウドファンディング事業者は、投資家側からの申し出による出資解約を、原則として不可、としています。
    しかし、このことが要因となり、投資家が長期運用型のファンドを忌避し、短期運用を予定するファンドでないと、十分な資金調達が行えない、という事象が生じ得ます。

    無論、出資の中途解約を「可」とすれば、長期運用型のファンドでも募集を行いやすくなりますが、投資家からの中途解約・返金申請が一挙に生じると、不動産クラウドファンディング事業者側のキャッシュフローに支障が生じる恐れがあります。

  • 不動産特定共同事業法の各種登録要件が厳しい:
    国内の不動産クラウドファンディング事業者の大半は、不動産特定共同事業法の1号許可を取得していますが、1号許可取得のための資本金要件は「1億円」とされており、ソーシャルレンディング事業の展開に必要な第二種金融商品取引業の登録要件(資本金1千万円)等と比較すると、登録要件が厳しくなっています。

  • 高コストな特例事業スキームを活用しないと、不動産のオフバランスは実現しない:
    上場企業の中には、ROA改善などを目的に、目下保有している不動産のオフバランスを画策し、不動産特定共同事業への参入を検討するケースが多々あります。
    しかしながら、国内の不動産クラウドファンディング業界で一般的に活用されている、不動産特定共同事業法1号許可スキームでは、ファンドが不動産特定共同事業者の内側に組成され、自然、ファンドが取得する不動産も、不動産特定共同事業者自身の貸借対照表に計上されてしまうため、オフバランスが実現しません。
    不動産事業者がオフバランスを実現したい場合、SPC設立・維持コスト等の係る、特例事業スキームを活用する必要があり、許可取得も含めて、ハードルが低くないのが実情です。

投資家側のリスク・デメリット

  • 元本割れが生じるリスクがある:
    不動産特定共同事業者は、ファンドを通して取得した不動産を賃貸したり、売却したりして、投資家向けの利益分配原資、並びに、元本償還原資を確保します。
    すなわち、事前想定の通りに不動産を賃貸できなかったり、良い値段で不動産を売却することが出来なければ、利益分配が実施できないばかりか、十分な元本償還資金を確保できない恐れも生じることとなります。
  • 出資の中途解約が(大半の場合)出来ない:
    国内の不動産クラウドファンディング事業者の大半は、出資の中途解約を、原則として不可、としています。
    また、中には、出資持分の買取りを行っている事業者も存在しますが、持分の買取りはあくまでも時価で行われるため、不動産市況の急激な悪化によって、投資対象不動産の時間が急落している場合、出資時点の額面と同額での買取は為されない公算が高い(=時価急落にも関わらず、出資額面通りの買取りを行えば、損失補填行為に該当するリスクがある)、というのが実情です。
  • 税務上のメリットが無いほか、法人口座や、未成年口座の開設が出来ない事業者がある:
    現行の所得税法下では、投資家が不動産クラウドファンディング投資から得る「分配金」は、雑所得に該当し、総合課税の対象とされます。
    申告分離課税は利用できないため、給与所得等の大きい投資家の場合は、累進課税の関係で、不動産クラウドファンディング事業者からの分配金に対しても、高い税率が課せられてしまう場合があります。

    また、こうした事情を鑑み、投資家が、自身が管理するプライベート・カンパニー名義(法人名義)で投資口座を開設することを検討したとしても、一部の不動産クラウドファンディング事業者においては、法人口座の開設を受け付けていないケースもあります。

    未成年口座の開設についても、大半の不動産クラウドファンディング事業者において「不可」とされています。

  • 運営者の倒産リスクから隔離されていないスキームが大半:
    国内の不動産クラウドファンディング・サービスの大半が、不動産特定共同事業法第1号事業許可に基づき運営されていますが、この場合、ファンドは不動産特定共同事業者の内部に組成され、ファンドが取得する不動産も当然、不動産特定共同事業者の財産として扱われます。
    もしも、不動産特定共同事業者が、他事業で失敗する等して経営破綻する場合、ファンドが保有している不動産についても、破産財団へと組み入れられ、事業者の破産手続きの中で処分されることとなります。

不動産クラウドファンディングへのコロナの影響は

2020年初頭から世界を騒がし続けた、新型コロナウイルス。
経済への影響も甚大で、当然、不動産クラウドファンディングを含む金融・クラウドファンディング業界にも、その影響は及びました。

購入型クラウドファンディングはコロナでむしろ隆興した

購入型クラウドファンディング大手「CAMPFIRE」では、新型コロナウイルスサポートプログラムが立ち上げられた。
画像引用元:CAMPFIRE

CAMPFIREやMakuake、ReadyForなどといった人気事業者が鎬を削る、購入型クラウドファンディング業界には、むしろ、コロナ禍において、多量の資金が流入しました。
コロナの影響で窮地に陥ってしまった飲食店や、活動休止に追い込まれる形となったスポーツ団体を支援しよう、という機運が広がり、関連する支援プロジェクトが多数公開されたほか、クラウドファンディング事業者側も、支援プロジェクトの一部に対しては、クラウドファンディング利用手数料を減免するなど、サポートしていく姿勢を見せました。

例えば、CAMPFIREの場合、飲食店応援特集を公開したほか、エントリー期間に応じて、クラウドファンディング手数料の減免を発表。
Makuakeも、飲食店特別サポートプランの提供をスタートしています。
同じく購入型クラウドファンディングの大手サービサーとして知られるReadyForでは、「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金特設ページ」をリリースして寄付を募っており、寄付者は延べ2万人強、寄付総額は、8億7千万円以上に上りました。

このように、業界全体で、コロナ影響に苦しむ一部事業者を支援していこう、という流れが強まっており、かねてよりクラウドファンディングに興味を抱いていた投資家も、これに呼応する形となっています。

コロナ禍でも高値を更新し続けた株価、そして暗号資産の高騰が、投資余力を醸成

コロナの影響で業績が悪化する企業が相次ぐ中にも関わらず、

  • 長期にわたる金融緩和で生じた「金余り」の状態、及び、
  • 「コロナ影響はもはや株価に織り込まれており、むしろ今は買い場だ」と考える投資家心理の影響もあり、

コロナ禍においても、日本を含む先進各国の主要上場企業の株価は、上昇を続けました。
そしてついに、日経平均株価は、バブル崩壊以降初めて、3万円台を回復。
一時的な株安の時期をうまくとらえて、安値で株を仕入れた投資家層を中心に、投資余力の醸成が進みました。

また、株価上昇に沿うようにして、ビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)の価値も一気に高騰。
一部暗号資産の中には、数年前と比べ、時価が、一時10倍前後に達したケースもあり、前述の株高と併せて、投資家の心理的余裕を生む要因となりました。

臨機応変にコロナ対応した不動産クラウドファンディングのケース

crealの「上野オフィスプロジェクト」は、不動産クラウドファンディング事業者によるコロナ対応の一例として知られる。
画像引用元:creal

不動産クラウドファンディング業界大手「creal」では、2020年1月に、「Q Stay and lounge上野」ファンドを募集し、4億6,500万円を調達。
しかし、その後のコロナの影響拡大により、インバウンド需要が消滅、投資対象となったホステルは、休業を余儀なくされる事態となりました。
状況を重く見たcrealは、2020年11月、「上野オフィスプロジェクト」を立ち上げ、新たに資金募集を実施、満額募集を達成し、

  • インバウンド向けのホステルを、
  • オフィス物件へと転換する、

という、一大コンバージョンプロジェクトを実施。
不動産クラウドファンディング事業者が、コロナ禍の中で、スピーディーかつ臨機応変な対応を為したケースとして、投資家の間で大きな話題となりました。

コロナ禍での不動産クラウドファンディング投資の注意点

ワクチン接種の進捗など、ポジティブなニュースも散見されるようにはなってまいりましたが、2021年もまだまだ、新型コロナウイルスの影響は続きそうです。
こうした投資環境下にあって、私たち個人投資家が、不動産クラウドファンディング投資に取り組む場合、どのような点に注意すべきか。
下記、私の個人的な考えをいくつか、つづらせて頂きたいと思います。

時間リスクを軽減すべく、短期案件に集中

「アフター・コロナ」「ウィズ・コロナ」等という言葉が示す通り、新型コロナウイルスの影響によって、我々日本人の生活様式は、昨今、大きく変化しつつあります。
今後、その変化はさらに加速していく恐れがあり、変化の方向性について、確たる予測をすることは、困難です。
そうした環境下にあって、予定運用期間が、1年以上に及ぶような、いわゆる「長期運用ファンド」への出資は、私個人としては、消極的に考えています。
今から1年後・2年後に、社会・世間のニーズがどのように変化しているか、予測することが難しいため、です。

このため、個人的には、

  • 1年以上の運用を予定する、長期ファンドへの出資は、出来るだけ、控え、
  • 数ヶ月~半年程度で運用が終了する見込みの、短期案件で、手堅く収益を重ねていく、

という方針をとりたい、と考えています。

都内オフィスビル案件には慎重に

数年前までは、最強の不動産投資対象とされてきた、都内オフィスビル。
しかし、コロナウィルスの影響によって、

  • テレワーク・在宅ワークへの関心が高まり、
  • 人々の、公共交通機関を利用した「通勤」への考え方も変化し、

投資対象としての「都内オフィスビル」は、いま、大きな転換期を迎えています。
2020年末には、都内オフィスの空室率が、4年半ぶりに、4パーセント台に達したとのニュースもあり、今後の先行きに、不透明感が強まっています。

こうした中ですので、私個人としては、「東京都内オフィスビル」系の案件については、出資は(これまで以上に)慎重に検討したい、と考えています。

在宅ワークに適した、郊外のレジデンス案件は有望かもしれない

反面、東京近郊の、いわゆる「ベッドタウン」郊外の、戸建てレジデンス案件などについては、「有望かもしれない」と考えています。
昨今、在宅ワークへの関心の高まりから、

  • 都内一等地の、マンション型レジデンスから、
  • 郊外の、広めの戸建てレジデンスへと、

消費者の嗜好が、少しずつ、移行しつつあります。

実際問題として、テクノロジーの進化に伴い、通勤・オフィス勤務が不要となり、在宅テレワークこそが主流となれば、家賃の高い首都圏中心部に居宅を構える必要性は低減し、

  • 同じ予算で、もっと広い家に住みたい
  • 在宅ワーク用の部屋も用意しやすい、戸建て物件に住みたい
  • 身近に自然がある環境で、ゆっくりと在宅ワークに取り組みたい

などといったニーズが急拡大することが予想されます。

郊外で、割安な中古戸建て物件を取得し、リノベーションを施したうえで、賃貸し、ないしは売却する、などという、不動産クラウドファンディング・プロジェクトがあれば、出資を積極的に検討したい、と考えています。

ソーシャルレンディング・ラボとは-Author Info-

不動産クラウドファンディング検証チーム
ソーシャルレンディング・ラボは、国内の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)業界情報の検証メディア。
不動産クラウドファンディング(不動産投資型クラウドファンディング)専門の検証チームでは、日本国内で展開されている不動産クラウドファンディング(不動産特定共同事業)サービスに関する最新情報を提供するほか、不動産クラウドファンディング業界の市場調査、各社の公開済ファンドの検証などを実施する。

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