【ソーシャルレンディングファンド検証】さくらソーシャルレンディング「【会員連携サービス開始記念!!】さくら北海道(札幌)セレクトファンド50号 (2案件)」の場合。

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約1年ほどが経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを題材に、各社の特徴や、ファンドごとのリスク・リターンのバランス等を検証する本企画。
今回は、さくらソーシャルレンディングが2018年に資金募集を行ったソーシャルレンディングファンド、「【会員連携サービス開始記念!!】さくら北海道(札幌)セレクトファンド50号 (2案件)」を題材に、読み解きを進めて参りましょう。
※なお、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。

投資申し込み完了のエビデンス

今回検証対象となるソーシャルレンディングファンドについては、私も個人的に出資を行っています。
さくらソーシャルレンディングのマイページ、「投資履歴」からのスクリーンショット抜粋がこちら。

さくらソーシャルレンディング
引用元:さくらソーシャルレンディング

本ファンドの概要

さくらソーシャルレンディングのホームページ(https://www.sociallending.co.jp/fund/detail?fund_id=180)から確認した、本ファンドの詳細情報としては、下記の通りです。
※なお、本ファンドからの融資は、「案件1」と「案件2」に分かれておりますが、今回、資金の大半を融資する、「案件1」のほうに関してのみ、詳説をさせて頂きます。

本ファンドのスキーム図

同社のファンド詳細ページ(https://www.sociallending.co.jp/fund/detail?fund_id=180)から確認した、本ファンドのスキーム図としては、下図の通りです。

さくらソーシャルレンディング01
引用元:https://www.sociallending.co.jp/fund/detail?fund_id=180

資金の借り手

さくらソーシャルレンディングにとっての直接の債務者は、「事業者B社」ですが、事業者Bは、さくらソーシャルレンディングの関連会社である、とのこと。
このため、本ファンドの実質的な「借り手」としては、最終債務者たる、事業者T社である、と考えておくのが素直でしょう。

事業者T社については、下記のような情報が記載されていました。

  • 売掛債権の買取・転売などを行っている事業者。
  • 札幌市に所在。

貸付資金の総額

さくらソーシャルレンディングの関連会社である事業者B社は、事業者T社に対して、2,588万8千円を融資済、とのこと。
※事業者T社は、その資金で、介護事業者2社(3事業所)から、診療報酬等の売掛債権を購入した、とのこと。

そうしたなか、さくらソーシャルレンディングは、事業者B社に対して、本ファンドを通しては、685万円を融資します。
ただし、さくらソーシャルレンディングは、事業者B社に対し、本ファンド(第3次募集)以外に複数回のファンド組成を行い、総額では、2,000万円の募集・貸付を行う、とのこと。

借り手の資金使途

事業者T社としては、事業者B社から借り入れた資金を原資に、介護事業者から債権買取を行った、という旨は、上述の通りです。
事業者T社に対して融資を行った事業者B社としては、今回さくらソーシャルレンディングから借り入れる資金により、手元資金を補充し、事業者T社から返済を受けるまでのつなぎ資金にする、といったところでしょうか。

貸付・運用の期間

わずか3ヶ月の短期運用となります。

設定担保

まず、事業者B社としては、事業者T社に対して有する貸付金債権を保全するため、

  • 事業者T社が介護事業者から買い取った債権に関して、譲渡担保を設定。
  • 事業者T社の株式に対しても、質権を設定。
  • 事業者T社の代表者からの連帯保証を取得。

上記のような担保を設定、とのこと。

対して、さくらソーシャルレンディングとしては、事業者B社に対して有する貸付金債権を保全するため、

  • 上述の譲渡担保債権に対して、質権を設定。
  • 事業者B社の代表者の連帯保証を取得。

上記のような担保設定を行う、とのこと。

返済原資

事業者T社から事業者B社に対する返済の原資としては、事業者T社が、介護事業者から買い取った債権を、第三者に転売したり、はたまた、元来の債権保有者である、介護事業者に、当該債権を買い戻してもらうなどして、確保する、とのこと。
事業者B社からさくらソーシャルレンディングに対する返済の原資については、これといって具体的な明記は見当たりませんでしたが、基本的には、事業者B社としては、事業者T社から回収した元利金を原資に、さくらソーシャルレンディングに対する元利金返済を行う予定であるものと思われます。

わたしたち個人投資家の期待利回り

6.65パーセント、とのこと。

ファンドの最低投資額

2万円以上から投資可能。

本ソーシャルレンディングファンドの資金募集達成度は

47件の出資を集め、100パーセントの資金募集を達成しています。

運用・返済状況は

2018/05/01、予定通りの満期償還を完了しています。

本ソーシャルレンディングファンドのポイント

私が考える、本ソーシャルレンディングファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、あくまでも、私の個人的な見解です。

担保設定は少々複雑に映るが…

わたしは現在、23社のソーシャルレンディング事業者に対して分散投資を行っており、投資してきたファンドもある程度の数量に達していますが、本ファンドの担保設定に関しては、少々、複雑である、との印象を禁じ得ません。
そして、おそらく最も肝心なポイントである、下記の情報が、ファンド詳細ページからは、見当たりません。

  • 事業者T社が、事業者B社からの借入金を原資に、介護事業者から買い取った、債権は、具体的には、いくら分(円)の、債権だったのか。その債権を、総額いくら(円)で、買い取ったのか。
  • 上記の債権をを、事業者T社は、何割程度、回収できる見込みなのか。債権を第三者に転売する場合、どの程度の対価で売却できそうなのか。債権を介護事業者に買い戻してもらう場合、どの程度の対価で買い戻してもらえそうなのか。

上記の情報は、事業者T社の本事業の成功・不成功を占ううえで、比較的重要な情報であり、すなわち、事業者B社が、事業者T社から、無事に貸付金債権を回収できるか、どうかを判断するためにも、重要な情報であり、そして最終的には、さくらソーシャルレンディングが、事業者B社から、無事に貸付金債権を回収できるか、どうかを検討するために、大切な情報であろうと、思うのですが、この点に関する詳しい情報は、少なくとも、本ファンド詳細ページからは、見当たりませんでした。

利回りはバリュー。貸付期間はわずか3ヶ月。

わたしたち個人投資家の期待利回りは6.65パーセントであり、比較的高利回りと言えます。
それでも、本ファンドの貸付・運用期間が、「1年以上」などの長期であれば、さすがに、消極的に判断せざるを得ませんでしたが、本ファンドについては、わずか3ヶ月の運用、とのこと。
この点は、ポジティブな判断材料となりました。

本ソーシャルレンディングファンド検証のまとめ

ソーシャルレンディング各社の過去ファンドを検証し、各社の特徴や、ソーシャルレンディングファンドごとの特色、そして、ファンド概要の読み解きのヒントを探る本シリーズ。
今回は、さくらソーシャルレンディングのソーシャルレンディングファンド「【会員連携サービス開始記念!!】さくら北海道(札幌)セレクトファンド50号」を題材に、検証をさせて頂きました。

しつこいようで申し訳ありませんが、
本記事文中の表現は、いずれも、私のごく個人的な意見に過ぎません。
その点は、くれぐれも、ご承知おきください。

しかし、あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからソーシャルレンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、
ファンド概要の読み込みの具体例として、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、嬉しい限りです。

ソーシャルレンディング会社ごとの資本金額や、各案件の年利リターン、初心者へのおすすめランキング等、様々なアングルから、国内大手ソーシャルレンディング事業者をランキング形式で検証した、こちらの記事も、是非、ご参照下さい。

ソーシャルレンディング大手業者をランキング。案件リターン&国際分散度&担保設定状況、ユーザー登録数等々、異なるアングルから国内ソーシャルレンディング業者をランキング。

それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう!

本寄稿内容は、寄稿者の個人的な見解・体験・意見であり、その内容は、当ラボの公式見解と異なる場合があります。
また、本記事は、読者様への情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品(ファンド等含む)への投資勧誘を目的としたものではありません。
個別のソーシャルレンディング事業者における投資口座開設や、実際の投資是非に係るご判断につきましては、必ず、読者様ご自身にて、為さって頂きますよう、お願い致します。

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