FIREのための海外移住は「あり」なのか|海外移住のメリット&デメリットから検証
FIREのための海外移住するメリットとは
移住先によっては、毎月の住宅関連コストを安くおさえることができる
住宅の一般的な取得価格や、賃料等が、日本と比べて割安な国に移住することによって、毎月の住宅コストを、日本に継続的に居住するよりも、下げることができる場合があります。
基本的に、日本において、一般的な戸建て住宅を取得するためのコストは、その他諸外国の住宅取得コストと比較すると、やや割高であると言われています。
これは、国土が狭い日本ならではの、土地の価格の高騰ぶりと、木材などの輸入コスト、建築会社の建物コストなどに原因があると言われています。
物件の賃料に関しては、その他先進国の大都市の賃料と比較して、日本の都市の賃料が割高に過ぎる、と言う事はありませんが、移住先の国によっては、この賃料に関しても、大幅に引き下げることが可能となる場合があります。
日本の東京都内の1ルームマンションを賃借する程度の賃料で、プール付きのコンドミニアムをまるごと賃借できるような地域も、物価の安い国には、確かに存在します。
基本的に、毎月の支出に占める、住宅関連コストの割合は、どの家庭でも、一般程度に達していることが多くあります。
海外移住によって住宅・居住関係コストを引き下げることが出来れば、FIRE達成を、より現実的なものへと引き寄せることが可能となります。
参考:
FIRE(早期退職)実現のためには、結局、いくら必要なのか|毎月の貯金額も検討
海外移住により、月々の食費も安く抑えることが出来る場合がある
外食にかかるコストに関しても、日本の場合、東南アジア諸国や、南米等、日本と比べて物価の安い国と比較すると、どうしても、割高となる傾向があります。
これは、各飲食店の店舗テナントの取得コストや、人件費、原材料の調達・流通コストなどが原因であると言われています。
また、自宅で自炊を行うことを考えても、日本の場合、食品スーパー等での販売価格は、より物価の安い国のそれと比べると、些か、割高であると言われています。
海外移住先として人気の高い東南アジア諸国等においては、むしろ、自炊をしたり、外食をするよりも、近所の食品店で売っているような惣菜を数点購入し、自宅で食べることが広く一般家庭でも行われています。
こうした惣菜の他にも、各食料品店では、主食となる米なども穀類も、調理済みの状態で販売されており、一人当たりの食費を考えると、日本にそのまま継続的に居住するよりも、大きく引き下げることができる場合があります。
前述の住宅関連コストと同じく、特に家族連れの場合、月々の生活費に占める食費は、一般的に、かなりの割合となりとなりますので、これを効果的に引き下げる事は、FIRE達成を早めるために、大きな意味があります。
総じていえば、
- リーンFIRE並みの予算感で、
- 実質、ファットFIREのようなセカンドライフを満喫するためには、
海外移住によって住宅費・食費を節約することには、大きな意味がある、と言えます。
国によっては、日本と比べて災害が少ない
日本はかねてより「地震大国」と言われており、日々、地震のリスクを考えながら行動する必要があります。
これは、太平洋プレートの位置関係等の影響を受けているものであって、海外移住によって、そうしたプレートの接触場所とは離れた地域に暮らすことにより、生涯の間に大きな地震に遭うリスクそのものも、ある程度、合理的に軽減することができると言われています。
また、日本列島は、南太平洋海上で発生・発達した台風が、アジア地域へと抜けたり、太平洋を回遊する場合の、通り道(ルート)となっていることが多く、必然的に、年間あたり数回は、大型台風の影響を受けることとなります。
これもまた、海外移住の渡航先によっては、想定し得る影響を軽減することが可能です。
特にFIRE達成後のセカンドライフにおいては、定期的な給与収入が見込めない分、経済的なゆとりがなかなか無く、大規模災害に遭った際にも、金銭的に急場の対応をすることが難しい、というケースも想定されます。
ある程度安心できるFIREライフを実現するためには、諸々の災害の多い日本国を離れ、海外移住をする、というのも、今や、現実的な選択肢の一つと言えます。
日本よりも税金が安い国もある
日本では当たり前のように支払っている、
- 所得税や、
- 消費税、
- 住民税、
といった、様々な税金に関しても、海外移住先によっては、より安く済んだり、場合によっては、「一切かからない」などということも少なくありません。
その他、株式の値上がり益や、分配金、配当金等に対する課税形式に関しても、国ごとに税法が異なりますので、日本よりも税制面で優遇される国へと海外移住することができれば、投資収益に対する課税に関しても、軽減していくことができる場合があります。
FIRE達成を目指す過程、及び、FIRE達成後のセカンドライフにおいては、いわゆる「税金コスト」を十分に引き下げていくことも、大切な戦略の一つとなります。
特に、FIRE達成後の生活においては、投資家らの分配金・配当金こそが、生活に必要な収入の「柱」となるわけですから、これらの投資利益に対する課税による「税コスト」は、できるだけ切り詰めていくことが重要となります。
こうした面を考慮に入れれば、税制で日本よりも投資家メリットの大きい国へと海外移住するメリットは、FIRE志向者にとって、大きな意味がある、といえます。
FIRE達成に不可欠な、人としての耐性・人生経験が身に付く
海外移住によって、慣れない土地に身をおくことで、
- その人の人生経験や、
- 自身にとって「快適ではない」環境への適応能力、
- 語学力、といったスキル・力を、
大きく高めることができます。
特に、子供がまだ小さいときの海外移住に関しては、親の立場としては(医療や、学校制度面などに)色々と心配な点が多くありますが、子供の価値観を国際的なものに育てるためには、大きなメリットがあると言われています。
子供に異文化を体験させることが出来る
FIRE達成前、ないしは、FIRE達成後に、家族で海外移住することにより、連れていく子供に、グローバルな交友関係を築く機会を提供することが出来ます。
また、国によっては、日本よりも、子供や、子供を連れた親に対して、親切・優しい、とされる国もあります。
公共交通機関に子連れで乗ると、自然と席を譲ってもらえるなど、子供を連れているだけで「大変なんだな、優しくしてあげよう」と思ってもらえる国もあるのです。
日本は儒教が根付いた国であり、年功序列意識も強い分、どちらかと言えば(子供よりも)「高齢者が偉い」と考えられがちなのですが、そうとも限らない国もある、ということです。
子育て期間中のFIREには、海外移住・国内定住を問わず、様々なメリット・デメリットがありますが、もしも、海外移住を前提に考える場合、子供・子育てへの影響は、大きくなることが必至です。
国によっては日本のように四季がなく、年中概ね同じような気候で過ごせる
特にFIRE後は、就労によって地理的な制約を受けることが基本的になくなりますから、海外移住においても、その人自身が好きな場所を選んで、渡航・移住することが出来ます。
- 日本と同じように、赤道からある程度の距離があり、「四季」がある地域に移住しても良いですし、
- はたまた、「四季が無い」国を選んで移住することも、
当然、その人の自由です。
いわゆる「四季」の無い国へと移住する場合、四季の移ろいが減る分、当然、季節折々に応じた楽しみも減ることとなりますが、反面、被服費等、季節・気候の変動により生じやすいコストを、かなり抑えることが出来る、というメリットもあります。
例えば、東南アジア諸国など、一年中を通して、ある程度気温の高い地域へ移住すれば、「厚着を用意する必要が無い」ということもあります。
また、国・地域によっては、日本のような花粉量が無く、「海外移住後は、花粉症に悩まされることがなくなった」と語る人も多く言います。
FIREを目指す海外移住。そのデメリットとは
ビザ取得の手間暇
実際に海外移住を果たすためには、移住先の国から、就労ビザ、ないしは永住ビザといった査証を入手する必要があります。
しかしながら、就労ビザや永住ビザの取得には、お金や時間がかかるのが実情で、海外移住実現にあたっては、高いハードルとなります。
国によっては廉価にビザが取得できたり、長期の観光ビザで入国できるケースもありますが、観光ビザでは現地に就労することが難しく、バリスタFIREやコーストFIRE、といったFIREスタイルを前提としている場合、相性が良くない、という難点もあります。
※ただし、場合によっては、ワーキングホリデービザなどを応用できるケースもあります。
また、意外な盲点として、日本の免許更新の手間暇も、考えておく必要があります。
基本的に、免許有効期限の1か月前程度に、日本に帰国したうえで、更新手続きをする必要があるわけですが、そのタイミングでうまく日本に帰国できるかは、未知数な部分も少なくありません。
無論、昨今のコロナ禍等の非常事態においては、一定の救済措置はありますが、一定のストレスになることは間違いありません。
渡航費の問題
海外移住に伴い、大きな問題となるのは、ビザの問題だけではありません。
移住先の国へと実際に渡航するための渡航費に関しても、(移住先によっては)大きな負担となることがままあります。
特に、家族連れでFIREを達成しようと考えている場合、家族みんなで移住先の国へと長距離渡航をすることとなりますので、現地での住宅の確保から、その事前手配、実際の渡航に至るまで、必要なコスト、および準備の手間暇は、かなりのものとなります。
移住先での言葉の問題
海外移住の大きなデメリットの1つと言われるのが、言葉の問題です。
日本では、中学~高校時代の学校教育において、第一外国語として「英語」を学びますが、実際問題として、日常的な英会話を支障なくこなすことができる日本人の絶対的な数量は、決して多くありません。
これだけ学校教育の充実している国において、他国語に対して、これほど強い抵抗感がある国と言うのも、世界で珍しいと言われています。
FIREの達成を早めるため、ないしは、FIRE達成後の生活コストを引き下げるために、海外移住をすることは有効な手法ですが、移住先での言葉の壁によって、生活自体のクオリティーが大きく低下してしまえば、本末転倒といえます。
文化の違い
海外に移住して、そのギャップに戸惑うのは、言葉の問題だけではありません。
文化や慣習、考え方、法律なども、日本と諸外国では、大きな違いがあります。
特に、主に儒教、そして仏教をベースとした日本流の価値観と、キリスト教等を中心とした宗教的背景のもとに文化構成をしてきた欧米圏の価値観との間には、大きなギャップが生まれることも少なくありません。
移住先の国々の考え方や文化、法律などに、移住者としてうまく馴染んでいくことができれば良いですが、「郷に入っては郷に従え」の原則にうまく適応できない場合、FIRE前の生活、及び、FIRE後のセカンドライフが、多大なストレスに満ちたものとなってしまう可能性があります。
現地で仕事を探すのが難しい(バリスタFIRE&コーストFIREの場合は特に要注意)
日本で簡単な副業を見つける場合と比較して、移住先の国で、自分に合った仕事を見つける事は、決して簡単なことではありません。
そもそも、一定の言葉の障壁がある以上、同国の雇用契約の内容や、詳しい就業条件について、就労前にきちんと把握することは、海外移住初心者にとっては、大きな問題となります。
また、海外移住先での仕事においては、現地の人々とのコミュニケーションも、当然、それなりのレベルのものが求められますので、意思疎通等をスムーズに行えない場合、勤務先にも大きな迷惑をかけることとなります。
特に、FIRE後も何らかの仕事に従事することが前提とされているバリスタFIRE、及びコーストFIREを検討している人においては、十分に注意する必要があります。
参考:
FIREは、実は全部で4種類?|ファットFIRE、リーンFIRE、バリスタFIRE、コーストFIRE|それぞれの特色・注意点を徹底解説
現地の食事が口に合わないことも
幼い頃から日本の食事に慣れた人にとって、急に海外移住をしたとしても、移住先の国の食事が、必ずしも口に合わないことがままあります。
そして、往々にして、海外に出店している日本食のレストランは、割高の料金を提示していることが多いのも実情です。
それでは、自宅で日本料理を自炊しようと考えても、海外の日本食材店では、日本では極めて廉価に手に入るような食材も、かなりの高値で販売されていることがよくあります。
いずれにせよ、FIREによる倹約生活を送っている人にとっては「高嶺の花」であると言えます。
また、同じホームシックでいえば、海外移住により、親しい知人、及び親族と離れ離れになる寂しさも、看過することは出来ません。
親の老後に対する心配も、ひとしおでしょう。
具体的な移住先国にもよりますが、移住先では、日本との間で、一定の時差があることも多いので、ビデオ通話などでコミュニケーションを図ろうにも、なかなかうまくいかない、等という事もあり得ます。
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