インデックス投資における「アセットアロケーション」とは

【アセットアロケーションも自由自在】個人投資家に人気の「インデックス投資」とは

単一の、ないしは、少数の株式銘柄に対して、資産を集中的に投資するのではなく、数百から数千もの株式銘柄等に対して資産を分散投資する、投資信託に投資することによって、株式市場等の平均値、すなわち、「インデックス」(指数)に連動した投資成果の獲得を目指す投資スタイルを、インデックス投資といいます。

様々な資産クラスの配分、すなわち、「アセットアロケーション」に配慮しながら、リスクを最小化し、かつ、リターンを最大化するポートフォリオの構築を目指します。

インデックス投資の始め方

投資家が、インデックス投資を始める場合、基本的には、下記のような流れをたどることとなります。

自分のリスク許容度を把握

インデックス投資を始めるにあたり、自分自身のリスク許容度を把握することは、極めて大切なステップとなります。
アセットアロケーションを決定するに際しても、つまるところは、その人自身が、どの程度のリスク、すなわち、利回りのボラティリティーを許容することができるのか、が大切な判断基準となりますので、リスク許容度診断なくして、長期的なインデックス投資を始める事は難しいのが実情です。
投資家が、自分自身のリスク許容度を診断するにあたっては、専門書などを購読しても良いですし、ロボアドバイザーなどのウェブサービスを活用して、数点の質問に回答することで、客観的なリスク許容度把握に役立てることも可能です。

リスク許容度に応じて、アセットアロケーションを決定

インデックス投資において、リスク許容度に応じて、アセットアロケーションを決定
インデックス投資における最適なアセットロケーションは、実は、各投資家のリスク許容度に依存しています。このため、各投資家の年齢や資産量、投資目的に応じて、最適なアセットロケーションは千差万別となります。
※画像はイメージです。

自分自身が、どの程度のリスクをとることができるのかを、客観的に把握することが済んだら、次は、そのリスク許容度に応じて、アセットアロケーションを決定します。
アセットアロケーションは、株式や債券、コモディティーや不動産等で構成されますが、基本的に、リスク許容度が高い投資家ほど、株式の比率が高いアセットアロケーション、そして逆に、リスク許容度が低い投資家ほど、債券や不動産等の比率が大きいアセットアロケーションを選択することが一般的です。

アセット(資産クラス)ごとにインデックスを決定

アセットアロケーションを決定することができたら、次は各アセット、すなわち、資産クラスごとに、追随するインデックス(指標)を決定します。
というのも、1つの資産クラスの中には、複数のインデックス指数が混在していることが一般的だからです。
例えば、国内株(日本株)と言う資産クラスの場合でも、日経平均株価や、トピックスなど、複数のインデックスが存在しますので、この中から、投資家自身が、どのインデックスを追随して投資していくのかを、決定する必要があります。
基本的には、1つのアセットクラスの中で、インデックスは1つ、選択することとなります。
複数のインデックスを選択したとしても、基本的には、単一のアセットクラスの中では、ほぼ同じような値動きをすることが多いからです。

インデックスごとに投資信託を決定

アセットクラスごとに、追随するインデックスを決定したら、次は、そのインデックスを追随するために使用する、投資信託を選ぶ必要があります。
投資家にとってはいささか煩雑ですが、1つのインデックスに対しても、それを追随する投資信託は、投資信託販売会社、及び運用会社ごとに存在することが多く、その中から、投資家自身で、自分自身に適した投資信託を選択する必要があります。

投資信託選びに関しては、投資信託の横断検索サイトを利用しても良いですし、すでにインデックス投資に取り組んでいる投資家のブログなどを確認しても良いでしょう。
基本的には、同じインデックスを追随している以上は、

  • トラッキングエラーができるだけ小さく、
  • 投資信託の運用会社に支払う信託報酬が、できるだけ安い投資信託を選ぶことが、

適切となります。

投資信託の買い付け、積立投資の設定

利用する投資信託が決定したら、次は、その投資信託を実際に買い付けていきます。
投資信託の買い付けにあたっては、楽天証券やSBI証券、マネックス証券などといった、ネット系の証券会社を活用することが多くあります。
また、こうしたネット系の証券会社では、月々数百円程度の小額から、投資信託への自動積み立て投資サービスを提供していますので、初期投資と合わせて、こうした積み立て投資に関しても、設定を済ませておくことが一般的です。


参考:
「月10万」から始めるインデックス投資の魅力とは|iDeCo&つみたてNISAフル活用で、まずは月10万円の予算消化を目指す

適宜のリバランスによって、アセットアロケーションを再調整する

インデックス投資を開始してしばらくすると、投資信託それぞれの値上がり・値下がりに応じて、投資家のポートフォリオの内容が、当初設定したアセットアロケーションの内容と比較して、乖離してきてしまう可能性があります。
この場合、乖離の幅が大きくなれば、これを放置せず、値上がりしている資産クラスの売却や、値下がりしてしまっているアセットの買い足しなどによって、アセットアロケーションを改めて最適化する必要があります。

インデックス投資の「アセットアロケーション」の考え方

「アセットアロケーション」(Asset allocation)は、直訳すれば「資産の割り当て」。
すなわち、インデックス投資において、どの資産クラス(アセット)に、どの程度の資金量を割り当てるか(アロケートするか)、を指します。

インデックス投資における代表的なアセットアロケーション

インデックス投資において、投資家が資産を配分する、代表的なアセットアロケーションとしては、下記のようなものがあります。

米国株式

インデックス投資のアセットアロケーションで期待利回りが高いのは、米国株式
世界経済の中心地として君臨し続ける米国株式市場。インデックス投資のアセットアロケーションにおいても、その存在感は大きいのが実情です。
※画像は米・ニューヨーク

アメリカ(北米)の株式市場に上場している企業の株式。
スマートフォン開発で有名なアップルや、検索大手サービスGoogleの親会社に当たるアルファベット社、ウィンドウズの開発・販売で知られるMicrosoft、SNS交流サイトの運営などで知られるFacebook (メタ)など、そうそうたる企業群が並ぶのが、この米国株式市場です。
米国株式市場の主なインデックス(指数)としては、S&P500指数や、ダウ平均株価などが有名です。

現代資本主義の中心地、世界経済の牽引役としての役割も期待されている米国市場。
各インデックス指数の伸びも顕著で、過去数十年で、数百倍に至るまでの成長を記録しているインデックスも複数あります。


参考:
インデックス投資の利回りは|資産クラスごとに利回りが異なる仕組み、平均利回りの計算方法まで解説

米国を除く先進国株式

日本企業や、ヨーロッパ企業など、米国企業を除く先進国企業の株式。
日本株の中では、トヨタ自動車株や、ユニクロ、楽天、ソフトバンクグループ株などが有名です。
米国株式とは極めて高い相関関係にあり、

  • 米国株が上がれば上がり、
  • 米国株が下がれば下がる、

と言う関係性にありますが、多少なりとも、地理的な分散効果に期待したいと言う考えを持つ投資家にとっては、現実的なアセット配分先となります。

新興国株式

中国や台湾、ロシア、ブラジルなど、いわゆる経済新興国の株式市場に上場している企業の株式。
米国株や、米国を除く先進国の株式と比較して、値動き(ボラティリティー)が大きいと言う特徴があり、先進国株式との間でも、一定程度の相関関係はありながらも、場合によっては、逆相関に近いような動きをすることもあり、分散投資の対象としては有力です。
リーマン・ショックの際には、アメリカ株を中心とした先進国株式が長らく低迷したのに対して、新興国株式に関しては、一時期、急速な回復力を見せるなど、各国の投資家から、高い注目を集めました。

先進国債券

主に、米国財務省の発行する、T-Bond(Tボンド)などが投資対象となるのが、「先進国債券」と呼ばれるアセットクラスです。
債券は、期待利回りこそ、株式と比較すると低いものの、株式系アセットとの間の相関関係が、長らく、逆相関と呼ばれる関係に近く、株式との間での分散投資によって、アセットアロケーション全体のリスクを低く保ちたいと考えてきた投資家にとっては、魅力的な投資先となってきました。
しかしながら昨今、株式と債券との間の相関関係も、時期によっては、やや強まることもままあり、従前同様の分散投資効果を得にくくなってきている、との指摘もあります。

なお、一般的な国債や社債は、「インフレーションに弱い」と言う弱点があります。
この点を克服すべく、アセットアロケーションの一部として、「物価連動債」と呼ばれる債券を取り入れる動きもあります。

新興国債券

いわゆる経済新興国の政府が発行する国債や、新興国に所在する企業が発行する社債等が相当します。
先進国債券と比較して、急激なインフラやカントリーリスクなど、様々なリスクを負うこととなりますが、その分、先進国債券よりも利回りが高い、と言う特徴があります。

コモディティ

主に金(きん)などに代表されるアセットクラス。
特に金(きん)に関しては、「有事の金」と言われるだけあり、大規模な経済変動などによって、株式相場が乱高下している間に関しても、比較的安心した投資対象として選ばれ、価値が少しずつ純増していく様子などが顕著に見られます。

不動産

主にリート(REIT)などを投資対象とするアセットクラス。
物件の賃料や売却益といった利回りは、基本的に、物価変動と連動しやすい、と言う特徴があるため、インフレヘッジを目的に、アセットアロケーションに組み込まれることもあります。

最適なアセットアロケーションは、リスク許容度によって変化する

インデックス投資に取り組むにあたって、まず理解しておく必要があるのが、いわゆる「最適な」アセットアロケーションは、各投資家のリスク許容度によって変わる、と言うことです。
全く同じ、同一人物の投資家であったとしても、その投資家のリスク許容度が、年齢の変化や家族構成の変化、収入量の変化等によって変わってくれば、当然、その投資家にとって最適なアセットアロケーションも、変化してきます。

尚、基本的に、

  • リスク許容度が高い投資家は、株式中心のアセットアロケーションとなる
  • リスク許容度が低い投資家は、債券・現預金中心のアセットアロケーションが推奨される

と言われていますが、これはまず、各アセットクラスごとに、想定されているリスク(期待リターンのボラティリティー)が異なることに起因しています。

大前提として、ハイリスク・ローリターンなアセットは原則として存在せず、逆にローリスク・ハイリターンなアセットクラスなどと言うものも、存在しない、と言うのが、市場効率仮説の大前提です。
もしも、ローリスク・ハイリターンなアセットがこの世の中に存在するのであれば、投資家からの買い注文が殺到し、みるみる間に、現在の価格が上がり、結局、ローリスク・ローリターンのアセットへと収れんすることになります。
また逆に、ハイリスク・ローリターンなアセットが存在したとしても、それでは、投資家からの買いが全く生じませんから、基本的にはズルズルと現在価格が下がり、結果的に、将来的な利回りが上がり、ミドルリスク・ミドルリターンな投資商品へと収れんしていくこととなるためです。

そして、アセットアロケーションの観点から言えば、最もボラティリティー(リスク)が大きく、その分、期待リターンも大きいのは、「株式」です。
これに対して、リスクが小さい代わりに、利回りもほぼ期待できないアセットクラスとしては、「現預金」などが挙げられます。
その中間程度に位置するのが、債券やコモデイテイ、、不動産等といったアセットとなります。

インデックス投資におけるアセットアロケーション実践方法

インデックス投資において、アセットアロケーションを実践するにあたっては、

  • 資産クラスごとに投資信託を保有するか、
  • もしくは、複数のアセットに対して投資をするバランス型投資信託を1本保有するか、

どちらかの選択となります。

資産クラス別に投資信託を1本ずつ保有する場合

この場合、各資産クラスの値上がり・値下がりに応じたリバランスは、投資家自身が判断・執行する必要があります。
ただし、加齢等に応じて、投資家が自分自身で、アセットアロケーションを自由自在に調整することが出来る、という利点もあります。

バランス型ファンドを1本保有する

この場合、リバランスも自動化され、投資家としては「楽である」というメリットがあります。
反面、アセットアロケーションを再調整する楽しみが無くなり、加齢や、経済状況の変化等によって、主体的にアセットアロケーションを変更することが難しい、という難点も生じます。

インデックス投資でアセットアロケーションに迷ったら、ロボアドバイザー活用も良案

特に投資初心者においては、自身のリスク許容度を把握し、そのリスク許容度に見合ったアセットアロケーションを主体的に決定する、という投資判断は、いささか困難です。
このため、インデックス投資初心者においては、補助的な意味合いを込めて、ロボアドバイザーを一部活用するケースも多々あります。

ロボアドバイザーを使えば、リスク許容度診断、及び、アセットアロケーション提案を受けることが出来るほか、資産クラスごとに、推奨銘柄の提案も受けることも可能です。

なお、上記の提案は、無料で利用できる、助言型のロボットアドバイザーを使えば事足ります。
ウェルスナビやテオなどの、いわゆる、「投資一任型」のロボアドバイザーを利用する場合、アセットアロケーションの検討どころか、各アセットクラスごとの銘柄の購入やリバランス、といった処理まで、ロボアドバイザーに任せきりにすることができますが、その分、年率で、預かり資産残高の1パーセント相当額程度の手数料を投資信託の信託報酬とは別に、ロボアドバイザー運用会社に対して支払う必要が生じることとなります。

間違い注意?アセット「ロケーション」とは

「アセットアロケーション」と混同してしまいがちな言葉に、アセット「ロケーション」という言葉があります。
これは、アセット(資産)の置き場所(ロケーション)を示す造語です。

インデックス投資に取り組むにあたり、主なアセットロケーションには、下記のような物があります。

  • つみたてNISA口座
  • 一般NISA口座
  • iDeCo口座
  • 課税口座

大切なのは、アセットロケーションを1箇所に絞るのではなく、アセットごとに、最適なロケーションを選択する、です。

基本的に、値上がり益が生じやすいアセットは、非課税口座で保有するのが得策です。
長期的に値上がり益を期待するアセットは、20年間非課税で運用できるつみたてNISA口座で運用することが得策となりますし、長期運用が前提(一定の年齢まで引き出せない)となるiDeCo口座も、同じく、長い目で見て値上がり益が期待できるアセットを置いておくのに適している、と言えます。

反面、課税口座は、分配金も値上がり益も、いずれも課税対象となるから、その点を考慮し、アセットロケーション全体を俯瞰したうえで、むしろ課税口座には、ローリスク・ローリターンのアセットを置く、という考え方も有効と言われています。

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