インデックス投資に今から取り組むのは遅い?|今からインデックス投資を始める人のメリットも整理
今からインデックス投資を始めるメリット
つみたてNISAやiDeCoなど、今からインデックス投資を始める人向けの支援策が充実している
日本では、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金制度)など、今から新たにインデックス投資にチャレンジしてみようと考える投資家を応援するための投資支援制度が、数多く充実しています。
まず、つみたてNISAに関しては、NISA口座内で保有する投資信託の値上がり益や分配金が、最長で20年間にわたり、非課税で運用できる、という、長期投資家にとっては到底看過できない、大きなメリットがあります。
また、インデックス投資の最大の難関と言われる「投資信託選び」に関しても、つみたてNISAの場合は、そもそも、つみたてNISA口座内で取得できる投資信託が、金融庁の認定銘柄(数百本程度)に限られていますから、インデックス投資初心者の方でも、(少なくとも、数千本もの投資信託から自分で投資信託を選ぶ場合と比較すれば)投資信託の手間ひまを大幅に削減できることとなります。
一方、iDeCoの場合は、毎月の拠出金が、全額所得控除になるという、大きな節税メリットがあります。
最終的に、老後資金として、それまで積み立ててきた資金を引き出すときにも、その受け取り方法に応じて、公的年金等控除が、退職所得控除、といった控除制度を利用することができ、受け取り時の税制についても、しっかりとしたフォローがなされています。
今から数十年前の時点では、こうした投資支援制度は全く整備されていませんでしたから、これらの支援制度を最大限に活用できるというのは、今からインデックス投資に取り組んでいこうと考えている人にとっては、大きな追い風といえます。
参考:
インデックス投資は儲かるのか|インデックス投資の儲けの仕組み、儲からない理由も徹底検証
信託報酬等のコスト面も、昔と比べ、今からインデックス投資を始める人は有利
投資家がインデックス投資に取り組む場合、自分自身で、インデックス指数と全く同じように、数百から数千もの銘柄に資金を分散投資するのは、原理的(及び、資金量の観点から)に、ほぼ不可能ですから、基本的には、投資信託(いわゆる、ファンド)を利活用することとなります。
投資信託を取得し保有する場合、投資信託の運用会社に対して、「信託報酬」と呼ばれる運用手数料を支払う必要がありますが、この信託報酬の料率に関しても、今からインデックス投資を始める人は、実に恵まれているといえます。
そもそも、昔は、「インデックス・ファンド」などと言うもの自体、全く存在しませんでした。
投資信託と言えば、アクティブ運用を行うものばかりであって、市場の指数に連動した投資成果の獲得を目指そうにも、投資信託を用いて行う事は出来ませんでした。
また、アクティブ運用を行う投資信託の信託報酬は極めて高率であったため、昔の投資家の多くは、今からインデックス投資を行おうとする人と比べれば、そもそものスタートの時点から、大きなハンデを背負っていたといえます。
ここ数年のインデックス投資の人気の高まりに応じて、投資信託の運用会社や販売会社も、「どれだけインデックス投資家に好まれるファンドを組成し、販売するか」という点に知恵を絞っていますから、
- 買い付け手数料無料の、いわゆる「ノーロード型」のファンドや、
- 信託財産留保額の設定がない(=ゼロパーセント)投資信託等も増えており、
今からインデックス投資を始める人にとっては、有利な環境が整えられているといえます。
参考:
インデックス投資では資産が増えない?まずは、インデックス投資で資産が増える仕組みの理解を
今から始める場合、インデックス投資家のブログなどを閲覧したうえで投資信託を選べる
遡ること10年以上前に、インデックス投資を始めた人々は、参考にすべき情報等もないままに、様々な運用会社が提供する、海の物とも山の物ともつかないような投資信託の中から、自分たちで試行錯誤しながら、ファンド選びを行ってきました。
また、どのような資産クラスに対して、どの程度の資産量を割り当てるのか、と言う、アセット・アロケーションに関しても、昔の投資家たちは、自分たちの資金をリスクにさらしながら、少しずつ実験を行い、知見を蓄積してきたものです。
この点、今からインデックス投資に取り組む投資家は、先輩インデックス投資家の運用するブログなども参考にしながら、彼らのスキルやノウハウを生かし、その轍を辿るようにして、インデックス投資に取り組むことができます。
先輩の後ろ姿を見て、その経験を生かしてインデックス投資に取り組むことができるのは、今からインデックス投資を始める人ならではの、大きなメリットといえます。
参考:
インデックス投資家の実践ブログをご紹介|投資ブログ閲覧のメリット&デメリットも確認
今からインデックス投資を検討する場合、ETFも考慮対象と出来る
上場投資信託(ETF)の場合、非上場投資信託と比較して、圧倒的にコストが安いと言うメリットがあります。
例えば、同じインデックスに対して連動する投資成果の獲得を目指す非上場投資信託が、年率換算で0.2%程度の信託報酬を提示しているところ、上場投資信託(ETF)ならば、0.05%未満程度の経費率を実現していることも多々あります。
さりとて、昔は、国外市場に上場しているETFを、日本人が日本にいながらにして買い付けるのは、大変なことでした。
高額な買い付け手数料も「かかって当たり前」という時代が長く続きましたが、今ならば、買い付け手数料無料で買いつけることのできる、いわゆる「フリーETF」も、ネット系の証券会社を中心に、多数、用意されています。
かつては、「高嶺の花」であった海外ETFを、気軽に売買できる時代となった事は、今からインデックス投資に取り組むにあたり、大きな武器となります。
参考:
インデックス投資では、ETFと投資信託、どっちを利用すべきか
今から始めるならば、インデックス・ファンドの乗り換えも簡単
昔は、インデックス指数に連動する投資成果を目指す、いわゆる「パッシブ型ファンド」そのものが、極めて少ない(選択肢が限られている)時代がありました。
今では、同じ指数に対して連動した運用をしているインデックス・ファンドが、指数ごとに、多数、取り揃えられています。
このため、より安い信託報酬等の経費率を提示するファンドも続々と登場しており、投資家においては、自分が現在使っているファンドよりもコスト構造などが優れた投資信託が登場すれば、さっさとそちらに乗り換えることも、容易な時代となりました。
この点もまた、今からインデックス投資を始める投資家にとっては、有利なポイントといえます。
※ただし、インデックス・ファンドの乗り換えにあたっては、「含み益に対する課税が生じる」及び「含み損がある場合、それが確定する」といった点に注意が必要です。
特に前者に関しては、実現した値上がり益に対する課税額が、信託報酬等のコスト削減によるメリットで、いつ頃までに(どの程度の年月で)回収できるかを、慎重に検討・計算する必要があります。
ネット証券会社の充実ぶりなども、今からインデックス投資を始める人にとって有利
昔は、投資信託を買い付ける場合も、事前に証券会社の窓口に出向いて、投資用口座を開設する必要がありました。
実際の買い付け作業も、営業員との対面か、電話口頭で行う必要があり、決して便利なものとは言えませんでした。
その点、今からインデックス投資を始める人は、当たり前のようにネット証券会社を使える、という強みがあります。
楽天証券やSBI証券、マネックス証券等のネット系証券会社を利用すれば、100円程度の少額から、投資信託の積立設定も可能です。
こんな便利な時代が来るとは、昔では到底、考えられませんでした。
今からインデックス投資を始める人が注意したい5つのポイント
「今からインデックス投資を始めるのは遅い」という指摘もある
現在、主要インデックス指数は高値圏にあり、「バブル崩壊は近い」と、現状を危惧する声もあります。
今からインデックス投資に取り組む場合、直後にバブル崩壊が起きれば、少なくとも短期的には、資産評価額が累計投資元本を下回る、いわゆる元本割れの状態が生じてしまうリスクが、当然、あります。
また、その後の不況が長期化すれば、元本割れの状態が、場合によっては10年以上もの長期に渡ってしまうリスクもあります。
参考:
インデックス投資前に知っておきたい、3つの失敗パターンとは
今からインデックス投資をスタートする場合、昔のような、資産クラス分散によるリスク低減効果は期待しづらい
昔は、「米国株と日本株」、「株式と債券」、などの資産クラスの組み合わせの間には、明確な逆相関が見られ、資産を複数の資産クラスに対して分散投資していれば、ポートフォリオ全体のリスクを低く保つ、いわゆる”分散投資効果”が、極めて顕著に見られたものです。
しかしながら昨今、経済のグローバル化などに伴い、資産クラスの間の相関係数が高まりつつあり、今からインデックス投資に取り組む投資家においては、かつての投資家が享受してきたような分散投資効果を得る事は、難しいのではないか、との指摘もあります。
為替の影響についても、今からETFを使ってインデックス投資を始める投資家は注意が必要
前述の通り、ETFには、非上場投資信託と比較して、経費率が圧倒的に低いと言う、大きなメリットがあります。
半面、海外の市場に上場しているETFを取引する場合、日本円と米ドルとの間の、為替変動の影響に注意する必要があります。
ETFの取得時と比較して、為替が「円安・ドル高」方向へと推移すれば、投資家は、為替差益を享受できる可能性がありますが、反面、為替が「円高・ドル安」方向へと動いてしまえば、為替差損が出てしまうリスクがあります。
今からETFを利用してインデックス投資に取り組む場合、こうした為替の値動きに対しても、一定の注意が必要です。
今から投資の勉強をしたい、という人は、インデックスよりも個別株投資が〇
インデックス投資の場合、単にインデックス・ファンドを定期的に買い付けるだけ、であり、ポートフォリオに含まれる各個別株式の分析等は行わないことが普通であるため、投資家にとっては、「投資の勉強になりにくい」という難点があります。
また、インデックス投資の場合、「投資家が株主優待を直接受け取ることができない」という、副次的ではありますが、意外な盲点も指摘されています。
- 今から、ゼロベースで、投資の勉強を始めたい、
- また、株主優待についても、楽しんでみたい、
等と考えている投資家においては、あえて、インデックス投資ではなく、個別の株式銘柄投資から始めてみた方が、メリットが大きい場合もあります。
世界経済が、今から更に発展するかどうかには、疑問視する向きも
インデックス投資において成功するためには、そのインデックス指数が、今後も、長期的に成長続けること、すなわち、世界経済が、今後とも高い成長率を維持することが必要条件となります。
しかしながら、本格的な人口減少社会の到来を目前に控え、世界経済が、今後とも、高率の成長を維持できるのかどうかに関しては、学者の間でも意見が分かれています。
今からインデックス投資に取り組む投資家においては、こうした点についても、あらかじめ十分な留意が必要です。
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