さくらソーシャルレンディングにて、「さくら北海道(札幌)セレクトファンド119号」が公開されています。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://www.sociallending.co.jp/fund/detail?fund_id=333

本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図

さくらソーシャルレンディングのファンドスキーム図
引用元:さくらソーシャルレンディング

資金の借り手

さくらソーシャルレンディングにとっての直接的な貸付先は、事業者B社です。
ただし、同社はさくらソーシャルレンディングの関連会社。
ひいては、本事業の実質的な債務者(借り手)としては、事業者B社から資金を借り受ける、売掛債権買取事業者「T社」であると見なすのが妥当です。

貸付資金の総額

本ファンドからの貸付は、819万円。
ただし、同一シリーズの複数号ファンドを経由し、総額では1,656万円が、さくらソーシャルレンディングから事業者B社に対し融資される、とのこと。

借り手の資金使途

事業者B社から資金を借りるT社としては、借り入れた資金を、介護事業者1社(2事業所)の売掛債権(診療報酬債権等)の買取資金に充当、とのこと。

貸付・運用の期間

貸付実行が、2019/02/08。
返済完了(予定)は、2019/10/31。
約8カ月間の貸付・運用となります。

設定担保

  • 事業者T社の保有する本件買取債権について譲渡担保を設定したうえで、
  • 事業者T社の株式に質権を設定する、

とのこと。
また、別途人的担保(保証)として、事業者T社の代表者他1名の連帯保証が付される、とのこと。

返済原資

事業者T社としては、買取債権の転売代金、または、債権買取元事業者による債権買戻し資金を、事業者B社への返済原資とする、とのこと。

本ソーシャルレンディングファンドの期待利回り

6.75パーセント、とのことです。

本ソーシャルレンディングファンドの最低投資額

本ファンドに関しては、2万円以上から、出資が可能です。

本ソーシャルレンディングファンドの検証ポイント

私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
実際の投資是非の判断においては、必ず、各投資家様それぞれ、皆様ご自身において、ご検討・ご判断を為さって頂きますよう、お願い致します。

さくらソーシャルレンディング得意のファクタリング案件

スキームは一見ややこしく思えるかもしれませんが、要は、事業者T社という、ファクタリング業者に対し、資金を融資する、というファンドと解してよろしいでしょう。
事業者T社としては、顧客事業者(本件であれば、介護事業者)の所有に係る売掛債権を、額面よりも安く買い取り、その後当該債権を転売したりすることによって、利益を得る、という構成です。
銀行等金融機関からの借入、等と言った、伝統的な資金調達手法と比較し、資金繰り策としての良悪は、別として、
昨今、ある程度、広まりつつある経済的施策のようですね。

事業者T社は、さくらソーシャルレンディングにとって、一見の客ではない。

さくらソーシャルレンディングのファンドについては、これまでも幾たびか、検証をして参りましたが、今回の債務者たる事業者T社というのは、さくらソーシャルレンディングのファクタリング事業者向け融資案件で、よく登場する事業者です。
一定程度、満期償還実績等も、積み上げては来ているものと思料されます。

保全については留意を。

ファンド概要を読み込む限りにおいては、保全効能について、いくつか、留意を要するポイントがあります。

人的担保の効能には限度がある。

担保権が発生する資産について、具体的に明記される、物的担保と違い、人的担保(保証)の場合は、債権回収の対象となる連帯保証人所有下資産は、特定されていません。
このため、物的担保が設定されている場合と比べると、実際の債権回収シーンにおいて、一定程度の困難が予想されます。

譲渡担保が設定される債権の額面の記載がない。

事業者B社からT社への貸付は、2,484万円、とのことですが、これに対して、事業者T社の「いくら分の」債権に対し、譲渡担保が設定されるのか、具体的な明記がありません。

事業者T社の株式への質権設定についても、一定の留意を。

事業者T社の発行済株式の何パーセント分に対し、質権が設定されるのか、明記が見当たりませんでした。
株主総会決議を単独で通せる51パーセント以上の株式に質権を設定するのか、それとも、49パーセント以下の株式に対してのみ、質権設定をするのか、で、債権回収時の難易には、ある程度の影響が発生してくるものと思料されます。

本記事執筆現在の資金応募状況は

さくらソーシャルレンディングのファンドの資金調達状況
引用元:さくらソーシャルレンディング

まだ、ファンドが公開されてから間がないので、本記事執筆現時点では、上掲のような状況です。

まとめ

記事中には、当ラボの私的見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

有力ソーシャルレンディング事業者各社を、ランキング形式で分析した、こちらの旧記事も、おすすめです。是非、ご覧になってみてください。

【ソーシャルレンディングランキング決定版】利回り・投資対象国・担保設定状況・出資のしさすさ。異なる視座から人気ソーシャルレンディング事業者を徹底ランキング。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。

本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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