クラウドクレジットにて、ソーシャルレンディングファンド「メキシコ省エネ事業支援ファンド1号」が公開されています。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

本ソーシャルレンディングファンドの概要

同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。

本ソーシャルレンディングファンドの詳細情報ページのURL

こちらです。

https://crowdcredit.jp/fund/detail/587

本ソーシャルレンディングファンドのスキーム図


引用元:https://crowdcredit.jp/fund/detail/587

資金の借り手

中南米地域において、省エネ事業や再生可能エネルギー事業に投融資を行うファンド、PP社が、
メキシコ合衆国に設立し、かつ運営する、子会社P社、が、資金借り手となります。
それぞれについて、掲載されている情報をまとめますと、下記のようになります。

PP社について

本事業の借り手事業者P社の、親会社にあたります。本社は米国フロリダ州マイアミ、とのこと。

2010年にカナダに設立されて以降、複数の政府や国際開発金融機関から出資を受けつつ、北米を本拠に、主に中南米地域において、様々な省エネ事業や再生可能エネルギー事業を展開するファンド、とのこと。
同社の主な投融資先事業は、下記の2種。

  1. 地方自治体や商業施設などに対して、消費電力量を削減するためのアドバイスや、必要な機器のリースを行う省エネ事業
  2. 太陽光や地熱発電などによる自家発電設備を導入する再生可能エネルギー事業

PP社には、欧州や中南米の政府機関に加え、米州開発銀行、日本政府もその意義に賛同し、また専門的知見を評価したうえで、出資をしているとのこと。
PP社が投資対象を選ぶ際には、投資利回りに加えて、その対象のもたらす自然的及び社会的な環境への影響も評価する「トリプル・ボトムライン」を基準とし、原則として同基準に合致するものに投資を行っている、とのこと。
トリプル・ボトムラインの具体的内容は下記の通り。

  • 金銭的成果(目標の利回りの達成)
  • 社会的成果(現地中小企業の雇用創出や発展機会)
  • 環境的成果(消費電力節約(省エネ)と温室効果ガス排出量の削減)

これまで、中南米地域6ヵ国において、28件、合計70百万米ドル(日本円にして、70億円から80億円前後)にのぼる投資を行ってきた、とのことです。

P社について

上述のPP社の子会社として、メキシコに設立され、2015年10月より事業を行っている事業者です。今回は、このP社が、資金の借り手企業となります。

P社は、親会社であるPP社から、技術面&金融面の支援を受けつつ、現在、メキシコ国内の複数のリゾートホテルに対し、省エネ事業を展開している、とのこと。
より具体的には、メキシコのビーチリゾートで知られるカンクンの複数のホテルを対象に、LED照明やインバーター搭載エアコン、屋根上設置型の太陽光温水器(ソーラーパネル)などを導入し、必要な機器一式をリースしている、とのことです。
※これらの機器には日本製も多く使われているらしい。
※P社の収入は、そうしたホテルから受け取るリース料です。

2015年10月の事業開始以降、P社の業績は堅調に伸びており、2017年12月期(2017年度)は、売上高が対前年度比31%増の898千ドル(日本円にして1億円前後)となった、とのこと。
2017年度の最終損益は、僅かに756ドルの赤字となったが、翌2018年6月期の半期決算では売上高485千ドル(日本円で5千万円前後)、最終利益253千ドル(日本円で2500万円~3000万円ほど)を計上し、12月の通期決算では500千ドル程度(日本円で5000万円ほど)の黒字で着地する計画、とのこと。
なお、現時点では、株主であるファンドPP社以外からの有利子負債は、無いそうです。

なお、PP社は、P社に対し、技術的および資本の提供という形で支援を行っていますが、万一、P社の業績が下振れた場合に、PP社としは、P社の信用補完等を行う義務は負っていない、とのことです。

そんなP社の社員さんの様子としては、2つの写真が掲載されています。


引用:https://crowdcredit.jp/fund/detail/587


引用:https://crowdcredit.jp/fund/detail/587

貸付資金の総額

本ファンドの当初販売金額は、1000万円とのこと。
本ファンドの主たる事業はP社への融資ですから、資金の大半は、P社への融資金に充てられるものと思います。

借り手の資金使途

まず、前提条件として、メキシコ国内ではリゾートホテル他の商業施設が盛んに開発されているうえ、メキシコの電気料金は長期的トレンドではほぼ一貫して上昇傾向にあるため、カンクンの他のホテルや、メキシコ国内の他のリゾートへの展開余地もあり、資金借り手たるP社は、今後も事業を拡大することが期待されている、とのこと。
今回P社としては、既存事業の拡張および新規顧客獲得に伴って必要な運転資金が増えることから、本ファンドを利用した資金調達を行う、との考えのようです。

本ソーシャルレンディングファンドの貸付・運用の期間

37カ月の貸付・運用となります。

設定担保

担保は設定されません。

わたしたち個人投資家の期待利回り

期待利回り (貸付通貨建ての年利)は、6.7パーセント、とのことです。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。

P社との取引は今回が初。米ドル建ても気になる。

クラウドクレジットにとって、P社への資金融資は、今回が初めて、となります。
※この点は、念のため、クラウドクレジット側に確認を致しました。

すなわち、(当たり前ですが)償還実績は、皆無です。

また、資金の貸付・返済は、米ドル建てとなります。為替ヘッジは付与されていません。
この場合、資金貸付実行日と比べて、元本満期一括返済を受け付ける日が、円安ドル高、となっていれば、わたしたち個人投資家にとっては、有利となります。
逆に、資金貸付実行日と比べて、元本満期一括返済を受け付ける日が、円高ドル安、となっていれば、わたしたち個人投資家は、為替差損を被る可能性があります。
端的に言えば、

  • 「いま、米ドルは、割安だ」と思うのであれば、
    出資について、ポジティブな判断ができるでしょうし、
  • 逆に、「いまは、米ドルは、高いな…」と思うのであれば、
    少なくとも為替差損については、ある程度の覚悟をしなければならない、ということです。

せっかくですから、USD/JPY(米ドル/日本円)のチャート、見てみましょうか。


引用元:https://www.gaitame.com/market/chart/

日足で見ると、ずいぶん高く(=円安ドル高)見えますね。
7月中旬の高値から、一度揉んで、その後、7月中旬の高値をしっかりとブレイクしてきてますから、なかなか力強い上昇です。


引用元:https://www.gaitame.com/market/chart/

週足で見ると、少し印象が異なります。
2017年1月に高値を記録し、その後、下落。以降は、2017年3月頃の高値に複数回、アタックしているのですが、いずれも上値が重く、跳ね返されています。
現在も再度、同高値へと挑戦している、という形になりますので、もしここを明示的にブレイクすれば、かなり印象的な出来事となりうるかもしれません。

  • 日足で見ると、しっかりと高値を積み上げてきている。
  • 週足で見ると、これまで跳ね返されてきた高値に再挑戦中。これすらブレイクすれば、なかなかのインパクトがあり得る。逆に言えば、また跳ね返されるかもしれない。

という状況かと見受けられます(※あくまでも私見であり、かつ、ファンダメンタルズを無視したテクニカル分析に過ぎません)。

こうした中、今後の米ドル/円チャートの推移を、どう読むか。
特に、37か月後(!)のチャートを、どう読むか。
ここは、大いに意見が分かれるところでしょう。

社会性は高いファンドだが、純粋に営利目的で投資するなら、他ファンドのほうが得策か。

本ファンドの社会性・公益性については、高く評価できるものがある、と私も思います。
しかし、

  • 借り手企業との取引は、今回が初めて。
  • 為替ヘッジ無。
  • 想定利回り6.7パーセント。

という条件を見ると、
ごく平易に、営利目的(及び安全性優先)でファンド選びをするのであれば、
クラウドクレジットの現在募集中の他ファンド、例えば、【為替ヘッジあり】東欧金融事業者支援ファンド84号とかのほうが、無難ですかね…(あくまでも、私見です)。


引用元:https://crowdcredit.jp/fund/

こちらであれば、

  • 償還実績のある借り手企業ですし、
  • 為替ヘッジは付くし(円建て)、
  • 19か月で満期だし、
  • 期待利回りも8パーセントです。

このあたりは、各個人投資家自身にて、慎重に検討・判断していくべきところでしょう。

本記事執筆現在の資金応募状況は


引用元:https://crowdcredit.jp/fund/

残り8日で、現在26パーセント。
ここから、というところですかね。

まとめ

記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

私は現在、国内23社のソーシャルレンディング事業者に、資金を分散投資しておりますが、
その中でも、クラウドクレジットは、他のソーシャルレンディング事業者と比べて、私が多くの資金を投資させて頂いている事業者のひとつです。


引用元:クラウドクレジット

  • 個人投資家としては、為替ヘッジの有無、償還歴の有無、運用期間の長短、等々、幅広いオプションから、国際分散投資先(ファンド)を選別できる。
  • 伊藤忠商事株式会社等、国内有力企業から出資を受ける一方、社内の独立組織として投資管理部を設置する等、社内管理態勢の整備にも積極的。

等と言った特長のある事業者ですが、その分、個人投資家からの人気が高く、
ファンドによっては、資金募集開始から、ごく早期に、資金枠が埋まってしまう、というケースが多く見られます。

「いざ」という時の投資機会を逃さぬためにも、
あらかじめ、投資口座開設だけでも、済ませておくことをお勧めします。

追伸:
大手ソーシャルレンディング事業者各社を、担保設定や投資対象国、投資のしやすさや、信頼性、といった視点から、横断的に比較した、こちらの過去記事も、是非、お読みになってみてください。おすすめです。

【2021年4月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ9社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】


本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

Author Info

fill.media
fill.mediaの公式サイト。ソーシャルレンディング業界ニュースや、国内の各ソーシャルレンディング事業者に関する最新情報等、様々な投資関連情報を提供している。
公開済記事コンテンツは1,200件超、登録読者に向け無料にて発信しているニュース・メールの累計配信数は、8,000通を突破している。

メディア掲載歴(一部・順不同)
・朝日新聞デジタル&m
・財経新聞
・SankeiBiz
・RBBTODAY
・楽天Infoseekニュース
・excite.ニュース
・BIGLOBEニュース
・@nifty ビジネス
・Mapionニュース
・NewsPicks
・ビズハック
・MONEY ZONE
・Resemom
・SANSPO.COM
・Trend Times
・zakzak
・とれまがニュース
・徳島新聞