ソーシャルレンディング・サービス「SAMURAI FUND」から3ヶ月振りの新ファンド公開|融資先は不動産クラウドファンディング運営のグローベルス
SAMURAI証券株式会社(東京都港区赤坂一丁目7番1号 赤坂榎坂ビル11階)の運営するソーシャルレンディング・サービス「SAMURAI FUND」において、4月9日から、先着方式による募集が開始となる新ファンド「新宿区収益不動産担保付きファンド」(以下、同ファンド)の情報が先行公開されている。
同ファンドの募集総額は4,920万円(ファンドの最低成立金額は500万円)。運営会社の運用報酬を控除した、目標利回り(年率換算・税引き前)は、4.0パーセント。
募集は最長で4月15日まで行うが、応募が募集額の100パーセントに達した時点で、受付は早期終了となる。最低投資可能額は1万円。
ファンドが成立した場合、4月20日から11月1日まで、約半年間の運用予定期間に入る。
同ファンドの融資先は、東京証券取引所市場第二部上場「株式会社プロスペクト」の子会社、株式会社グローベルス(東京都品川区西五反田7丁目17番3号 五反田第2noteビル 5F。以下、グローベルス社)。グローベルス社としては、今回調達する資金を、既存借入金の借り換え資金として活用する一方、SAMURAI側(SAMURAI ASSET FINANCE株式会社)への返済原資としては、保有している不動産の売却資金、または、その他自己資金を見込んでいるという。
なお、今回の貸付にあたり、SAMURAI ASSET FINANCEは、グローベルス社が東京都新宿区戸山に保有している1棟アパート(担保評価額5,550万円)に対し、第一順位の根抵当権を設定する。
グローベルス社は、マンション分譲事業や、戸建て事業、商業施設事業などを展開する不動産事業者だが、不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディング・サービス「大家ドットコム」の運営会社としても知られる。
なお、同ファンドは、SAMURAI FUNDとしては、昨年末に募集した、「南青山不動産 日本保証 保証付きファンド」以来、約3ヶ月振りの新規ファンド。2021年に入ってからは、初めてのファンド募集となる。
参考:
新宿区収益不動産担保付きファンド|SAMURAI FUND
証券会社運営のソーシャルレンディング「SAMURAI (SAMURAI FUND)」とは
引用元:SAMURAI
ジャスダック上場企業「Nexus Bank株式会社」の100パーセント子会社である、SAMURAI証券株式会社が運営する、ソーシャルレンディング・サービス。
参考:
SAMURAI FUND|公式サイト
国内ソーシャルレンディング事業者の多くが登録を取得している、「第二種」金融商品取引業よりも、資本要件等の厳しい、「第一種」金融商品取引業の登録事業者(SAMURAI証券株式会社)が運営にあたっているという点に、特色がある。
2019年6月には、新社長、中山幹之氏が就任(2020年12月には、新社長として、山口慶一氏が就任)。同年7月以降を「第2創業期」と位置づけ、画期的な商品・サービスの創造に努めるとしてきた。
同年9月には、SAMURAI証券株式会社の親会社、SAMURAI&J PARTNERS株式会社(当時)と、「さくらソーシャルレンディング」社筆頭株主であるビー・アイ・ジー・キャピタル株式会社、および、株式会社日本保証との間で、3社間業務提携が締結。
さらに10月には、SAMURAI&J PARTNERS株式会社(同)が、ソーシャルレンディング大手「maneo」運営会社、maneoマーケット株式会社と業務提携を行うなど、再編機運の高まる今般のソーシャルレンディング業界において、存在感を高めている。
2020年1月には、「SAMURAI FUND」として、ブランド・サイトのリニューアルを実施。同月からは、東京メトロ大手町駅において、交通広告掲載をスタートしている。
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ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)と、不動産クラウドファンディングを比較
同ファンドは、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)事業者から、不動産クラウドファンディング事業者への融資、と見ることも出来る。
ソーシャルレンディングと、不動産クラウドファンディングとの間には、主に、下記のような類似点・相違点がある。
ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの類似点
- 利回り:
ソーシャルレンディングも、不動産クラウドファンディングも、想定されている期待利回りは、概ね、年率換算数パーセント~10パーセント弱程度、とされている。 - 運用期間:
双方、短い場合で半年程度、長期の場合で1年~2年間程度の運用期間が想定されているケースが多い。 - 小口出資:
ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディング、いずれにおいても、1万円程度~の少額出資が可、とされていることが一般的。
※ただし、一部の事業者や、ファンドにおいては、最低投資額が10万円程度、とされているケースもある。 - 匿名組合契約:
融資型の場合も、不動産投資型の場合も、投資家は、サービス運営会社との間で、匿名組合契約を締結することとなる。
ファンドの運用期間中の実務については、いずれの場合も、サービス運営会社に一任されることとなる。 - 電子取引:
不動産クラウドファンディングの場合も、ソーシャルレンディングの場合も、投資家登録や、ファンドへの出資、といった手続きは、いずれも、オンラインで(電子取引により)完結する。 - 中途解約不可:
融資型・不動産投資型、いずれの場合も、ファンド運用期間中の、出資の中途解約は、原則として、不可、とされている。
※ただし、不動産クラウドファンディングの場合、一部の事業者においては、出資の中途解約を可としているケースもある(手数料が生じる場合がある)。
ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの相違点
- 法的根拠:
融資型クラウドファンディングは、金融商品取引法、並びに、貸金業法の規制を受ける。不動産クラウドファンディングの場合、不動産特定共同事業法の規制下にある。 - 監督官庁:
ソーシャルレンディングの場合、金融庁が監督官庁にあたる。不動産クラウドファンディングの場合、国土交通省の監督下にある。 - 投資対象:
不動産クラウドファンディングの場合、ファンドが投資対象とするのは、実物不動産(レジデンス物件や、レジャー物件、オフィス物件等)。これに対し、ソーシャルレンディングの場合、実質的な投資対象となるのは、貸付債権。 - リスク内容:
融資型クラウドファンディングの場合、貸付先がソーシャルレンディング事業者への元利金返済を怠り、貸し倒れや、延滞が生じることが、投資家にとって最大のリスク要因となる。
不動産クラウドファンディングの場合、投資対象不動産が予定通りの賃料収入を得ることが出来なかったり、不動産の最終的な売却が奏功しなかった場合に、元本割れなどが生じる可能性がある。
ただし、不動産クラウドファンディングの場合、運営会社の劣後出資により、投資家の優先出資元本が保護される、「優先劣後方式」が採用されているケースがある。 - 市場規模:
ソーシャルレンディングの場合、上位数社の累積融資額・募集額は、既に1,000億円を突破している。
これに対し、不動産クラウドファンディングの場合、業界大手と言われるCREAL(クリアル)の場合でも、累計調達額は80億円強程度(2021年3月時点)。 - 上場企業運営サービスの数:
不動産投資型の場合、プロパティエージェント社の「Rimple」、穴吹興産の「ジョイントアルファ」、トーセイの「TREC Funding」など、東証一部上場企業が直接運営にあたっているサービスが複数あるほか、その他市場(マザーズや、ジャスダック)上場企業の参入も多い。
融資型クラウドファンディングの場合、上場企業が直接運営にあたっているサービス(※上場企業子会社がサービス運営している物を除く)としては、ロードスターキャピタル社(マザーズ)運営の「オーナーズブック」等に限られる。
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