ソーシャルレンディングの税金対策まとめ

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

税金対策を行わない場合の課税関係

税金対策を行わない場合の課税関係

一切の税金対策を行わない場合、ソーシャルレンディングに関する課税関係としては、概ね、下記の通りとなります。

  • ソーシャルレンディング事業者から受け取る分配金は、「雑所得」に該当する。
  • 課税制度としては、「総合課税」の対象となり、給与等の所得と合算にて、課税される。
  • 雑所得等の金額が、年間で20万円以上となる場合、確定申告が必要となる。

税金対策を行わない場合、最も苦慮することとなるのは、給与等の所得が高い人です。
上場企業株式投資等と違い、ソーシャルレンディング投資から得た分配金は、申告分離課税の対象とすることが出来ません。
このため、既に給与等の所得が大きく、各種税率(例:所得税率)が高い人の場合、ソーシャルレンディング事業者から送金された分配金に対しても、累進税率の影響で、高い税率が課されることとなります。

こうした人が、一定額以上のソーシャルレンディング投資を行い、雑所得等の金額が大きくなり、確定申告を行うと(※)、ソーシャルレンディング事業者が既に控除済みの源泉所得税等だけでは、納税額が不足し、結果として、追加納税等を行う必要が生じることとなります。

(※)そもそも、年間給与所得が2,000万円を超えている場合、その時点で(=雑所得がなくても)、確定申告の義務が生じます。
参考:
No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

ソーシャルレンディングにおいて考えうる税金対策案

ソーシャルレンディングにおいて考えうる税金対策案

私が知る限り、ソーシャルレンディング投資において考えうる税金対策としては、概ね、下記の3点に絞られるものと思います。

  1. 所得の低い人が、ソーシャルレンディング投資を行う。
  2. ソーシャルレンディング分配金について、青色申告にて、事業所得として申告することを狙う。
  3. 個人名義ではなく、資産管理会社等の法人名義で、ソーシャルレンディング投資を行う。

それぞれ、ご説明いたします。

【税金対策案1】所得の低い人がソーシャルレンディング投資を行う。

給与等の所得が高い人が、ソーシャルレンディング投資を行い、確定申告をすると、累進税率の関係で、ソーシャルレンディング分配金にも、高税率が課される場合があることは、上述致しました通りです。
その反面、給与所得のない方等、所得税率(等)が低い方が、ソーシャルレンディング投資を行い、その後、確定申告を行う場合、むしろ、ソーシャルレンディング事業者が控除済みの税金(源泉所得税等)の、還付を受けることが出来る場合があります。

例えば(※あくまでも、一例、とご理解ください)、御主人が会社役員で、給与所得が大きく、その反面、奥様におかれましては、専業主婦でいらっしゃる関係で、給与所得等が無い、という場合、

  • ご主人がソーシャルレンディング投資(及び、確定申告)を行えば、追加納税を強いられる可能性が高くありますが、
  • 一方で、奥様がソーシャルレンディング投資を行うのであれば、むしろ、ソーシャルレンディング事業者が控除済みの税金が、還付される可能性があります。

このように、所得の高い人がソーシャルレンディング投資を行うのではなく、出来るだけ所得の低い人が、ソーシャルレンディング投資を行うようにすることで、一種の税金対策を実現できる場合があります。

ご注意点

投資の「名義貸し」は、ソーシャルレンディング事業者の定める利用規約の違反や、違法行為となる場合があります。
税務当局から「名義貸し」を指摘された場合、税務上の罰則(例:追徴課税)を受けることとなる可能性があります。
上記例(ご夫婦)の場合であれば、奥様が、あくまでも、奥様ご自身の自由意思により、奥様の個人資産の純粋な運用を目的として、奥様ご自身にて、ソーシャルレンディング投資に取り組むことが、当然の前提条件となります。

参考:
「ソーシャルレンディングを妻名義で行いたいのですが…」|ソーシャルレンディング・ラボ

【税金対策案2】青色申告による、事業所得申告を狙う。

給与所得者が「確定申告をする」という場合、それは大体の場合において、「白色申告」を意味します。
これに対して、個人で事業を営んでいる方々(個人事業主)が、管轄税務署の承認を得て行う申告方式として、「青色申告」というものがあります。

  • ソーシャルレンディング事業者から受け取る分配金を、「白色申告」方式にて確定申告する場合、分配金は、「雑所得」に該当します。
  • これに対し、ソーシャルレンディング投資を、「事業」として行っているものとし、「青色申告」方式にて確定申告する場合、分配金について、「事業所得」として申告することが、一応、可能です。

青色申告活用のメリットは多岐にわたりますが、有力なものとしては、

  1. 青色申告特別控除が利用できる。
  2. 青色事業専従者給与を損金計上できる。
  3. 貸倒引当金を計上できる。
  4. 損失の繰越しができる。

等の点が挙げられます。

ご注意点

青色申告の活用は、税金対策としては、確かに、有力な物となり得ます。
しかし、分配金を「事業所得」として青色申告する以上は、その投資家の行っているソーシャルレンディング投資が、「事業として認められ得るほどの規模」であることが、必要要件となります。
青色申告後の税務調査等において、「”事業”と認め得るほどの規模感」を、課税当局によって否認された場合、修正申告や、追加納税を求められることとなるリスクがあります。

ソーシャルレンディング投資と青色申告の関係性については、こちらのコンテンツもご参照下さい。

「ソーシャルレンディング収益は青色申告できますか」|ソーシャルレンディング・ラボ

【税金対策案3】(個人名義ではなく)法人名義でソーシャルレンディング投資を行う。

ソーシャルレンディング投資に取り組んでいる方々のほとんどが、あくまでも、個人名義にて、投資に取り組んでおられる一方で、実は、国内ソーシャルレンディング事業者の多くは、法人名義によるソーシャルレンディング投資口座の開設を、受け付けています。

参考:
法人口座を開設できるソーシャルレンディング事業者は多い|ソーシャルレンディング・ラボ

日本国政府の取り組み内容を見ていると、

  • 法人向けの税率については、引き下げを進める一方で、
    (※海外からの企業誘致等の目論見があるものと思われます)
  • 高所得者(個人)向けの税率については、引き下げには消極的(むしろ、引き上げに意欲的)

なようにも見受けられます。
これを忌避して、海外移住等を図る高所得者も少なくありませんが、より穏当、かつ、伝統的な手法として、プライベート・カンパニー(≒資産管理会社)に資産を保有させ、投資活動についても、個人名義ではなく、法人名義で行う、という戦略が、考えられます。

税金対策として、ソーシャルレンディング投資を、「個人名義」ではなく、「法人名義」で行う場合、下記のようなメリットを享受できる場合があります。

  1. 法人向けの実効税率が適用される。
  2. 損失の繰り越しが出来るようになる。
  3. 損益通算が柔軟に行える。

これまで取り上げてきた税金対策手法の中では、ある意味、もっとも安全・妥当な手法のようにも思えますが、法人登記費用等のイニシャルコストや、維持費、決算関連費用等々、主にコスト面で、一定の負担増が強いられることとなりますので、実際の取り組みにおいては、獲得が期待できる税務上のメリットと、よくよく天秤にかけ、慎重に検討することが必要です。

参考:
「ソーシャルレンディングに法人名義で投資したいのですが…」|ソーシャルレンディング・ラボ

まとめ

以上、ソーシャルレンディング投資において考えうる「税金対策案」について、私が思いつく限りの内容を、まとめさせていただきました。
少しでも、ご参考と為さって頂ける内容と出来たのであれば、うれしいです。

なお、改めて申し上げるまでもございませんが、本寄稿にて取り上げた税金対策案の、実際の検討においては、必ず、管轄の税務署や、税理士等の税務専門家に、あらかじめ、よくよくご相談を為さって頂きますよう、お願い致します。

それでは、本寄稿はここまで。
拙文に最後までお目通しを頂き、ありがとうございました。

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