「初心者でも簡単」は大嘘?インデックス投資に纏わる6つの嘘を徹底検証
実は嘘まみれ?個人投資家に人気のインデックス投資とは
少数の株式銘柄に対して資産を集中的に投資するのではなく、数百から数千もの銘柄に分散投資する「投資信託」へと投資することによって、市場の平均値、いわゆる「インデックス」に連動した投資成果の獲得を目指す投資手法を、インデックス投資といいます。
インデックス投資のメリット
- インデックス投資に用いられるインデックス・ファンド(パッシブ・ファンド)は、アクティブ運用を志向するファンド(投資信託)と比較し、信託報酬等のコストが安い。また、買い付け手数料がかからない「ノーロード型」投信や、信託財産留保額ゼロパーセント、というファンドも、数多く存在する。
- つみたてNISAやiDeCoといった、政府の投資支援制度のメリットを、最大限に活用することが出来る。
- 個別の株式銘柄選びの手間暇から解放される。
- バイ&ホールド戦略が基本となるため、日々の値動きに、一喜一憂する必要が無くなる。
- 投資信託を通じ、多数の銘柄へと分散投資することにより、個別銘柄ごとの非システマティック・リスクについては、十分に排除することが出来る。
- 資産クラス別に投資信託を取得したり、バランス型ファンドを利用することで、複数の資産クラスにまたがった、マルチアセット・ポートフォリオが、投資初心者でも比較的容易に構築・運用できる。
- 少額からの自動積立投資機能の利用により、ドルコスト平均法のメリットを活かし、リスク資産の取得単価を平均化する効果が期待できる。
- Tポイントなどの外部ポイントを、投資に利用できるサービスもある。
参考:
インデックス投資のメリット・デメリットとは|分散投資によるリスク低減、信託報酬の安い投資信託の活用メリット等を検証
インデックス投資に纏わる6つの嘘とは
インデックス投資は安心・安全は真っ赤な嘘
インデックス投資初心者向けのブログ記事等では、インデックス投資に関して、「個別の株式銘柄への投資などの比較すると、安心・安全である」などと謳われていることがままありますが、これは、真っ赤な嘘です。
インデックス投資は、確かに、個別の株式銘柄投資とは違って、投資信託を利用することで、実質的に、数百から数千もの株式銘柄等に対して、資産を分散投資することができます。
このレベルの分散投資を行えば、各株式銘柄固有の、非システマティック・リスクに関しては、十分に排除することができます。
しかしながら、仮に、このレベルの分散投資を行ったとしたとしても、市場のシステマティック・リスクそのものに関しては、完全には排除することができません。
多数の株式銘柄が影響を受けるような、大規模なバブル崩壊や経済不況などが生じた場合、インデックス投資家の資産ポートフォリオも、大きなダメージを被るリスクがあります。
例えば、インデックス投資家に人気の高い、米国株式市場を代表するインデックス指数と言われる、S&P500指数は、2000年代初頭のドットコムバブル崩壊時と、その後の2008年のリーマン・ショック到来時には、直近の最高値から約50%ほども、インデックスの基準価格が下落しました。
基本的に、S&P500指数などに代表されるアメリカの株式市場インデックスの場合、その標準偏差は、概ね15%から20%程度と言われていますが、上記のバブル崩壊に際しては、標準偏差の2倍を上回る、大幅な下落を記録した、と言うこととなります。
さらに、インデックス指数の下落に伴う資産評価減、及びそれに伴う元本割れは、必ずしも短期間には留まらない可能性がある、と言う点にも留意が必要です。
上述のS&P500指数の場合、2000年代初頭にドットコム・バブルが崩壊してから、その後、バブル崩壊前の水準を取り戻すためには、途中のリーマン・ショックなどの影響もあり、結果的に、十数年以上もの歳月が必要となりました。
こうした歴史的な事実も踏まえると、インデックス投資が安心、かつ安全な投資先である、と言うのは、真っ赤な嘘であることがよくわかります。
参考:
インデックス投資は「危ない」のか|投資初心者必見、インデックス投資の危険性とは
インデックス投資は儲かりやすい=大嘘
インデックス投資を推奨する人の中には、「インデックス投資は、その構造上、初心者でもごく簡単に儲けやすい、簡単な投資手法である」などと喧伝していることがよく散見されます。
このような嘘に騙されないためにも、インデックス投資を始めるにあたっては、インデックス投資の儲けの仕組みに関しても、あらかじめ十分に理解、把握しておく必要があります。
結局のところ、インデックス投資においては、投資対象としている指数が、投資信託取得時点から更に向上しない限り、含み益が生じる事はありません。
そして、インデックス指数の値動きは、そのインデックスがカバーする銘柄の値上がり・値下がりの影響を受けることとなります。
つまるところ、インデックス投資というのは、ごく平均的な株式投資(株式インデックスの場合)に過ぎず、通常の株式投資と同様、実際に儲かるかどうかは、指数に組み込まれている各銘柄が、今後、高値を更新し続けていけるかどうかにかかっている、とも言えます。
インデックス投資で、実際に儲けが出るか、どうかは、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と言う、株式投資とほぼ似たような部分があり、「インデックス投資ならば、初心者でも確実に儲かる」などと言うのは、やはり、インデックス投資未経験者を騙すことが目的とされた、真っ赤な嘘であるといえます。
インデックス投資は簡単、というのも嘘
投資家がインデックス投資を始める場合、
- リスク許容度の把握
- リスク許容度に見合った、アセットアロケーション(資産クラスの組み合わせ)の決定
- 資産クラス別に、追随するインデックスの選択
- インデックスごとに、実際に買い付ける投資信託の選択
など、様々な作業が必要となり、各作業は、決して簡単なものではありません。
投資信託については、国内で販売されているものだけでも、数千本を超えると言われており、それだけ多数の投資信託の中から、
- 各投資信託の信託報酬
- 信託報酬以外の、投資信託の決算費用や監査費用、株式の売買手数料等といった、様々な間接的負担コスト
- 各投資信託の、追随対象インデックス指数との間のトラッキングエラーの大小
- 各ファンドの純資産額
などといった点を考慮しながら、自分のインデックス投資の目的に見合ったファンドを選び抜く、と言う作業は、特に投資初心者にとっては、大きな負担となるものです。
「インデックス投資は簡単」「インデックス投資なら、誰でもできる」などと言うのもやはり、投資初心者にとって耳当たりの良い言葉だけを並べた、嘘であることがわかります。
参考:
「インデックス投資は負けない」は本当なのか|インデックス投資が「負ける」のはこんな時
「インデックス投資は手間暇がかからない」も、結局、嘘
投資家が、インデックス投資を始めてしばらくすると、各インデックスファンドの値上がりや値下がり、すなわち、インデックス・ファンドに含まれる各銘柄の値動きに応じて、当初設定したアセット・アロケーションの内容と比較して、最新のポートフォリオ内のバランスが、乖離してきてしまうことがよくあります。
仮に、この乖離を放置してしまうと
- インデックス投資において、あまりリスクを取るべきではなく、保守的な運用するべき投資家が、株式を中心とした、極めてボラティリティーの大きいポートフォリオ運用してしまったり、
- 逆に、インデックス投資に置いて、積極的にリスクを取り、高い期待利回りを追求していくべき投資家が、過度にリスクを警戒した、保守的なポートフォリオ運用してしまったり、
などといった弊害が生じる恐れがあります。
こうしたデメリットを避けるためには、インデックス投資家自身で、投資を開始してからしばらく時間が経過した後に、定期的に、「リバランス」と呼ばれる、ポートフォリオの再調整作業を行う必要があります。
リバランス作業においては、
- 値上がりしている資産クラスの一部を売却したり、
- 値下がりしている資産クラスの買い足しを行う、
などといった作業が必要となりますが、この際、含み益の生じている資産クラス・銘柄を売却すれば、含み益の実現に伴い、課税関係への配慮も必要となります
値下がりしている資産クラスの買い足しについても、
- どのタイミングで、
- どの程度の量の買い足しを行うのか、など、
投資家が、難しい判断を迫られることとなります。
このように、リバランス作業は、投資家の負担が決して小さくなく、そうした点も考慮に入れると、「インデックス投資は一切手間がかからない」と断言するのも、ひとつの大きな嘘であることがわかります。
インデックス投資=低コスト、も、嘘
実際問題として、個人投資家が、インデックス指数と全く同じ銘柄を、同じ割合で保有し、ポートフォリオを組むのは、極めて困難です。
このため、インデックス投資を行うにあたっては、専用の「投資信託」の利用が、大前提・既定路線とされてしまっているのが実情です。
しかしながら、投資信託を利用する場合、投資家は、
- 投資信託の運営会社に対して、「信託報酬」と呼ばれる運用手数料を支払う必要があるほか、
- ファンドが株式を売買する際の売買手数料や、
- 投資信託の決算・監査費用、といったコストについても、
間接的に負担する必要があります。
インデックス投資に用いられるパッシブ・ファンドの場合、年間の経費率は、概ね0.2~0.3パーセント前後程度とされているため、仮に投資家が、100万円をインデックス投資で運用する場合、成績の良し悪しに関わらず、毎年数千円程度のコストがかかる計算となります。
なお、インデックス投資向けのパッシブ・ファンドの場合、数百~数千の株式銘柄に分散投資しており、その分散投資効果(=非システマティック・リスクの排除効果)が喧伝されることが多くあります。
しかし、一部の研究では、分散投資先の銘柄数が60銘柄程度を超えると、もはやそれ以上の分散投資効果は見込みづらくなる、との結果も出ています。
すなわち、
- 単に、銘柄ごとの非システマティック・リスクを、分散投資によって排除したいだけであれば、
- わざわざコストを支払って投資信託を利用せずとも、
- 投資家自身で、概ね60銘柄程度の株式に、資産を分散投資すれば良い、
との考え方もあるわけです。
その場合、株式の買い付け手数料が生じる可能性がありますが、一方で、銘柄保有期間中のランニングコストは生じません。
こうして考えると、「投資信託を用いたインデックス投資は、コストメリットが大きい」と無条件に主張するのも、少しばかりの嘘を含んだものであることがわかります。
参考:
インデックス投資は、毎月いくらから始めればいい?NISAやロボアドバイザー利用によってシーン別に解説
「インデックス投資初心者にはロボアドバイザー利用がおすすめ」も嘘
インデックス投資初心者におすすめの投資手法として、投資一任型のロボアドバイザーが提案されることがよくあります。
確かにロボアドバイザーを利用すると、
- リスク許容度診断
- アセットアロケーション設定
- 資産クラス別の、投資信託銘柄選び
- 実際の買い付け
- リバランス
といった作業を、ロボアドバイザーに一任することが出来る、というメリットがあります。
しかしながら、ロボアドバイザーを利用する場合、投資家は、
- 投資信託の運用会社に対する、信託報酬等のコスト支払いに加えて
- ロボアドバイザーの運用会社に対して、年率換算で(預かり資産残高の)1%程度の、「ロボアドバイザー利用手数料」を支払う必要が生じることとなり、
両者の合計値は、年率換算で1.5%程度と、実質的には、アクティブ・ファンド並みの手数料が生じてしまうこととなるケースもあります。
こうして考えると、インデックス投資初心者に、ロボアドバイザーの利用を無作為に勧める手法には、一抹の嘘が含まれていることがわかります。
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