ソーシャルレンディングとベンチャー・中小企業
目次
ベンチャー・中小企業にとっての「事業領域」としてのソーシャルレンディング
昨今、広く社会的注目を集めている、ソーシャルレンディング。
金融系のナレッジがあったり、フィンテック分野に興味のあるベンチャー・中小企業にとっては、新たな事業領域として、魅力的に映り得るでしょう。
ソーシャルレンディング運営会社には、ベンチャー・中小企業も多い。
日本国内には、現在、ソーシャルレンディングを事業として扱う企業が、20社以上、存在しますが、このうち、
- 上場企業や、
- 上場企業子会社、というところは、ごく一部であり、
中小企業や、ベンチャー企業、という規模の事業者も、数多く、ソーシャルレンディング事業に参入しています。
上場企業運営のソーシャルレンディング
引用元:オーナーズブック(https://www.ownersbook.jp/)
↑上場企業が直接運営していることで知られるソーシャルレンディングサービスとしては、オーナーズブック(OwnersBook)が有名です。
こちらは、東証マザーズ上場企業、ロードスターキャピタル株式会社が運営しています。
上場企業100パーセント子会社によるソーシャルレンディング
引用元:SBIソーシャルレンディング(https://www.sbi-sociallending.jp/)
↑ソーシャルレンディングサービス「SBIソーシャルレンディング」を運営する、SBIソーシャルレンディング株式会社は、東証1部上場企業、SBIホールディングスを擁するSBIグループの、100パーセント子会社です。
引用元:LCレンディング(https://www.lclending.jp/)
↑その他、ソーシャルレンディングサービス「LCレンディング」を運営する、株式会社LCレンディングも、ジャスダック上場企業、LCホールディングス株式会社の子会社であることが知られています。
非上場企業によるソーシャルレンディング
引用元:クラウドクレジット(https://crowdcredit.jp/)
- 非上場企業であり、
- かつ、上場企業の100パーセント子会社にも該当しない、
という事業者が運営しているソーシャルレンディングサービスは、複数、存在します。
なかでも、有名どころとしては、クラウドクレジットなどが挙げられるでしょう。
なお、クラウドクレジット運営会社である、クラウドクレジット株式会社は、本日現在、非上場企業であり、かつ、どの上場企業の100パーセント子会社でもありませんが、
↑上掲のとおり、伊藤忠商事をはじめ、多数の有力企業・VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けていることでも知られています。
ベンチャー・中小企業がソーシャルレンディングを始めるには
ベンチャー・中小企業が新たにソーシャルレンディング事業を始める場合、基本的には、
- 第二種金融商品取引業の登録と、
- 貸金業事業者としての登録を受ける必要があります。
たとえば、前掲のSBIソーシャルレンディングの場合であれば、同社ホームページにおいて、
引用元:SBIソーシャルレンディング(https://www.sbi-sociallending.jp/)
↑第二種金融商品取引業の登録情報と、
引用元:SBIソーシャルレンディング(https://www.sbi-sociallending.jp/)
↑貸金業の登録情報を、掲載・開示しています。
※その他、純然たるソーシャルレンディングとはやや異なりますが、不特法(不動産特定共同事業法)の緩和を利用した、クラウドファンディング形式の事業スキームもあり得ます。
詳しくは、専門士業従事者に御確認下さい。
不祥事多発中につき、タイミングについては、慎重な判断を。
今般、複数の既存ソーシャルレンディング事業者において、監督官庁から行政処分を受ける、という不祥事が発生しています。
引用元:関東財務局「maneoマーケット株式会社に対する行政処分について」http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/pagekthp032000761.html
↑2018年7月には、大手ソーシャルレンディン事業者「maneoマーケット株式会社」が、行政処分を受けましたし、
引用元:証券取引等監視委員会「エーアイトラスト株式会社に対する検査結果に基づく勧告について」https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2019/2019/20190222-1.htm
↑2019年2月には、前年末に行政処分勧告・行政処分を受けたばかりの、エーアイトラスト株式会社(※ソーシャルレンディングサービス「トラストレンディング」を運営)が、2度目の行政処分勧告を受ける、という事態も発生しています。
相次ぐ不祥事の影響で、市場も監督官庁も、神経質になっている時期にあたりますので、新規事業としてのスタートアップにあたっては、そのタイミングについて、慎重にご検討為さることをお勧めいたします。
規制緩和の情報も。
引用元:日本経済新聞「貸付型クラウドファンディング、投資家に融資先開示」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31871260W8A610C1MM8000/
↑現在、貸金業法による規制の関係で、ソーシャルレンディング事業者が資金を貸し付ける相手先の企業情報等は、匿名化されていますが、この点について、規制緩和の情報も出てきています。
こうした趨勢をよくご勘案なさったうえで、ベストな市場参入タイミングをご検討頂くことが、よろしいものと思料致します。
ベンチャー・中小企業にとっての「資金繰り策」としてのソーシャルレンディング
新たな資金調達手法として、ソーシャルレンディングに注目しているベンチャー・中小企業も、少なくありません。
ソーシャルレンディング事業者から資金調達を行う場合、
- (銀行等一般金融機関からの資金調達と比べ)審査がスピーディー。
- 担保設定等の審査基準が柔軟な場合が多い。
- 元金については、満期一括返済が可能なケースもある。
- 個人事業主でも借り入れが出来る場合がある。
- 早期繰上返済が可能なケースもある。
など、様々なメリットがありますが、その反面、高い金利等、看過できないデメリットもあります。
詳しくは、こちらの別記事をご参照下さい。
↓
「ソーシャルレンディングから資金を借りたいのですが…」資金需要者にとって、ソーシャルレンディングは、どうなのか。
ベンチャー・中小企業にとっての「資産運用策」としてのソーシャルレンディング
高い利回りで、投資家から大きな注目を集めている、ソーシャルレンディング。
剰余金の運用のために、ソーシャルレンディングに関し情報収集を行っている中小企業事業主も、少なくないものと思料されます。
法人口座の開設に対応しているソーシャルレンディング事業者は多い。
中小企業事業主が、法人名義で、ソーシャルレンディング投資を行う場合、当然、各ソーシャルレンディング事業者において、法人格口座を開設する必要があります。
本記事執筆本日現在、法人名義での投資口座開設に対応しているソーシャルレンディング事業者は、決して少なくありません。
引用元:SBIソーシャルレンディング「法人名義で投資家登録することはできますか?」https://www.sbi-sociallending.jp/faq
↑前掲のSBIソーシャルレンディングでも、法人口座の開設に対応していますし、
引用元:オーナーズブック「法人口座の登録手続き方法を教えてください。」https://www.ownersbook.jp/spweb/faq/detail/107/
↑オーナーズブックの場合でも上掲のとおりです。
詳しくは、各ソーシャルレンディング事業者へとお問い合わせ下さい。
延滞も発生中。事業資金の運用には最大限の注意を。
本記事執筆本日現在、国内複数のソーシャルレンディング事業者において、ファンドの償還の延滞・遅延が発生しています。
引用元:maneo「延滞債権/デフォルト債権一覧」https://www.maneo.jp/apl/fund/repayment/delayhistory
↑国内大手ソーシャルレンディン事業者「maneo」においては、現在、複数のファンドにおいて、延滞が発生している状況ですし、
引用元:ガイアファンディング「【延滞発生に関するご報告】 2018年11月19日運用終了予定案件および全ファンドの利息」https://www.gaiafunding.jp/apl/information/news?id=473
↑米国不動産市場への投資案件を主に取り扱っていたソーシャルレンディング事業者「ガイアファンディング」においては、2018年11月、全ファンドの利払い延滞を発表しています。
ベンチャー・中小企業が、貴重な現預金をソーシャルレンディング投資に回す場合、極めて慎重な検討を要する状況であることに、くれぐれも、ご留意ください。
ベンチャー・中小企業ならば、ソーシャルレンディング投資よりも、各種節税策のほうが有効?
中小企業ならば、掛け金を損金計上することが可能な、「中小企業倒産防止共済(セーフティ共済)」の活用も、可能な場合があります。
中小企業の事業主個人においては、小規模企業共済を活用して、個人的な節税を図ることも考えられるでしょう。
一見導入ハードルが高く見える、企業型確定拠出年金においても、SBI証券が提供する「SBI証券ダイレクト401kプラン」のように、小規模企業・中小企業でも制度を取り入れやすくするサービスも出てきています。
ソーシャルレンディングを始めとする「投資」の場合は、延滞や元本棄損のリスクがあります。
その反面、国の制度にサポートされた、適切な節税策の運用においては、節税メリット額がそのまま、会社にとってプラスのキャッシュフローとなります。
リスクのある投資商品へと資金を振り分ける前に、まずは、税理士等、各分野の専門家にご相談為さってみては、いかがでしょうか。
※法人名義でのソーシャルレンディング投資については、こちらの別コンテンツもご参照下さい。
↓
「ソーシャルレンディングに法人名義で投資したいのですが…」|ソーシャルレンディング・ラボ
ソーシャルレンディングとベンチャー・中小企業の関係まとめ
本記事においては、ソーシャルレンディングとベンチャー・中小企業との関係性について、まとめさせて頂きました。
少しでも、ご参考と為さって頂ける内容と出来たのであれば、幸甚です。
ソーシャルレンディング・ラボの全てのQ&A企画・豆知識コンテンツについては、こちらからご覧下さい。
↓
ソーシャルレンディング・ラボ【Q&A・豆知識コンテンツ一覧】
投資家からも、資金需要事業者からも、高い注目を集める、ソーシャルレンディングではありますが、業界の成熟は道半ばであり、いくつかの「危険会社」の存在にも、留意を要します。あらかじめ、こちらの過去記事も、ご参照下さい。
↓
ソーシャルレンディング危険会社ランキング【最新版】ソーシャルレンディング・ラボオリジナル企画はこちら
それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会いいたしましょう。
※本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。
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