ソーシャルレンディングと「不景気」の関係

寄稿者紹介

個人投資家Y.K氏。
2018年初旬からソーシャルレンディング投資を始め、約2年が経過。
合計20社以上のソーシャルレンディング事業者に投資口座を開設し、累計投資額は400万円以上。
30代男性会社員・首都圏在住。

不景気下のソーシャルレンディング投資は”あり”?

”不景気”といえば、株安。
企業の経営成績の下揺れ等に伴い、株価がどんどん下がっていくのが、いわゆる”不景気”と呼ばれる時期の特徴のひとつです。

そうした中、株式投資や投資信託とは異なり、市場における株価の変動(特に、下落)の影響を受けにくい、とされるのが、ソーシャルレンディング投資。
上場企業の株式などと異なり、ソーシャルレンディング投資の”出資持分”には、そもそも、それを交換・換価するための「市場」が設けられていませんから、”市場の影響を受けない”というのは、ある意味、当たり前のことと言えます。

とはいえ、ソーシャルレンディング投資も、経済の循環・歯車の中の、ひとつの投資分野に過ぎません。
市況を大きく揺るがすような不景気の状況下にあって、その影響を全く受けない、というのは、現実的な考えではありません。

景気が悪化しているときのソーシャルレンディング投資の注意点

私が個人的に考える、「不景気のときのソーシャルレンディング投資の留意点」としては、主に下記の通りです。

①不景気下では、「不動産担保」があてにならない

国内のソーシャルレンディング事業者が募集しているファンドの多くは、借り手企業への資金融資に際して、「不動産担保」を取っています。
これは、借手からの元利金返済が滞った場合、担保権を行使して、不動産を市場で売却するなどし、貸付金債権の迅速な回収を図るための、いわゆる”保全措置”です。

しかし、不景気下においては、まず、不動産の”価値”そのものが、下落するケースがあります。
融資実行のときには、「1億円」と見ていた不動産の価値が、不景気下における相場下落によって、9,000万円、8,000万円、と、その価値を下落させてしまうケースです。
そもそも不動産取引は、その他の一般財物の取引同様、あくまでも「需要」と「供給」によって成立しています。
このため、不景気によって需要が鈍ってしまえば、不動産資産の相対的な価値は、どうしても、下落してしまいます。

さらに、不景気によって銀行が貸し渋りをするようになれば、不動産の買い手の資金調達力が目減りし、結果的に、担保権を行使しようにも、担保権が設定された不動産の市中売却が、うまくいかなくなることが予想されます。
「この不動産ならば、〇〇万円で売れる!」と見込んでいたものが、1割引きでも売れない、2割引きでも売れない…となることが想定され、

  • 元来の担保評価額を大きく下回る値段での売却か、
  • 塩漬けにして、延滞状態を長く継続させるか、

という、苦しい選択を強いられる可能性も出てきます。

②不景気下では、借手の業績も悪化、資金難の客が増える

ソーシャルレンディング投資というのは、

  • ソーシャルレンディング事業者から資金融資を受けた「借り手企業」が、
  • 借りたお金を、ソーシャルレンディング事業者に対して、きっちりと(利息もそろえて)返済することによって、

初めて、成立するものです。

しかしながら、不景気下においては、当然、借手の経営状況・財務状況も悪化します。
このため、借り手企業からソーシャルレンディング事業者への元利金返済に遅延が生じやすくなり、さらに、担保権が設定されていた不動産の売却が(上述のように)不調に終われば、

  • 長期にわたる、ファンドの延滞や、
  • (最終的にファンドが償還できたとしても)出資元本が大きく毀損してしまう、

というケースが想定されます。

また、不景気が深刻化すれば、銀行は融資基準を厳格化し、いわゆる”不良債権”を抱えることを防ごうとします。
すると、銀行から資金を借りることが出来なくなった企業が、ソーシャルレンディング事業者からの資金調達を試みることとなります。

これは、ポジティブに見れば、ソーシャルレンディング事業者・業界にとっては、ひとつのチャンスでもあるのですが、
このときに、借入希望の企業群に対して、しっかりとした「貸金業者としての目利き力」をもって臨まないと、
結果として、ソーシャルレンディング事業者が、多くの不良債権を抱えるような事態とも、なりかねません。

銀行から資金融資を断られ、資金難に陥った借り手企業としては、
「金利はたとえ高くてもいいから、貸してくれ」
となりがち。
自然、ソーシャルレンディング事業者が投資家に対して提案するファンドの利回りも、極めて高くなってくるでしょうが、
わたしたち個人投資家としては、そうした「見かけ上の利回り」に踊らさせることなく、市況等を鑑み、出資の是非を慎重に検討する必要があります。

ソーシャルレンディング投資といえども、景気動向には十分な注意が必要

ソーシャルレンディング投資が、上場企業株式投資などと比べ、「株安」の影響を受けにくい、という言説そのものは、ある程度、真実味のある事であり、
また、不景気によって銀行が貸し渋りをするような時期は、確かに、ソーシャルレンディング事業者・業界にとっては、チャンスでもあります。

ただし、不景気の影響は、各ファンドや、そのファンドから資金融資を受ける企業群にも、必ず、現れます。
わたしたち個人投資家としては、うわべの「想定・予定利回り」だけに惑わされることなく、景気動向などをしっかりと見据えたうえで、各ファンドへの出資是非を、平時と比べ、より慎重に検討する必要があります。

くれぐれも、「不景気でも、ソーシャルレンディング・ファンドならば、投資しても大丈夫」などと、無作為に出資を行うようなことは、避けてください。

各ファンドの具体的な事業内容や、設定される不動産担保の価値評価の妥当性(今後の市況の更なる悪化可能性を踏まえても、十分に妥当・慎重な担保評価額といえるか、どうか)などを、ひとりひとりの目で、しっかりと見極めたうえで、心から安心できないような案件には、(特に不景気の状況下においては)出資を控えるべきである、と、私は個人的に、思います。


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