子育てとFIREの関係｜子持ち家族の子供連れFIREのメリット＆デメリットとは

【子育て世代からも大注目】今話題のFIREとは

FIREは、「Financial Independence, Retire Early」の略語。
投資収益などによって、会社からの経済的な独立を果たし、若くして早期退職をしたうえで、長く豊かなセカンドライフを楽しもう、と言う、ライフスタイル・ムーブメントとなります。

意外と知らない、4種類のFIREとは

• ファットFIRE：
  FIRE達成後も生活レベルを落とすことなく、悠々自適のセカンドライフを楽しもう、というのが、ファットFIRE。
  FIRE後の生活費も、早期退職前変わらず高額となりますので、それだけのキャッシュフローを投資収益（及び、年金収入）で生み出すには、かなりの額の投資元本蓄積が必要となります。
  基本的に、ファットFIREを実現できるのは、一部の富裕層等に限られ、ごく普通のサラリーマンが、こうした富裕層と同様のファットFIREを目指す出すのは、非現実的であると言われています。
• リーンFIRE：
  FIRE後の生活費を極限まで削る代わりに、ファットFIREよりも実現可能性を高めたのが、こちらのリーンFIRE。
  退職後の必要生活費が少ない分、貯蓄する元本も少なくて済むため、前述のファットFIREと比較すれば、FIRE達成が比較的現実的になりますが、その分、退職後の生活はかなりの節約を強いられるため、配偶者や子供といった、家族の同意形成が不可欠となります。
• バリスタFIRE：
  本業からのアーリーリタイア後も、パートタイムのような形で、比較的軽めの仕事に従事し続けることを前提としたFIRE。
  ファットFIREほどには資金が必要なく、かつ、リーンFIREほどには節約に懸命になる必要がない、というメリットがあります。
  反面、副収入が途絶えたときには、投資収益だけでは必要な生活費をカバーできなくなるリスクがあり、注意が必要です。
• コーストFIRE：
  インデックス投資などでリタイア資金を確保するための「元本部分」の貯蓄が完了した状態を指します。
  すでに必要な運用元本は用意されていますので、後はその元本を運用に回すだけ。
  就労による収入は、あくまでも、毎月の生活費分を稼いでおけば良いため、心身への負担が大きい本業をアーリーリタイアし、生活費程度を稼げる、やや軽めの仕事へと転職することが可能となります。
  生活費のための就労は続けざるを得ないため、時間的な自由などの確保は、あくまでも本格的なリタイア後に持ち越しとなる。という点と、資産運用が目論み通りにいかない場合、予定通りのリタイア資金確保が難しくなる、という点に、十分な注意が必要です。

早期のFIRE達成に欠かせないポイントとは

試算・シミュレーションはしっかりと

まずは、FIRE達成後の生活に必要な資金量をしっかりと計算・シミュレーションすることが大切です。

• 自分自身が、どれだけの退職金を受け取ることができるのか。
• また、いつ頃から、どの程度の金額の年金を受給することができるのか（繰上受給はするのか、しないのか）。
• 退職後の月々の生活費はどの程度となりそうなのか。
• 収入と比較した際に、毎月の生活費における赤字は、どのくらいの規模となりそうなのか。
• 月々の生活費の赤字を補うためには、毎月、どの程度の投資収益が必要なのか。
• 必要な投資収益は、年率換算で、どの程度の利回りで稼ぐことを想定するのか。
• その利回りで必要な運用益を生んでいくためには、どの程度の投資の元本が必要なのか。

こういった点に関して、早期退職に踏み切る前に、綿密に計算シミュレーションを済ませておく必要があります。
仮に、早期退職をした後になってから、事前の試算が不十分で、「もう少し稼がなければならない」という事態になったとしても、本業からの早期退職前ほどには、給与所得を得づらい、という点に、十分な注意が必要です。

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参考：
FIREを目指すポートフォリオ運用とは｜米国株、債券、現金等、FIRE後のおすすめポートフォリオについても検証

FIRE達成までの具体的なロードマップを作成

• 毎月いくら稼ぎ、
• いくら使い、
• いくらを貯金に回し、
• どの程度の期待利回りで増やして、必要額に到達するか、

という点に関して、出来る限り具体的な、ロードマップが必要となります。
そして、早期退職を目指す過程においても、さまざまなライフイベントによって、ロードマップの修正が必要となることも多々あります。
その都度、配偶者や子供など、家族を交えて、ロードマップについて再点検し、現実的な範囲内で、時に行きつ戻りつしながらも、FIREを目指していく必要があります。

子育て世代がFIREに取り組むメリット

子供の行事にも、会社を気にせず、自由に参加することが出来るようになる

FIREによる早期退職を実現することができれば、仕事に起因する時間的な制約は、基本的になくなります。
早期退職前と同じように、会社の都合に縛られ、仕事を最優先する必要もなくなりますから、

• 入学式や卒業式、運動会、等といった、子供の学校行事や、
• スポーツに取り組んでいる子供の試合や練習会、音楽や演劇に取り組んでいる子供の発表会、などといったイベントに、

仕事上の支障なく、自由に参加できるようになります。

子供の成長をできるだけ間近で見守りたいと考えている父兄にとっては、この点は、FIRE達成の大きなメリットと言えましょう。

働き方は画一的な物ではない、ということを子供に伝えることが出来る

日本の子供の場合、「仕事をしてお金を稼ぐ」ということに関して、自分の親の姿を見て、

• 毎朝早く起きて、場合によっては数時間をかけて会社に行き、
• 何らかの（子供にとっては、よく理解できないような）仕事をして、
• 夜遅くに帰ってくる、

ということが大前提となっているように考える節があります。

しかしながら、これからの社会において、お金の稼ぎ方は、そのような画一的なものとは限りません。
世の中には、様々な働き方があり、お金の稼ぎ方にも、いろいろな方策があるのだ、と言うことを、FIRE後の実生活を交えながら、子供に「親の背中で」教えていくことができる、というのは、早期退職達成者の大きな特権と言えましょう。

また、バリスタFIRE後に簡単な自営業等に取り組む場合、子供にも、親の取り組んでいる仕事を手伝ってもらうこともできましょう。
児童就労に該当しないか、など、様々な注意点は必要となりますが、幼い頃から、親の仕事を手伝い、「お金を稼ぐ」という行為に触れる事は、子供の経済教育においては、重要なメリットとなります。

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参考：
FIREによるアーリーリタイアは、本当におすすめなのか｜FIREをおすすめする人、おすすめしない人

FIRE後は日本に生活圏が限定されないため、グローバルな子育てが出来る

FIREにおいては、無思慮に日本に住み続けるより、日本よりも物価の安い国への移住により「ひとりデフレ」状態を得ることが推奨されます。
FIRE後の生活（＝生活のための、相対的な購買力）をより豊かにするため、日本以外の国へと、子供を含めた家族で移住する場合、家族皆に、それなりに生活上のストレスなどがかかることが想定されますが、そうした障害を、家族一丸となって乗り越えることができれば、日本という狭い島国に住み続けるよりも、様々な面で、グローバル意識が発達した子供時代を過ごすことができましょう。

お金のために働くことが人生ではない、という教育

FIREの達成とは、すなわち、会社からの経済的な独立の確保を意味します。
すなわち、FIREを達成すれば、もはや、お金を目的に仕事をする必要は、基本的になくなります。

その後、人は、

• 生活費を稼ぐためではなく、
• 自分自身がやりがいを感じている「ライフワーク」に取り組むことが可能となります。

生活のために「ライスワーク(Rice Work)」に取り組むのではなく、ライフワーク(Life Work)に懸命に取り組む親の姿を見る事は、子供にとって、「人は、何のために仕事をするのか」を考えさせるうえで、大きな影響を及ぼすこととなりましょう。

特に、仕事と言うものは、「単にお金を稼ぐためではなく、何らかの社会貢献など、自分がやりがいを感じる目的のために行うものである」と子供が肌身で感じることができれば、それは子供の生涯にとって、大きな財産となります。

節約ノウハウや、資産運用に関する教育を施す下準備に

公的年金制度や、その他、様々な社会保障制度について、その成り立ち・仕組みから、細かく自分の子供に説明できる親は、今の日本社会においては、少ないのが実情です。

人がFIREによる早期退職を目指す場合、その過程で、年金制度などを始めとする社会保障制度全般に関して、情報収集や、勉強を重ねていくことになります。
そして蓄積した知識に基づき、自分の子供に対して、年金制度の大切さや、その欠点、その他諸々の社会保障制度のメリットやデメリットといった点に関して、しっかりと伝えていくことができれば、何やら曖昧なものとして捉えがちな社会保障制度全般に関して、子供が理解を深める契機となりましょう。

子持ち家庭がFIREを目指す上での注意点

こうして見てきたように、子供を持つ家庭がFIREに取り組む場合、主に子供への教育、子育ての観点から、様々なメリットがあります。
しかしながら、その反面、FIREと言う新しいライフスタイルに関しては、下記のような注意点があることも、忘れてはなりません。

配偶者・子供の同意を得られない場合、FIRE達成が難しくなる

子持ちの夫婦が、FIREに取り組む場合、互いの協力は、不可欠なものとなります。
よほどの富裕層を除き、一般的なサラリーマン家庭が、FIRE達成に取り組む場合、早期退職後の生活を支える投資元本を蓄積するために、月々の生活費に関しては、かなりの節約が求められることが一般的です。
こうした節約に関して、配偶者や子供の理解を得られない場合、家族一丸となってFIREに取り組む事は、難しくなりましょう。

子育てには、かなりお金がかかる

よく言われることではありますが、教育費まで含めた子育て資金としては、子供一人当たり、かなりのお金がかかる事は事実です。

毎月の食費も、配偶者との二人暮らし、ましてや一人暮らし時代とは、比較になりません。
水道光熱費も、一人暮らしや、夫婦2人暮らしの頃と比べると、信じられないほどに高額になります。
「住む場所」に関しても、一人暮らしならば実家に住み続けてもいいわけが、子供がいると、世間体や利便の問題などもあり、なかなか、そうもいかなくなりましょう。

また、子供がある程度の年齢になってくると、通常の学校授業のほかに、塾やスポーツクラブに通うなど、何らかの習い事を始めることがままあります。
FIREのための節約に熱心になるあまり、子供が希望する習い事等に十分な予算を付けてあげられない、等という事態となれば、家族間で、何らかの軋轢が生じてしまう契機ともなりかねません。

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参考：
FIRE（早期退職）実現のためには、結局、いくら必要なのか｜毎月の貯金額も検討

子育てはマイホームで、と考えている人は、事前に住宅ローン審査通過が必要に

FIREに伴う早期退職を済ませた後は、基本的に、その人の対外的な社会的信用能力は、どうしても一定程度、低下することとなります。
このため、「子育ては、出来れば、マイホームで行いたい」と考えている人においては、FIREに伴うアーリーリタイアをしてしまう前に、住宅ローンの借り入れ等を済ませておく必要があります。
早期退職後に、住宅ローン審査を通そうとしても、確たる勤務先が無く、かつ、収入も不十分である、などとして、住宅ローン審査を通過できなくなる恐れがあるためです。