不動産担保付きソーシャルレンディング大手OwnersBook(オーナーズブック)のエクイティ投資型商品とは

ソーシャルレンディングとは

貸金事業者が、金融商品取引業の登録を新たに取得し、自身の融資プロジェクトのための資金(貸付原資)を、全国の個人投資家から、クラウドファンディング形式で調達する行為を、「ソーシャルレンディング」と呼びます。

ソーシャルレンディングの流れ

ソーシャルレンディングにおける基本的な資金の流れ等を時系列で表すと、下記のようになります。

  1. 貸金事業者が、別途、金融商品取引業の登録を取得し、「ソーシャルレンディング事業者」となる。
  2. 資金需要者が、ソーシャルレンディング事業者のもとに、融資相談に訪れる。両者の間で、融資条件に関する、ある程度の合意が形成される。
  3. ソーシャルレンディング事業者は、自身のホームページ上で、当該資金需要者への融資を前提としたファンドの募集を行う。
  4. 投資家は、あらかじめソーシャルレンディング事業者にて投資家登録を済ませた上で、各ソーシャルレンディング事業者の募集ファンドの中から気に入った物を選び、出資申込をする。
  5. 投資家による出資が成立すると、投資家とソーシャルレンディング事業者との間で、匿名組合契約が締結される(ソーシャルレンディング事業者が、匿名組合の営業者。投資家は、匿名組合員)。
  6. ソーシャルレンディング事業者は、投資家から募った資金を、外部の借り手企業に対して融資する。この際、両者の間では、金銭消費貸借契約が締結される。
  7. 借り手企業は、ソーシャルレンディング事業者に対して、利息、並びに元金の返済を行う。
  8. ソーシャルレンディング事業者は、借り手企業から回収した利息・元金を元手に、投資家に対する利払い(分配)、及び、元本償還を実施する。

ソーシャルレンディング事業参入のメリット

企業にとって、ソーシャルレンディング事業参入には、主に下記のようなメリットがあります。

  • 自己資金(自身が借り手となって銀行等から調達した資金を含む)ではなく、全国の個人投資家からクラウドファンディング形式で調達した投資資金を元手に、借り手企業への融資を行うことが出来る。このため、自身のリスクを一定程度に抑えたうえで、新たな融資プロジェクトに取り組めるようになるほか、銀行等の金融機関(預金を元手に融資を行う)が融資を手控えるような、「ハイリスク・ハイリターン」な融資案件にも、資金を拠出できるようになる。
  • 自社のグループ企業を借り手とするファンドを組成することにより、自社グループ全体にとって、新たな資金調達チャネルとして活用できる。特に、ノンリコース型のローンファンドを活用する場合、遡及性の低い債権・債務構成とすることで、自社グループにとってかなりリスクの低い資金調達が行えるようになる。
  • 匿名組合型のファンド組成とすることで、借り手企業への貸付債権はソーシャルレンディング事業者が占有し、貸金業法への抵触リスクを回避することが出来る。また、匿名組合の特質として、匿名組合員はファンドの営業内容に直接関与できないため、ソーシャルレンディング事業者としては、投資家の反対表明を恐れることなく、自己の裁量において、ファンド運営を行うことが出来る。
  • 従来型の貸金業者には希薄であった「テック感」を演出することで、自社のバリュエーションを高めることが出来る場合がある。

ソーシャルレンディング事業参入の注意点

企業がソーシャルレンディング事業に参入する場合、併せて、下記のような点に注意を払う必要があります。

  • 投資家に対し、ファンドへの出資の中途解約を「可」とする場合、大規模な経済変動が生じた際、多量の投資家から一斉に解約・返金申請が寄せられ、ソーシャルレンディング事業者自身のキャッシュフローがショートするリスクがある。逆に、出資の中途解約を不可とする場合(※大多数のソーシャルレンディング事業者は、こちらに該当する)、投資家が資金の長期拘束を忌避し、結果として、長期運用を予定するファンドに、資金が集まりづらくなる。
  • 自己資金100パーセントで融資を行う場合と比較し、確かに、デフォルト(貸し倒れ)に伴うリスクは低減できるが、リターン(利回り)も低くなる(=投資家への利益分配が必要となるため)。
  • 貸金業法・第二種金融商品取引業の登録取得、及び、必要なシステム開発には、多大なイニシャルコストがかかる。また、システムを常時滞りなく運用するためには、エンジニアの常時雇用など、ランニングコストがかかる。
  • 貸金業の求める「借り手保護」と、金融商品取引法の求める「投資家保護」の両立という、難しい舵取りを迫られることとなる。

参考:
【2021年9月最新版】ソーシャルレンディングおすすめ10社&危ない3社比較ランキング【投資初心者必見】

不動産担保付きソーシャルレンディング大手「オーナーズブック」のエクイティ型商品とは

2018年8月、国内の不動産担保付きソーシャルレンディング業界大手「オーナーズブック」が、エクイティ投資型商品第1号案件の募集開始予定を公表しました。

ソーシャルレンディング大手【OwnersBook】からの、エクイティ型商品に関するプレスリリースがこちら。

ソーシャルレンディング大手【OwnersBook】からの、エクイティ型商品に関するプレスリリース
引用元:https://loadstarcapital.com/ja/news/news180808.html

ソーシャルレンディング大手【OwnersBook】の、エクイティ型商品の概要

  • 今回のエクイティ投資型商品は、不動産を購入する際の自己資金(エクイティ)に当たる部分を、オンライン上で、クラウドファンディングで募るサービス。
  • エクイティを原資に購入された対象不動産が生み出す賃料収入および売却益が、投資家への配当原資となる。
  • エクイティ投資型商品では、投資対象の物件情報を積極的に開示することが可能となるため、投資家は、個々の物件に関する情報を吟味のうえ、投資判断を行うことができる。
  • 運用物件売却時に利益(もしくは損失)が生じた場合には、売却益(もしくは売却損)を、エクイティ出資持分に応じて受けることとなる。

※以上、オーナーズブックの、「エクイティ投資型商品の第1号案件に関するお知らせ」(https://loadstarcapital.com/ja/news/news180808.html)より情報引用。

エクイティ型の第1号案件概要

オーナーズブックの、「エクイティ投資型商品の第1号案件に関するお知らせ」(https://loadstarcapital.com/ja/news/news180808.html)によると、エクイティ型の第1号案件の概要としては、下記の通り。

  • 東京都千代田区所在のオフィスビルを対象とする。
  • 建物名:秋葉原成信ビル
  • 所在地:東京都千代田区神田須田町1-7-8
  • 案件名:秋葉原オフィスビル
  • 募集総額:2億6,500万円(予定)

予定運用期間は3年間とされており、詳細につきましては、募集開始時に『OwnersBook』公式サイトにて開示される予定。

2021年9月追記【その後のエクイティ型案件の進捗は】

2018年8月、オーナーズブックの「エクイティ型商品募集開始」の公表により、一気に注目を浴びるようになった、ソーシャルレンディング事業者によるエクイティ型商品販売。
その後、どのように進捗したのか、3年後の時点での情報をまとめてみましょう。

結局、オーナーズブックで募集されたエクイティ型案件は2件だけ

2021年9月現在、オーナーズブックで実際に募集されたエクイティ型の案件は、2件だけ、です。
同日現在、オーナーズブックでは、既に200件を超えるソーシャルレンディング案件(貸付型案件)が投資実行済ですから、そのボリュームには、雲泥の差があります。

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